先生は,お手軽移動で衛星通信を楽しんでらっしゃいますが,そこはスウェーデンでもさまざまなハプニングが起きるようです.そのご紹介です.


UO-14 のハプニング集

私がUO-14に興味を持った最大の理由は、「手持ちアンテナにハンディー機のような簡単な設備でもQRVできる」ということでした。 私にとっては「UO-14 = お手軽移動」であり、お手軽移動すること自体が一種の楽しみでもあります。しかし、左のように片手にアンテナを持ち、頭にヘッドセットを付けた人間は、普通の人には奇異な存在としか見えません。私がお手軽移動する公園は住宅街のド真ん中にあり、常に人通りが絶えません。今まで多くの人が、まるでエイリアンを見るかのように、私のことを見て過ぎ去って行きました。(私は日本人なので、特に目立ちます。)変な目で見られるだけではありません。時には予期せぬハプニングが起こります。 ここで、そのいくつかを紹介しましょう。


星の研究者?

アンテナを空に向けてUO-14を待っていたところ、犬の散歩に来たおばあさんに、「何をしてるの?」と聞かれました。「アマチュア無線」と言ってもわからないだろうと考え、「私は星の研究者です」と答えました。おばあさんは非常に感動した様子で、「寒いのにご苦労さま」と言って、立ち去って行きました。

怪しいオトコ?

夜間に公園でQRV中に、今度は若い女の子2人に声を掛けられました。最初は興味津々で、「何してるの」と聞いてきましたが、 「若者ならアマチュア無線と言ってもわかるだろう」と思い、そのまま「アマチュア衛星で交信している」と答えました。次の瞬間、 彼女らはとてもがっかりした表情で、「何だ、つまんない」と言って立ち去りました。きっと、彼女らは、私が何か怪しいこと(盗聴か何か)をしていると期待したのでしょう。

私のせい?

ある朝早く、アパートの前の公園でお手軽移動していると、若い男が私に向かって手を振って、微笑みながら近付いてきました。 彼はマルメ市内を走る路線バスの運転手で、出勤の途中だと言っていました。彼はもともとアマチュア無線に興味があったらしく、 私の手持ちアンテナを見つけて話しかけてきたのです。意気投合して10分ほど立ち話しをしたでしょうか。話も終わりに近付いた頃、突然彼の顔からそれまでの笑みが消え、慌てて腕時計を見 ました。次の瞬間、「Nej!!(スウェーデン語のNo、ネイと発音 する)」と大声で叫んで彼は駆け出しました。そう言えば、彼は出勤の途中でした。その日、マルメ市内のどこかで、路線バスのダイヤが乱れたかもしれません。でも、それって、私のせいじゃないですよね。

ラジオシェンスラ見参!?

日本のNHKがテレビの聴取料を取るように、スウェーデンの国営テレビSVTも聴取料を集めています。しかし、SVTの聴取料はNHKのそれとは比べ物にならない程高くテレビ1台につき年間1740クローネ(約22000円)もします。そのため、「テレビを持っていない」と嘘を言ったり、台数をごまかして支払いを逃れる人が少なくありません。そこで、SVT(正確にはSVTの関連機関) には、テレビから漏れ出る微弱な電波を探知して、嘘を言っている人を摘発するプロの職人ラジオシェンスラradiokansla (radio sensorの意味)がいます。彼らは専用のアンテナを手に各家のドアの前に立ち、一軒ずつ検査していくそうです。(本当に台数までわかるのでしょうか?)当然のことながら、彼らは多くの人から嫌われています。もう、おわかりですね。私はそのラジオシェンスラに間違われたのです。そして、こう言われました。 

 「
お願い、 見逃して!

それって、私のこと?

それは、ある日のUO-14の夕方のパスでの出来事でした。夕方にしては珍しく、テキパキとQSOが行われていました。私がI某局のCQをコ ールし、10秒ほどでQSOが終了した直後、OZ8MY局が誰かをコールするのが聞こえてきました。「SM2...., OZ8MY」、「えっ?、SM2なんて出てたっけ?」(注:SM2はスウェーデンの最北部にあり、人口が少ない地域。よってアマチュア局数も少ない。)しかし、誰も応答しません。数秒後、OZ8MYが再びコールします。 「Sierra - Mike - Two -X-ray - Quebec - Zulu (SM2XQZ), Oscar - Zulu - Eight - Mike - Yankee (OZ8MY)」、 「おお!、自分と同じサフィックスだ!、是非コールしなければ!」、 私は全神経を耳に集中してワッチしました。しかし、次の瞬間、 「ん!?、、、」、「スウェーデンには自分以外にXQZをサフィックスに持つ人はいないはずだ、、、(免許事情のページを参照)」、 「つい先日、そう原稿に書いて鈴木先生へ送ったはずだ、、、」、 私の頭の中を?マークが3回ほど駆けめぐった後、私はすべてを理解しました。「わかった!、デンマーク語だ!」、 「Oscar - Zulu - Ett(エット)- Mike - Yankee (OZ1MY), This is Sierra - Mike - Syv(シュー)- X-ray - Quebec - Zulu (SM7XQZ), You are 59.」。LOS寸前に無事QSOは成立しました。 デンマーク語とスウェーデン語は非常に似ていて、日本語の共通語 (関東弁)と関西弁ぐらいしか違いません。OZ1MY局は私がスウェーデン人と思い込んで、デンマーク語で話しかけてきたのです。私は 「EttとEight、SyvとTwo」を聞き間違えていました。非常に印象的 なQSOだったため、私はすぐにOZ1MY局にメールを送り、私が日本人であることを告げました。彼からもすぐに返事があり、事の真相を知って喜んでいました。 日本では、コールサインのエリア番号は通常英語で言ってますよね。私は一度だけ、「Juliet - Golf - さん - ..., portable よん」と言っている人を聞いたことがありますが、後にも先にもこの1回だけです。(編注:7MHzあたりにはたくさんいますね.6mでもEsシーズンに6エリアの人でよく「ろく」って言っている人を耳にします.) しかし、EU各局の中には、数字の部分だけ母国語で言う人が時々います。「Echo - Alpha - シンコ ... (EA5...)」、 「Delta - Lima - ドライ ... (DL3...)」とか、 「My locator is Juliet - November - ジーベン、アハト ... (JN78)」 というのも聞いた事があります。ある心理学者が、「頭の中で計算するときに使う言語が、その人の母国語である」と言ったそうです。 この心理学者の説は当たっていると思います。私は、仕事中はいつも英語で話し、英語で考えていますが、何か数えるときだけは日本語でないとダメです。数字はどこの国にも存在するため、とっさに外国語で言うことは難しいのかもしれません。そう言えば、私は自分のコールサインは「Juliet - Golf - Two ...」と言っていましたが、ロケーターに関しては、いつも「PMはちじゅうよん」と言っていたことを思い出しました。

三兎を追う者

UO-14にしばらくQRVして、どの国(entity)のアクティビティーが高いか、少しずつわかるようになってきました。多くの局がUO-14にQRVしているDL, F, I, EA。いつも必ず聞こえるが、特定の1、2局しか出ていないSP, ON, YO。各国の特徴は様です。SMはアマチュア局数自体が少ないこともあり(免許事情のページ参照)、 UO-14ではほとんど聞かれません。はっきり言って、現時点で私以上にアクティブにQRVしている人はなく、私がUO-14にQRVを始めた当初は、あちこちから一度に呼ばれて困ることがありました。一度に多くの局が私をコールすると何が起こるのか、もうおわかりですね (無政府状態)。SMのお隣のOZ, LAも状況はほぼ同じで、たまにしか聞こえてきません。ある日の夕方のパスで、OZ, LA, SM (自分)が同時にQRVしているという、非常に珍しいことが起きました。 UO-14は我々3局をコールする多くの局のつぶし合いで大混乱です。 もう少しでLOSという頃、非常に強いシグナルが入感しました。
「Hello, Scandinavian stations. Your call signs please.」
「、、、(誰も応答しない)」
「Scandinavian stations, you are all 59.」
「、、、(また誰も応答しない)」
「Hello, Scandinavians! Ahhh...(LOS)」
3局まとめてQSOしようとでも思ったのでしょうか。せめて、彼のコールサインを言ってくれたら、我々の誰かが応答したかもしれません。 ふと、私は変な想像をして、ひとりで笑ってしまいました。 「(例えば7 MHzで)1エリア各局、みなさん59です、どうぞ」、 この後、何が起こるのでしょうか。聞いてみたいものです。 (編註;JAの144や430のSSB移動では、移動チーム同士の「代表QSO」(代表同士がQSOしてチームのメンバー全員にQSLを発行する)という似た?ようなQSO形態があるみたいですけどね・・・)



もどる

無断転載・引用を禁じます

Copyright(c); All rights reserved :
Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) & Hideki SUZUKI, M.D.(JN1BPM) ,2002-2003