山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です.(3月末より夏時間になりUTC+2時間,JST-7時間となりました.)


研究室の西側に広がる公園です。中央に写る人間と比較すると、木々の大きさがわかります。

Magic Band in Sweden (21)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.

2002.08.10 (Sat) -17 (Sat)

学会(北欧臨床化学・血液凝固学会)に参加するため、1週間TF(アイスランド)に滞在する機会を得た。出発直前まで私が真剣に悩んだのは、自分の発表内容のことではなく、「リグとアンテナを持って行くかどうか」であった(笑)。しかし、学会期間中は毎日何時間もワッチする余裕はなく、また、まともなアンテナを立てるのも困難と予想された (実際そうだった)。学会の期間とペルセウス座流星群の時期が一致するという事実が私を大きく誘惑したが、結局、50MHzにQRVすることは潔く諦め、FM衛星(UO-14)の運用(TF/SM7XQZ/Pの運用記はこちら)と、50MHzは、せめてもの土産にFT-817+付属ロッドアンテナだけを持ち込んで、TF3SIXビーコンだけ、録音して帰ってくることにした。現地で録音したお土産のTF3SIX/B(音声ファイル)はこちら 【編註:先生はもはや末期的なビョーキですね.(笑)】

2002.08.18 (Sun)

昨日学会から帰ってきたばかりだというのに、早速やらなければならない仕事があり、疲れた体にむち打って研究室へと足を運んだ。夕方、仕事が一段落ついたところでWeb Clusterを覗くと、比較的広い範囲がEsで賑わっている。しかし、OZ, SM7の文字はなく、パスが頭上を飛び越えているようだ。18:30からワッチしてみたが、一瞬のバーストが時々聞こえる以外は、SM7は全くの無風快晴であった。「今日は何も起こらないだろう」と考え始めた19:00少し前、9AではZSが入感したらしい。数分後にはDLからもレポートが上がった。ここまではよくあることで、問題はこれからだ。さらに北まで上がってくるかどうか。少し様子を見ていると、19:02遂にOZ南部からも報告が。ここで止まってしまうパターンも多いのだが、そのまま勢いに乗ってバルト海を渡ることを祈り、屋上で迎撃態勢に入った。ダイヤルを合わせて待つこと5分、何かSSBのシグナルらしきものが聞こえ始めた。さらに1分後、シグナルはピークで 41となり、ZS6WBのコールサインをこの耳で確認。久々にnew entityを聞いた瞬間であった(以前ZSらしきシグナルを聞いたことはあったが、未確認に終わっている)。 さらにコンディションが良くなることを期待して待っていると、19:10には51まで上昇した。しかも、タイミング良くCQを出している!わずかな可能性にかけてマイクを握った瞬間であった。ZS6WBのシグナルは一気に弱くなり始め、CQが終わらぬうちにその姿を消した。しばし呆然、、、。ほんの息抜きのつもりのQRVが、かえって疲労感を強くする結果となってしまった。

2002.08.19 (Mon) - 23 (Fri)

SM7では例年8月中旬になると冷たい風が吹くようになり、白夜の夏が終わったことを実感させられる。ところが、今年はまだまだ暑い日が続き、「150年の観測史上で最も気温が高い8月だ」とスウェーデン人は大喜びである。では、magic bandのコンディションはどうだろう。「まだEsシーズンが終わった訳ではない、、、」そう表現すればよいのだろうか。Web Clusterによれば、ここ数日、午前中から正午前後かけて、EUのどこかで少しはEsが開いているらしい。しかし、オープンの範囲と長さは、シーズン最盛期と比べて明らかに見劣りする内容だ。magic bandの秋の訪れは、 SM7のそれよりも一足も二足も早くなりそう気配である。

2002.08.24 (Sat)

ここ数日の傾向では、Esが開くのは午前から昼過ぎまでであり、午後からはほとんどオープンしていない。今日は週末ということもあり、朝早くから気合いを入れてQRVする予定であった。しかし、昨夜遅くまで友人宅でパーティーがあり、今朝は不覚にも寝坊してしまった。目が覚めてすぐに自宅でWeb Clusterをチェックすると、OZ, SM7で既にEsがオープンしていた。急いで研究室に駆けつけてワッチを開始したのは、何と正午近くのことだった。注意深くバンドをスキャンしてみたが、聞こえてくるのは雑音ばかりで、ローカルの声さえ聞こえない。午前中からのEsは既に陰も形もなくなっていた。「今日のEsはもうお開きか、、、?」出遅れたことを後悔しつつ、 しばらくダイヤルを回していると、突如強いSSBのシグナルが現れた。それはOK某局(私には聞こえない)とQSO中のEA3某局であった。ロケーターはJN01、スペイン北部の地中海沿岸である。EA3某局はQSOが終わるとすぐに消えてしまい、再びバンドは静かとなった。しかし、この方面にまだパスが残っていることを信じながら待つこと約10分、今度はひとつ西側のグリッドIN91からEH2AGZのCQが飛び込んできた。一発コールでこの局を仕留め、およそ2週間ぶりのQSOとなった。これら2局のEAは、ともにQSBが少なく、非常に強く安定して入感していたため、同じEsによるパスが東から西へ移動したのだと考えた。パスがさらに西へ移動すると予想してワッチしていたが、意外にも、次に聞こえてきたのはEH3IH(JN11、Fとの国境に近い地中海沿岸)であった。あっさりとgetしたところで注意深く観察すると、この局のシグナルは深く周期の長いQSBを伴い、明らかに先の2局とは様子が異なった。そこで、もう一度EH2AGZの出ている周波数に戻ってワッチしたところ、いつの間にかこちらも深いQSBのあるタイプとなっていた。コンディションが少し変化したらしい。そう思った矢先、強力なSSBのシグナルが50.110に入感した。「DXか!?」期待は一気に高まったが、それはEH5BZS/Pのシグナルであった。最初は、EU以外からのコールを期待して CQ DXを出しているのかと思われたが、どうも雰囲気が違う。50.110でEsによる通常のEU内QSOをしているようだ。最近、事ある毎に雑誌やWeb Clusterに、「No EU-EU QSO in DX window!」という注意書きが目立つようになった。当然のことながら、私はこの局を無視することにした。しかし、EH5BZS/Pのロケーターを聞いた瞬間、私の心は大きく揺れ動いた。「JM09..」それは地中海上のグリッドであり、EA本土とは別entityのEA6バレアリック諸島の一部を含んでいる。「/Pとしか言っていないが、実は/EA6では!?」、「どうする、コールするか、無視するか、、、?」私はマイクを 握りながら約10分間自問自答を繰り返した。この間に、最初は59で入感していたシグナルは、51-55にまで落ち込んでいた。「new entityには代えられない!」私は意を決してコールした。2回目にピックアップされ、無事QSOは成立した。QSO中に「/EA6」であることを確認したかったが、一刻も早く50.110から逃げ出すため、最低限の内容でQSOを終えた。この数分後、さらにコンディションが変化し、遂にEA各局はそろって姿を消した。何も聞こえなくなったので、この間にEH5BZSにメールを送って、「/EA6」であることを確認しようと考えた。ところが、QRZ.comで彼を検索した途端、強い空しさが私に襲いかかった。彼のホームQTHのロケーターは「JM09AX」、自分のログを確認すると、そこには「EH5BZS/P, JM09AX」と書き込まれていた。JM09は北西の角の部分がわずかにEA本土をかすめており、EH5BZSは自宅のすぐ近くからポータブル運用していたのである。最初から「AX」の部分まで注意深く確認していれば、このような間違いはなかったかもしれない。30分ほど呆然とした後、再び屋上へ上がると、今度は南東方向に新たなEsがオープンしていた。YO3KWJ/B, LZ各局が入感しているが、どれもQSBの強いタイプだ。既に交信済みのグリッドばかりであったため、コールせずにじっくりとワッチすることにした。パスの中心は最初LZ南部にあったが、時間とともに北東方向へ移動し、LZ南部、LZ北部、YO3KWJ/Bの順にフェードアウトした。5分ほどの沈黙の後、突然UT5G/Bが聞こえ始め、10分ほど入感していた。同じEsによるパスのようで、QSBの特徴は先のLZ各局、YO3KWJ/Bと全く同じである。比較的アクティビティーの高い地域をパスが移動したにもかかわらず、QRVする局がほとんどなく、バンドは終始閑散としていた。午前中のEsが終わった時点で、今日は皆QRTしてしまったのだろうか。

この日の成果

2002.08.25 (Sun)

10:00少し前に研究室に着いた私は、アンテナ作業をする前にWeb Clusterをチェック した。既に1時間ほど前から、EU各地でEsが開いている。今日はEU東部がFBにオープンしているようだ。UR各局があちこちからレポートされている。レポートを詳しく分析していると、ふと私の目に止まるものがあった。10分ほど前に、TA2RC/0がOH, ESから報告されている。TAは未だに聞いたことがない。「SM7まで来てくれるだろうか?」と考えていたそのとき、LY, SPからも連続してスポットされた。「ひょっとしたら、、、」私はすぐに屋上へ上がり、アンテナを南東(TA)方向へ振ってワッチを開始した。10:09、リグに電源を投入。Web Clusterに報告のあった周波数へ向けて一気にダイヤルを回す。途中、何局か強いシグナルがあったが、それらはすべて通り越した。そこには59で入感するSSBのシグナルがあった。「これか!?」ゼロインした瞬間、「number 7 please. TA2RC/0...」間違いない!私の興奮は一気に高まった。 SM7AEDがTA2RC/0をコールしていた。「なるほど、number7とはSM7AEDに対するコールバックだったのか」と考えていると、「QRZ, any number 7?」と言うではないか。 今度はすかさずSM7FJEがコールする。「エリア指定だ!」何という幸運だろうか。 ワッチした瞬間、7エリアが指定されていたのである。私もSM7FJEに続いてコールし、見事一発コールでピックアップされた。時計の針は10:10を示していた。何年か前に「玄関開けたら2分でご飯」というコマーシャルがあったが、今日の私は「スイッチ入れたら1分でnew entity」であった(笑)。私のあと「any number 7?」に応答する局はなく、エリア指定は8へと移って行った。すると、それまで59だったTA2RC/0のシグナルが一気に弱くなり始め、10:12には51となり(TA2RC/0の録音は この時点のもの)、10:15にはフェードアウトしてしまった。あと1分遅ければ、QSOに至らなかった可能性が高い。正にギリギリでつかみ取ったnew entityであった。まだまだ興奮は冷めていなかったが、落ち着いてバンドをワッチすると、レポートの通り東方面から、UR, YO, LZ各局のシグナルが良く聞こえている。しかし、何とも変 わったコンディションだ。一時URが強力に入感したかと思えば、しばらく後ではLZしか聞こえなくなり、また数分後にはURがフルスケールで入感する。パスの中心がURと LZの間をフラフラと往復しているのだろうか。UX1IM, UY9IF, UR6IM, YO2BPの順にgetした。さらに、今まで聞いたことがなかったYO2S/Bのシグナルも確認することができた。YO2BPとYO2SのロケーターがKN05(YU, HAとの国境付近)であったため、 「もう少しパスが移動すれば、HAも聞こえるのでは?」と期待して、バンドを丹念にワッチしてみたが、残念ながら、HAのシグナルは最後まで確認できなかった。
この日の成果



Magic Band in Sweden (22) へ つづく



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