山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間(冬季なのでUTC+1時間,JST-8時間)です.


屋上から公園と反対側(東)を見たところです。病院の外来棟です。入院病棟は別にあります。 左側の奥に見えるロケット状の建物は、その昔、マルメ全体に水を供給するために建てられた水道棟です。もちろん現在は使われていません。

Magic Band in Sweden (5)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.


2002.02.15 (Fri)

今日ほど、QRVするかQRTするか、大いに迷った日はない。現在私は、早めに片付けなければならない重要な仕事を抱えており、今日どこまで頑張るかで今後の進行状況に大きな差が出ることは明らかであった。朝一番にWeb Clusterをチェックしたところ、全く何もレポートされていない。ここで、わずかでもオープンの気配があれば迷わずQRVするのだが、残念ながら何の参考にもならなかった。よっ て、今日もまた、仕事をしながらWeb Clsuterを時々チェックして、屋上へ上がるタイミングを計ることにした。今日2回目にWeb Clusterを見たのは10:00頃であった。早朝の閑散とした状況がまるで嘘であったかのように、EUから、そしてJAから多くのレポートがアップされているではないか。「やられた!」、「これだから50MHz は油断できない!」、私は一旦は屋上へ上がる準備をした。しかし、 落ち着いてもう一度Web Clusterを見てみると、EU-EX or UN, JA-8Q は数多く報告されているが、互いにそれより遠くのオープンはレポートされていない。「あと一歩だ、頑張れ!」と空に向かってエールを送ってみたが、Web Clusterを見る限り状況はそれ以上好転しない。 かなり迷った末、結局は仕事を再開することにした。途中で何度も Web Clusterをチェックしたが、いつも「あと一歩」ばかりで、とうとう屋上に上がるタイミングを逃してしまった。まあいいか、仕事ははかどったから。

2002.02.16 (Sat)

ここ2、3日コンディションが良い。しかし、今日の午前中は所用の ためQRVせずに自宅で待機。その間、あえてWeb Clusterはチェック しなかった。もしもどこかオープンしていたら、欲求不満が爆発することはわかっていたからだ。正午前に晴れて自由の身となり、早速Web Clusterを見てみると、UN, EX, DUがEU各地からレポートされ、これらに 混じってJAもSP, Iから報告されていた。今さら遅いことは十分承知して いたが、一応研究室へと向かった。12:30にワッチを開始したが、やはり何も聞こえない。バズ音もどんどん小さくなっていく。かろうじてUN3Gのシグナルを519で1分間だけ確認しただけだった。

2002.02.17 (Sun)

昨日の鬱憤をはらすため、今朝は気合いを入れて研究室へと向かっ た。早朝からワッチを始めたが、ローカル以外には何も聞こえない。 確か昨日もバンドがオープンしたのは、10:00頃だった。Web ClusterによればUN1SIXがEU各地で聞こえるらしい。また、EX8MLTがQRVしているらしいが、OHから入感のレポートがあったのみ。「しばらく待つか!」とコーヒーブレークしたまではよかったが、コンピューターのデスクトップに置いてあった、やりかけの仕事のファイルが目に入った。よせばいいのに、何気なくそれを開いてしまった私は、そのままズルズルと仕事の続きを始めてしまった。何事も一旦集中すると、時間の経つのを忘れてしまう私である。ふと気が付いた時 には、既に10:30となっていた。慌ててWeb Clusterをチェックすると、 DU, UN, UK, EXがEU各地からレポートされているではないか。私は自分の性格を恨みながら、急いで屋上へと上がった。バンドのあち こちで聞こえるバズ音が、私を大いに期待させる。まず最初に捕まえたのはON4ANTであった。back Scで579で入感している。こんなに 強いback Scは久しぶりだ。バンドをスキャンしていくとUK9AAの高速CWが559で入っている。(時々短点をひとつかふたつ余分に打っ ているが、そこまで高速に打つ必要があるのだろうか?)それを通り過ぎて行くと、50.095で強力に入感するEX8MLEを発見した。今まで何度かコールしたことはあるが、QSOには至っていない。いつものどこか頼りないシグナルではなく、今日はフルスケールで入感している。「今がチャンスだ!」私はパドルに手を掛けた。何と一発で 応答があり、予期せぬ結果に私はかなり慌てた。「R, UR 55, 5,, HH, 5NN, BK」パドルをミスタッチしてしまい、訂正符号を含めて いったい何個連続して短点を打っただろうか。「アホかこいつは!」 と思われたかもしれない。しかし、とにかくEX8MLEをgetした。 今日は中央アジアがよく開けている。さらに、UN3G, EX8MLTを確認 した。しばらくして、50.111で今日一番のパイルを発見した。 シグナルはフルスケールで入感している。「どこ?」期待を込めて 数分間ワッチしたが、全く自分のコールサインを言わない。 私のイライラが頂点に達しようかという頃、やっと1回だけコールサインをアナウンスした。UN5PRであった。私もパイルに参加したが、それは無謀な戦いであった。 15分後、UN5PRは、まるで潮が静かに引くようにフェードアウトした。 今日の中央アジア各局は、UN, UKの順に姿を消し、最後にEXだけが 残った。しばらくはEX8MLEとEX8MLTの2局だけしか聞こえなかったが (下記参照)、先ほどまでUK9AAが出ていた周波数で再びパイルが湧き起こった。その時点では、相手のコールサインが確認できるほどの 強さはなかったため(319-419)、最初は「UK9AA復活か?」と 思ったが、どうやら少し様子が違う。6階に下りてWeb Clusterを 見ると、そこにはEX8Fがスポットされていた。すぐに屋上に戻った ところ、シグナルはピークで559まで上がっており、自分の耳でEX8Fを確認。しかし、EX8MLEとEX8MLTとは異なり、強いQSBをともなっている。なかなかコールするタイミングがつかめず、じっと我慢で待っていたら、そのままフェードアウトしてしまった。Web Cluster によれば、その後EX8FはQSYしてSSBで出ているという。その周波数をワッチしてみたが、SM7 (JO65)では何も聞こえない。数分後、 OZ某局が(おそらく)EX8FとQSOするのが聞こえた。彼は55を送り、 ロケーターはJO44と言っている。これだけの距離で入感状況が大きく違うものだと感心する。2時間以上強く聞こえていたEX8MLEとEX8MLTも、 12:30頃にはフェードアウトした。「今日はこれで店じまいだ」 と思った直後、UN3Gが突然599で復活。しばらく安定して入感していた。 コンディションとは面白いものだ。

EX8の謎(その2) 注目!!

JAで火曜日の珍局と呼ばれているとEX8MLEが、EUでは火曜日以外にも 入感していることは既にご報告した通りです。しかし、私自身EX8MLTに関しては、火曜日にしか聞いたことがありませんでした。しかし、 今日(日曜日)、EX8MLEとEX8MLTが同時に、異なる周波数で、それぞれCWとSSBで強力に入感しました。JAでは彼らが設備を共有しているという情報があるそうですが、少なくとも本日は別々の設備からQRV していました。それをはっきりと確認したのは、11:30-12:00の30分間です。この間EX8MLEは50.082においてCWで519-579、EX8MLTは 50.126においてSSBで57-59で入感していました。それぞれの周波数に合わせたVFO AとVFO Bを瞬時に切り替えて、2局が同時に入感していることをこの耳で確認しました。(録音の準備をしていなかったのが残念!) 常にEX8MLTのシグナルの方が強く、しかも安定していたのに対し、EX8MLEはゆっくりとした深いQSBをともなっていました。このことも、 2局が別々の設備からQRVしていることを裏付けるものと思われます。 前回、同じ日に(2002.01.29 (Tue))2局が入感したときも、やはりEX8MLTの方が強く安定して聞こえていたのに対し、EX8MLEの電波は少々頼りない感じでした。そのときも、2局は異なる周期のQSBをともなっていましたが、2局同時に聞こえた瞬間があったか否かまでは、確認しませんでした。また、EX8MLEは受信能力、または受信状態にも若干問題があるようで、EU各局がコールしても全く気付かないことも多々ありました。 JA1RJU小笠原OMのホームページで、EX8MLTとEX8MLEらの共通のQSL カードを拝見しました。そのカードにはロケーターはMN72HVと記されていますが、EX8MLTはQSO中に自分のロケーターをMN72HTとアナウンスしています。EX8MLTは新たな場所に別のシャックを構えたのでしょうか。

2002.02.18 (Mon)

今朝もEX, EY, UNがEU各国からWeb Clusterにレポートされている。 中央アジアへのコンディションは今日もよさそうだ。ワッチを開始してすぐにEY8CQを発見。強いQSBをともないながら、ピークで559で入感している。10分ほど他の周波数をチェックして、EY8CQが出ていた周波数に戻ってみると、何と、既に影も形もない。「これが magic bandの恐ろしさだ!」と独りで納得していたが、実は、EY8CQは単にQSYしてSSBでQRVしていただけだった。しかし、コンディション は明らかに下り坂で、さらに10分後、今度は本当にフェードアウトした。その後もWeb Clusterでは、引き続きEX, EYに混じってVUも 報告されていたが、SM7ではどれも聞こえない。「今日はここまでか?」 と思い始めた頃、JA7-SVがWeb Clusterにレポートされ、さらに約 10分後、今度はJA5-Iがスポットされた。レポートは59 or 599!! 「待ちに待ったSPだ!!」私はすぐに屋上へ駆け上がり、アンテナを JA方向へダイレクトに向け、その時がくるのをじっと待った。SVから 始まったSPは、I, YU, HB, Fへと移っていく。「もっと北だ!頑張れ!」 空に向かって願いを込める。しかし、今日のmagic bandの女神は西が お気に入りだったようだ。オープンはLX, Gへと行ってしまった。 どうやら今日のSPは、SVとGを結ぶ線より下側(南側)だけだった ようだ。SM, OZのローカル各局が必死にCQ DXを繰り返すが、遂にどこからも応答はなかった。Web Clusterに次々と現れるJA各局のコールサインを見て、私はどうしようもない無力感に襲われた。 JAのオープンがピークを過ぎた頃、次にEU各局を興奮させたのはV73ATの入感であった。EU各国で強く聞こえているらしいが、ここSM7はまたしても仲間はずれであった。しかし、粘り強くワッチして いると、突如シグナルが上がり始め、V73ATは10分間だけピーク559で入感した。コールバックを聞いているとSM, LAが連続してピックアップされている。「パスが北欧にきている!」「今がチャンスだ!」 ところがQSBが非常に強く、谷に落ち込むと何も聞こえない。数回コールするチャンスがあったが、それらは全部ローカルのbig gun各局に持って行かれてしまった(泣)。今日は最後まで消化不良の1日であった。

2002.02.19 (Tue)

昨日の恨みを晴らすべく、今朝は気合いを入れてアンテナを立てた。 Web ClusterではJA-UN, EX, EY, VUがレポートされている。期待は高まるばかりだ。これらの各局はSM7では確認できなかったが、今日もコンディションはよさそうだ。XV3AA黒田さんがDL, SPからスポットされていたが、08:30の時点ではシグナルを確認できなかった。 「少ししたら聞こえてくるかもしれない」と考え、ほんの数分のつもりで屋上を離れ、6階の研究室へと下りた。メールをチェックすると、すぐに返事をしなければならないものがあった。しかし、これが少々込み入った内容で、結局返事を書くのに30分もかかって しまった。その間にOZからもXV3AAがレポートされ、またしても出遅れた。09:05, 59で強力に入感する黒田さんの声を確認。コールする前から「これはダメだ!」と思わせるほどのビッグパイルに包まれている。しかし、何が起こるかわからないmagic bandである。 私も負けずにパイルに参加した。XV3AAのシグナルは約5分間周期のゆっくりとしたQSBがあり、コールバックを聞いていると、パスが EUを南北に往復しているようである。1回目のチャンスは見事に空振りであった。ローカルのbig gun SM7BAEさえも太刀討ちできないほどのパイルである。2回目のチャンスが北部EUに訪れたとき、 ローカルのSM7某局が信じられない行動に出た。他の局がXV3AAとQSOしている最中に、 その局にかぶせるように「SM7」、「**(サフィックスの最後の2文字)」を数秒おきに繰り返すのである。これは鬱陶しい! 私はただ閉口するだけであった。きっと黒田さんも鬱陶しく感じたことだろう。仕方なく(?)そのSM7某局をピックアップした。 「早く終われ!」と思っていたところ、 何とそのSM7某局が「他にもSM7が出ている」「彼らとQSOしてやってほしい」と言うではないか。「いい人じゃないか!」私の中でSM7某局の株は急上昇した。全く身勝手な話である(笑)。 しかし、喜んでばかりはいられない、一体SM7で何局がワッチしているかわからない。しかも、SM7BAEもパイルに参加している。 ここは何としてもパイルに競り勝つ必要がある。私はこの時のために取っておいた秘策を出すことにした。名付けて'Project J'。 いよいよそれを公にするときがきた。マイクを持つ手が緊張に震える。SM7某局のリクエストに応えて、黒田さんが「QRZ SM7? QRZ Sweden?」とアナウンスする。今だ!「こちらはSM7XQZ, SM7XQZ、どうぞ!」私は日本語でコールした。長い間外国に住んで いると、ほんのひとことでも日本語が聞こえるとすぐにわかるものである。期待を込めてスタンバイ。しかし、ピックアップ されたのはSM7BAEであった。「まあ、この局に負けるのは仕方ない 、次で頑張ろう」SM7BAEがQSOを終えると同時に私は再びコールした。「こんにちは、こちらはSM7XQZ, SM7XQZ、どうぞ!」 今度は挨拶も付けてみた。既に最大の敵SM7BAEは立ち去っている。 私は勝利を確信した。しかしコールバックがない、、、。 不安と疑惑が渦巻く10秒ほどの沈黙の後、XV3AAはES某局を ピックアップした。私には聞こえなかったが、どうやら指定を無視してコールし続けていた局がたくさんいたようである。 その後、黒田さんのシグナルは急速に弱くなったため、次のQSBの山がくるまでじっと待っていたが、残念ながら2度と山が訪れることはなかった。かくして、Project J (Japanese)は見事失敗に終わった。そのショックからなかなか立ち直れない私は、しばらく屋上を離れることにした。1時間ほど仕事をして気分転換したとこ ろで(仕事で気分転換というのも変な話だ)、屋上に戻ってワッチを再開したが、ローカルの空振りCQの他には何も聞こえてこない。 もう一度屋上を離れようかと思った瞬間、DL9USAが突然599で入感 した。back Sc なのか何なのかわからないが、ほんの20秒ほどのことであった。「何かが起きそうな雰囲気」を感じ取った私は、 そのままワッチを続けることにした。10:32 先日お世話になった DU1/GM4COKが入感し始める。最初は419だったシグナルは、数分の間に一気に強くなり、10:37には599となった。JAがScでオープンするときは、いつも東南アジアが強く開けている。「チャンスかも しれない!」同じことを考えたのだろうか、ローカルのbig gun各局がほぼ同時にCQ DXを出し始めた。私はSM7AEDをワッチすることに した。彼のCQに誰も応答しないようでは、私が何をしても無駄である。 SM7AEDがスタンバイ。しかし、何も聞こえてこない。「ダメか?」 と思った瞬間。彼は「QRZ?」と打ち返した。そして、少し時間をおいてからもう一度。どうやらアンテナの方向を微調整していたようである。「さあ、早くピックアップしろ!」私は全神経を耳に集中した。「JA...., UR 559, BK」予想した通り、SM7AEDをコールしたのはJAであった。10:40から約20分間、SM7AEDはJAから呼ばれ続け、いつも559-579のレポートを送っていた。しかし、私には全く聞こえない、、、。何度もビーム方向を微調整したが、結果は同じで あった。QSBの山がくると、何かCWが聞こえていることはわかる。 しかし、符号として認識できるほどの強さはない。私は昨日以上に、 完璧なまでの無力感に襲われた。「Scは打ち上げ角がポイント」 とどこかで読んだことを思い出した。今日のシグナルが受信できないようであれば(非常に強いScだったらしい)、私のアンテナでは、今後もScによるQSOは難しいだろう。「10eleはともかく、6eleぐらいなら何とかなるか、、、?」私は良からぬことを考え始めた

2002.02.20 (Wed)

昨夜からSM7には寒波が訪れた。時々雪も舞い、今朝はかなり冷え込んだ。気温と同様に、バンドも完全に冷え込んでしまい、今日はローカルの声さえ聞こえなかった。そして、もうひとつ冷え込んだものがある。それは私の心だ。昨日のダブルショック(Project J の失敗+ScでJAが受信できなかった)をまだ引きずっている。私の心の中を象徴するかのように、午後から雪が激しくなった。しかし、 落ち込んでばかりはいられない。明日もアンテナ作業ができるように、屋上の雪かきをしてから帰宅した。


Magic Band in Sweden (6) へ つづく



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Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) & Hideki SUZUKI, M.D.(JN1BPM) ,2002