山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です.(10月末よりは冬時間になり、UTC + 1 hr, JST - 8 hr となりました.)


7カ国語を自由に操る実習生とBY出身の大学院生です(ともに前出)。

Magic Band in Sweden (30)



編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.

2002.11.11 (Mon)

一日中忙しくて全くQRVできなかったが、何の心配も必要ないほどWeb Clusterは閑散 としていた。

2002.11.12 (Tue)

今日もWeb Clusterの進みが遅い。正午前にVK6JQがG, ON, PA, Fからスポットされたときは、「おっ!」と思ったが、その後が全く続かない。午後になって9L1ABが南部 EUを中心にレポートされ始め、「むむっ!?」と期待を持ったが、パスはそれ以上に北上する気配すらない。またしても、アンテナを立てずに1日が終わってしまった。 今日唯一の収穫は、9Lがシエラレオネのプリフィックスであることを憶えたことだ。

2002.11.13 (Wed)

「くそ!!やっぱり!!」私はそう叫ぶや否や、すぐに屋上へ駆け上がった。先週あと一歩のところで逃した9M2TO出雲さんが、SM7からスポットされているのを発見したのは10:00数分前のことであった。今朝は忙しく、QRVできるかどうか確信がなかっ た。09:00少し前にWeb Clusterをチェックしたときに、SM6某局がVK4 TVの入感を伝えていたため、「これは何か起きる!」と予感した私は、とにかく全力を注いで仕事を片付けることにした。その間、Web Clusterを覗いてしまうと、集中力をなくす可能性がある。私は黙々と仕事を進め、何とか一区切りついたところで、意を決してマウスをクリックした。そして、冒頭の展開が待っていたのである。急いでアンテナ作業を終え、ビームを東へ向けて出雲さんが出ているはずの周波数へ急ぐ。10:07、 41-53で入感する9M2TOを確認。何とかコールサインはコピーできるが、強いQSBのため受信状態は決して良いとは言えない。コンディションは既に下り坂に入ったのだろ うか。SSBでは少々苦しいとは思ったが、とにかく呼んでみることにした。数回コールしてみたが、可能性は限りなくゼロに近かった。ピックアップされるのは中部EUばかりで、彼らに対するレポートは軒並み59だ。「CWだったらまだチャンスがあるかも、、、」そんな私の気持ちが通じたのだろうか。出雲さんは突然CWでQRVし始め た。「Yes!!」、「このチャンス逃してなるものか!」一打入魂、ダースベーダー顔負けのフォースを込めてコール!すると、「..XQ..」と聞こえたが、QSBで完全にコピーできない。「自分か!?」私は震える手で、再度コールサインを2回繰り返した。「..7XQ..」と聞こえた気がする、、、。「気がする」と言うのは、単にQSBで聞 き取りにくかっただけではない。体内で大量のアドレナリンが一瞬にして放出され、 興奮の極限状態に陥った私は、本当に音がよく聞こえなかったのである(マジで不思議な体験であった)。そんな状態にありながらも、「ひょっとしたら、自分のコール サインをフルコピーしてもらえていないかもしれない」と考え、539のレポートを送った直後に、もう一度自分のコールサインを打っておいた。出雲さんも、私に合わせるように、最後にもう1回私のコールサインを繰り返してくれた(と思う)が、またしてもタイミング悪くQSBの谷間に落ち込んでしまい、フルコピーを確認できなかった。「本当にできたのか?」、「他局への応答を自分に対するコールバックと間違えた可能性は、、、?」正直言って自信がない。QSOが成立していれば、SM7XQZの記念すべき50 entities目となる。しかし、この状況では「not in the log」と言わ れても、反論のしようがない、、、。私の手の震えはますます大きくなっていた。 「そうだ、録音を聞いてみよう!」QSBの底で聞こえない部分は録音を聞いても意味がないが、極度の興奮で聞き逃したところは録音で確認できるはずだ。そう思った瞬間、私に正常な聴力が戻ってきた。震える手でテープを再生する。ところが、「カ チャ、カチャ」という機械音しか録音されていない。「何これ?」私がその音の正体に気付くまで、それほど長い時間はかからなかった。無線機とテープレコーダーの接続を間違えていたため、私がパドルを操作する音が録音されていたのである。慌てて準備をしたための単純なミスであった。もちろん、出雲さんとのQSOは全く録音されていない、、、。これで、客観的にQSOの成立を判断する材料がなくなってしまった。改めて9M2TOの録音をする。「こうなったら、たとえQSO B4! と怒られてもいい!」私は保険QSOを決意した。今後バンドが開く保証もなく、どうしてもここで区切りの50 entitiesを達成したかったのである。少々気が引けながらもう一度コール。しかし、次の瞬間、「ダメ だ!!」私はそれ以上のコールを諦めた。あまりにも手の震えがひどく、うまくパドルを操作できなかったのである。「そう言えば、9M以外にも、VKがスポットされてい たはずだ」私に少しだけ正常な思考回路が戻ってきた。ダイヤルを回してバンドを数回スキャンしたが、マルメでは9M2TO以外のシグナルは確認できなかった。「ちょっと休憩しよう」、強い疲労感に耐えかねて席を立った瞬間、私は時計の針を見て驚いた。ワッチを始めてから、まだ15分しか経っていなかった。6階へ下りて、改めて Web Clusterを見ると、EUでは09:00過ぎにバンドがオープンし、VK, UN, 9Mの順で広い範囲に入感したらしい。さらに、春のシーズン中にQSOしたEX8MLT, UK9AAのコールサインも発見した。おそらく、東方向ではこの秋一番の大オープンだろう。やっと手の震えが治まったのは30分後。再び屋上へと上がってはみたが、そこにはもう 9M2TOの姿はなかった。もう1日早くバンドが開いてくれれば、すべて余裕を持って対応できたのだが、今さらそんなことを言っても始まらない。オープンの最後に間に合ったことを喜ぶべきだと考えることにした。後は、not in the logでないことを祈るのみである。QRTの前に、私はもう一度、東の空へ最大限のフォースを送っておいた。

2002.11.14 (Thr)

昨夜はほぼ1時間おきに目が覚めて、あまりよく眠れなかった。理由はもうおわかりであろう。昨日の9M2TO出雲さんとのQSOである。「できたのか?できなかったのか?」私がいくら考えても無意味だとはわかっていたが、どうしてもそれが頭から離れなかった。定例のミィーティングが始まる前にコンピューターを立ち上げ、Web Clusterとメールのチェックを同時に行うと、出雲さんから届いたメールを発見した!昨日、QSOの確認のため私が送ったメールに対する返信であった。私は手が震え始める前にダブルクリックした。そこには、「ログに載っています」と記されていた。まず、全身の力が一気に抜け、倒れ込むように椅子に腰掛けた。続いて、心の底から大きな喜びが込み上げてきた。ミーティング後に再度Web Clusterを見ると、今 日も9M2TOがSM7からレポートされている。すぐにワッチしてみたが、既にコンディ ションは低下していたようで、出雲さんのシグナルを確認することはできなかった。 また、OZ某局がJAをスポットしていたが(おそらくSc)、私がワッチしたときにはその雰囲気すら感じられなかった。結局、今日はローカルの空振りCQ DXを1回受信しただけで終わってしまったが、2日越しの喜びと感動を味わい、東(9M)方向に一礼してからQRTとした。帰宅後、ひとりでささやかな祝杯を上げた。

これぞ大成果!



2002.11.15 (Fri)

静かな1日であった。夕方9L1ABが中南部EUに上陸したときは、Web Clusterも多少の盛り上がりを見せたが、スカンジナビアからは遥か彼方の出来事であった。

2002.11.16 (Sat)

「舟久保さん、申し訳ありません!」私の週末は、いきなりの謝罪から始まった。昨日、JG3LEB東口さんのホームページの掲示板に、9M2/JI1ETU舟久保さんあてのメッセージを書き込んだ。9M2TO出雲さんとQSOできたことを報告した上で、「是非、舟久保さんも気合いでSM7まで飛ばして下さい。私も気合いを入れて迎撃します。」と大胆な書き込みをしたにもかかわらず、私の気合いが足らなかったのである。私は今朝 09:00に目を覚ました。要するに寝坊したのである。昨夜は遅くまで起きていなけばならない理由があったのだが、それは言い訳にすぎない。なぜなら、私自身は遅く とも09:00には屋上にいるつもりで計画を立てていたからである。慌てて自宅を飛び出して研究室へ向かい、09:40頃にWeb Clusterをチェックしたときには、まだ大した情報は出ていなかった。すぐにアンテナを立て、ワッチを開始したのはジャスト 10:00。バンドは静寂に包まれていた。「良かった、間に合った!」安心したところで腹が減ってきた。6階へ下りてコーヒーを準備し、朝食用のパンをかじりながらコ ンピューターの画面を見た瞬間、コンピューターではなく私自身がフリーズした。舟久保さんがSM7FJEをレポートしているではないか!!それは、私がアンテナを立てている最中の出来事であった。舟久保さんは、本当に気合いでSM7まで電波を飛ばしてくれたのだ!それなのに私は、、、。もちろん、SM7FJEに聞こえて、私に聞こえない ことなど珍しくない。しかし、そんなことは問題ではない。その時間に私がQRVしていなかったという事実が許せなかったのである。私はすぐに屋上へ上がり、東(9M方向)へ向かって深々と頭を下げた。気合いを入れ直して夕方まで粘ってみたが、ロー カルのシグナルの他は、正午過ぎにT7IARU(サンマリノで開かれているIARU region 1会議の記念局)らしきシグナルが数分間31-41で受信できただけであった。Web Clusterでは、DL某局がMsと書き込めば、OZ某局はEsと報告していた。どちらにしても、マルメではQSOできるほどの強さはなく、コールサインの中に「T (tango)」があ ることを聞き取るのが精一杯であった。


2002.11.17 (Sun)

昨日の罰が当たったのだろうか。バンドはほぼ無風状態で、今日、聞いたシグナルは出所不明のCQ DXだけであった。09:40頃、少し休憩するために屋上へ出て背筋を伸ばしていると、オートスキャンさせておいたリグのスピーカーから、突如CWのCQ DXが 聞こえてきた。慌ててリグの前に戻り、ダイヤルを合わせると、50.110で「PSE DX K」と聞こえた。「ローカルか?」スケルチをかけずにオートスキャンしていたた め、受信周波数がどんどん変化して、コールサインの部分は聞き取ることができなかったのである。もう一度CQが出ることを期待して5分ほど待ってみたが、何も聞こ えてこない。「と言うことは、一瞬のバーストで入感したDXか?」Web Clusterに誰 かがその正体をレポートしているかもしれないと考え、6階へ下りようとしたときで あった。再びスピーカーからCWが聞こえた。すぐに屋上へ通じる鉄製の階段を駆け上がったが、自分の足音がうるさくて何と打っているのかわからない。コールサインの中に「A」があることはわかったが、またしてもリグの前にたどり着いたときには 「PSE DX K」になってしまった。すぐにヘッドホンを付けてじっくりとワッチすると、非常に弱いCWがそのCQに応答しているような気がする。しかし、CWとして識別できるほどの強さはなく、10秒ほどで消えてしまった。その後、CQ DXを出した局自身も聞こえなくなってしまったことから、ローカルではなくDX局の可能性が高いと考えられた。今となっては、階段の下で聞いていればコールサインはコピーできたと思うが、何かDXらしきシグナルが入感した瞬間に「リグから離れて聞け」と言われても、それは無理な話である。後でWeb Clusterを見てみたが、それらしき局はスポットされておらず、最後までその正体は謎のままであった。






Magic Band in Sweden (31) へ つづく



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