山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間(冬季なのでUTC+1時間,JST-8時間)です.


彼女は大学院生。SMとESのハーフで、マルメで有名なアマチュアバンドのボーカリストです。CDも出しています。

Magic Band in Sweden (8)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.


2002.03.02 (Sat)

土曜日だと言うのに朝早くから研究室へ向かった。今日も例によって、仕事をしながら時々屋上へ上がる「ながらワッチ」である。早速Web Clusterが南部EUの賑わいを伝えている。それに引き替え、SM7は静寂そのものだ。「南欧に住むラテン系が騒がしいのに対して、北欧に住むゲルマン系が静かなのと同じだ」「何かコンディションと関係あるのだろうか(あるはずがない!)」などど考えていたら、いきなり 9A-JA, I-JAのSpがレポートされた。私は喜んで即座に仕事を中断し、バンドをワッチしてみた。しかし、予想通りSM7ではまだ何も聞こえない。しばらくWeb Cluster上で戦況を眺めていたが、パスが北上する気配は微塵も感じられない。途中からSpはScへと変わったようだ。ローカルのCQ DXに応答する局もなく、彼らもあきらめてラグチューを始めてしまった。私もやりきれない思いで仕事を再開した。どのくらいの間仕事に集中していただろうか、しばらくWeb Cluster をチェックするのを忘れていた。ふと思い出して画面をクリックした次の瞬間、私の目に飛び込んできたのは5N6NDPであった。20分ほど 前からEUの広い範囲で入感し、OZでは57で聞こえているらしい。しかも、エリア指定をするほどのパイル。当然のことながら、私は5Nがどこなのか知らなかったが、この状況から考えて、非常に価値のあるentityであることは理解できた。「ナイジェリア!」プリフィックス一覧表が答えを教えてくれた。すぐに屋上へ上がり、アンテナを南へ向けて戦闘開始だ。11:20, 5N6NDPを57で確認。ちょうど5エリアを指定しているときであった。ひとつのエリアにつき5局ずつQSOしている。パイル自体はほとんど聞こえないが、1局ピックアップするまでの時間等を考えると、かなりの大パイルのようだ。5N6NDPはピックアップしやすいように、コールサインの最後の2文字だけをコールするようにアナウンスしている。6エリアの4局目、5局目あたりから、タイミング良くQSBの山がやってきた。「QRZ, number 7」いよいよ 順番だ。「Quebec-Zulu, Quebec-Zulu」2回繰り返してスタンバイ。 しかし、次の瞬間、私は敗北を確信した。OZ7, SM7だけでもすごい数だ。 もちろんbig gunの連中も参戦している。ON7, SM7, OZ7の順にピックアップされた。しかし、後の2局は、どこがピックアップされたのか、ローカルのパイルでわからない。5局など、あっと言う間であった。 「QRZ, number 8」「あ〜あ」ローカルの誰かの声が聞こえた。もう一度7エリアの番になるまで待とうかとも考えていたが、0エリアあたりで5N6NDPのシグナルは徐々に弱くなり、12:25にフェードアウトしてしまった。残念ながらQSOはできなかったが、私は、指定を無視する局とロングコールする局に対する5N6NDPの毅然とした態度に強い感銘を受けた。ある局を一旦ピックアップしてから、実はエリアが違うことがわかると、「No! now number X only!」「QRZ, number X?」 とアナウンスして、その局とは絶対にQSOを成立させない。また、他局がQSO中にもかかわらずにロングコールする局が多くなると、何度も「Please don't shout!」と繰り返して、全員がスタンバイして静かになるまで待っている。UO-14のページでもお伝えした通り、マナーの悪い局はラテン系が多く、SM, OZでは特に問題となる局は(今日は)いなかった。コンディションには恵まれるがマナーの悪い南欧、マナーは良いがオープンが少ない北欧、それは究極の選択かもしれない。

2002.03.03 (Sun)

ここ数日、仕事が忙しくてワッチがおろそかになっている。今日こそはじっくりとワッチするつもりだったが、やはり、ずっとノイズだけを聞いているのは辛いものがある。あっさりと計画を変更して、また仕事を始めてしまった。Web Clusterによれば、DU, VKがEUの広い地域で FBにオープンしているらしいが、唯一取り残されたのがスカンジナビアであった。OZ, SMからはひとつもレポートがなく、当然の如くSM7では全く何も聞こえない。しかし、先日、DU, VKは入感しなかったが、JAの Scは聞こえた日があった。「この入感パターンのときは、ScでJAがオープンするかもしれない」そう思っていたら、予想通り9A-JA, I-JA がスポットされた。期待を込めて屋上へ上がったが、2日連続してSM7は完全に仲間はずれにされてしまった。ローカルのCQ DXも空振りばかりで、 今日もラグチューをしている。「今日はもう帰るか?」一度はそう思ったが、「昨日のようにAFが聞こえるかもしれない」と自分に言い聞かせて、嫌々ながら仕事を再開した。14:00過ぎにWeb Clusterを見ると、 20分ほど前からTT8DXがレポートされている。理由はわからないが、私はTTがチャドであることは知っていた。こんなこともあろうかと、アンテナは既に南へ向けてある。早速ダイヤルを合わせるとSSBのパイルが聞こえた。14:09, TT8DXを51で確認。昨日の5N6NDPほど強くなく、こんな状態でコールしてもピックアップされるとは思えなかったので、しばらくはワッチに徹することにした。すると、シグナルが徐々に強くなり始め、ピークで53に達した。「今なら多少はチャンスがあるかもしれない」と考え、私がマイクを握った瞬間であった、そこに突如現れたのは、先日(2002.02.23)PY8EAを前にして醜態をさらしたあの 「India-India」局であった。20秒ほどの唯一のチャンスは、奴にあっさりとつぶされてしまった。その直後にTT8DXのシグナルは一気に弱くなり、一旦フェードアウトした。数分後に復活したものの、 41-51で聞こえるだけで、コールするまでには至らなかった。JAのオープンだけでなく、AFも2日連続で逃してしまった。2度あることは3度あるのか、それとも、3度目の正直か。答えは明日わかる

2002.03.04 (Mon)


今日は「3度、、、」の結果が出る日だ。まるで大事な実験結果が出るのを待つかのように、私は朝から少し緊張していた(そんな大袈裟な!)。早朝の時点ではWeb Clusterが、すべてが昨日、一昨日とまったく同じように進行中であることを物語っていた。南部EUに入感しているVK, VU, XV, EXは、SM7では気配すら感じられない。しかし、今日はそこから少々事情が異なった。何事も起こらないまま、JA-EUがオープンする可能性のある時間帯が過ぎてしまった頃、ふたつの気になる情報がWeb Clusterを賑わせていた。ひとつはVUが北部EUでも入感したことである。I, 9Aあたりでレポートされても、はるか彼方の出来事であるが、それがSP, OH, OE, PA, DLとなれば話は別だ。VU入感の期待は一気に高まった。しかし、最短距離でJO33までやってきた VUが、マルメのあるJO65まで足を延ばすことはなかった。もうひとつの情報はD44TAの入感である。これがOEのグループによるベルデ岬諸島へのDX Peditionであることは、事前の情報で知っていた。DL, PAを中心に EU中央部でFBにオープンしているらしい。しかし、これもSM7では全く聞こえない。Web Clusterを見ていると、D44TAはG方向へと移動を始めてしまった。「やはりダメか?」とあきらめて食事に行こうとしたそのとき、研究室の大学院生が実験に関する質問をしてきた。20分ほど指導をした後、再度Web Clusterを見て驚いた。10分ほど前に OZ某局が「D44TA, Easy in JO65」とレポートしているではないか。大学院生が私を引き留めた(食事に行かせなかった)ことに感謝すべきか、それとも、10分の出遅れの原因を作ったことに怒るべきか、複雑な気持ちで屋上へと駆け上がる。12:40, 55で入感するD44TAを確認。 既に1時間以上前から中部EUでオープンしていたこともあるのか、パイルはそれほど大きくはない。しかし、ここSM7では、コンディションは既に下り坂に入った感がある。QSBの谷に落ち込むとほとんど聞こえない。QSBのタイミングを計って必死にコールを繰り返すが、ピックアップされるのは依然として中部EUの局ばかりだ。OZ某局がQSBの山でタイミング良くピックアップされたが、残念ながら私がコールしたときには落ち込んでしまった。15分ほどの間でD44TAのシグナルは徐々に弱くなり、12:55遂にピークで51にまで下がってしまった。しかも、コールバックは中部から南部EUに返っている。もう、OZ, SM7からは 誰もコールしていない。私はこの時点で「2度あることは3度ある」を覚悟して、D44TAをコールすることを止めた。しかし、あきらめずに しばらくワッチだけは続けていると、コールする局が減ってきたのか、それともコンディションそのものが落ちてきたのか、D44TAが時々CQを出すようになった。「最後のチャンスかもしれない」そう思いながら、祈りを込めてコールを再開した。それは、3回目のコールであった。 「QRZ, X-ray-Quebec?」magic bandの女神は私を見放してはいなかった。 「This is SM7XQZ, SM7XQZ, over.」「SM7XQZ, you are 53, 53.」 レポート交換の数秒後、D44TAは常夏の島へと帰って行った。私は、 Euro 2000のグループリーグで、ポルトガルが試合終了直前に得たラストチャンスで、ルーマニアを下したあの瞬間を思い出した。 (超マニアックな話で申し訳ない!;編注:山崎先生は大のサッカーファンのようですね.)最初は「2度あることは3度ある」が正しいと思われたが、土壇場のロスタイムで、私は「3度目の正直」を勝ち取った。


2002.03.05 (Tue)

朝一番のWeb Clusterで、EX, EY, VUがJAでFBにオープンしたことを知った。しかし、EUでは、いつまで経ってもDX入感のレポートが上がらず、閑古鳥が鳴いている。9H-JAがレポートされたときは、「さあ、これからだ!」と思ったが、オープンはごく短時間だけだったようだ。その後が続かず、Web Clusterも暇を持て余している。11:00 過ぎにD44TAが南部EUに上陸し、北上を始めたらしい。しかし、11:45にOZまでやってきたD44TAは、バルト海を渡らずに、そのままお帰りになったようだ。ワッチした時間も少なかったが、本当に何も聞こえない1日であった。

2002.03.06 (Wed)

「Bye Bye F2 until cycle 24?」その言葉がすべてを物語っていた。 全くレポートが上がらないWeb Clusterに、LY某局が書き込んだものである。I某局が「Dead」と書き込めば、DL某局も「No DX」と続く。 確かに、ここ数日で、コンディションが大きく変化した気がする。このまま2度とDXのシグナルを聞かずに終わってしまうのだろうか。

2002.03.07 (Thr)

EX, EYがJAでFBにオープンしたらしい。「まだまだチャンスはある!」私は少し勇気づけられた。今日は仕事で全くワッチできなかったが、また明日からも頑張る元気が出てきた。

2002.03.08 (Fri)

「春眠暁を覚えず」そんな言葉がぴったりくるようなコンディションだ。みんな本当に寝ているのではないだろうか。何の心配もなく、仕事に集中できた1日であった。


Magic Band in Sweden (9) へ つづく


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