山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です.(3月末より夏時間になりUTC+2時間,JST-7時間となりました.)


1999年の夏にワシントンで学会があった際、FBIビルの前で記念撮影しました。

Magic Band in Sweden (25)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.

2002.10.02 (Wed)

私の今ままでの経験では、2日続けてAuが大オープンしたことはない。(科学的に正 しいかどうかは不明。)予想通り、今日のAuは完全に不発であった。何の心配もなく帰宅しようとしていた19:30頃、SM7FJEがZSビーコンの入感をWeb Clusterにレポート した。さらに、DLではZ22JEが強く聞こえているらしい。入感している場所が徐々に北上し、JO43にまで達している。いつものようにこのあたりでパスが止まってしまう のか、それとも、今日は勢いに乗ってSM7までやってくるのか、、、。「今日はワッチしてみよう!」そう決断して屋上へ上がったのは20:00頃であった。アンテナを南 へ向けてZ22JEの出ているはずの周波数をワッチするが、全く何も聞こえない。研究室と屋上を何回か往復しながら狙撃態勢を維持したが、いつの間にか敵は姿を消して しまった。結果的に1時間強の時間を完全に無駄にしてしまったが、昨日のAu大オープンに気をよくした私は、文句のひとつも言わずにアンテナを下ろして帰宅した。

2002.10.03 (Thr)

一昨日、「50MHzではAuが開いていなくても、144MHzでは開いていることがある」 という事実を経験した私は、常に両バンドのWeb Clusterをチェックすることにした。144 MHzでは既に昼過ぎから連続してAuのレポートが見られるが、50 MHzでは単発の情報が出ているだけだ。仕事が終わった17:30頃、改めてWeb Clusterを見てみると、144MHzはAuバリバリの状況が続いている。そこで、50MHzで何か動きがあるまで、144 MHzのAuに挑戦してみることにした。SM, LA, OH, UA, GM, DLが聞こえるが、どれも51Aばかりで、メーターを振る局はない。50W + 5 ele八木というショボい設備では、何度コールしても気付いてもらえないことが多く、SM5とLA各1局とCWで交信するのが精一杯であった。ちょうど時計の針が19:00を指したとき、144 MHzバンドの様子が一変した。Auのシグナルが急に少し強くなったのである。「これは何かあったに違いない!」私はアンテナを付け替えて、急いで50MHzへとQSYした。する と、バンドのあちこちでAu特有のシグナルが聞こえている!しかし、どれも31A-41A ばかりで、SSBではコールサインが確認できるほどの強さはない。「もう少し待てば 強くなるのでは?」そう期待して待つこと約30分。ジリジリとメーターが振れるよ うになってきた。LA, SM, OZ, OH, ES, DL, GM各局のコールサインを確認したが、そ のほとんどは既にQSO済みの局ばかりであった。30分ほどの間に、OH2TP(1st QSO)、DK3EE(前回はCW、今回はSSBでQSO)、GM3WOJ(前回はSSB、今回はCWでQSO)、LA4LN(以前ScでQSO)をgetしたが、後が続かない。未交信の局を探してバン ドを何度も上下したが、20:15には完全に静まりかえってしまった。(この直後に144MHzを確認したが、今日は何も聞こえなかった。)今回の50MHzのオープンは正味45分で、どちらかと言うと弱いAuであった。「よし、今日はここまで!」私はすぐに帰り支度を始め、研究室を後にした。帰宅後、食事もシャワーも済ませ、ログの整理のためコンピューターを立ち上げた。メールチェックのついでにWeb Clusterを開いた瞬間、「やられた!!」家内が驚いて飛んでくるほどの大声を出してしまった (笑)。今夜もまた、21:30頃からAuEが発生していたのである。未交信のOY, GJの文字が目に入る、、、。しかし、今日の私は本当に疲れていた。さすがにもう一度研究室へ戻る気にはなれず、あっさりと諦めてベッドに入ることにした。夜明けの女神は、さすがに「夜明け」と言うだけあって、夜遊びが大好きなようだ。

本日の成果

2002.10.04 (Fri)

ここ数日、一日おきにAuがオープンしている。順番では、今日はAuは開かない日だ。 仕事の合間に何度もWeb Clusterをチェックしたが、中南部EUでAF各局が入感してる以外は、特に目立った動きはない。予想外に仕事が早く片付いたので、16:30頃から 50 MHzと144 MHzの両方のアンテナを立て、およそ30分ごとにワッチしてみた。 17:45頃、144MHzで弱いAuを確認。すぐに50MHzにQSYしてバンドをスキャンすると、一応50MHzでもSM, GMがAuで聞こえているが、とてもQSOが成立するとは思えない強さ(31A-41A)であった。50 MHzのAuは10分ほどで消えてしまったのに対し、 144MHzでは弱いながらもLA, SM, OH, ESが1時間以上聞こえていた。その後しばらくは両バンドとも静かであったが、20:55から数分間、50MHzだけAuが再オープンした。しかし、相変わらずの弱々しさで、あっと言う間にフェードアウトしてしまっ た。「今日はオープンしなかった」ということにして、明日に期待しよう。

2002.10.05 (Sat)

「Au一日おきの法則(と勝手に名付けた)」が正しいのなら、今日はAuがオープンするはずだ。ついでに「夜遊び一日おきの法則」に従って、夜遅くにバンドが再オープ ンしてnew entityがgetできれば言うことはない。さて、世の中そんなにうまく行くのだろうか。いつもAuが発生する時間帯に合わせ、15:00に研究室へと向かう。すぐ にアンテナを立ててQRVする予定であったが、たまたま研究室にきていた大学院生と話し込んでしまい、実際にワッチを開始したのは16:30であった。例によって50MHz と144MHzの両方のアンテナを立て、まず144MHzからワッチした。すると、CWで何局かザーザー入感している。昨日よりもシグナルは強く、LA某局をひやかしのつもりで コールしたら、何と一発でピックアップされた。「やはり今日は期待できる!」もちろん、急いで50MHzにQSYしたのは言うまでもない。今日のAuは一昨日よりは強いが、強力とまでは言い難い。しかし、CWでQSOするには十分の強さで、SSBでもまあ何とかなりそうである。GM, LA, OZ, SM, ES各局のコールサインを確認したが、ほとんどは毎度お馴染みの常連さんばかりだ。未交信の局のCQを探し、ES2JL, LA7VH, SM0GWXとQSOした。SM0GWXは、レポートとロケーターを送ってきた後で、さらに何かスウェーデン語で話しかけてきた。正直言ってこれには困った。あのモガモガの中で会話ができるほど、私はスウェーデン語を話せない。「もう一度英語で言ってくれ」 と頼むのも、話がややこしくなるだけだ。結局、Auで音声が歪んでいるために聞き取れないふりをして、早々に73を送って引っ込むことにした(笑)。1時間ほど過ぎた 17:30頃、オープンしている範囲が少し南下してYL, SPが聞こえ出したが、残念なことに未交信の局は出てこない。ここで手詰まり状態となってしまったため、一旦屋上を離れて休憩することにした。計らずして、またもや前出の大学院生と議論を始めてしまい、ふと気が付いたときには既に18:30近かった。急いで屋上へ上がってバンド の様子を確認すると、その時点ではOH, SM, LA, OZ, DL各局の入感を確認したが、いつの間にかGM, ES, YL各局はその姿を消していた。どのようにコンディションが変化して行ったのか、その過程を確認できなかったのが少々心残りである。未交信のLA7XK, LA8WFのCQをタイミング良く発見し、これら2局とQSOしたところでコンディ ションが下がり始めたようだ。どの方向からのシグナルも足並みをそろえるように弱 くなり始め、数分でフェードアウトしてしまったが、OHだけは10分ほどかけてゆっくりとその姿を消した。4日前の大オープンの際は、最後にGが残ったのと対照的で興味深い。これで、「Au一日おきの法則」は成り立った。では、「夜遊び一日おきの法則」はどうか。結論から述べよう。23:00まで粘ってみたが、50MHz, 144MHzともに、Auが復活する気配は微塵も感じられなかった。唯一の収穫は、アンテナを下ろすために屋上へ上がった際、偶然にLA7SIX/Bのシグナルを捕らえたことである。QRT前の最後の1スキャンのつもりでダイヤルを回していると、50.051で539で入感するCW の短点の連続を発見した。「今までに聞いたことがないビーコンだ!」直感的にそう判断した私は、すぐに録音を開始した。この間、およそ1秒。コールサインはLA7SIX とコピーできたが、そのシグナルは絶妙のタイミングで落ち込んでしまい、完全に録音することができなかった。「10分だけ待ってみよう」そう決めて、テープレコーダーに手を掛けたまま待つこと5分。果たして、LA7SIXは419で1分間だけ復活し、何とかその録音に成功した。そのシグナルにはAu特有の歪みはなく、最初はMsかと考えたが、ひょっとしたら一瞬だけAuEが生じたのかもしれない。

この日の成果

2002.10.06 (Sun)

当初の予定では、今日は自宅でゆくっりと休養するつもりであった。しかし、私は、既に昼過ぎには研究室にいた。その理由は2つある。ひとつは、来週の実験の準備だ。準備と言っても大したことではない。ある試薬をマイナス30度の冷凍庫から、普通の冷蔵庫へと移すだけであり、30秒もあれば終了する。早い話、昨日それをやり忘れたのである。もうひとつの理由は、昨夜インターネットで見た「オーロラ活動状況」のレポートにあった。「6日夜までかなり強いオーロラが期待できる」という記事を見てしまったからには、やはりじっとしてはいられない(笑)。Auが開かない順番の日だとは思っていても、今日だけは「Au一日おきの法則」の例外となるよう祈ってしまう。何とも身勝手な話だ(笑)。しかし、、、。法則はやはり正しかった。夕方まで何回かワッチしてみたものの、50MHz, 144MHzともに、何のシグナルも聞くことなく終わってしまった。まあ、その間に予定外に仕事が進んだのでよしと しよう。

2002.10.07 (Mon)

「うーむ、、、」思わず腕組みをしてしまったのは昼休みのことだった。Web Clusterが144MHzのAuオープンを伝えていたのである。当初の予測では、今回の一連のオーロラ活動は昨夜をピークとして収束に向かうとされていた。ところが、リアルタイムのオーロラ活動状況をチェックすると、何と昨日よりも高い値を示している。 昼の時点で50MHzは無風快晴であったが、夕方から50 MHzでもAuが開く可能性が高い。18:00少し前に仕事を終え、早速Web Clusterを覗いたところ、やはり1時間ほど前から50MHzもAu満開の状態となっている。「Au一日おきの法則」のあまりの正確さに、私は恐ろしささえ感じ始めた。速攻でアンテナを立ててQRVすると、OH, ES, SP, SM, OZ, LA各局でバンドが賑わっている。今日のAuは一昨日より若干強く、SSBでQSOするにも十分のコンディションだ。特にLA各局のシグナルが強く、今日のメインディッシュはLAと決定した。ところが、例によって、どのentityも聞こえてくるの はいつものメンバーで、なかなか未交信局は出てこない。30分ほど頑張ってワッチ して、何とかLA2QM, LA8PTをgetした。18:40頃からコンディションは下り坂となり、少しずつバンドが静かになって行った。「今日、最後まで残るのはどの方向か?」興味深く待ってると、やはり、最後まで残ったのはメインディッシュのLAであった。 (最後はメインディッシュではなく、デザートとコーヒーでは、、、?)LAは他の方向が全く聞こえなくなってからも、およそ30分以上入感していた。さて、こうなると、女神が夜遊びに戻ってくるのかどうかが非常に気にかかる。私は22:00まで待つことにした。それまでに何の変化もなければ、即帰宅するという計画だ。仕事をして時間をつぶしていると(以前も述べたが、「仕事をして時間をつぶす」というのも変な話だ)、21:30頃、GM-OHが599でオープンしたという情報が、Web Clusterにレポー トされた。待ってましたとばかりにワッチを再開すると、GM, OHはともに聞こえな かったが、まず319-519で入感するJX7SIX/B(50.079)を数秒間だけ捕らえた。さらにバンドの下の方へ行くと、319-519のOH9SIX/B(50.067)を発見。「ならば、地理的に2つのビーコンの間にあるLA7SIX/Bも聞こえるのでは?」と予想して周波数を合 わせると、そこには519-539で入感するLA7SIX/Bのシグナルがあった。これら3つのビーコンのトーンにはAu特有の歪みは認められず、まるで通常のEsのようだ。「これが正真正銘のAuEか!!」私はさらなる感動を味わった。2ヶ月ほど前に通常のEsで北方向がオープンしたときは、毎回入感する地域がLA北部からOH北部、OH中南部へと 時計回りに移動して行った。「今回もそのパターンか、それともAuEはEsとは全く別 か?」興味津々で待つことしばし、いきなりLA某局(JP99、LA北部)のシグナルが57 で飛び込んできた。DL某局と交信中の彼のシグナルは、やはり何の歪みもなくクリアーであったが、彼はQSOの中で相手のDL某局に対して「あなたのシグナルには若干Auの特徴がある(私には聞こえない)」と言っていた。マイクを手に、QSOが終わるのを待っていたが、そのLA某局はあっと言う間に消えてしまった。その直後に LA7SIX/Bを確認したが、もはや何も聞こえなかった。反対にOH9SIX/Bのシグナルはその強さを増し、ピークで579に達するようになった。どうやら、AuEもEsもパスの移動はほぼ同じらしい(少なくとも今日は)。その時点では、OH9SIX/Bがバンド中で唯一のシグナルであったが、このビーコンのある場所はOH北部と中部の境目あたりで、あまりアクティビティーが高くない地域である。パスがもう少し南下して、このビーコ ンが消えてからが勝負となる。10分後、遂にOH9SIX/Bもその姿を消し、一旦バンドには静寂が訪れた。予定通り事が運べば、もうすぐOH各局が聞こえてくるはずである。しかし、それまでにAuEが消えてなくなってしまうかもしれない、、、。長く不安な20分間であった。私の耳は遂にOH3BHL(KP10、OH南部、既にAuでQSO済み)のCQをキャッチした。彼のシグナルは最初はクリアーなAuEであったが、途中から歪んだAu特有の音へと変化した。(その中間段階を捕らえた音声ファイル)夜明けの女神の手に掛かれば、我々のシグナルなどいとも簡単に操られてしまう。私はますます彼女の虜になっていく自分を自覚した。OH南部でAuEがAuへと変わった後、今度はES2RWがAuで入感し、久しぶりの再会となった(前回はSSB、今回はCWでQSO)。AuEからAuと変化した後も、パスの移動はそのままのようだ。さらにパスが南下することを期待したが、残念ながら、今夜の夜遊びはここまでであった。

追伸: 21:30頃からバンドが再オープンした際、もちろん私はAuEと考えた。しかし、聞いただけではAuEとEsは区別がつかないと聞く。「ひょっとして、単なる普通のEsでは?」と疑問に思った私は、経験豊富なSM7FJEにメールを送って質問してみた。彼は 「この時期にSM7より北でEsが開くことはない」、「あれはAuEだ」と明言した。

この日の成果



Magic Band in Sweden (26) へ つづく



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