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Short Stories |
(1)EUの雑魚DL、世界の雑魚JA |
| 「またDLか!」失礼ながら、私はこの1年(2002)の間に何回かそう思ったことがあります。
EUではDL, I, F, EA等がアクティビティーの高いentityですが、この中でどれが一番かと聞かれれば、それはやはりDLでしょう(単純な局数の比較ではない)。パイルになった際、ピックアップされるのはDLばかり。衛星でCQを出せば、呼んでくるのはいつもDL。彼らはEUの雑魚と言っても過言ではありません。しかし、雑魚の中でも立派な雑魚もいれば、救いようのない雑魚もいます。指定無視、ロングコール、割り込み等をする局は、正に雑魚の中の雑魚!!誰からも相手にされなくて当然です。そんな連中に対する「Stupid
DL!」という罵声を聞いたこともあります。これに対して、マナーの良い雑魚は高級魚と同等とまではいかなくても、とりあえず一人前に扱ってもらうことができます。言い換えれば、雑魚であるというハンデはマナーでカバーするしかないのです。さて、DLがEUの雑魚ならば、JAは世界の雑魚。世界中の多くの局から「またJAか!」と思われているに違いありません。JAに帰国した私もその雑魚のひとり。少しでもマナーの良い雑魚になるよう努力するつもりです。 |
(2)アマチュアによるアマチュアのための無線連盟 |
| 各国にアマチュア無線連盟があるように、スウェーデンにもアマチュア無線連盟
(SSA)が存在します。年会費は440クローネ(約6200円)です。しかし、日本のJARLと比較した場合、組織の大きさには雲泥の差があり、活動状況も大きく異なります。最大の違いは、SSAから給料をもらう正式な職員は2名(SM0JSM Eric and Cristina)だけで(Cristinaは半日勤務)、SSAの活動のすべてが多くのボランティアに支えられているという点です((3)QSLビューロー参照)。よって、SSAにはJARLのように何か大きなイベントを開催する力はありませんが、会員が主体のアットホームな雰囲気があります。毎月送られてくる機関誌も、どこか手作りの雰囲気があり、非常に親近感が持てます。スウェーデンには日本のCQ誌のような雑誌が存在しないため、
機関誌が果たす役割は大きく、技術解説、新製品紹介、DX
news等の有用な情報で一杯です。もちろん情報量ではCQ誌にはかないませんが、CQ誌と比較しても決して恥ずかしいものではありません。
SSAはアマチュア無線の免許の発給に関して、Post
& Telstyrelsen(郵便通信省)からかなりの権限を与えられています。通常、スウェーデンでアマチュア無線に興味を持った人は、まず地域のクラブ局を訪ねることを勧められます。多くのクラブ局にはSSAから任命された指導員(試験官)がいて、その人から指導を受けて最終的に試験に合格すれば、SSAを通して免許を申請することができます。(私は個人で直接Post
& Telstyrelsenに免許を申請したので、これ以上詳しいことはわからない。)私が免許を申請した際、最初は手違いでklass
2の免許しか発給されませんでした(免許事情参照)。このときSSA事務局のEricが「何だったら、我々からPost
& Telstyrelsenに話をしてあげようか」と言ってくれたのです。SSAを通さずに直接免許を申請をした外国人にさえ、そのような優しい言葉をかけてくれるEricに、私は感謝と感動の気持ちで一杯でした。SSAはアマチュア無線家とお役所を結ぶ大切なパイプであると同時に、アマチュアによるアマチュアのための無線連盟なのです。 |
(3)スウェーデンのQSLビューロー |
| 私が何年もQRTしている間に、JARLのQSLビューローは大きく様子が変わりました。特にQSLの発送が隔月なったことがあちこちで議論の対象となり、毎月の発送を希望する声も依然として大きいと聞きます。そこで、JARLのQSLビューローと比較するため、スウェーデンアマチュア無線連盟(SSA)のシステムをご紹介します。
まず、QSLを送る方(out-going QSL)から。国内、国外を問わず、すべての out-going QSLはひとりのボランティア(SM5DJZ)の自宅へ送ります。この際、カード1枚につき25オーレ(約3円50銭)の手数料がかかります。カードの枚数に応 じて予め銀行振込するか、または、SSAが発行しているQSL Marken(QSL切手の意味、 1枚25オーレ)をカードごとに1枚ずつ張り付けます。彼が行き先別にout-going QSLを仕分けした後、QSLはストックホルムにあるSSA本部へ送られ、そこから外国あてのQSLは各国のアマチュア無線連盟へ発送されます。QSLを発送する頻度は相手国によって異なり、アマチュア無線大国(DL, EA, F, G, HA, HB, I, JA, LA, LU, OH, OK, ON, OZ, PA, S5, RA, SP, UR, VE, YU, 9A, W)へはほぼ毎月発送され、中規模の国(CE, CT, EI, ES, EW, HK, HL, LX, LY, LZ, OE, OM, PY, SV, UN, VK2, VK3, VK4, VK6, VU, YB, YL, YO, 4X, 9H)へは年に1回から3回、それ以外の国へは年1回以下です。これは、out-going QSLを発送する際に、ある程度以上まとめて発送すれば郵送料が安上がりになるためで、相手国ごとに何キロのout-going QSLが貯まっ たら発送するか決まっているそうです。 QSLを受け取る方(in-coming QSL)では、多くのボランティアが活躍しています。 SSAに届いたQSLはエリアごと(SM0-SM7)に分類され、2ヶ月に1回の頻度で各エリアのQSLマネージャーのもとへ送られます。ここから先は各エリアで制度が少しずつ異なるので、私のいるSM7エリアのシステムを紹介します。SM7のQSLマネージャー (SM7HPK)は、届いたQSLをSM7エリア内の市町村ごとに仕分けし(マルメは大きいのでさらに3つの地域に分けられる)、それぞれの小地域にあるクラブ局の代表へ送ります。カードは地域のクラブ局へ届いた段階で、初めて各個人のコールサイン別に分類されます。さて、この自分あてのQSLをどうやって受け取るのか。ただ待っていてもカードは送られてきません。自らクラブ局へ出向いて、代表者から直接受け取るのです。もしくは、クラブ局の代表者にSASEを送って、自分宛のカードを返送してもらいます。この際、SSAの会員であれば、地域のクラブ局のメンバーである必要はありません。 さて、みなさんはSSAのQSLビューローのシステムをどう思いますか。SSAに年会費を払っても、それだけではQSLカードは届かないのです。この点では、現在のJARLのシステムの方が上だと思います。(私は現在のJARLのシステムを肯定している訳ではない。)しかし、何人ものボランティアの手を介して手元に届いたカードを見ると、私は「これがアマチュアの原点ではないか」と思えてきます。 筆者註:かつてはJARLのQSビューローもボランティアに支えられていたと聞きました。 |
(4)YL局(女性ハム)はどこに、、、? |
| 「アマチュア無線に興味を持つ人は男性が多い」 これは世の東西を問わない普遍的な真理であると思います。よって、YLさんが珍しいのは何処も同じで、「YL
10 dB(同 じ電波ならばYLの方が10 dB分有利)」と言われる所以です。私は、この1年間に50MHzで400局以上と交信しました。では、そのうち何人がYLさんだったのでしょ
う?何と、答えは「ゼロ」です。これには私自身が少々驚きました。私は以前からYLさんとQSOしたときは、ログにその旨を記入しています。(念のため言っておくが、
特に深い意味はない。)JG2GSYのログを引っ張り出してきて調べたところ、今までに
50MHzでQSOして頂いた1000局以上のうちYLさんは約1.5%でした。もしも、YLさんの割合が同じならば、SM7XQZで6人(400
X 1.5% = 6)のYLさんと交信しているはずです。JAのYLさんがアマチュア無線に興味を持っているのか、それとも、EUのYLさんが興味を持っていないか、どちらでしょうか?
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(5)ガラ空きの145 MHz, 435 MHz |
| Aの都会における145MHz, 435MHzバンドは、その混雑ぶりに目を見張るものがあり
ます。「クラブチャンネル」と称して特定の数局が排他的に周波数を独占するのはも
ちろん、免許を持たない違法局も多く、まさに無法地帯と化しています。では、私の住むマルメ周辺では、145MHz,
435MHzバンドはどの程度混雑しているのでしょう
か。興味があった私は何回かこれらのバンドをワッチしてみました。私の研究室の屋上から見渡せる範囲内には、およそ130万の人が住んでいますが、予想通り、145MHz,
435MHzバンドはガラ空きで、どの周波数を使っても文句が出そうな雰囲気は微塵もありません。EUではJAほどアマチュア無線の人気がなく(免許事情参照)、かつ、無線機が非常に高価なため(開局までの道のり参照)、特定の仲間との交信のみを目的にQRVする人(無免許の違法局も含む)は、ほとんどいないと予想されます。
145MHz, 435MHzバンドにQRVする局はみなマナーが良く、DXing、モービル運用、
ローカルラグチュー等、思い思いにアマチュア無線を楽しんでいます。そんな理想的
な145MHz, 435MHzバンドが戻ってくることなど、JAでは夢のまた夢でしょうか。 |
(6)「73」の意味するもの |
| 50MHzのEsで初めてF某局とQSOしたときの話です。「CQ,
CQ, F1###, F1###.」、 「F1###, this is SM7XQZ.」、「SM7XQZ,
thank you for your call, 73.」、 「えっ!?いきなり73って、まだレポートもらってないよ!」私はそのF某局が超
short QSOでバリバリ局数を稼ぎたいのかと思いましたが、彼は「73」の後でしっかりとレポート、ロケーター、名前を送ってきました。「お前、73の意味を間違えてな
いか?」釈然としないまま、別のF某局をコールすると、今度もまた最初に「73」と
言われたのです。どうやら、彼らは「73」を交信の冒頭の挨拶として使っているようです。F以外では、このように「73」を使う局を聞いたことがありません。「Fでは73の意味が違うのだろうか?」とも考えましたが、衛星で交信した多くのF各局は、誰
ひとりとしてそんなことは言いませんでした。「では、50
MHzだけの習慣なのか?」 それも違うようです。先日、21MHzでF某局がQSOの最初に「73」と言うのを聞きまし
た。謎は深まるばかりです。どなたか真相をご存じの方は、是非ご連絡下さい。 【編註】私も衛星でFの局とCWでQSOしたら、やはり冒頭に「73」と打たれ、「??」でした.(笑) |
(7)衛星で愛を語ろう |
| FMレピーター衛星UO-14にQRVしてすぐ、しばしばロシア語のQRMがあることに気が付
きました。しかし、彼らの電波はそれほど強くなく、3Wでuplinkすれば簡単につぶすことができるため、実用上はほとんど問題がありません。時々電話の呼び出し音のようなものが聞こえるので、「何かデジタル系の通信か?」と思ったこともありまし
たが、その正体はあまり気にしていませんでした。ところが、ある日、私はそのQRMを真剣にワッチしてしまったのです。それは意外なほど空いていた平日の午後のパスでした。私はAOS(衛星が地平線から上がる)と同時にCQを出しましたが、誰からも応答がありません。すると、
若い女性の甘えるような声が聞こえてきました。相手は若い男性で、ロシア語で話しています。私はふたりの会話は全く理解できませんが、その場の雰囲気から、どうやら恋人同士が愛を語り合っているようです。「そんな話は電話でしなさい!」あきれた私はCQを繰り返しましたが、しばらくの間誰からも声が掛からず、スタンバイするたびに甘い愛のささやきを聞く羽目になりました。JAのトラッカーの強力なQRMに比べれば害はないのですが、自分の送信している電波が衛星を介して広い範囲に届いている事実を知らないことは、本当に恐ろしいことです。そのときは「無線は誰が聞いているかわからないのに、よく平気でそんな話を、、、」と思いましたが、後日、私は衝撃的な事実を知りました。私が聞いていたロシア語のQRMは、UO-14のuplink周波
数でラグチューするUA各局のシグナルではなく、ロシアで使われているコードレス電話の電波だったのです。「電話の呼び出し音のようなもの」は「呼び出し音そのもの」であることもわかりました。まさか、電話の会話が衛星を介してEU中にばらまかれているとは、彼らも予想だにしなかったことでしょう。
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(8)旧ユーゴスラビア諸国 |
| 旧ユーゴスラビア諸国がそれぞれ分離独立するにつれ、YUだけだったプリフィックス
も、YU, S5, 9A, T9, Z3と分離したのはご存じのことと思います。DXingという意味
では、それぞれは独立したentityであり、私もすべてを制覇しようと頑張っていました。ところが、新しいプリフィックスが誕生した背景について、深く考えさせられる
出来事がありました。それは、50MHzで非常に強力なEsが出ていた2002.07.01のこと
です。YU4WUなる局とCWでQSOした際、彼はロケーターをJN84OSと打ってきました。後
で地図上で確認したところ、その場所はT9北西部に当たり、YUとの国境からはかなり離れています。最初は自分のミスコピーかと思いましたが、QRZ.comでYU4WUを検索した私は、思わず画面を見てハッとしました。彼のQTHは「Banja
Luka, Bosnia-Hercegovina」となっていたのです。ボスニア・ヘルツェゴビナという国は、
一応独立したひとつの国(T9)ということになっていますが、セルビア系の人が住む地区とそれ以外の人が住む地区がはっきりと分かれています。Banja
Lukaはセルビア人居住地区の首都。彼はそこからQRVしていたのです。すぐに私は、分裂前の旧ユーゴスラ
ビア諸国のプリフィックスを調べました。やはり、YU4はボスニア・ヘルツェゴビナ
に割り当てられたものでした。そして、それまでに交信した現ユーゴスラビア(当時2002年;セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)各局の
エリア番号は、すべて1か7(YU1 or YU7)であることにも気が付きました。スウェーデンには旧ユーゴスラビア諸国からの移民と難民が多く、私にはセルビア人の知り合いが何人かいます。彼らはみな口々に「戦争が始まるまで、誰がどの民族かは全く気にしなかった」、「しかし、もう今はいっしょに仲良く暮らすことはできない」と言います。YU4WUはどんな気持ちでYU4というプリフィックスを使っている(使い続けている?)のでしょう。
【編註】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)は、2003年、ユーゴスラビア連邦を解消し、新たな連合国家「セルビア・モンテネグロ」を樹立しました. |
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Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) &
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