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| 山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です. (夏時間なのでUTC+2時間,JST-7時間) |
| 編註;先生からいただいた音声ファイルは 小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です. なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります. |
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2003.07.18 (Fri)バーミンガムからコペンハーゲン経由でマルメへ到着。久しぶりに訪れる第二の故郷は、私をあたたかく迎えてくれた。移動で疲れていたため、ホテルへ着くとすぐに寝てしまった。 |
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2003.07.19 (Sat)昨日チェックインした部屋が北向きだったため、フロントに頼んで南向きの部屋に移ることにした。やはり、Esを狙うなら南方向だ。しかし、今日はQRVする時間がなかった。 |
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2003.07.20 (Sun)北欧にしては珍しく、非常に蒸し暑い1日であった。18:00過ぎにはホテルに戻っていたが、昼間の暑さに疲れてしまい、そのままベッドへ倒れ込んだ。ふと目を覚ます と、既に時計の針は21:30を指している。Esを狙う時間帯としては少々遅いとは思ったが、少し眠って疲れもとれたので、とにかくバンドをワッチすることにした。部屋の窓からポールを突き出してZeppアンテナをぶら下げた。FT-817に電源を入れて久しぶりにSM7でQRVだ(注)。マルメ滞在中のホテルは旧市街の真中にあり、今度もノイズで悩まされるかと心配したが、幸運にもバンドは非常にクリアーで、近くを自動車が走ったときにイグニッションノイズが少し入るだけであった。「これなら大丈夫!」喜んでダイヤルを回し始めると、すぐにOH8Kの軽快なCWが強力に飛び込んできた。OH9SIX/Bもクリアーに入感している。さらにバンドをスキャンすると、F6GPTも フルスケールだ。安定した強いEsが南北に同時に開いているようだ。1年前にも何度かそういうことがあり、北へ南へとアンテナを回すのに忙しかったことを懐かしく思い出した。「よし、久々にやるか!」ゆっくりとマイクを手にして、まずはF6GPTのCQをコール。バーミンガムのときと同様、Zeppアンテナに5Wでも一発で応答があり、59/59でQSOは成立した。彼のロケーターはIN94SW。「IN94.....確かFの西海岸沿いだ」ここ数カ月の間、EUのロケーターのことなど考えたこともなかったが、私の頭の中にはEUの地図がまだ残っているようだ。気を良くしてさらにダイヤルを回すと、 何だかバンドの様子が変なことに気が付いた。多くの局が50.100-50.300のDX window にQRVし、盛んに「CQ DX」とコールしている。「これはEsのマルチホップか、Es+アルファの伝搬に違いない!」注意深くワッチすると、「CQ SAまたはCQ PY」と打つOH7PIを発見した。どうやらPYがオープンしているらしいが、さすがにビルに囲まれたZeppアンテナでは何も聞こえてこなかった。バンドの上の方に行くと、数局がEU向 けのCQを出している。OH, Fの他にLAのシグナルも受信できたが、LA方向は自分のホテルに遮られてしまい、コールサインを確認することはできなかった。「今夜のメニューはOHとFだ!」両entityとも以前に何回もQSOしているが、久しぶりにEUのEsを味わうだけで、私は十分満足であった。59で入感するOH4BNPをコールすると、今度も1回で応答があった。55のレポートをもらった直後に「You are not very loud here.」と言われたが、5Wにワイヤーアンテナであることを伝えると、「その設備でこの強さなら十分だ!」と感動した様子であった。次にF各局を呼ぼうとダイヤルを回していると、31-51で入感するシグナルを発見した。QSBのピークでコールサインを確認した瞬間、私のやる気はフルスケールとなった。「QRZ? This is CT1DHM.」CTはマルメから2000km以上離れており、Esでオープンする確率は他のメジャーなentityよりも低い。昨年のEsシーズンは、遂に最後までCTのシグナルを聞かずに終わってしまった。new entityを前にして気合いを入れてコールするが、ピックアップされるのは中部EUの局が中心だ(私には聞こえない)。OHやFのように強く入感する局ならば Zeppに5Wでも十分だが、今回は力不足が明らかであった。別の周波数にCT1DYXを発見し、こちらも何回かコールしてみたが、やはり結果は同じであった。「今、研究室の屋上にIC-706と2ele HB9CVさえあれば、、、」一瞬そう考えたが、「今回の滞在は仕事が目的だ」、「あまり熱くなるのはやめよう」と自分に言い聞かせた。しばら くCT1DHMをワッチしていると、時々CQを出している。オープンしている範囲の局は一通りQSOしてしまったのか、それともコンディションが下がり始めたのか。ダメで元々とばかりに、もう一度コールしてみた。すると、「SM7?」と返ってきたではないか!つい先ほど「熱くならない」と決めたばかりであったが、私の心は一瞬にして沸点に達していた。「This is SM7XQZ, SM7XQZ!」大声で叫んだ次の瞬間、CT1DHMがピックアップしたのは別のSM7某局であった。現実の厳しさを見せつけられた私は、 一気に全身の力が抜けた。家内に「もう遅いから大声を出すのはやめて!」と言われて我に返ると、既に22:30であった。7月のSM7は白夜の季節であり、外はまだ完全には暗くなっていないが、確かにいつ隣室から苦情がきてもおかしくない時間だ。SSBはあきらめてCWだけにすることにした。F8BBL, F5DEを簡単に料理したが、この時点では他にCWで出ている局がなく、その後はSSBで出ているOH/DH3YAKを録音してQRTと した。「明日は早めに帰ってきてSSBにも出るぞ!」私はそう誓ってからリグの電源を落とした。 |
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| (注)免許事情の項で紹介したように、スウェーデンでは50MHzのポータブル運用は許可されない。よって、今回はホテルからQRVできるように、事前にQTH変更の手続きをしておいた。手続きはそれほど難しくなく、適当な紙に(専用の用紙はない)アンテナの位置を変更する旨を記述して、Post
& Telstyrelsen(郵便通信省)に郵送するだけである。通常2週間ほどで新しい免許が送られてくる(夏休み中は数週間かかる)。変更に関する手数料は無料。
変更に際して、アンテナの位置を緯度・経度で示すか、または、5万分の1の地図上で示す必要があるが、慣れてしまえば難しいことではない。 |
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この日の成果
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2003.07.21 (Mon)今日は仕事が予想外に早く終わった。ホテルに戻る前に研究室でコンピューターを借りてWeb Clusterを覗くと、少し前からFBにEsが開いているらしい。私は速攻でホテルに戻り、すぐにアンテナ作業を開始した。今日はZeppではなくDPをポールの先に固定し、17:00少し前からワッチを始めると、近距離の強力なEsがオープンしている。 バンドのあちこちで59(9)のSP各局が聞こえ、その間で「CQ states side」を連呼するUX0FF, 9A2OMも入感している。どうやらマルチホップで北米に届いているらしい。 (もちろん私には何も聞こえない。)今日は昨日以上にコンディションが良さそうだ。QSOに入る前に一通りバンドをスキャンすると、OK, OMまでもがフルスケールだ。「これはすごいEsだ!!」昨シーズンには経験したことがない近距離の強力なオープンに、私の興奮は極限に達しようとしていた。しかし、「DPに5Wでは限界がある!」、「欲張ってはいけない!」と自分自身を落ち着かせた。まず、因縁のOM (2002.11.19の運用記参照)からgetすべく、OM3CLSにロックオン。CQの終了と同時に銃爪を引き、599/599であっさりと撃墜した。二機目のターゲットはOKにしたかったが、その時点でCQを出しているOK局がなく、SM7某局と交信するOK2KRを録音するにとどまった。仕方なくバンドの端から順に狙撃を開始し、SP9FKQ, SP7AWG, SP9MRK,SP8RHPとSPばかり連続でgetした。いつの間にかマルチホップはお開きとなったらしい。UX0FFもEU向けにCQを出し始めた。「今日だけでWと500局以上QSOした!」などと興奮した様子の彼の話を聞いて、今日のオープンがどれほど凄まじいものであったかを知った。UX0FFはバリバリのフルスケールで入っていたため、DPに5Wで十分届 くと思われたが、EU中からかなりのパイルになっているらしく、何回呼んでもピックアップされない。このとき私はDPを水平の状態で南方向へ向けていた。よって、UR方向は一応サイドになる。ホテルの窓は南向きなので、DPを直接UR方向へ向けることはできないが、「ポールを90度回転させて垂直DPにすれば、ビーム上は多少良くなるのではないか?」などと考え、すぐに実行に移すことにした。元々サイド方向でもフ ルスケールのシグナルである。DPを垂直にしても受信上は何の変化もなかった。軽い気持ちでコールしてみると、今度は何と一発で応答があった。何事もやってみるものである(笑)。彼はコンピューターでログを管理しているのだろう。いきなり 「Nice to see you again!」と言われた。続いて9A4KとQSOし、さらにスキャンを進めていると、18:25頃から数分間だけバズ音らしきノイズが入感した。私の経験では、この音が聞こえるときはバルカン半島周辺にパスがあることが多い。(逆は真ならず。)「コンディションが変化しそうだ!」期待を込めて待っていると、YU, S5各局が聞こえ始め、少しだけ入感範囲が拡大した。さらにどのような変化が訪れるのか 非常に興味があったが、残念ながら食事の時間となったため、19:00少し前に一旦QRTとした。再びホテルに戻ったのは21:30頃。ワクワクしながらワッチを再開すると、パスがさらに東西に広がったようだ。この時点で入感していたentityは、UR, YO, YU, 9A, S5, I, SP, OM, OK, Fとなった。ビルの谷間にあるDPでこれだけ聞こえるということは、今夜はかなりの大オープンに違いない。誰もいない研究室の屋上ならば、間違いなく一晩中マイクに向かって叫び続けたことだろう(笑)。しかし、ここはホテルの一室である。声を出すには少し遅すぎる。ここは「忍」の一字を心に刻み、CWに的を絞ることにした。手始めにOM3EYと軽くQSOし、さらにOK2MBPをgetし た。これで、OMだけでなく、OKもEsで交信することができた。さらにYO7VSを発見 し、こちらもあっさりとQSOを終えた。しばらくはCWばかりワッチしていたが、あまり多くの局が出ていないため、すぐに手詰まりとなった。そこで、バンドの上の方へ 行ってSSBをチェックすると、私がCWをワッチしている間にパスがさらに東に移動したようだ。HB, G各局の他に、これまた因縁のGU(2002.07.06運用記参照)がSSBで強く入っている。GU某局のシグナルは強いQSBを伴っていはいたが、ピークでコールすれば何とかピックアップされそうな強さだ。しかし、EUの中では比較的珍しいGUの入感だけあって、まあまあの人気になっている。一発コールは難しそうだ。「どうする?」、「2、3回だけ呼んでみるか?」、「でも、もう22:30だぞ」などと悩んでいたら、いつの間にかフェードアウトしてしまった。(悩んでいたため録音することを忘れた。)ガックリと肩を落とした後、「まあ、これもmagic bandだよ」と訳のわからぬ独り言をつぶやきながら、私はしぶしぶアンテナを片付け始めた。(今日QSO には至らなかったが録音できた局:9A2TN_CW, 9A2TN_SSB, F5IHP, HB9IDE, OK2VXV, S57AC, S57RR, SM7AED, SP4Z, SP6OUL, YU1FW, YU1TT, YU7FU, YU7ZZ, YZ1EW) |
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この日の成果
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2003.07.22 (Tue)Nordic Activity Contestの日であったが、残念ながらQRVできず。 |
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2003.07.23 (Wed)毎日暑い日が続く。昨年のスカンジナビアは記録的な猛暑であったが、今年はさらにその上を行くのではなかろうか(と言っても、日本人の感覚では全然大したことはな い)。ホテルと研究室の往復だけで、全身に大粒の汗をかいてしまう。ホテルに戻っ てすぐにワッチを始めたかったが、今日はまず最初にシャワーを浴びることにした。 身も心もサッパリしたところで、QRVを開始したのが19:45頃。ダイヤルを回すとすぐにEI8某局を発見したが、そのシグナルは非常に弱く、かつQSBを伴っているため、 コールサインがフルコピーできない。数分間粘ってみたが、結局わからずじまいであった。さらにバンドをスキャンすると、今度はF6KHMの「CQ Scandinavia」がバリ バリのフルスケールで入感している。こちらは一発コールであっさりとQSOを終えた。続いてEI5FKのCQを発見。先ほどのEI8某局よりは強く、41-53で聞こえている。 QSBのピークなら何とかなるかもしれないと考え、QSBの周期に合わせてコールすること数回、「QRZ SM7?」とコールバックがあった。先日のCT1DHMのことがあったので、 あまり期待せずに2回コールサインを繰り返してスタンバイすると、「SM7X?」と言 うではないか。「これは自分に間違いない!」改めてもう2回コール。「SM7XQ?」と 返ってきた。「あと一文字だ!」、「頑張れ!」と気合いでコールを繰り返すが、 EI5FKは遂に私のコールサインをフルコピーすることなく、QSBの波間に消えてしまった。そのままワッチを続けていると、20:40頃、突如GB3MCB/Bが強力に入感し始めた。ビーコン周辺の各局のQRVを期待したが、期待は期待のまま終わってしまい、 15分後にはGB3MCB/Bもフェードアウトした。今日のG周辺のオープンは、非常に不 安定のようだ。別のEI某局の声も一瞬だけ聞こえたが、短時間で姿を消してしまった。そんな中、先にQSOしたF6KHMだけは常に59で、ほとんどQSBもない。他のF各局の入感を期待したが、またもや期待は現実とはならなかった。非常に限局したパスだっ たらしい。しばらく膠着状態が続いたため、そろそろQRTを考え始めた頃、419-539で QSBを伴って入感するEH5FXのCQを発見した。「CWなら届く!」そう信じて何度もパドルに手を掛けたが、EH5FXのCQは最後まで途切れることはなかった。「ビームの方向 がずれているのだろう」そう勝手に解釈してQRTとした。およそ1時間半ほどのQRVであったが、あまりスッキリしない結果となった。 |
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2003.07.24 (Thr)明日の午前中にマルメを発ち、帰国の途につく。久しぶりのSM7XQZも今日が最後だ。何とか頑張ってQRVの時間を取ろうと努力したが、日本に持ち帰る研究用サンプルの整理に時間がかかり、パッキングが終了したときには既に深夜であった。さすがに今からワッチする気になれず、リグもアンテナもカバンに入れてしまった。何となく中途半端な終わり方に不満は残ったが、無線を目的とした旅行ではないにもかかわらず、ここまでできれば上等である。「来年は無線だけを目的にEUに遊びに来るぞ!」その決意が現実のものとなることを期待 したい。 |
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マルメの結果 |
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total 15 stations in 8 entities; F,
OH, OM,
SP, UR, 9A, OK, YO entities heard, but not worked: LA, CT, YU, S5, GU, HB, I, G, EI, SM, EA |
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| 今回は仕事が主体の滞在であったため、十分な時間を無線に割くことができませんでした。しかし、5WにZepp
or DPでも、かなり楽しめたと思っています。昨年はあれほど苦労して(?)QSOしたOK,
OMも、今年はいとも簡単に交信できてしまいまし
た。これもmagic bandの魅力のひとつでしょうか。あとはCTがgetできていれば最高の結果でしたが、それは今後の目標に残しておくことにします。 |
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Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) &
Hideki SUZUKI, M.D.(JN1BPM) ,2003-2005