山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です.(3月末より夏時間になりUTC+2時間,JST-7時間となりました.)


BY四千年の美貌。私が指導を任されている大学院生のひとりです。 時々いっしょにバドミントンをしています。

Magic Band in Sweden (10)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.


2002.05.05 (Sun)

たまっている仕事を片付けるため、午後から研究室へと向かった。昼過ぎまでのWeb Clusterは全く無風状態であったが、15:00少し前から、南部EUで東西方向のEsが発生したらしい。最初にUR-9Aがレポートされ、OE, DL, SP, OHと徐 々にURがオープンしている地域が北上を始めた。1時間後、遂にOZ, SMからも 報告が!私は確信を持って屋上へ上がった。16:10にピーク539で入感するUT5G/Bを確認。私がEUで聞く初めてのEsであった。そのシグナルは16:15には 559まで上昇し、期待は一層高まった。しかし、UT5G/Bの他には、16:20から数分間、519でSP1CNV(AuでQSO済み)が聞こえただけであった。唯一聞こえていたUT5G/Bも、16:45にはフェードアウトしてしまい、今ひとつ不満の残るEUでのEs初体験であった。

2002.05.13 (Mon)

ここ数日、素晴らしい快晴が続いている。典型的なスカンジナビアの夏だ。正午頃にI-OH間のEsがWeb Clusterにレポートされた。「今日は南北のEsか!?」と期待を持ったが、全く後が続かず、結局それっきりになってしまった。夕方近くになって再びEsが開いたらしく、F-SV, SP-I, ON-9H等が報告されている。しかし、それより北からはレポートが上がらない。「また今日もこのパターンか!」少々嫌気がさしてきた。しかし、幸いにも、今日は仕事が早く終わったため、QRVする時間はたっぷりとある。「ダメで元々」と考えて、屋上へ上がることにした。ビームを南へ向けてワッチを開始すると、何とピーク57で入感するIT9AMQをあっさりと発見した。多少のQSBはあるが、シグナルは安定している。しかし、バンドを丹念にワッチしても、聞こえているのはこの1局だけであった。私には何も聞こえないが、中部EUからかなりのパイルになっている様子だ。私も早速パイルに加わったが、なかなかピックアップされそうにない。徐々にコンディションが落ち始めたため、少々焦ってきた。コールすること5分、「QRZ?」が返ってきた。タイミング的に、明らかに私に対する応答である。少し大きな声で2回コールを繰り返してスタンバイ。すると「.... Sorry, propagation is going down. Now I'm QRT.」と言って、引っ込んでしまったではないか。「そんなぁ、、、」思わず頭を抱えてしまった。しかし、落ち込んでばかりはいられない。ひょっとしたら、他にも誰か出ているかもしれない。気を取り直してダイヤルを回し始めると、すぐに55で入感するシグナルを10kHzほど上で発見した。期待しながらコールサインを待っていると、「QRZ?, IT9AMQ」と言うではないか!「この嘘つきイタ公め!」少々ムッとしながらコールすると、すぐに「QRZ?」が返ってきた。再度コールすると、「QRZ?, SM7??Z」と言われたため、今度はゆっくりと2回コールを繰り返した。すると「QRZ?, SM7?QZ」との応答。どうやら相手の受信状況が悪いらしい。結局、私のコールをコピーするまで、彼は粘り強く何度も聞いてくれた。18:30、かくして、私の1st Es QSOは、彼IT9AMQの好意に助けられながら終了した。嘘つき呼ばわりしたことを詫びながら、満ち足りた気持ちでQRTとした。

この日の成果


2002.05.15 (Wed)


昨日までの素晴らしい青空が嘘のように、今日はドンヨリとした曇空が広がっている。ワールドカップの記念局がWeb Clusterを賑わせているが、こちらではEsがオープンする気配は全くない。昼休みにSM7AED局のホームページを開いたところ、1時間ほど前にYUのビーコン(4N1ZNI/B)と地中海周辺の局がEsで入感していたとレポートされている。「まだオープンしているかも?」とは思ったが、今日は大切な実験があるため、QRVは断念した。Web Clusterによれば、午後になって中南部EUでEsが発生したらしい。この情報にも少し誘惑されたが、例によって北部EUからは何もレポートされておらず、やはり、今日は仕事に集中することにした。ところが、実験を進めて行くうちに、大変な事実が発覚した。「今日の実験にどうしても必要な試薬がない!!」最後にその試薬を使い切った輩が、新たなストックを注文しなかったらしい。これで、私の仕事は完全にストップである。マジでブチ切れた私は、その後一切の仕事を放棄し、愛機IC-706MKIIGを鷲づかみにして屋上へと上がった。アンテナを南へ向けてワッチしてみたが、やはり何も聞こえない。私の怒りは頂点に達した。一旦研究室へ戻り、コーヒーを飲んで気持ちを落ち着けていると、OZからIOJX/B, SV1SIX/B入感の情報がWeb Clusterにアップされた。どうやらEsの開いている地域が、少しずつ北上してきているらしい。私の怒りにEsが同情してくれたのかもしれない。すぐに屋上へ戻ってワッチを再開した時点では何も聞こえなかったが、ダイヤルをIOJX/Bの周波数(50.004.6)に合わせて、祈る気持ちで待ち続けること約5分、16:31にノイズに埋もれるI0JX/Bを319-419で確認。 16:38にはピークで579まで上がってきた。すると、もうひとつ変なシグナルがI0JX/Bに混信しながら聞こえ始めた。I0JX/Bよりも少し下(50.003.9)で、ピーク539で入感しているシグナルは、最初は誰かがCWの練習をしているのかと思われたが、どうやらそうではないらしい。ビーコンのリストを見ても、それらしき局は載っておらず、謎は深まるばかりであった。(後述)バンドをスキャンすると、I各局が周期の長い、深いQSBを伴いながら入感している。16:46のIK0SOI を皮切りに、15分間で0エリア4局(IK0SOI, IK0FTA, IW0BET, IW0BSQ)、 6エリア1局(IK6FWJ)とQSOした。これらのI中部の局が聞こえなくなった後 、17:14に559で入感するIS0GQXを発見。もちろんnewをgetした。さらにワッチを続けること約10分、かすかに聞こえる9H1AWに気が付いた。どうやらEsで入感する地域が、I中部から反時計回りに移動しているようだ。少し待てば9H1AWのシグナルも強くなるのではないかと考えていると、果たして17:27に 559まで上昇し、一発コールでQSOは成立した。17:45頃にIS0GQX, 9H1AWがフェードアウトした後、しばらくの間バンドは静かになったが、時々、ほんの一瞬だけのバーストで何か聞こえている。「今はパスが海の上に落ちている」、「もう少し待てば、再び上陸するかも?」と期待して待っていると、18:20頃から今度はI南部が入感し始めた。18:29のIK8TPB以下、8エリア3局(IK8TPB, IZ8BIB, IZ8EEI)、7エリア1局(IZ7BFD)と交信。再び入感し始めた0エリアの1局(IZ0CUV)ともQSOした。聞こえてくる場所が、まるで地図の上にコンパスで円を描いたように移動する様子は、非常に興味深い。これら一連のSM7-IのEsを追いかけている間に、別方向のEsも発生したらしい。17:00を少し過ぎた頃、突如UT5G/Bが聞こえ始めたが、聞こえていた時間はそれほど長くはなかった。また、I南部がオープンした直後の18:40頃から、時々SVが数十秒間だけ入感しては、5分以上何も聞こえないという状況が続いていた。何とかしてSVをgetしようと、何度もタイミングを計ったが、いつも私がコールする前に消えてしまう。I各局をコールしながら、SVの出ている周波数も二股ワッチすること1時間、遂にチャンスはやって来た。19:40、59で入感するSV2DCDを バッチリのタイミングでコール。一発で仕留めることに成功した。さらに、 20:00少し前からUU5SIX/B(KN74AL)が聞こえ出したが、先に入感していた UT5G/B(KN66CS)は、この時点では影も形もなかった。誰かURが出てこないかと構えていると、期待通りUT5JAJのCQが559で聞こえ出し、無事とQSOすることができた。さらに559で入感するSV2CQBもgetしたところで、20:30頃QRTとした。今日は約4時間たっぷりと楽しんで、15QSO, 4 entities upとなった。私の怒りは半分ぐらい治まったようだ。


この日の成果


2002.05.16 (Thr)

Web Clusterによれば、午前中にEUの広い範囲でEsがオープンし、OZ, SM7-Iの パスもあったらしい。特筆すべきはHV5PULが各地からレポートされ、QSOできたOZ某局は「BBBBIIINNNGGGOOO!!!!!!」などとコメントしている。SM7からも報告があり、QRVしていればQSOのチャンスはあったかもしれないが、残念ながら、私はその時間は仕事で忙しかった。昼休みにアンテナだけは立てておき、午後からはいつでも屋上へ上がることができる態勢を整えた。しかし、午後からは、例によって例の如く、中南部EUはEsで賑わうものの、北部EUは完全に取り残されてしまった。夕方になって、SM6(JO57)からZS入感のレポートがあったが、そのときは仕事をしていたため、私がそのレポートに気が付いたのは、報告から約20分後であった。急いで屋上へ駆け上がり、まずはZS6TWB/Bの周波数にダイヤルを合わせると、「ピーーー」と聞こえている。「おお!これか?」と思い、続きを聞くと、「VVV.....」と絶妙のタイミングでフェードアウトしてしまい、コールサインを確認できなかった。これが、今日私が聞いた唯一のシグナルであった。


2002.05.17 (Fri)

「またか!!」である。Esで賑わう中南部EUからのレポートを、Web Clusterで眺めるだけというのは本当に欲求不満になる。OZ南部あたりで、Esのバリアがあるとしか思えない。SM7では、ローカルのCQの他には、19:46からIZ9RZRが数分間519で聞こえただけであった。



Magic Band in Sweden (11) へ つづく



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