山崎先生の運用記です.記されている時間は特に断りのない限り現地時間(冬季なのでUTC+1時間,JST-8時間)です.


屋上へ出る扉のすぐ内側のちょっとした空間でQRVしています。手頃な大きさの空間で、扉を閉めれば暖かくて快適です。 リグはICOM IC-706MK2G(100W)

Magic Band in Sweden (2)

編註;先生からいただいた音声ファイル(AIFF形式)は
小生がMP3形式に編集しております.概ね100KB以下です.

なおビーコンにつきましては、こちらにまとめてあります.

2002.1.27(Sun)
早朝から研究室の屋上でワッチ開始。非常にコンディションがよく、EY8MMUK9AAが4時間以上(8時から12時?)入感していた。EY8MMは非常に安定していて、終始59だったが、UK9AAは長い周期のQSB を伴っていて、落ち込むと全く聞こえないが、良くなってくると59という状況。週末ということもあり、両局ともEU各国から超ドパイルを浴びていた(パイル自体はほとんど聞こえない)。私も30分以上呼び続けて、やっとQSOできた。少し遅れて UN3Gが出てきたが、先の2局ほど安定していなかったため、呼ぶ局が少なく、あっさりとQSOできた。 11時頃を境に、コンディションが急激に変化し、Eu各国が back Sc (?) で弱く聞こえ出した。私のところでは、特に9A1CCYが北東方向から559で入感し、すぐにコールしたものの、「Z?」、「SM?」という応答があった直後に消えてしまい、QSOには至らなかった。

その直後、コーヒーを飲むために2階下の研究室へ戻り、何気なくWeb Cluster を見る(左のように端末はiMac;編註:医療分野はMacintoshがどの国でも使われているのですね!)と、PZ5RA(スリナム) がレポートされた瞬間だった。急いで屋上へ戻り、アンテナを東へ向けると、PZ5RAがローカルかと思えるほど強力に入感。焦ってマイクを握ったその時、PZ5RAは「50.125-50.130 のどこでも好きなところでコールしろ」とスプリットを指定。次の瞬間、この5 kHz は蜂の巣をつついたような騒ぎになり、いったい何局がコールしているのかわからない!。私がダイヤルを 50.129.50 にセットし、さあコールしようと思った途端、PZ5RAとEu中のパイルは、跡形もなく消えてなくなった。Web Cluster によれば、その後も Eu 南部からドイツでは強力に入感していたようだが、こちらではほとんど聞こえなかった。QSOできなかった悔しさよりも、「これが6mなんだ!」という感動の方が大きかったように思う。

2002.1.28(Mon)
今日は朝から大粒の雨が降り、全くバンドが開かなかった土曜日と同じような天候。雨の中でアンテナを立てているときに、「今日はダメかな?」とも思ったが、「そんな弱気ではいけない!」と気合いを入れて6時半からワッチを開始。しかし、悪い予感が的中するかのように、バンド内は静まりかえっていた。昨日はうるさいほど聞こえたバズ音もまったく聞こえず、1時間弱で一旦ワッチを止めて休憩することにした。研究室に戻ってコーヒーを飲んでいると、Eu Web Cluster に EY8MM がレポートされた。屋上に戻ってワッチを再開すると、「これが同じバンドか!?」と思えるほど状況が変わっていた。この間、たった15分!EY8MM 50.121/599、 EY8CQ 50.090/559、UK9AA 50.107/57、が強力に入感し、バンドのあちこちでバズ音が聞こえている。SM、OZローカル各局も CQ DX を出し始め、「さあ、これからだ!」と気合いを入れたところまではよかったが、さっぱり後が続かない。この3局は既にQSO しているので、ワッチに専念することした。一瞬だけ 50.110でEX8MLEの CQが519で入感したが、その時点で呼んでもピックアップされるとは思えなかったのでコンディションの上昇を待ってしばらくワッチ。しかし、私の期待を見事に裏切るようにEX8MLEのシグナルはさらに弱くなり、2度と聞くことはできなかった。 しばらく膠着状態が続いたため、再度休憩のために研究室に戻り、Web Cluster を覗いてみたものの、特に大きな変化はない。ゆっくりと今朝2杯目のコーヒーを飲んでから屋上に上がると、50.140に 59で入感する強力なシグナルを発見。「どうせローカルだろう」と思い余裕で構えていた私は、次の瞬間、思わずマイクを握り締めました。「HZ1MD, QRZ?」、「.....(Eu のパイル) .....」。2分前に私が見たときはWeb Cluster にはレポートされていなかったが、この時点では既に大パイル!Eu のあちこちからのコールも back Sc で伝わってきていた。急いでアンテナを南東に向け、早速私もパイルに参戦!OH,LY に 連続してコールバックが返っていく。「今は北部Eu にパスが落ちている!」、「今がチャンスだ!」と、今日一番の気合いを入れてコール。「SM7XQZ!!」。「SM7..」のコールバックを聞いて、思わずガッツポーズをしながら「Yes!!」と叫んだのだが、「SM7***(編注:日本でも有名な局ではない)」と続き、ガックリ。少し喜ぶのが早すぎた(笑)。「よーし、次は自分の番だ!」と気を取り直して SM7*** との QSO が終わるのを待っていると、何とSM7***が QSLのことでHZ1MD に押し問答を始めた!! 「そんなもの後でインターネットでアナウンスしろよ!」、「せっかくのコンディションが、、、!」と、私はただイライラしてワッチするしかない。SM7***が納得 ?して引っ込むまでに、 3分以上かかっただろうか。再び「QRZ?」がアナウンスされたときには、既にHZ1MD のシグナルは 55 まで弱くなっていて,コールバックはDL, OE, LX へと連続して返るようになり、パスが落ちる場所が移動したのは明らかだった。次の数分間でシグナルはさらに弱くなり、やがてノイズだけが残ったた。この間、最初から最後まで20分弱の出来事だった。Web Cluster によれば、DLでは引き続き入感していたようだったが、こちらでは2度と聞こえなかった。今回のHZ1MDは、昨日の PZ5RA を逃したときとは状況が異なる。SM7***の非常識に対する憤りを、数時間経った今でも抑えることができない!Web Cluster にも、 sm7***は chatting abt qsls....」と嫌味たっぷりにレポートされてた。後味の悪い終わり方にうんざりしながらも、もう少しワッチを続けたが、 UY8HFの CQ が一瞬419で入感しただけで、結局今日は1局もQSO せず、10時 にQRT 。 ところで、今日はひとつ興味深い発見(?)をした。上記の通り、中央アジアからは EY8MM, EY8CQ, UK9AAの3局がそろって入感したが、終始安定していたのはEY8MM だけで、私が聞き始めた 7時55分 から、QRTするまで常に 59(9) で入感し、まったく落ち込みがなかったが、EY8MM,EY8CQは、同じ都市から QRV しているにもかかわらず、一方は常に安定、他方は常に不安定というのがわからない。同じ都市からとはいうものの設備の差が大きいのだろうか?また、EY8CQとUK9AAの QSB の周期は完全に別のもので、 両局が同時に落ち込むこともあれば、一方だけということもあった。そんなことに興味を持って詳しく観察する私は、根からの理系なのだろう(笑)。

EX8の謎

(編註)ここで皆さん、月曜にEX8が聞こえている点、疑問に思いませんか?JAでは「火曜日の珍局」と言われていますが、他の日もQRV可能なのでしょうか?私(JN1BPM)は、先生に問い合わせてみました.

「火曜日の珍局」という記述を JA1RJU局のホームページで拝見しました。しかし、私は28日(月)07:00UTC 頃にEX8MLE のシグナル をこの耳で確認しました。間違いありません。また、Web Cluster では、27日(日)も29日(水)もEX8MLE がレポートされています。そこで、以下の可能性を考えてみました。
  1. 火曜日しか QRV できないというのはJA向けの言い訳?
  2. JA 方向には火曜日にしかビームを向けない。(問題の地元テレビ局がJA方向にある)
  3. 火曜日以外の EX8MLE はパイレート
  4. 火曜日以外は、地元テレビ局のカブリを受けながらも、頑張ってQRV している
もちろん何の証拠もなく、カブリがどの程度ひどいのかわかりませんが。JA1RJU 局のホームページの情報では、3:00-6:00UTC (12:00-15:00 JST) に地元テレビ局が停波するそうですが、停波する時間が変更になったのでしょうか?6mにアクティブな局ですから何となく(4)のような気がします。
2002.1.29(Tue)
今朝も強い風が吹いていたが、風の止んだスキを利用して何とかアンテナ作業を終了。7時にワッチを開始したときは、UU5SIX のビーコン(50.080;KN74)が 419-519 でかろうじて入感しているだけだったが、しばらくして東から YO3KWJ のビーコン(50.075;KN34)が 559-579 で聞こえ出す。 コンディションの上昇を期待してワッチを続けると、7時半頃から YO, LZ, 9A, I, EA の Eu 南部の各局が、同じく東からのback Sc(SM7AED は彼のホームページで Es と書いている)で55-57(9) で入感。(Eu 北部の局は聞こえず。)しかし、彼らが呼んでいる相手局のシグナルが全く確認できない。Eu南部の各局は 59 のレポートを送っているが、何度もしつこく自分のコールサインを繰り返している。どうやら、相手の受信状況が極端に悪いようだ。9A某は数分間にわたり自分のコールサインを繰り返した後、とうとうブチ切れてしまい、「You are really deaf!」と怒鳴って いた。いったいどこと QSOしているのか知りたくなり、6階の研究室へ降りてWeb Cluster を見る。その周波数には EX8MLTがレポートさ れていた。次の瞬間、昨日逃したあのHZ1MDの文字がスクリーン上に現れた。DL、そしてSP からのレポート。「今日は南から来たな!」「待ち伏せしてやる!」と気合いを入れて屋上に戻り、アンテナを南東へ向けて待っていると、少しずつ何か聞こえ始めた。8時5分にHZ1MD のシグナルであることを確認。DL, SP, OH, SM の順にコ ールバックがあり、「今だ!」とばかりにコールすると、2回目に応答あり(57/57)。「これで昨日の借りは返したぜ!」と独りでつぶやきながら、待ち伏せ作戦が成功したことに満足する。その後、HZ1MD は若干のQSB はあるものの、30分ほど安定して入感し、昨日のようにどこかへ行ってしまうことはなかった。連日強力に入感する EY8MM は、Web Clusterでは少し前に既にレ ポートされていたが、SM7でシグナルが確認できたのは、HZ1MDとほぼ同じ時刻の8時10分であった。この時刻は、現在のSM7の日の出の時刻とほぼ一致し、ここ数日の経験から、やはり50MHzでも日の出の直後にコンディションが大きく変化することを知った(DXerにはとっては常識か?)。そこで、同じ中央アジアのEX8 も聞こえ始めたのではないかと予想してダイヤルを回すと、見事に予想は的中。EX8MLTが 57、EX8MLEが 539 で入感している。両局とも数分周期の深いQSBを伴っていて、落ち込むと何も聞こえない。JAからの設備を共有しているとの情報どうり、交代で(しかも運用周波数を変えて)運用しているようである。VFO Aと VFO Bをそれぞれの周波数に合わせて、二股コールを開始。EX8MLEを呼ぶ Eu の back Sc が聞こえているにもかかわらず EX8MLEが CQを繰り返したため、「アンテナをEu方向に向けないか、受信能力に差があるのでは?」と判断し、EX8MLTだけに狙いを絞る。EX8MLT からのコールバックを聞いていると、YO, 9A, I 等の Eu 南部に 連続して返る時間帯と、SM,DL 等の Eu北部が連続してピックアップされるときがあることに気付く。さらにQSB の周期が重なり、 入感状況をややこしくしている。じっと息を潜めてタイミングを待つことしばし、ついにその瞬間が来た。QSBのピークで Eu北部にコールバックが返っている。「SM7XQZ!!」、自信を持ってスタンバイすると、「SM7...」の応答あり。「Ye...(Yesと言いかけた)」、「ちょっと待て、昨日のことがある」と落ち着いて続きを聞くと、案の定「...BAE」と続く。ピックアップされたのは、ローカルの有名DXerSM7BAEだった。次のチャンスを持つことに。EX8MLTをコールする局の back Sc と EX8MLT から のコールバックを注意深くワッチしていると、G,EA がほとんど聞こえないことに気付く。「今日のオープンはFの一部より東だけで、それより西には届いていないのではないか」と推理していると、それを裏付ける事が起きた。何と EX8MLTと同じ周波数で F某局が CQ DX を出し始めた。当然多くの局から注意を受けていたが、その局は本当に EX8MLT のシグナルを確認できない様子であった(単に耳が悪いだけかも?)。50MHzの面白さと難しさの両面を、一度に見た気がした。その後も、何とかしてEX8MLTを get すべく、パスの移り変わりと QSB の周期を計ったが、なかなか両者のタイミングがうまく合わない。時間だけが過ぎていく。無線は毎日遅くても10時までに切り上げると決めている。残り時間もあとわずかとなったそのとき、今日2回目のチャンスがやってきた。SM,LA へコールバックがあった直後、「SM7X?Z」と応答あり。慎重にコールサインを2回繰り返す。「OK, SM7XQZ,You are 59.」、今度こそ自分に間違いない。EX8MLTを get !「Yes」と言う代わりに、小さくガッツポーズをしてから無線機の電源を切った。9時58分のことだった。でも、同じ設備を共有しているのなら、なぜ、EX8MLEとEX8MLT のシグナルの強さと受信能力に大きな差があるのか?という疑問が残った。

2002.1.30(Wed)
昨日の素晴らしいコンディションが嘘だったかのように、今朝のバンドは静まりかえっている。Web Cluster にEY8MMがレポートさ れるも、SM7 では影も形もなし。EY8MM本人も「EU very weak today」とコメントを載せている。その言葉がすべてを語るかのように、何も入感せず。ローカルの有名 DXerのCQ DX もずっと空振りが続く。唯一入感したUN7GM も、ピークで 579 まで上がるものの、シグナルは不安定。コールする局もあまりいない。今日は、大学院生の実験を指導する予定があり、9時でQRT。 アンテナを下ろし、無線機を片付けて、「さあ、実験だ」と気持ちを切り替えた直後、大学院生が「実験の手順を間違えた」と言うではないか。どう頑張ってみても、今日の実験は無理と判断した。心の中で、「そういうことは、アンテナを下ろす前に言えよ」と思ったが、もちろん口には出さなかった。Web Cluster を見ると、JY8がSPとSM北部からレポートされた。「聞こえている可能性は大だ」、「もう一度屋上へ・・・・?」。しばらく悩んだ結果、今日は初志貫徹、そのままQRTとした。次からは、失敗がないかを先に聞いてからアンテナを下ろすことにする。
アンテナは QRV後にマストから外して、風の来ないところへ置いています。


Magic Band in Sweden (3)


もどる

無断転載・引用を禁じます

Copyright(c); All rights reserved :
Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) & Hideki SUZUKI, M.D.(JN1BPM) ,2002-2003