山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間です.(3月末より夏時間になりUTC+2時間,JST-7時間となりました.)


大学からの実習生です。彼女の父親はTA系、母親はZA系のZ3人で、彼女はSMで生まれました。その後、G語、DL語、EA語を勉強し、合計7カ国語 を自由に操る才女です。

Magic Band in Sweden (9)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.

3月末からスウェーデンは 夏時間になりました。
UTC + 2hrs, JST - 7 hrs となります。
現在、日没は夜の8時半過ぎです。もうすぐ白夜の季節になります。

2002.03.09 (Sat) - 2002.04.13 (Sat)

3月中旬から4月上旬にかけて、仕事のため日本に一時帰国しました。 一時帰国の間はもちろん、その前後も事前の準備と後始末のためQRVする時間がなく、よって、運用記もお休みさせて頂きました。様々な情報を総合してみると、どうやら、北部EUでは春のDXシーズンは、3月上旬で既に終わりを迎えていたようです。その後もLpで賑わった南部EUなど、ここから見れば南の果てのような気がします。また、南部EUで連日入感していたZSも、北部からはほとんどレポートされていません。つくづく南北の格差を痛感しました。今後しばらくの間、 Esシーズンに入るまでは、SM7では何も聞こえないのではないかと心配しています。2月頃のように、毎日バンドがオープンすることが期待できないため、今後は、たとえワッチしていても、何か変化があった日だけ運用記をお送りする予定です。

追伸:一時帰国中にJG2GSY/2にてお相手頂いた各局、どうもありがとうございました。

(編註;編者も、先生との6mでの初QSO以来、実に14年ぶりに、UO-14で交信いただきました.ありがとうございました)

2002.04.08 (Mon)

一時帰国を終え、SM7に戻ってきたのは昨夜遅くであった。しばらくは仕事で忙しく、屋上にアンテナを立てる時間もなさそうだ。また、情報によれば北部EUでは、バンドは完全に沈黙状態にあるらしい。でも、無線がしたい、、、。「そんなときは、時間もかからず、予定が立てやすい衛星だ!」私はすぐにUO-14にQRVした。 「CQ satellite, SM7XQZ.」すると、早速誰かが呼んでくる。「SM7XQZ, this is OH5LK.」、「えっ!あなたは、あの有名な、、、。」そう、有名な6M DXer OH5LKが、UO-14で私をコールしてきたのである。 「衛星に出ていていいんですか?」、「50MHzのワッチはしないんですか?」思わず聞きたくなった。高々10分ほどの衛星のパスに出たからと言って、それが50MHzのワッチに大きな影響を与えるとは思えない。しかし、春のDXシーズン中は、衛星では彼のコールは一度も聞かなかった。そんな彼がUO-14にQRVする気になったという事実が、私には少々ショックだった。「DXシーズンも本当に終わったんだな」、 「OH5LKが衛星にQRVしているうちは、50MHzはお休みかな?」有名な局とQSOできたにもかかわらず、私は複雑な心境であった。

追伸:彼はその後もUO-14でアクティブである。

2002.04.16 (Tue)

朝から細かい霧雨が降り、スカンジナビア特有のドンヨリとした曇空が重くのし掛かってくる。「どうせ今日もダメだろう、、、」私は戦わずして試合を放棄していた。予想通りWeb Clusterもまったく動きなし。せめてもの気分転換にと、同僚とランチを食べに外へ出た。しかし、レストランに長居をしている間に雨足が強くなり、ふたりで濡れて帰る羽目になった。踏んだり蹴ったりとはこのことである。「いつまでこんな状況が続くのだろう?」、「早くEsが出てほしい、、、」私は心の中までズブ濡れであった。インターネットで新聞でも読もうと、マウスに振れたその瞬間、スクリーンセーバーの裏から現れたWeb Clusterを見て、「やられた!!!!」マジで大声で叫んでしまった。私が食事に出掛けたのとほぼ同じ時刻に、SM7AEDがYO3KWJ 599とレポート しているではないか。今シーズン初の本格的なEsの発生であった。 SM-S5, SM-I, SM-9A, SM-UR, OH-9A, ES-I, OH-HB等が続々とレポートされ、EUの中なら何でもありの状態であった。「これだから6mは、、、」と意味不明なことをブツブツ言いながら屋上へ駆け上がり、早速アンテナをセットした。焦る気持ちを抑えつつ電源を入れ、全神経を耳に集中する。しかし、、、何も聞こえない!全く聞こえない!!本当に聞こえない!!!時既に遅し、、、。OHでは引き続きEsがオープンしていたらしいが、 SM7は既に静寂に包まれていた。「こういうこともあるさ」、「Esはまた出るよ」、「ランチのラザニアは美味しかったじゃないか」そこには、何とかして自分を慰めようとする私の姿があった。

2002.04.17 (Wed)

昨日は油断していて完璧に裏をかかれた。同じ失敗を繰り返さぬよう、今日は朝から気合いを入れて計画を立てた。午前中に簡単な実験を片付けて、後はずっとデスクワークをする。これならば、いつEsが開いてもすぐに中断できる。以前どこかのホームページで、「Esは一度発生すると、ほぼ同じ時刻に、2、3日連続して発生することが多い」という統計を見たことがある。昨日Esが発生したのは12:20。今日は早めに昼食も終え、既に昼過ぎには戦闘準備は整っていた。デスクワークをしながら、数分おきにWeb Clusterをチェックする。私の計画は完璧だった。しかし、肝心のEsは、いつになっても開かない。刻々と時間がだけが過ぎ、着々と仕事が進んでいく。私が焦りを感じ始めたそのとき、「ES OPEN ...」 と題した衝撃的なメールが私のもとへ届いた。「Esがオープンしてるよ!」と、誰か親切な人が知らせてくれたのだと思い、「やった!遂にその時が来た!」と喜び勇んで屋上へ上がる準備を始めた。しかし、よく考えてみれば、いったい誰が知らせてくれたと言うのだ。そんな知り合いはEUにはいない。落ち着いてそのメールを読むと、そのタイトルは「ES OPEN on April 20th! 」、、、??実は今週末に行われるES(エストニア)主催のコンテストの案内が、スウェーデンの無線連盟(SSA)経由で送られてきたのであった。「紛らわしいタイトルにするなよ!」私はすっかりやる気を失い、今日は仕事に集中することにした。仕事が終わりに近付いた16:40頃、しばらくぶりにWeb Clusterを覗いてみると、何と、一時間ほど前からオーロラ伝搬(以下Auと略)が発生しているらしい。噂には聞いたことはあるが、もちろん実際に経験したことはない。急いで仕事を片付け、屋上へと駆け上がる。アンテナの方向がはっきりしないが、「オーロラと言うぐらいだから北だろう」と考え、とりあえずワッチを開始する。17:00最初に捕らえたのはES2RWであった。何とも表現し難いモガモガとした音声 (SSB)で入感しているため(別ページ参照)、何と言っているのか注意深く聞かないとわからない。「これがAuか!」感動の一瞬であった。この局のシグナルでビームの方向を微調整してみたが、真北が最も強く、2ele HB9CVでも北東や北西に向けるとかなり弱くなる。伝搬の方向は比較的狭いようだ。さて、これで準備はすべて整った。しかし、Auなど生まれて初めての経験である。どのようにQSOするのか全くわからない。ES2RWのQSOに注目すると、コールサインはゆっくりと数回繰り返し、SSBではレポートは 「RS + "aurora"(例:55オーロラ)」と送っている(別ページ参照)。様子がわかったところで、恐る恐るES2RWをコールする。2回目にピック アップされ、17:15感動的な1st aurora QSOを終えた。バンドをスキャン すると、LA, DL, OH等の北部EUが広く聞こえている。「今日だけで北部EUが制覇できるのでは?」と思われた。バンドの上の方から順に狙撃を開始する。まずSSBでLA6MVのCQ auroraを捕らえ、一発コールで彼を射殺した。次はOZ某局であった。伝搬そのものはダイレクトのGwではなく、Au特有の歪んだ音であったが、さすがにSM7がお隣のOZを呼ぶのは気が引けた。OZはパスしてさらにスキャンを続ける。バンドの下の方ではCWで多くの局が入感している。CWの音もSSBと同様に完全に歪んでいるため、「RSはともかく、T (Tone)はどのようにレポートするのだろう?」と新たな疑問が出る。各局のCW QSOを注意深く聞くと、レポートは「RS + "A"(例:55A)」と打っている。どうやら、Auで歪んだ音調は、数字で表さずに「A」とレポートするらしい。やり方がわかったところで、いよいよCWにも挑戦だ。通常のQSOより了解度が悪いためか、どの局もいつもよりゆっくりと、かつ何度も繰り返して打っている。CWが下手な私には願ってもない。 18:00から1時間半ほどの間に、DK3EE, OH3BHL, SM0KCR, LY2BH, SP1CNV, PA2VST, ON4ANT, PA5TAと連続してgetし、SSBと合わせて、あっと言う間の8 entities upとなった。後はYLとさえ交信できれば、メジャーな北部EUはすべて制覇したことになる。必死になってバンド中を探してはみたが、遂にYLのシグナルは確認できなかった。また、オーロラと言うだけあって、オープンしているのは北部EUのみで、中南部EUはカケラも聞こえなかった。 19:00頃から徐々にコンディションが下がり始め、19:30を過ぎると、強い数局以外はほとんど聞こえなくなった。

2時間以上にわたる、何とも不思議な magic show。その場に居合わせた幸運に、私は心から感謝した。

【編註;この日のオーロラ伝搬に関しては、MP3形式の音声ファイルも掲載した特別ページを、別に設けてありますので、あわせてこちらもご覧下さい.PA2VSTのQSLには「AURORA CONTACT」と記されています.】

この日の成果


2002.04.18 (Thr)

「EsかAuか?今日はどちらが開くのだろう?」私は朝からワクワクしていた。しかし、結論から言おう。「どちらも開かなかった!」午後に入って、OH, LY, SPでAuがオープンしたとの情報がWeb Clusterにアップされ、さらに OZ-SM5もレポートされた。当然、ここSM7でも聞こえていると期待してQRVを開始したが、残念ながらその雰囲気さえ感じられなかった。どうやらAuも他の伝搬と同様に、パスの地域差が大きいらしい。

2002.04.19 (Fri)

「Aurora strong!」衝撃的な情報がWeb Clusterにアップされた。しかもレポートしたのはローカルのSM7FJE。「今日は間違いなくSM7でもバンドは開いている!」私は確信を持った。私はまだ仕事中であったが、その後、仕事が手に付かなくなったのは言うまでもない(笑)。急いで仕事に切りを付け、屋上でワッチを開始したのは15:30であった。OH, SM0, LA, ES各局が、モガモガ、ザーザーと聞こえてくる。しかし、一昨日55Aで聞こえていた局が、今日は51A、強くても53A止まりだ。では、SM7FJEがレポートした「strong!」は何だったのか?彼の設備ではstrongなのか?それとも、一昨日はvery strongだったのか?いずれにしても、強く聞こえている局は既に一昨日QSO済みであったため、今日はワッチに徹することにした。 ビームの方向を少しずつ変えて実験してみたところ、OH, SM0, ESは北東方向 、 LAは北北西が最も強かった。一昨日とは少々様子が異なるようだ。LA某局のQSOを聞いていると、どうやらLA-GWにパスがあるらしい。しかし、SM7では GWのシグナルは全く確認できなかった。経験すればするほど不思議なことばかりだ。magic bandの女神と夜明けの女神(オーロラ)に、我々はただもて遊ばれているだけかもしれない。

2002.04.20 (Sat)

2002.04.20 (Sat) 久しぶりにスカンジナビアは晴天に恵まれた。昨日までの鉛のような曇空が嘘のように、今日はまぶしいばかりの日差しが降り注いでくる。そんな最高の土曜日だと言うのに、私は午後から研究室へと向かった。たまっている仕事のことを思うと気が重いが、Auがオープンするかもしれないと思うと足取りも軽くなる(笑)。果たして、Auオープンの第一報がWeb Clusterに レポートされたのは、いつもより少し遅い18:00頃であった。SP, SM6等を 数局確認したが、昨日よりもさらに少し弱く、今日は1時間ほどワッチしただけでQRTとした。どうやら、2002.04.17に私が初めて体験したAuは、かなりの大オープンだったようだ。夢よもう一度!


このページの音声は、
別ページ「摩訶不思議!?オーロラ伝搬」でお聞き下さい.


Magic Band in Sweden (10) へ つづく


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