RS-13 Mode-T

ROBOT! Are you recieving me?

註:2002年8月20日ごろより、RS-12/13は残念ながら運用を休止
残念ながら回復は望めないようです.苦闘の記録としてご高覧下さい.

古豪TS670復活!
ROBOTよ、応答せよ!


▲RS-12/13
2002年2月20日、ロシアの衛星、RS-12/13は、,RS-13がMode-T (21.260 - 21.300MHzUp/145.860 - 145.900MHzDown)に変更になりました.ARRLのVUCCアワードでも、RS衛星のHFでのコンタクトも認められます.AO-40の練習を兼ねて、RS-13のMode-Tに挑戦してみることにしました.しかしそのためにはHFに出るリグを用意しなければなりません・・・・


TS670!復活せよ!
 
 良く考えると、昔、愛機TS670が、あんな大仕事をして昇天(電源が入らない)し、続く愛機TS690も手放してしまい、もう21MHzに即QRVできるリグを持っていないのです.昔からHFをやり始めたら最後、絶対のめり込む性格(笑)なので、たぶんDXCCなどに心血を注ぎ、生活も省みなくなるでしょう.ずっと自分を抑えてました.でもRS-13のMode Tに出てみるには、21MHzのSSB/CWのリグが必要です.オークションをいくつかあたりましたが、どれも高く、ピコ21では無事アップリンクできるかちょっと出力に不安です.どうしようかと思っているうちに、部屋の片隅にオブジェと化しているTS670の姿をみつけました.「こいつが動けば10Wでるんだけどな.」と思い、久しぶりに電源を入れてみました.しかしダメです.周波数表示はされません.でもシグナルメータのランプがついていることを確認しました.これは電源部の接触不良なだけ?かも.何気なくGoogleで、「TS670 故障」で検索してみました.すると私とまさに同じ症状を呈していた局の記事を発見!でも修理に13K円!!そんなに!?私はあきらめてオークションで中古を探すか、TS670を壊すのを覚悟で直すのと二者択一を迫られました(笑).でも読み進めると「結局は電源スイッチの接触不良」だったとの記載!これなら素人の私でも直せるかもしれません.
 
 さっそくバラしてみました.スイッチは一体となっていて手が出ません.ここであるヒラメキが頭をよぎります.「このスイッチに空いている隙間から、KURE556を吹き付けたら、案外これだけで直るんじゃないか??どうせ壊れたとあきらめていたんだから、これで電源が入ればもうけもの!」
やってみました.おそるおそるスイッチを入れると・・・・電源が入りました!外部スピーカの調子は悪いですが、まだファイナルは生きているようです!古豪TS670復活!これで21MHzで送信できるぞ!画像は復活TS670の雄姿!それにしてもKURE556一吹きで、13K相当です(笑)

 

▲古豪TS670復活!
教訓:
古いリグはたまには火を入れるべし
アンテナ・・・!?

 さて次はアンテナです.でもあまり大きなアンテナは上げたくありません.もしDXが聞こえるような「立派」なものでは、きっとDXにハマってしまい、ヤバイので(笑) モービルホイップはアースを取るのが面倒だし・・・・RS-13の21MHzの受信機は性能が良く、微弱な電波でも拾ってくれるそうです.小さなアンテナで良いものはないだろうか?とオークションを漁ったところ、L型GPの新古品を見つけ、2月下旬無事落札できました.しかし、この年の予想を上回るポカポカ陽気による花粉症で外に出る気も起きず、なかなか作業ができませんでした.意を決し、鼻水と目のかゆみに悩まされつつも作業をし、やっとの思いで、昼休みを利用して、3月6日上げることができました.TS670から無事電波は出るみたいです.あとはチャレンジするのみです.

古豪TS670でMode-Tに参戦!


 まずは、JO2OXL落合OMのHPにRS-12/13のことが詳しく説明されているので、良く読むことにしました.(このページはRS衛星のアクセスを考えている方は必読です.)まずは実践してみようということで、3月6日の18時台のパスに挑戦してみました.仰角88度とほぼ天頂パスでした.勝手が分からず、空いてそうな周波数を見つけてCWでCQを出しました.(こともあろうかこの時マイクがみあたらなかったのです.なんと数日後自宅の物置で発見.引越しの時にまぎれた模様.)さすがに仰角が低いとL型GP(+古豪TS670の数W)では届かないようです.(衛星から送出されている145.862MHz+ドプラのビーコンは強い)そうこうしているうちに仰角が高くなると自分のDownlinkをやっと捕まえました.(21.260-300MHzが、145.860-900MHzに変換されてきますが、AOS自分の21MHzの送信周波数の下二桁KHzの3-4KHz位上を探すのがコツです.また145.86,145.88,145.90には違法トラッカーのFMが多いので、この周波数付近がDownlinkとならないような送信周波数のキープがコツでしょう.)そのままCQを出していたら、突然JA2JOJに呼ばれ、交信成立!2mの受信とはいえ、CWのドップラシフトは結構シビアです.次の仰角10度程度のパスにも挑戦しましたが、最高仰角のあたりで弱くDownlinkを確認できただけでした.やはりL型GPでは、仰角が高いパスでないと厳しいようです.UO-14は天頂近くだと混信が多くて通りませんが、その逆なんですね.仰角の高いパスを狙い翌朝5時に起きて(笑)CQを出したら、石川県のJH9TJTに呼ばれ交信成立.さすがに5時はバンドが空いていてdownlinkもすぐに見つかります.(笑) その数日後、マイクを見つけ、夕方のパスでSSBでCQを出していたJA6PLと交信しました.CQを出している局に合わせるUSBのチューニングはなかなか難しいです.これはAO-40用の練習にいいかも.FM衛星とは違い交信は疲れますが、刻々と変化するドプラシフトが「衛星通信」を実感できます.すっかりRS-13にハマってしまいました.

ROBOTよ、応答せよ!

 RS-12/13には、ROBOTと呼ばれる「CW自動応答装置」が搭載されています.あたかも地球を回る知的生命体のように.このROBOTについても前述JO2OXL落合OMのホームページ詳しく紹介されています.今度はこのROBOTに挑戦することにしました.ROBOTの周波数は145.908MHz(実際にはドプラがあるので908KHzプラスマイナス3KHz)で、動いているときにはCQが「CQ CQ DE RS13 QSU 21140KHZ AR」のように、一分おきに聞こえます.AOS直後は、衛星のビーコンだけで、数分するとこのROBOTのCQが始まります.最後にROBOTが打ってくる周波数が、彼の聞く周波数なので、ここで送信すると、同時に自分の応答CWも一緒にダウンリンクして聞こえるそうです. まずは、仰角の低いパスで挑戦しましたが、まったくROBOTに届かないのかQRZ?すら返ってきません.ならば今度は、ほぼ天頂パスで挑戦してみましたが、打ち上げ角の関係なのか、断片的な自分の応答がdownlink周波数で聞こえたのみでした.仰角50度程度の夕方のパスを狙ってもやはり断片的な符号しか返ってきませんでした.早朝5時頃も含めて何度か挑戦してみましたが、私の運営するBBS「無軌道庵」を訪れて下さるJH3DJX牧田OMや、これまで数々のRSシリーズのROBOTと交信されているJK1DVX佐々木OMにもアドバイスをいただきました.

 コツをまとめると
  • 仰角の低いパスは電離層の関係で音が濁るので応答率が悪い
  • 自分のダウンリンクの音が濁っていると反応してくれない.
  • ROBOTの指定する周波数21.140MHzだが、CQが聞こえ始めたらドプラを勘案して少し低め(21.139〜140MHz)で送信してみる
  • 21.140MHz付近に混信や雑音があると、ROBOTは理解してくれない.競合する局がいる時も良くない(夜中のほうが競争率が低い)
  • 試しに「RS13」とだけ打ってみて、「QRZ?」を打ち返されればROBOTに届いているので、更にコールを打ってみる
  • ROBOTは、QRSして打つと、速度をそれに応じて可変してくれるので、自分の受信能力に応じて可変して打ってみる.速く打ってもダメ.
  • GPであるなら仰角は50〜60度程度を狙ったらどうか?(八木など、ビームアンテナを使えばもっと低くてもできる)
  • それでもダメなら50W程度にQROしてみる
ということでした.でも私は格好の50度のパスでも失敗したので、こうなると残された術はアンテナを変えるか?QROするしかない?のかもしれません.

  3月28日サッカー日本代表vsポーランド戦をテレビを深夜2時過ぎまで見ていました.軌道表を見れば、深夜3時にRS-13のパスがあります.仰角も60度近く.好条件です.21MHzを聞くと閑静なものです.これならできるかもしれない!と思い、その時間まで待つことにしました.
 AOS後、RS-13/ROBOTのCQが聞こえ出しました.試しに21.1392MHzにあわせ、「RS13」とだけ打つと、これまでにないほど強く私の符号がdownlinkされてきました.しかもROBOTは「QRZ?」を返してきました!これはいけるとばかりに、はやる気を抑えてゆっくりと「RS13 DE JN1BPM AR」と打ってみました.明瞭に自分の符号もdownlinkして聞こえます!

 ROBOTは、ついに私のコールを打ち返してきました!「JN1BPM DE RS13 QSL NR0345 OP ROBOT TU SW QSO NR 0345 73 SK」

0318JSTついに交信成立!深夜で他に誰も呼ぶ局がいなかったこと、QRMが少なかったのが勝因のようです.
私のLOGに初めてアマチュア局以外の「station」が書かれました. 早速QSL MgrのRK3KPK局にQSLを送りました!



▲CALSAT32で計算させた、交信時のRS-13の位置:図の青点です.日本近海上空を飛んでいたのですね.RS-13のOrbit#55876のパスでした.

▲印刷はまるで子供のころの「メンコ」みたいな雰囲気.
ソ連時代のレトロな感じです
一月弱で、RK3KPK局より、ROBOTのQSLカードが届きました.それが左です.
以前のRS衛星時のカードを流用しているらしく、ROBOT-10の「10」が「13」と手書きされてます.「ROBOT」 の文字の上下にある「5」と「7」の文字は緑の丸いテープで覆ってありました.同封されていた手紙によると、カード請求の際は「ORBIT-#」も記載するようにとのことです.

なおROBOTのaddressは「cosmic(宇宙)」と書いてあります.(笑)

この衛星はとてもユニークです.末永く運用を続けて欲しいものです.ROBOTは、青少年の皆さんが宇宙に興味をもつ格好の「教材」だと思います.私のような10W+GPでも、ROBOTに十分コンタクト可能です.ぜひ挑戦してみてください.20世紀のロシアの科学者達の、我々への楽しいプレゼントです.

2002年5月8日 追記

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