「医療人のための群馬弁講座」特講

2005年 チャレンジャーズチームの熱戦の数々


チャレンジャーズチームのサテライトリーグでの奮闘を
「まっさか!なっから!ザスパ!!」としてレポートするで.




■ 2005年5月15日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ第6日

鹿島アントラーズ 1−1 ザスパ草津

ひたちなか市総合運動公園陸上競技場 1342人

挑戦者たちの初陣

 ついにこの日がやってきたんね、チャレンジャーズチームの初戦。ザスパは仙台・鹿島・浦和・東京V・新潟とホーム&アウェイ方式で10月末まで戦います。個人的にはここ2年ほど某チームのサテライトを定期的に観戦してきたけれども、サテは地味ながら面白い。サテで成長した選手がトップで活躍していく過程をじかに感じることができるのもサテならではの魅力だぃね。相手は奇しくも奥野さん率いる鹿島。鹿島のサテは奥ちゃんが監督をしているのです。 奥ちゃんにとっては本当に記念すべき一戦になるんべな…。
 ひたちなかは笠松よりもさらに、ちとばかり遠いんさ(泣)。私は常磐道にて北上、 お昼をとろうと思って友●SAに寄り道。すると、そこにはザスパバスが!!!トップのバスと共有している模様。私は車から降りて急いでザスパバスに向かい、なんとか写真だけ撮ることに成功。今考えれば思いっきり「今日は頑張ってくんな!」って叫べばよかった(後悔)。それにしてもサテは 草津から渋川→関越→外環→常磐→北関東道というルートで来んのかねぇ。北関東道がきちんと全区間開通さえすればこんなややこしいことしなくて済むんにね(苦笑)。 ザスパバスを見送ったあとはSAでジャンクフードを満喫し、到着したのは13:00。確か正面に駐車場があったんだよなぁ…と思いつつそばまで来ると「満車」の文字が。誘導されたのは少し離れたところ。草が生い茂る荒地に車を停めると、運転手氏が「アウェイの洗礼じゃ」とぼやく。とは言ってもここの駐車場、 9割は鹿サポの車みたいだけど(- -;) Jに昇格してから事あるたびに「アウェイの洗礼」という言葉をやたら発するザスパサポ。とても愛おしく思うんさね(笑)。会場で鹿サポさんに聞いた話によると、この日は同じ敷地内でバレーボールや他の競技の大会が行われていたとか。まぁそれでも止める場所が確保されているから立派だけどね。もちろん無料だし。
 サテだというのに全てが立派だったひたちなか。ピッチの芝からしてご立派、青々と茂ってるんさね。もちろん椅子だってキレイ。敷島より劣るスタジアムに巡り会ったことがないなんてなぁ…トホホ。ちなみにひたちなか開催記念(鹿島のサテは1年に1回だけひたちなか開催なんさ)としてランチボックスを頂く。ザスパのホームゲームではまずありえないやね(苦笑)。
 いざ、中へ。ザスパサポはざっと50人〜70人といったところかねぇ。一目でザスパサポと分かる人までなると30人いるかいないか。一番サポらしきゾーンには前日のトップの試合で寄せ書きしたビッグフラッグ(チャレンジャーズチームに応援メッセージを!って企画あったんべ?)が置いてあり、私も少しだけ振らせてもらいましたがなんだか不自然だったのですぐやめちったんよ、ごめん(苦笑)。最初はそこにいたのだが、もう少しセンターライン寄りに移動してメモを取りつつ見ることに。実は前日の夜、こっそり選手一覧を手帳にメモっといたんさね。予習ってやつよ(笑)。ここは陸上トラックがあるものの、ライン際まで来ると選手の表情がよぉーく見えるんさ。選手のウォーミングアップも間近で拝見。するとコーナーポストのあたりによく見かける選手が…(佐田)そーたろーと(堺)よーじでないかい!!!!! 全員チャレンジャーズチームではちょいと不安だったので2人の姿を見てホッ。サテは主催チームによって多少異なりますが、鹿島の場合は試合開始前にスタッフからメンバー表が手渡しで配られます。電光掲示板なんてないからこのメンバー表が全て。スコアボードはなぁに、敷島(サッカーラグビー場)と大してかわんないやね…ってここはサテか(苦笑)。
 さて気になるスタメン。フォーメーションは4-4-2。GKから順に…(かっこ内は勤務 地です)●GK 1 棗(もくべえ)●DF 9 杉山(ナウリゾートH)/5(CP)柳澤(かんぽの宿)/4 富松(スパックス) /2 野口(奈良屋)●MF 18 諸/7 高向(光泉幼稚園&ベルツ)/8 後藤(ベルツ)/13 豊原(草津CC) ●FW 11 樋口(ナウリゾートH)/10 佐藤(かんぽの宿)ベンチはGK21近藤、DF6三上、MF15佐田、FW16堺。よーじはFW登録です(^^) 相手の鹿島はメンバー表を見る限り4-5-1ですが、実際は11大道、27中島の2TOPだった感。鹿島はスタメン4人がユース、残り7人はトップの選手(その7人中3人が今春ユースから昇格)。一緒にやっている時間は急造のザスパチャレンジャーチームより明らかに長い為チームとしての完成度は高いはず。…というわけで序盤からアクセル全開で攻めてくる鹿島。なんと前半3分でゴール前、ドフリーだった大道にゴールを割られ1-0で鹿島先制。大道くんって、現在鹿島ユースの3年生なんですけど...ゴール前で目まぐるしく動く鹿島の2TOPをなかなか抑えきれない草津DF陣。しかし、このザスパチャレンジャーズチームは一方的に押されっぱなしで終わらなかった。はっきり言ってラフプレイの連続。J2はJ1に比べて荒い、とよく言われるけどサテはお話にならない位すごい。ちなみにこの試合で鹿島がもらった黄紙は1、ザスパは4。足の速い鹿島攻撃陣を抑えるのにとにかく必死でした。その必死さがチーム全体に伝わったのだろうか、やがて押され気味ななかでも何回かチャンスを作ることに成功。前半からCK、FK等多数有。チャレンジャーズチームのキッカーは主に7高向。時には2野口が蹴ることも。試合開始直後はMFの4人がかなりフラットな状態だったのですが、やがて18諸と7高向のWボランチ、少し張り出した形で右に8チェリー、左に13豊原の高卒コンビが2列目に。チェリー&豊原は両サイドから積極的に攻撃を仕掛けていました。サイドチェンジも多く、見ていて楽しかったです。結局前半は「鹿島ペースだけんど草津も頑張ってんじゃん」という感じで終了。
 そして後半。互いにメンバーチェンジは無。鹿島は後半になるとあまり走らず、細かいパス回しで攻撃を仕掛ける。草津は戦術とかそういうのは抜きでとにかく走り続ける。鹿島で個人技で勝負を仕掛けるのなら、草津はとにかく「戦う気持ち」を前面に剥き出しにしてくる。たとえラインを出る可能性が大きくても全力で追いかける。GKにまで無謀なまでにプレスをかけにいく前線の選手。さっきまでゴール前にいたと思ったら全力で自分の位置に戻っていく選手(すごいよ、チェリー!)。後半になっても衰えないスタミナ。はっきりいってここがザスパのトップとサテの一番の差だぃね。そんななか後半15分にアクシデントが。実はこのときザスパはゴールネットを揺らしていたのですが、ホイッスルが鳴りノーゴール。シュートの前に18諸大一のハンドをとら2枚目の黄紙→退場になり10人で戦うことに。そこでザスパも次々と選手を替えていく。まず後半21分に野口OUT三上IN、後半25分に豊原OUT佐田IN。10佐藤を2列目に下げて11樋口の1TOP気味に。相変わらず一進一退の展開だけんど、あのがむしゃらさを見るとゴールのニオイがする!
 しかし…ゴールの匂いの前にポツポツと降り出した雨。遠くでは雷も。雨足は徐々に強くなり、観客も屋根の下を求めて一気に移動しはじめる。スタンド下部はガラガラになり、風も吹き心も体も寒いなーなんて思っていたら後半34分に待ってました!佐藤OUTよーじIN!!おー、よーじ、トップで思うように試合に出られない鬱憤をここで晴らしちまってくんな!と思っていたその1分後。右サイドから(多分高向)のセンタリングによーじがヘッドで押し込み土壇場で1-1の同点に!!!あちらこちらで数は少ないけれども、ザスパサポが立ち上がり雄叫びをあげる。よーじや他の選手もピッチ上で歓喜の輪を作り大騒ぎ!
 すると…今まで一切コールのなかったこの試合が急遽応援合戦と化することに。まず鹿島サポがいきなり「(ドンドンドドドン)かっしーまアントラーズ!」元々の数が多いからよく聞こえやがる。するとこっちからも「(ドンドンドドドン)ザッスーパくさつ!!」のコールが始まった。それまでは座って観戦していた我らだったが、いてもたってもいられず急いで加勢しに。雨足が徐々に強くなりつつあるなか、互いの応援合戦も激しくなってきた。遂に鹿島が『聖者の行進(きせきーをーおーこーせぇー、って曲)』を歌いだす。この曲を唄うときというのは鹿島にとって劣勢であり、どうにかして勝ってほしいという状況下であることが多い。この曲をザスパのチャレンジャーズチーム相手に歌わせるのだからザスパも立派なもんだよ!!草津はコールの種類が豊富なわけではないので(苦笑)、太鼓+基本的なコールでの応援だったけど選手も必死ならサポも必死だったんよ。
 結局試合は1-1のドローで終了。同点になったあとも逆転を狙って必死に攻撃は続けていた。ただ唯一気になったのは、必死なわりにはマイボールになったときにあまり急いで攻撃を始めていなかったこと。もしかして引き分け狙いだったのか?確かにアウェイ&格上相手なので引き分け狙いでも分かる気はするが、欲をいえばあと一歩のがむしゃらさが欲しかった。とか言いつつあのファイティングスピリットには十分すぎるほど心を打たれたけどな(笑)。
 試合終了後、観客席に挨拶にきた選手達。引き分けという結果ではあったが皆いい笑顔をしていた。「輝いて見える」っていうのはこういうことなのかなぁと実感。キャプテン柳澤(もしかしたら高向くんだったかも)を筆頭に整列。なぜかラインギリギリに並ぶ。ちと遠くないかい?と思ったらすぐにもっとサポ寄りにきてくれました(笑)。挨拶するときも何人かの選手から「ありがとうございました!」等の声が。特に高向くんには筑波大時代の仲間&関係者(そしてダンマクも!)が来ていたようで、試合後にスタンド越しで談笑していたのが印象的でした。奥野さんがこっちに挨拶に来てくれるかなぁ…とほのかな期待もしていたのですが、気が付いたらもう姿がありませんでした^^;私には雨具が何一つなかったため、そのあとは出待ちをせず即帰途へ。個人的にはハーフタイムに売店へ向かう階段で足を捻挫してしまうわ、よーじのゴールシーンは荷物整理をしていて押し込む瞬間を見逃すわであまりツイていない@ひたちなかでした…。だけどあのアツイ彼らを生で見られたことは本当に大きな収穫!トップ同様、サテも応援していきたいなぁと決意を新たにしたのでした。彼らがトップにイイ刺激を与え、トップも彼らから刺激を受け、共により一層成長していってほしい。今週日曜もサテ@埼スタあるかんね!チャレンジャーズチーム、まだご覧になっていない方は是非一度ご覧あれ。【きくり∈東毛】


■ 2005年5月22日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ第7日

浦和レッズ 1−3 ザスパ草津

埼玉スタジアム2002第二グラウンド 1386人

サプライズ!

 2週連続のサテライト観戦。先週は「初戦だから」今週は「近いから」行く予定ではあったが、まさかここまでサテへの愛情が増すとは。いやはや予想外にハマってるんさね。今日はどんなサプライズが待ち受けているのだろうか…。
 そんなわけで先週ひたちなかで捻挫した左足に包帯しつつも、行ってきました埼玉。って館林ICから東北道使えば敷島よりも近いんだけどね、わが家からだと。浦和美園駅を過ぎたところで埼スタのために作ったとしか思えない市道を走り(だって他に車通らないし!)、通常のJの試合では駐車不可能なスタジアム内駐車場に堂々と駐車。ちょっと右に目をやるとそこにはレッズバスとザスパバスが2台仲良く停まってるじゃありませんか。結構観客も集まっている様子。ただし9割がレッズサポ。歩いていると周りからは我らのレプユニを見て「ベイシアだ」と指さされ、バスを見て「ちちや、だってよ(笑)」と笑われる始末。ふん、埼玉の十万石饅頭だってローカルじゃねーかよ(某地方局CMの「うまい、うますぎる」ってやつです)。そんな中トイレ脇でザスパの選手&コーチらしき人と擦れ違う。とっさに会釈などしてみたら向こうも会釈してくれました。本当に礼儀正しいよね、だから好きさサテ(ありがとう櫻田くん!復活待ってるぞー)。
 入場ゲートに到着。サテライトで1,000円って高いよなぁーと思いつつもチケを購入、さらに売店で100円の揚げパン(パンの耳を揚げたものでシナモン、ココア、カレーの3種類。チープな美味しさw)を買ってからいざ第2グラウンドへ。入場時には今日の試合を記念して作られたレディアくんのプレートとパンフが配られる。プレートいらないから、チケ代安くしてと思う私はセコいでしょうか…。
 キックオフ30分前に中に入ると既に空いているスペースは殆ど無し。まずは観戦場所探しであるが、このグラウンド、なんか他と違う。というのはラインのすぐ脇にロープがあり、その外側でベタっと座って観ることができるのだ。もちろんちょっと離れたところから見る芝生席もあったのだが、せっかくなので見づらいこと覚悟でその「かぶりつきシート」で観戦することに。座ってみると明らかに選手の目線より低い。ロープとはいっても張ってあるわけではなく、ただ下に置いてあるだけなのでとっても緩いんさね(笑)。少しして選手のアップが始まったのだが、近すぎて最初目の前の氏家が分からず「あれ誰だろ?」って話していたのが聞こえてしまった様子。ゴメン、許して…。見渡す限り今日はトップから依田、氏家、御給の3名が来ているようだ。それだけじゃない、いまや迷将の悪名高き?手塚監督やあの大西GMも見にきてるがね。チャレンジャーズチームにはこれとないアピールのチャンス!
 この日もフォーメーションは4-4-2。ただし前節と違うのは中盤がダイヤモンド型になっているということ。GK1棗/DFは右から9杉山、5柳澤(CP)、4富松、2野口/MF19氏家の1ボランチ、右に8後藤、左が13豊原、トップ下が7高向/FW11樋口、10佐藤の2TOP。トップからは氏家だけが唯一のスタメン。あとは全員前節と同じスタメンでした。この試合最初のサプライズは意外にもこのあと起こったのです。それは「浦和のスタメン」発表でした。GK山岸/DFサントス(アレサンドロじゃないよ)、近藤、南/MF酒井、赤星、西谷、横山/FW:岡野、梅田、セルヒオ…なんだか聞いたことある名前がチラホラだと思いませんか?そう、あの野人こと岡野を筆頭にGK山岸(去年はトップの正GKじゃなかったっけ?)、MF酒井(シドニーオリンピックに出てましたよねぇ)。その他の選手もJ1の試合出場経験がある選手がチラホラ。どう考えたって浦和の選手のほうが豪華だし、浦和がダントツ優勢なのはザスパサポだって承知の上さ。しかしジャイアントキリングを得意とするザスパ草津、何が起こるかは最後まで分からない!と期待をこめつつ観戦することに。(実際はそんな綺麗な話ではなく「野人は違反だろー、ひでーよレッズ!よわいもんいじめしてんじゃねーよ」って文句タラタラでしたが;)
 試合開始後僅か2分、次のサプライズはあっという間にやってきました。ゴール左側でちょうどフリーだった豊原が右からのセンタリングにあわせて見事GOAL!!!なんと我がザスパが先制です!!!前節は同じような時間に失点したからねぇ…それが今日は先制だなんて大きな進歩、というか本当にすごいよチャレンジャーズチーム。さすがに浦和も黙っているわけがなく、そのあとは一進一退になりましたが。ただし、トップとサテが見事に混合しているレッズ。チームとしてのまとまりは全く無し。自陣ゴール前でGK山岸と自分とこの選手でぶつかりっこしちゃうしな。声かけあおーぜ、声。今日のザスパを見てみやっせ!浦和はまとまりのない分個人での打開に頼っている感。「個人技」だけでいえば先週の鹿島のほうが怖かった気が…(とはいえ岡野がボール持ったり走ったりするとさすがに怖かったけど)。チームとしてのまとまりに関しては、ザスパのほうが断然上。常に同じメンバーで練習しているわけだし、さすがTMでトップチームに勝つだけあります。とにかくこのチームはボールを持ってからの攻撃が早い!そしてダイレクトパスが繋がる繋がる。ワンタッチで小気味のいい攻撃、今のトップチーム全員にしっかり見てもらいたいやね。で、唯一のトップの氏家選手ですが、攻撃のアクセントになるはずが彼がボールを持つと攻撃止まるんだぃね。誰よりも安易なパスミスやクリアミスしてたで。そりゃねーよ、トップの意地見してくんな!そうじゃなくても同じ時代にジャパンブルーのユニを着ていた酒井と氏家がここで対戦しているというのもなんだか寂しいんだからさ。また彼らは、攻撃だけでなく守りもしっかりしてるんさね。4バックの大前提=片方のサイドが上がればもう片方は残る、がしっかり出来ているもんな。きっと両サイドバックの杉山・野口の連携がいいのでしょうな。ちなみにこれがきちんと出来なかったのが第一クールのトップチームな(苦笑)。前半はCKもFKも殆どなく、やや押されつつも決して浦和ペースでなく「このままなら勝てる!」手応えを残して終了。1-0で草津のリード。
 相変わらずがむしゃらにボールを追い続けるチャレンジャーズチーム。後半もバテずに走り続けることができるのか?きっとトップの選手ー依田や御給を投入するのだろうが、それによってバランスが崩れなければいいなぁ…と心配しつつ後半開始。浦和はいきなり選手交替。あの岡野と酒井を下げてユースの選手投入だと!せっかく後半、野人の走る姿を間近で見る二度とないチャンスだったんに(チッ)。メンバー的には少し楽になった、はずなのだが懸念していた事が的中。徐々に走れなくなってきたザスパに、浦和は容赦なく攻撃を仕掛けてくるんさ。後半はかなりのシュートを浴びたはず。けれど棗くんのファインセーブもあれば、GKが前に出てしまったときはしっかり他の選手がフォローして無事クリアすることもあり。本当に、彼らのチームワークとハートの強さを感じるんだよね。ザスパはなかなか攻撃を仕掛けることができず悪戦苦闘するが、それでも少ないチャンスをものにしようと必死に頑張る。そういえば後半は氏家ワンボランチから高向くんが下がってきて中盤は通常の2-2に戻ってたなぁ。自分の目の前で時々豊原くんが駆け上がっていくのだが、まだ高校を卒業して2ヶ月とは思えないくらいすごく凛々しい表情だった。顔面傷だらけなのだが、目だけギラギラしていて…今、ここで、勝負しているんだ!っていう顔。豊原くんだけでない、きっとあのフィールドに立つチャレンジャーズチームの面々はみんなそうだったと思う。
 後半30分をまわって、いよいよトップの2選手を投入。まずは31分に野口(2) →依田(15)。そして33分に佐藤(10)→御給(20)。2人とも交替した選手の位 置にそのまま入るのでフォーメーションに変更はなし。御給が入って直後、ザス パにしてはラッキーな出来事が!浦和のDF南が選手を倒して黄紙。これが本日2枚目の黄紙だったため赤紙→退場に。南はブチ切れ、山岸は大声で怒りながら主審をド突いて一時はちょっとした騒ぎに。(暴言吐いた山岸にも黄紙あげてよかったんでないかい?)南の退場で11人対10人。残り少ない時間で怒濤の攻撃を仕掛けるザスパ。何かと批判の的にされがちの御給だが(これも愛情の裏返しだと思うんだけどな)、うーん…うーん…頼むから追いつけそうならボールを追ってくれ!途中から入ったんだから体力あるでしょーに。とは言いつつ依田と御給の投入で「これなら追加点を奪える!」という期待は高まる一方。
 最後のサプライズは試合終了直前に待っていました。まずは後半39分。フェイントで相手を交わして抜き去った豊原からの折り返しをFW樋口がしっかり決めて2-0!そうなったら勢いは止まらない。後半43分にはチェリーこと後藤が決めて3-0!!実はこの瞬間頭が真っ白になっていて、アシストが御給になっているのだがそれがどんな形だったのか一切覚えていないんよ。ポストプレーだったのかな?(申し訳ないです…)さぁこのまま逃げ切って初勝利を手にいれんべや!と思っていたら「なぜか」浦和が直接FKをゲット。どうして「なぜか」って?いや、見た限りザスパの選手が倒されたんだぃね。だからてっきりうちのボールになるのかと思ったら…この不可解な判定には周りにいた浦和サポからも「あれはおかしいだろー」という声が。で、この不可解きわまりないFKが見事に決まって3-1。なんだかなー、非常にスッキリしない失点。まぁこれも「事故」だという解釈にしてるけどな(苦笑)。
 その直後に試合終了。立ち上がって喜ぶザスパサポ。今日はさすがにひたちなかのときよりは大勢いるやね。あっという間に去っていった浦和サポとは対照的に、しばらく勝利の喜びを味わせて頂きました♪終了後の挨拶はなんと自分の目の前(2〜3mしか離れていなかったで!)にて。挨拶のあと知人に近寄ってくる選手を捕まえてただのいちサポーターの私も何名かの選手とちゃっかり握手(笑)。特に4番富松くん!笑顔でしっかり握手してくれて好印象でした。
 そんな喜びに浸りつつもその場でクールダウンを始める選手達。その姿をいつまでも見ていたくて、警備員が呆れる中ギリギリまでグラウンドに留まる我ら。ほらほらトップの3人、キミたちだけで固まってちゃダメよ。今日の試合はこの3人にとってどのように感じ、どんな収穫を得たのだろうかが気になるところ。結果はトップの試合で見せてくんなぃ!そして現地に来ていた手塚監督、そろそろチャレンジャーズチームから昇格させる選手を出してもいいんでないかい?なんなら総とっかえでもいいんだで(笑)。もっと言うなら佐野さんと監督チェンジでもいいんだで(爆)。浦和もギドやエンゲルス+トップの選手数名が見にきていたけど、うかうかしていると浦和に持って行かれちまうで、いい選手。個人的にはGK棗くんのコーチングは岩丸にも北にもない、素晴らしいものを持っていると思うんさね。声が通るし、目上の氏家に対しても堂々と「ウジ!!」って叫んでたから。とにかく今のトップチームに新しい風を吹かせるためにも、彼らチャレンジャーズチームからの昇格を期待しております。
 会場をあとにしてからレッズサポの様子が気になり、少しだけ出待ち。サテだからさすがに卵なんて投げないやね、かなりのマッタリムードでした。野人登場時にはレッズサポだけでなく、ザスパサポもサインや写真を求めてたで(苦笑)。我らは大西さんや佐野さんに柵越しで声をかけ、さらには車内から駐車場内を歩く棗くんに声をかけ埼スタをあとにしたのでした。次は6/5、ヴェルディグラウンドにて対東京V戦。強敵が続くけど、彼らならきっと大丈夫!新たなるサプライズを期待して、次の試合も足を運びたいと思います。【きくり∈東毛】



■ 2005年6月5日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ第8日

東京ヴェルディ1969 1−3 ザスパ草津

ヴェルディグラウンド

90分間攻撃サッカー

 サテライトの試合は行ける限り行くぞ!ってことで、また行ってきました。今回は対戦相手がヴェルディということで、いざ京王線でよみうりランドへ。改札を出ると… 何もない。ここは小高い丘の上?右手にはいかにもな分譲住宅の数々、そして左手にはよみうりランド行きの「ゴンドラ」乗り場が(片道200円)。途中ジャイアンツの練習場やら遊園地の上を通っていくのですが、まるでスキー場にいるような、もしくは観覧車に乗っているような…なんとも妙だけど優雅な空中散歩を満喫。ヴェルディグラウンドはそのゴンドラ降り場から10分ほど歩いたところにある。初めてではないので覚悟はしていたのだが、ここのグラウンドは見学スペースというのがないに等しい。ベンチがほんの数脚。あとは地べたに座るか柵から顔を出して立ち見or柵の隙間から顔を覗かせて見るしかないという、なかなか過酷な観戦条件。私が13時ちょい過ぎに着いたとき、既に座れる場所は少なくなっていた。僅かにザスパサポのほうが相手サポより多い感。明らかに初戦のひたちなかより多い(埼スタは所謂近場なので比較対象外)。徐々にチャレンジャーズチームを応援するサポーターが増えてきたのは嬉しい限り。自分もまだ日が浅いけどね。
 さて、この日のスタメンですが今回も4-4-2。このチームで激しく4バックが機能しているのを見ると、トップではどうして4バックが通用しないのだろうかと…。GK棗、DF杉山・柳澤(CP)・富松・野口、MF氏家・高向・後藤・豊原、FW樋口・御給。トップからはスタメンで氏家と御給、加えてサブには前日の水戸戦で途中出場の佐田が参加。上記のように、メンバー表上では4-4-2だったのですが、実際は4-5-1に見えました。 氏家と高向のWボランチ、サイドハーフ右に後藤&左に豊原の18歳コンビ。樋口はトップ下で御給の1トップ。この日の御給は終始ポストプレーに徹していました。これが実はかなり効を奏したんだな!御給が張っていてくれるおかげで彼の周りを樋口や後藤、豊原が自由に動き回り…相手DF陣にとってはかなり厄介であったろう。尚、ヴェルディはスタメン11人中半分以上ユース。GKの常澤は前橋育英OB(昨春卒)。それに今年元旦の天皇杯決勝で決勝ゴールをあげた、あの平本までもいる。あの伝統高きヴェルディユース+天皇杯王者が本日の相手、フツーに考えればヴェルディ優勢なのは当然の話。しかし鹿島にドロー、浦和に至っては勝っているこのチームには前評判はあまり関係ない様子。私も期待に胸を躍らせ試合を観ることに。最初は座って観ていたのだが、実に見づらい(というか座っていると向こう側が全く見えない!)ので結局立ち上がって観ることに。柵を越えればすぐにピッチなので、今日も選手がよーく見える。トップではありえない、サテライトならではの醍醐味である。
 試合開始間もない前半4分、早くもザスパが先制点を奪う。右SB杉山からのクロスをフリーになった御給がヘッドで合わせてゴールに押し込む!先制点を奪ったことで、俄然ザスパペースに。個人個人の能力は明らかにヴェルディの方が上。しかし相手はザスパの「勝つぞ!」という気迫に完全に呑まれてしまってている。マイボールになっても自陣後ろで回すことしかできず、前にボールが出せないヴェルディ。おいおいホームはどっちだっけ?といった雰囲気になってくる。もちろん後ろでチンタラ回していたらそれを見逃さないのがザスパの、このチームである。特に相手GKにとって、樋口のこれでもかというチェイスは脅威だったであろう。また前回は氏家がネックになっていた攻撃も、今回はなにせ氏家が、イイ。盛んに声を出し、時には選手を呼び止め、また時には大声で指示も出す。DFへの指示(オーバーラップ等)は棗が、中盤より前にいる選手には氏家が、とコーチングにも役割分担か?もちろん他の選手達も盛んに声を掛け合っているので、観ていて本当に気持ちがいい。思うように攻められないヴェルディはスペースさえ空けば少し遠くても、ミドルレンジからのシュートを打ってくる。しかもそのシュートが正確!ポストに弾かれたり、わずかに枠から逸れて難を逃れるが、いつ追いつかれてもおかしくない、だから追加点を!と願ったが前半は1-0のまま終了。いざ後半へ。
 ヴェルディもさすがにこのままではいかん!と思ったようで、前半とはうって変わって積極的にプレスをかけ、どうにか追いつき追い越そうと容赦なく攻撃を仕掛けてくる。正直1対1で勝てる相手ではないので、ザスパはチームワークで勝負。樋口が前に出たときにはボランチの高向がカバーすべく前に出る。両SBはもちろん、両SHのバランスも絶妙である。特に後藤&豊原コンビはとにかく運動量が豊富!DF陣が奪ってから前線にフィードしたボールに彼らが追いついてくれることにより、相手は相手陣内まで戻らざるを得なくなる。トップではあまり見かけることのできないカウンターも、チャレンジャーズチームではしょっちゅう見ることができる。
 後半9分、遂に待望の追加点!ゴール前の混戦からのこぼれ球を樋口が押し込む!!展開の早いサッカーに時が経つのも忘れ、手塚監督が見に来ていたこともすぐに気づかない位コーフンしながら観戦。いやはや、本当に見ているだけで楽しいしワクワクする。後半33分には御給→野口がシュート。見事決まって遂に3-0に。しかもこの3点目は御給のポストプレーがあったからこそ。彼は役割さえきちんと決めれば仕事をしっかりこなすのであろう。いよいよサテにいる場合じゃないね、トップでの勇姿が見たいものです。3-0になり、ザスパもさすがに運動量が若干落ちてくる。そうなったらベタ引きになるのか?と思いきやベンチから聞こえるのは「守りきるんじゃないよ、もう1点獲りに行くよ!」という監督(or木村コーチ)の声。これだよ、これ、90分間攻撃サッカー
 3-0でそのまま逃げ切れれば良かったのだが、ロスタイム突入直前にバックパスが命取りとなり(奪われてしまった)3-1に。ちょっとした気の緩みだったのだろうが、この失点は勿体なかった。結局3-1で試合終了。終了した瞬間、相手トップ下の玉乃が座り込んでしまったのを見て「そんなにショックなんかなー」と思ったら単に足を痛めた様子。その後大丈夫だったのだろうか…?
 サポーターに挨拶にくるチャレンジャーズチームの選手達。今日もいい笑顔。挨拶を終えると自分の友人・知人のところに声を掛けに行く風景がなんともいい感じである。 氏家は高向と一緒にクールダウン。トップとサテの選手が一緒にいる姿が新鮮である。そんな微笑ましい姿を見ながらヴェルディグラウンドを後にしたのであった。 次はアウェイで仙台と対戦とのこと。さすがに日曜開催の仙台は行けそうにないが、彼らには引き続き奮闘を願いたい。気を緩めることなかれ。今はスタートダッシュ〜トップチームにおける去年の天皇杯の如く〜勝ち続けているが、やがて壁にぶつかるときが来るであろう。気合いだけでは勝ち続けることは容易ではないが、それがなければ勝つことはできない。プラスαの部分を見つけ、伸ばしていってほしい。 試合中、我らが手塚監督はなにやら紙を見ながらの観戦だった様子。まさか彼らの名前を覚えきってないのだろうか?メモしているだけならいいのだが…見にくるだけでなく、そのあとの選別・昇格に期待!【きくり∈東毛】


■ 2005年6月26日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第11日

ベガルタ仙台 2−1 ザスパ草津

宮城県サッカー場 約3800人

苦戦

 さすがに日曜開催の仙台は行けそうにない...と前回の観戦記に書いたのだが、彼らの大活躍ぶりに心を打たれやはり行くことに。前日のトップチームの勝利で心躍りつつも暑さにやられてダウン気味な状態でいざ仙台へ。仮眠をとりつつ国道4号を北上し、約半日かけやっとの思いで宮城県サッカー場に到着。到着すると我らの観戦する隣のグラウンドにて東北社会人リーグ1部「ヴィーゼ塩釜×TDK秋田」の試合が行われていました。 観戦無料とのことなので未来のJ入りを目指すチーム同士の熱い戦いを観ながら昼食をとることに。この試合、TDK秋田が同点ゴールを決めた瞬間に試合終了というドラマティックな展開。地元ヴィーゼのサポーターから落胆の声があがっていました。両チームとも数多くの決定的なチャンスがありながらもなかなか点が入らない展開に、我がザスパトップチームの姿がかぶってしまったことはここだけの話にしてくんな...^^;このグラウンドでは引き続き次の試合(グルージャ盛岡×NECトーキン)が行われた模様だが、我らの本日の戦いの場が開場となったので移動することに。
 いくらJ2に降格したって、いくら楽天イー●ルスがきたからといったって相変わらずベガサポさんは熱狂的。仙台公式によると入場者数は3,800名...あれ?前日の草津対湘南より600名も多いんじゃないきゃ?メインスタンドは満員、ベガルタのコアサポはゴール裏に陣取り、バックスタンドにもチラホラと人が。実際はもっといたような感じでした。そのうちザスパサポは30名強ってところでしょうか、初戦のひたちなかと同じ位な感。尚、試合前にはベガルタのチームカラーを身につけたチアリーディングがあり、ちょっとしたお祭り気分に。
 この日のチャレンジャーズチームはトップから佐田(この日は15 番)、山崎(16)、御給(20)の3名が帯同。この日も4-4-2で挑むのであるが、今までと違うのは右SHだ。いつもなら後藤だが、この日は山崎がやることに。中盤はボックスではなく、ダイヤモンド型(ボランチ高向/右SH山崎/左SH豊原/トップ下後藤)だったように見えました。一方のベガルタは前日の対山形戦で出た選手3名を含み、トップの選手中心。そして一番驚いたのが「10 財前宜之」。あの財前選手がサテ???一時期名をはせた選手だけに意外でした。他には元アテネ五輪候補で今年新潟から移籍してきた三田光選手や、昨年の高校選手権で一躍有名になった福島東高出身の萬代宏樹選手も。ちなみにあちらも全く同じ布陣(ダイヤモンド型の4-4-2)。トップ下はもちろん財前。どんなトリッキーな動きをしてくれるのか、敵ながらも気になります。
 さぁーて、キックオフ!と思ったらいきなり審判がベガルタ側ゴールへ。どうやらゴールのネットがきちんと引っかかっていなかったようだ。きちんと引っかけてようやく試合開始。中盤は後藤トップ下、と先述しましたが、場合に応じてフラット気味のときも有。実は私、この日は体調が芳しくなく&蒸し暑さにもやられて頭がぼーっとしておりました。しかし!そんな体調の悪い私の目からでもはっきり感じ取れたことは明らかに今までの試合でいちばん苦戦している。慣れない長距離の移動(しかも当日だかんね...)の疲れもあるだろう。けれども一番の原因はやはり相手の強さ。今までの相手はユースが混ざっていたり、試合経験の少ない若手選手が多いチームが主だった。ベガルタは明らかに、強い。今までは試合開始早々怒濤の攻めを見せ、相手の攻撃を喰らうことはあまりなかったが、この日はなかなか攻めることもできず相手の攻撃を凌ぐ場面が多かった気が。また右SHを後藤から山崎に変更したことも裏目に出てしまった。ワタルはサテ初出場ということもあってか、完全に試合の流れから消えていた。杉山-山崎のホットラインは実現に至らなかったようだ。後藤もいつもと違うポジションだったためか、いつもより少しおとなしめ。
 そしてベガルタ。財前は決して運動量は多くないのだがやはり それなりに効いている。目を見張るような綺麗なスルーパス数本有。個人的に目を引いたのがFW萬代。線は細いが上背があるのでザスパDF陣にとっては脅威であったろう。互いにFK,CKとセットプレーが多かったのだが、正直いつ先制点を奪われてもおかしくない雰囲気だった。数多くのピンチをGK棗を中心に、意地でもゴールを割らせないよう頑張るチャレンジャーズチーム。もちろん棗のコーチングはこの日も健在だった。(が、他の選手がいつもより声が出ていなかったかも)防戦主体になるにあたって、前線の選手も体を張って守備。財前に競り勝つ佐藤大典がとても頼もしく見えた。
 ややベガルタに押され気味で試合が展開されているなか、前半33分ベガルタ6番磯崎が山崎を倒す。磯崎はこの試合2枚目の黄紙につき退場。この日の主審は曖昧な判定どころか明らかな誤審多し。しかもザスパが有利になるような判定が多かったので、ホームのベガサポさんはさぞかし不満であったに違いないだろう...。蒸し暑さに互いの選手の動きもやや鈍いか?0-0にて前半終了。
 後半、早速選手を入れ替えてきたのはベガルタだった。財前を下げて秋葉投入。ザスパは選手交代なし。前半とは変わって、ザスパの選手の動きが急によくなる。樋口&佐藤の2TOPにワタルや後藤、豊原でポジションを入れ替えつつ一気に攻撃モード!これなら期待できるかも...と思っていた後半3分。ゴール前でほぼフリーだった萬代がゴールを決めて先制点を奪われる。棗が少し前に出ていたので、そこで生じたスペースにズドーン!と入れられた感じだった。前半はベガルタ選手のラフプレーが目についたのだが、このあたりからザスパにもラフプレーがしばしば見受けられるように。後半9分、佐藤を下げて佐田投入。佐田は消えるどころかこのチームだと明らかに格上。ボールキープも上手いし、相手のスペースをついてどんどん走る走る。頼もしい限りです。
 後半12分、ザスパにもついに動きが!豊原からの浮き球を身長171cmの後藤がヘッドで合わせて同点に!!!!!決して上背があるわけではないあの後藤が、です。四方をベガサポに囲まれたごくごく少数のザスパサポも立ち上がって同点ゴールを喜びます。
 そうなるとお互い狙うのは当然追加点。しかしお互い若さ&経験不足ゆえだろう、どうしてもラフプレー続出になってしまう。互いに熱くなっているからちょっとしたことで揉めてしまう。後半40分、CK時の小競り合いで野口に黄紙。そのあともベガルタ11番関口が遅延行為で黄紙。
 そしてついに後半ロスタイム。せめてドローで終わって欲しいという思いは無惨な形で崩れる。左サイドからのアーリークロスが棗と右SB杉山の間に落ちてお見合いする形に。互いで処理を迷っていたのだろうか。その間にボールを奪われ、サイドラインから途中交代で入ったベガルタ15番大久保が角度のないシュートを決めて勝ち越しゴール。棗は怒りが爆発してしまったようで、失点直後にゴール内に入っていたボールをセンターサークル方向に向かって投げつける。そして樋口はセンターサークルで相手選手と小突き合いに。というのもキックオフを早く再開させたかったのに、相手選手が入っていると試合再開ができないのでそのことで揉めていたようだ。失点後も少し時間は残っていたが、結局2-1のまま試合終了。
 試合終了後は座り込む選手もいればサバサバとした表情の選手も。ただ思ったよりは皆落ち込んではいませんでした。例のごとくすぐにクールダウンを始める選手たち。ふと見るとひざやふくらはぎ、太ももにアイシングをしている選手が数名。気になって思わず様子を聞くと皆「大丈夫です」とのこと。あれだけ激しい試合やったら体はぼろぼろになるよなーと思いつつグラウンドを後にする選手を見届けました。なお、最近非常に人気の高い佐野監督ですが、試合後我らサポに「ありがとうございました」と挨拶してくれました。帰るときも選手よりも先に我々に手を振ってくれました。そんなサポ思いで、熱い熱い魂をもった佐野監督が本当に大好きなワタシ。そうそう、さすらいのドリブラーもいらっしゃいました。さすらいも今のところサテ全試合参戦しているのでは?
 結果でいえば「負け」ですが、試合後の選手の表情や内容を見る限り、決して下を向くようなことではありません。彼らなら絶対次につながるはず。佐野監督は「本来調整の場であるサテライトで勝ち続けることによって、チャレンジャーズチームは注目されるようになる」と言っています。だから本来のサテライトの意図とはズレるのかもしれないけれども、いつまでも彼らには「勝ち」を目指した戦いを続けてほしい。ザスパのトップに昇格することだけがゴールじゃない。サテの試合で注目され、他クラブから声がかかることだってあるかもしれない。 どんな形でもいい、1年契約という限られた期間のなかでがんばっている彼ら一人一人のサッカー選手としての人生に幸あれ、そう願ってやまない今日このごろです。次はホーム初戦、もちろん彼らの勝利を信じて観にいくかんね!
【きくり∈東毛】


■ 2005年7月3日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第12日

ザスパ草津 1−5 ベガルタ仙台

草津町本白根グラウンド 約800人

聖地を覆う濃霧

 試合前日の上毛スポーツ一面では、見事トップをさしおいて記事になっていた我らがチャレンジャーズチーム。5戦目にして遂にやってきました、初のホームゲーム。 直前の試合では惨敗したものの、「快進撃」の彼らを観に行くザスパサポはきっと多いはず!一本道だし駐車場も少ないだろうと予測し、現地にはお昼ちょっと前に到着。 ちょっと早すぎたかな?さすがに集まっているサポは50名弱といったところでしょうか。 この日の会場、草津町本白根第三グラウンドに足を運んだのは昨秋のJFL対佐川印刷戦以来。あのときは両ゴール裏に仮設シートが設けられていたので、同じ会場とはいえまるで違うグラウンドのように見える。今にでも雨が降りそうな悪天候だからであろうか、観客も思ったよりは集まってこない。特筆すべきことは、前日のアウェイ徳島戦から戻ってきてそのまま草津に来たというサポーターが結構いたこと。素晴らしきザスパ愛かな、頭があがりません。ちなみにベガサポも最終的には30名以上集まったでしょうか。前日の平塚での試合を経て群馬までやってきた方が多かった様子 (これまたスゴイ!)。 試合前には限定300枚でチャレンジャーズチーム仕様のTシャツが販売。胸正面に「泉質主義」後ろに「草津温泉」が入っている、あのTシャツです♪買って即着て観戦する人大勢。私ももちろんその一人でした。シャツ購入後足首の上をブヨに刺されてしまい、選手たちも使用する医務室(とはいってもテント)で手当を受け、席に戻るときにフィールド脇を歩いていたら仙台の選手にジロジロ見られながらすれ違うというハプニングも有(苦笑)。この日の草津は長袖でないと辛い程涼しかったのですが、虫はいるんですね...。
 涼しいだけならまだしも、試合開始を待っていると雨も降り出してくる始末。雨だけならカッパをきて凌ぐことができるが、追い打ちをかけるかのようにも出現(泣)。選手がアップするときには薄かった霧も、試合開始直前になるとすぐ目の前にあるはずのタッチラインさえも見えにくい状況。 そんな悪天候を極めたなか、「ぼんじょーるのーーーーっ!」と聞き慣れた声が。この日のスタジアムDJ・さすらいのドリブラーこと高橋和実氏によるスターティングメンバーの発表。もちろん普通の紹介のわけがない(笑)。選手のときは「1番、スーパーもくべえ、棗ぇー正志ぃー!」のように「背番号、勤務先、氏名」の順に紹介。 監督に至っては「監督は...リアル・スクールウォーズ、佐野ぉーー達!」と叫び、会場から拍手喝采を浴びるさすらい(もちろん選手&監督に対してもだけど)。 やっぱりザスパにはさすらいのDJがいちばんです。来シーズンはトップもサテもぜひさすらいによるDJを期待したいところ。尚、この日のボールボーイは草津中サッカー部のみなさん。エメラルドグリーンのジャージの後ろには「KUSATSU」ロゴですよ!中学のジャージに「ロゴ」とは、実に草津らしいなと(^^)。
 スタメンはホーム初戦ということもあってか?サテ初戦以来のチャレンジャーズチームのみの編成。GK棗、DF杉山、柳澤、富松、野口、MF高向、諸、後藤、豊原、FW 佐藤、樋口。中盤は高向と諸のダブルボランチ+右に後藤、左に豊原が張り出す形。控えはGK近藤、DF前節仙台戦でベガサポ(女子)にやたらと人気だった三上、MF佐田、小久保、FW御給。後者3名がこの日のトップ→サテ出張組ですな。再び霧が出てきて見えにくい状況のなかでのキックオフ。開始前の円陣がいつもより長く感じたが、一体何を話していたのだろうか? 前半は霧が出ているとはいっても自陣ならなんとか見えたし、ときおり霧がなくなったので試合の流れを追うことは可能だった。が、1週間前の同カードとほぼ同じスタメン(財前はいなかったが...)のベガルタ、やはり強敵は強敵のままであった。 ホームは我々だというのにどうも相手にペースを握られている感。
 前半9分、さっそく悲劇はおこる。チェリーこと後藤が柳澤に渡そうとしてゆるいパスを出す。そこをすかさずインターセプトしてきたのが仙台13番の松浦。棗も前に出てきていたため、無人のゴールにそのままゴール→仙台の先制。自分が犯したミスに落ち込むチェリーの肩を叩くキャプテン宏太。なぁにまだ開始10分も経ってないんだから、まずは1点取り返そう!前向きにいこーぜ!と思いながら観ていたのだが、うーん...どうもなかなかエンジンがかからないんだな。満足に攻撃の形もあまり作れないし、なによりも守備が危ない。GKに戻そうとするラストパスがどうにも中途半端。 ゆるいパスが多く、棗もそれは予想外のようですぐに前に出てくることができない。 これを絶好のチャンス!と仙台の選手はプレッシャーどころかどんどんボールを奪いにくる。前半25分、仙台のカウンターを杉山が止めにかかるが見事に振り切られ、富松も必死に萬代のシュートを止めようと足を伸ばすが「あと一歩」が届かず追加点を奪われる。これで2-0。 霧で見づらいのは選手の姿。それに加えこの日はイマイチよく聞こえなかった選手の声。追加点を奪われたあとはますますおとなしくなってしまったチャレンジャーズチーム。棗は痺れをきらしてか、「お前ら、しゃべれよーーー!!!」と怒鳴る。しかし元気がないのも依然変わらず、ゆるいパスが多くて仙台の選手に奪われてしまうのも依然変わらず。さらに追加点を奪われるのも時間の問題...な状況で前半終了。
 後半は前半よりも霧がすごい中でキックオフ。諸に変わって小久保が入ったようだが...よく分からない。後半開始早々に豊原がシュートを決めて1点返したようだが、それもよく分からない。その数分後には仙台が3点目を決めるがちっとも分からずしばらくの間は何も見えず、試合経過は場内アナウンスのみで把握するという状態に。目の前で行われているはずの試合の様子が何も分からないというのは、なんとも歯がゆいものです。霧に加え雨も大降りになってきて、たまに霧が薄くなったとしても、もはや試合の流れなどちっとも分からず...このように観る側としてボロボロな後半に唯一分かったのは、樋口の退場でザスパは10人での戦いを余儀なくされた、ということ。樋口は前線への縦パスを追ったのだが、エリア内で相手GKと激しく交錯。 樋口の足がどうやら相手の腹に入った様子。故意ではなく、プレイ上でのアクシデントのように思えたのだが…。この日の主審は割と仙台寄りなように見えたが、仙台寄りという言い方ではなく、仙台の選手のほうがカードを貰わない術を心得ているのかもしれない。こういうのは試合での経験が生かされるものだと思うので、チャレンジャーズチームの皆も経験を積めば...と期待しておきたい。樋口の退場後すぐに高向out→ 御給in、試合終了6分前には豊原out→三上in。御給を入れたということは、少しでも反撃を!という狙いだったのだろうか。高向アウト後のプレイスキッカーは野口がやっていたようだ。試合記録によると後半38分とロスタイムに追加点を奪われたようだが...詳細は全て霧の中、ということで(苦笑)。 結局1-5と惨敗。しかも連敗である。幸運なことに、次の試合までは約2ヶ月ある 。その間に鍛え直して、サテライトリーグ後半戦に備えて欲しい。序盤の快進撃のおかげで随分とチャレンジャーズチームの存在も知られるようになったし、この日だって悪天候のなか約800人のサポーターが草津まで足を運んだのである。
 また試合後は「ふれあいサッカー」なるイベントで、サポーターと選手が共に芝生の上でサッカーを楽しんだのだった。試合直後で疲れているだろうに、なのに選手達は嫌な顔ひとつせずにこのイベントに参加してくれた。こんな形でコミュニケーションを図れるのはこのチームならではだと思うし、この距離の近さが無性に応援したくなる所以でもあるかな。毎回とは言わないが、ホーム戦のときはまた行ってくれたら嬉しいと思うイベントであった。雨のなか行ったサッカーのおかげで濡れてしまった体を、近くの温泉に入って温めなおすのだって草津ならでは。聖地草津での試合は、やはり魅力がいっぱいだった。さらに魅力あるものにするためにも、次は絶対に「勝利」を手にして失いかけている自信を取り戻して欲しい。
【きくり∈東毛】


■ 2005年8月28日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第17日

ザスパ草津 2−1 アルビレックス新潟

嬬恋村運動公園陸上競技場 約700人

一所懸命

 JサテライトリーグBグループ第17日、対アルビレックス新潟戦は当初の予定を変更して嬬恋村運動公園陸上競技場にて行われました。ご存知のとおり、今回の開催はオフィシャル告知の不手際やアクセスの劣悪なスタジアムに対する批判など、開催前から物議を醸したところです。しかしながら、試合前の嬬恋村課長様のご挨拶にあったようなJチームキャンプの嬬恋誘致が実現した暁には、ザスパの強化マッチの実現のみならず北毛地区のサッカー文化の底上げ効果も期待できるわけですから、我々ザスパサポーターとしては広い意味での地域振興の一環として嬬恋開催を盛り上げていきたいところです。
 さて試合前の練習。今日は復帰が待たれて久しい宮川選手と大谷選手がベンチ入りした他、御給・依田両選手、そして柳澤選手が帯同です。ついでながら相手方アルビレックスには大谷選手の双子の兄昌司選手(前橋育英高出身)がいます。圭志選手のスタメンビブス姿と真っ黒に日焼けした宮川選手にザスパの救世主再来の予感を覚えつつ、チャレンジャーズチームのサバイバルをかけた後半戦が始まります。
 スタメンは3-4-3のフォーメーション。GK棗(CP)、DFは左から野口、富松、柳沢。MFは豊原、高向、大谷、小林がほぼフラットに並びます。FWは3人。2トップに御給、佐藤、トップ下に諸の布陣。サブには近藤選手、三上選手、依田選手、宮川選手が虎視眈々と出番を窺う他、あの櫻田選手がスーパーサブとして控えます。樋口選手は前節(といっても2ヶ月近く昔― 7月3日ですが)の赤紙で出場停止です。また右サイドを切り裂いていた後藤・杉山両選手のトップ昇格に伴う戦力ダウンを、新加入の小林選手がどこまで埋められるかも期待です。
  試合開始直後、御給選手のバックパスにサポーターから溜め息が漏れます。私たちはプレーヤーの視点から見えた、そのときの状況を知ることはできません。しかしながら、少なくともサテ東京V戦や最近では水戸戦(@笠松)での御給選手のプレーを見た人間にはやはり消極的なプレーに映ってしまいました。3トップとはいえ実質(実力的にも)1トップの御給選手がボールとともに突進し、周辺の選手が二次三次攻撃を仕掛ける、そんな攻撃が見られないのは残念でした。
 19分。試合勘の未だ戻りきらないボランチ大谷選手と3バックシステムに馴れ切れないDF陣の隙を突かれ、先制点を奪われます。相手右サイドからの攻撃に対し、マンマークに付いた野口選手がかわされ、さらにプレスを掛けに行った富松選手、飛び出した棗選手と次々に抜かれ、最後はそれでもゴールマウスまで駆け戻った富松選手(?)の足先もわずかに及ばず、ボールはゴールへと転がり込んでしまいました。痛い先制点、0対1。
 その後も短い横パスや前線との連携が取れないセンタリングなど、スタンドのイライラが続く展開が続きます。もっとも3バックへのシステム変更に伴い、従来の右サイド後藤における杉山、左サイド豊原における野口という後方支援の機能が失われたのは致し方ないことだったのかもしれません。そのため両翼は波状攻撃を繰り出すべくもなく、ウイングの豊原・小林両選手が単騎孤立し潰されるというケースが多く見られました。やはり両SB野口・杉山両選手の駆け上がりは、相手守備陣に対して相当な心理的プレッシャーを与えていたことを今更ながら実感させられます。その他、棗キャプテンが「お前らもっとしゃべろーぜ」と声を掛けるほど、自信とビジョンを失ってしまったような状態で前半を終えます。
 後半、御給選手OUT、宮川選手IN。元気一杯飛び出してくる宮川選手にスタンドが沸きます。宮川選手は開始直後のドリブル中央突破で相手ペナルティエリアまで独走。相手GKにキャッチされゴールこそならなかったものの強烈なミドルシュートを放ち、チームにリズムをもたらします。  また、前半はサイドラインで孤立することが多かった両SW豊原・小林選手にFWの諸選手・佐藤選手が絡み攻撃に厚みを増します。また時に左側CBの野口選手もが攻撃参加し、相手DFを蹂躙して行きます。
 後半18分。大谷・豊原選手OUT、櫻田・依田選手IN。4バックとなり、野口・富松・柳沢・依田のDFライン。中盤は諸選手が左に入り、ボランチの高向・櫻田選手が状況に応じてトップ下を勤める他、展開によっては佐藤選手が下がって前線と中盤の橋渡しの機能を果たします。この鶴翼の陣形から両翼が駆け上がり、センターで待ち構える宮川選手へクロスボールを供給します。ゴールこそ生まれませんが、その期待は高まっていきます。
 さらに後半21分、諸選手OUT、三上選手IN。三上選手が左SWに入ります。この頃から攻撃はオフェンシブな選手が揃う右サイドを中心に組み立てられていきます。とはいえ、決して右サイド一辺倒というのではなく、相手守備バランスの不均衡を突いた逆サイドへの展開を効果的に組み立て、大きく開いたスペースへの突破からチャンスを作り出します。このところスランプに苦しんでいる三上選手ですが、相手方守備隊形を見ながら大きな声でパスを要求し、相手右サイドへの抑止力としてプレッシャーを掛け続けた働きは評価してよいとおもいます。しかしながら、前掛かりになることはやはり諸刃の剣。カウンターを食らって2対3の数的不利を招くこともありました。猛烈な勢いで戻る選手たち。その迫力に押されたか、アルビ選手のシュートは枠を捉えることができません。そんな中、後半28分のピンチでは棗選手の飛び出しもついぞ及ばず、ボールは無常にもゴールマウスに向かって転がって行ってしまいます。ザスパサポがダメ押し点を覚悟したボールは、しかしその直後依田選手の身体を投げ出したスーパークリアにより、ゴールマウスの僅か手前で軌道を強制修正されました。
 各選手の必死なプレーに同点弾への期待が高まりながらも残り時間が失われていく焦燥感もまた広がっていくなか、ついに後半40分、小林選手が右サイドからドリブルで突破、そのままエリア周辺右45度からのミドルシュート。これが見事ゴールネットに突き刺さります。時間帯的にも相手方DFが引き気味だったこともあって、非常な混乱の中で単純な突破ではなかったように見えました。小林選手の近辺には佐藤選手もいた模様で、もしかすると密集の中で佐藤選手のフォローがあったことも考えられます。いずれにしても、フィールドに立っていた選手たちがあきらめることなく、ひたむきに、勝利に向かっていった姿勢がゴールという結果に結実したようにおもえました。
 さらに後半43分。押せ押せムードの中、右サイドからのCKのチャンス。キッカー高向選手はファーサイドへ長めのボールを供給。そこには野口選手がフリーで待ち構えていました。突然目の前にステルスのように現れた野口選手に、相手DFが慌ててプレスを掛けにきます。その相手にシュートコースを消させないための最も早いタイミングで放たれたシュート、すなわちダイレクトボレーシュートは決してジャストミートではなかったものの、相手DFにもGKにも追いつかれることなくゴールネットを揺らしました。
 ロスタイムは3分。本来であればボールをキープしてしっかりと勝ちきるという戦略を取るべきなのでしょう。しかし、左サイドを駆け上がった佐藤選手はもう1点を狙い、センタリングを上げます。これはクリアされ、相手方のカウンターに遭います。一瞬、ドーハのあのシーンが甦ります。アルビ選手も、駆けつけてくれたサポーターのために必死で攻め込んできます。最後の攻防。持ち堪えてくれ、まだ鳴らないのかとホイッスルを待ちわびたスタジアムにノーサイドの笛が鳴り響き、6月5日東京V戦以来の歓喜の声が上がります。
 今日の試合を振り返るとき、棗キャプテンの言葉が雄弁にこの日の勝因を物語っているようにおもいます。曰く「キレイなプレーはできませんが、戦う気持ちだけは負けません」と。前半終了直後、富松・柳沢・高向の3選手はサポーターの目の前で戦術の確認を行っていました。後半キックオフ直前には、宮川選手が手を叩き大きな声を出して佐藤・諸の両FWを鼓舞していました。そして依田選手はサポーターの諦めにも似た「あ〜」の悲鳴を、転がり込みながらのカバーリングで「うぉー!」という歓声に変えました。
 きれいなプレーなんかできなくてもいいんです。ザスパのためにもう一歩前に、もう少し高く、フィールドで戦ってくれればそれでいい。その小さな積み重ねがザスパの確かな原動力になるとおもうから。そのエネルギーは同じ時間を同じ場所で共有したサポーターの間に活き続けていくとおもうから。彼らが一所懸命なチャレンジを続けていく限り、どこまでも応援していこう、一緒に戦っていこうという決意を新たにした新潟戦でした。【昴⊂上州】



■ 2005年9月11日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第19日

ザスパ草津 1−1 浦和レッズ

嬬恋村運動公園陸上競技場

強敵に挑む

 「速かったですよ」試合後の某選手のコメントです。また違う或る選手は「巧いですよね」とこの日の感想を話してくれました。そう。レッズは巧くて速くて、そしてやはり強かったのです。
 前日のトップの試合後、今の実力では勝てないという半ば諦めた気持ちと、京都のサッカーにJ1を狙うチームのレベルの高さを痛感しながら京の都を後にしました。途中のSAでは縦縞のハッピやトリコロールのレプユニを誇らしげに着た面々が楽しそうにくつろいでいます(あとで聞くところ、両チームとも当日は快勝だったそうです)。しかしながら、両チームとも過去には長い苦難の時代があり、そしてその辛い時期をチームとともに乗り越えてきたサポーターがいるのです。京都での結果は確かに無念なものでありましたが、そんな今だからこそザスパを支えていこう、選手の側に立ってあげようという気持ちを新たにしながら、一路嬬恋に向かいます。
 会場に到着したときには雨も本降りとなっており、ピッチは完全ウェットとなっていました。サテライトリーグの残り試合−それはすなわちチャレンジャーズチームの残り試合を意味しますが−は今日を入れて4試合。雨もサッカーの内とはいえ、今日はトップ手塚監督も視察に訪れているほか、相手チームを率いるはあの闘将・柱谷哲二氏。前回対戦時には「草津に気持ちの部分で負けていた」というコメントを残しています(南関東限定の某TV番組にて)。J1チームへのアピールという意味でも選手にはよい環境でプレーさせてあげたいと祈りつつも、しかし無常にも雨は降りつづきます。
 今日のスタメンはGK棗(CP)。DFは左から野口、柳沢、富松、杉山。中盤は豊原、諸、小久保、小林がほぼフラットに並び、FWは佐藤、樋口の2トップです。リザーブには近藤、三上、高向、櫻田選手のほかに、トップからは吉本選手が参戦です。DFラインがシーズン当初のメンバーによる4バックとなり、前回浦和を完封した(事故のようなPKのみに抑えた)安定感で後方からチームを支えてくれるものと期待されます。
 試合開始後、今日はいつものようなアグレッシブさが影を潜めてしまいます。もっとも、相手のあるサッカーという競技では、こちらの都合よく攻めさせてくれること自体稀なことです。スペースを埋め、パスコースを消すことがディフェンスの常道である以上、強豪浦和がそうそう簡単に自由なプレーを許すわけはありません。空いたスペースと、行動の自由を維持している選手を探しながら、バックラインでボールを廻すシーンが目立ったのも致し方ないことだったように思えます。
 6分、ルーズボールの処理に当たる柳沢選手に浦和選手が猛烈なプレッシャーをかけます。これに耐えかねた柳沢選手はペナルティエリア内にまで後退し、危うく棗GKと交錯しかけます。ここは危機一髪、棗選手の滑り込みながらのクリアでピンチを逃れますが、今までザスパが相手に与えていた前線でのプレッシャーを逆に仕掛けられた感があります。
 さらに11分、LB野口選手退場。観客席からは逆サイドだったこともあり、削られた様子についてはよく分かりませんでした。野口選手の抜けた左サイドバックには三上選手がそのまま入ります。野口選手に比べると攻撃の突破力で見劣りするとはいえ、堅実なプレーで後方から左サイドを支えます。特に、豊原選手が進路を阻まれた際に見せた左サイド三上・諸・豊原三選手による所謂三角パスの共演。相手選手は翻弄され、豊原選手は左サイドを突破していきました。しっかりとした基本に多彩なアイデアを加えるとき、単純にもおもえた反復練習は見事なコンビネーションとして花開くのです。もちろん、逆に三上選手が仕掛けるオーバーラップ時には、豊原選手がバックラインにまで下がり守備のバランスを取ることも忘れません。
 24分。右サイドの突破を許します。今日の右サイドは今ひとつバランスを失している感がありました。これは右ボランチの小久保選手がトップ下機能をも果たしていたこと、また高い突破力を持つ浦和西谷選手がザスパ右サイドを突いてきたことと無縁ではなかったと思います。このシーンも小林選手がドリブルで中央に向けて切り込み、空いた右スペースに杉山選手が展開していたために、陣形的には右サイドがガラ空きになっていました。そんな右サイドに早いカウンターを見舞われ、独走を許した感があります。最後は飛び出した棗GKもかわされ、戻るDF(柳沢選手?)の獅子奮迅のクリアによりボールはサイドラインを割っていきましたが、J1チームの強さを垣間見た瞬間です。
 その後も両サイドからいいクロスを上げながらも中央で待つ選手に合わない、合ったとしてもゴールネットを揺らせない状態で前半を終えます。
 後半開始。前半に比して、両サイドバックのオーバーラップが減ったように感じられました。そして、サイドを1つの起点として使い、アーリークロスでFW勝負に出ているように思えました。
 53分。いい流れの一瞬の隙を突かれ、先制点を奪われます。右サイドを破られ、ゴールライン付近の危険な場所で杉山選手がかわされます。慌ててプレスを掛けに行く柳沢選手。しかし、マークのバランスが崩れた守備陣は浦和横山選手をフリーにしてしまいました。ボールと横山選手を結ぶパスコースを柳沢選手が消す寸前、マイナス方向のパスが横山選手へ。プレスを掛ける富松選手もシュートコースを消しきれず、横山選手から放たれたシュートはザスパゴールを貫いてしまいました。
 直後56分。佐野監督は2枚のカードを切ります。杉山選手に替えて吉本選手を、諸選手に替えて櫻田選手を投入します。DFは3バック。三上選手の守備を活かす良い戦術と思われました。FWは樋口選手の1トップに、吉本・佐藤両選手が2シャドーとして入ります。陣形としては3−4−2−1。バックラインは専守防衛に当たり、中盤が早いボールを前線に供給し、FWの能力で事態の打開を図るという作戦のようでした。強い相手と戦うための明確な役割分担。そう、あのFマリノス戦で採用された戦術と同じものでした。そして、この作戦がザスパを救う、今日のその時がやってくるのです。
 75分。右サイド櫻田選手の左足から放たれたボールは浦和DFとGKの間に弧を描いて飛んでいきます。そのアーリークロスに走りこんだ佐藤選手がボールと浦和DFの間に身体を入れたその時、佐藤選手が倒され、ホイッスルが鳴り響きました。レフリーはペナルティスポットを指差し、浦和の選手は烈火の如く抗議します。しかし倒される瞬間、ボールと浦和DFの間には佐藤選手がいたように見えました。DFが後ろから倒したとする判定は覆らず、浦和選手はレフリーによってエリア外へ退けられます。
 キッカーの佐藤選手がボールをセットします。エリアの白線上の赤いシルエットが、有形無形の妨害を加え、これに気づいたネイビーのユニフォームが今度は逆に身体を割り込ませ妨害を妨害します。そのようなカオスと白線1本隔てた世界では、佐藤選手が静かにGKと対峙しています。ザスパサポーター席に一瞬の静寂が訪れ、背番号10が短い助走から振り抜いた右足は起死回生の同点ゴールを叩き込みました。
 残り10分。最後の死闘です。お互いラフプレーが相次ぎます。浦和サイドにはPKの判定への不満もあるのでしょう。浦和柱谷・ザスパ佐野両監督もテクニカルエリアを飛び出し、第4の審判に注意を受けています。そんな中、突如赤い札が提示され、2人の選手がピッチを後にします。J公式記録によると揉み合いの中で若干の“乱暴な”プレーがあった模様。各種証言を総合すると吉本選手は被害者であったようなのですが、ここは敢えて厳しく書きたいと思います。きっちりと相手を退場に追い込んでほしかった、レフリーを上手に利用してほしかった、と。
 最後の浦和の攻撃は流石に強烈なものがありました。J1の意地を全面に出して攻め込んできます。しかし、若きザスパ戦士は最後まで気持ちを切らさず、集中して、引き分けを死守しました。後ろ向きと捉えられるかもしれませんが、今日の浦和は本当に強かったのです。
 今回は2日続けて強敵との試合となり、これから歩むべき道程の険しさの一端を垣間見たようにおもいました。しかしながら、冒頭の2人の選手はよりレベルの高い相手とピッチでぶつかり合うことによって「今の自分たちに出来たこと」「これから出来るようにならなければいけないこと」を冷静に見つめていました。そしてそのために必要なことについても、明確な答えを示してくれました。
 サッカーの世界の頂きが遥か遠く高いところにあるのは事実です。その過程には常により強力なライバルが出現することでしょう。しかし、そこで感じたライバルとの差、今の自分たちに足りなかったことを分析し、それを克服することで少しずつレベルアップしていくしかないのではないでしょうか。去年のヴェルディ戦後、植木総監督(当時)は「感じた相手との違いをこれからの練習でどう生かしていくか」が大切である旨、コメントされました。
 次節鹿島戦。強敵との戦いが続きます。今日の課題を2週間でどれだけ修正してくるか。強い相手と戦った皮膚感覚をどれだけ自分のものにしてくるか。彼らの成長が楽しみです。
 「鹿島は強いですよ」笑いながらそう言った瞳は、しかし更なる強敵との決戦を見据えて強い光をたたえていました。【昴⊂上州】


■ 2005年9月25日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第21日

ザスパ草津 0−3 鹿島アントラーズ

嬬恋村運動公園陸上競技場 約600人

ザスパイズム

 試合前の選手紹介時「鹿島アントラーズ、コーチ、奥野僚右」のアナウンスに600人の観客から拍手が沸き起こりました。今日は会場こそ聖地・本白根ではないものの、ザスパのイズムを築いた奥野氏が草津に凱旋です。大阪での天王山を終え駆けつけた奥野氏に、鹿島サポーターはもちろん、ザスパサポーターからも大きな拍手が送られました(ちなみに前日裏天王山を戦った我らが手塚監督もご観戦。「勝ってナンボ」の監督業とはいえ、指導者がビジョンを語ってくれればサポーターは付いていきます。みんなでチームを作り上げた(作り上げている)奥野・佐野両リーダーの人望の秘密はトップの指導者にも当てはまるとおもうのですが…)。
 今日の鹿島戦。鹿島はトップに故障者が少ないこともあり、サテライトメンバーとはいえ非常に充実した戦力で挑んできます。FWの中島(なかしま)選手、ボランチの中後(ちゅうご)選手、LBの石川選手などはトップチームでもレギュラーを狙えるレベルで、昨日の首位攻防戦に出場していてもおかしくない選手です。また、CBの後藤、中盤の吉沢・山本選手はユースからの熾烈な競争を勝ち抜いてきたエリート中のエリートです(高須・寺田両選手を生んだことから考えてみても、鹿島ユースのレベルの高さは想像できます)。対するザスパチャレンジャーズチーム。よく言われることですが「雑草集団」です。個々の技術は“未だ発展途上”です。ただし、これをチームワークとチャレンジする気持ちでカバーして、リーグ開幕戦では鹿島相手に堂々と引き分けています。「チャレンジャーズチームは熱い」と人口に膾炙させた、あのときの奮戦をもう一度。そんな気持ちでキックオフを待ちます。
 今日のフォーメーションは4-4-2。最後列のGK棗(CP)、4バック左から野口・富松・柳澤・杉山。中盤はフラットに豊原・諸・櫻田・小林が並び、2トップは樋口・佐藤大典。リザーブに近藤・三上・高向選手。チーム内の競争は激しいですが、だからこそ与えられたチャンスを活かしてほしい。それがトップを含むザスパ全体の活性化に繋がると信じます。トップからは寺田選手と佐藤正美選手が参戦です。
 前半開始。両チーム極めてコンパクトなサッカーを展開します。幅にして20mほどの間に両チームのフィールドプレーヤーが納まり、中盤での激しいプレーが続きます。鹿島は4バックが最終ラインに収まり、その分ボランチがより攻撃的に上がってきます。そして、中盤から前線にスルーパスを供給し、ザスパDFの裏を窺います。逆にザスパはサイド攻撃を積極的に仕掛け、その分諸・櫻田両ボランチが下がり目でバランスを取ります。サイドはザスパ優勢、その分中央は鹿島が押してくる、という勢力図に見えました。
 9分。鹿島、右サイドラインからのFK。キッカーはザスパの某選手曰く「(地元では)左足の精密機械と言われてました」という石川選手です。そんな石川選手の左足から放たれたニアサイドへのクロスは、ゴール前に飛び込んできた鹿島中後選手のヘッドで軌道を微修正され、棗GKの指先を掠めながらザスパゴールに吸い込まれてしまいました。13分。接触による鹿島GK杉山選手の鼻血出血により中断。両チーム、水分を補給し監督コーチからの指示を確認するなど、試合再開に備えます。中断は相当の時間(ちなみに前半のロスタイムは5分でした)続いたとおもわれますが、この間もフィールドの随所で選手たちによる意思の統一を図るための話し合いが持たれていました。その後も一進一退の攻防が続き1点のビハインドでハーフタイムとおもわれたロスタイム、ザスパ陣内で鹿島中後選手にボールを奪われます。このボールを受けた大道選手が左サイドに切れ込んで独走。マイナス方向に戻されたクロスがペナルティスポット付近で待ち構える中島選手にピタリと合い、与えてはいけない時間帯に、与えてはいけない追加点を許してしまいます。
 後半、前半以上に闘志を前面に出す選手たち。51分には諸選手が後方からのプッシングで黄紙を貰います。そんな中、60分には左サイド野口選手がライン際で倒されます。そのときに鹿島選手の肘が顔面を直撃した模様で、野口選手はもんどりうって倒れこみます。激しい流血があったとの情報もあり(試合後のふれあいサッカー時、痛々しい包帯姿で参加してくれました)、これにより野口選手は退場。交代メンバーは寺田選手です。ザスパきってのテクニシャンであり、皮肉にも最も鹿島らしいプレーを出来る選手が、大歓声を受けて登場します。63分。豊原選手Out、佐藤正美選手In。2トップに樋口選手と正美選手のパワープレーヤーを置き、豊原選手の後のLHに柔らかいボールタッチの得意な佐藤大典選手。ダブルボランチの1枚櫻田選手をトップ下に起用します。64分。富松選手が鹿島中島選手を倒し、PK。これをゴール左隅に決められ、0対3。棗GKはコースに反応し、おそらくはその手に触れたのですがボールを掻きだすまでには至らず、倒れこんだまま悔しがります。69分。右サイドを駆け上がる樋口選手。ニアサイドで待つ正美選手にグラウンダーのパスを送ります。正美選手、これをスルー。その先には走りこんできていた大典選手、ゴールほぼ正面からシュート。GKに当たりゴールラインを割ろうとするボールを追いかけるネイビーのユニフォーム。なんとシュートを放ち、GKと交錯しかけた大典選手がボールを追いかけ、追いつきます。ゴールライン直前で追いついた大典選手、折り返しクロスを上げます。中央で競るは小林選手。制空権こそ奪えなかったものの、そのこぼれ球に右足を振り抜いたのは正美選手。見事なボレーシュートは ほんの数センチ、バーに嫌われゴールを割ることはかないませんでしたが、ゴールを狙う意識が個々の選手たちのフルパワーを引き出し、そんな空気を感じ取ったスタンドもまたボルテージを上げていきます。77分。諸選手に替えて高向選手。79分には杉山選手に替えて三上選手が入ります。攻撃的布陣に移るために、先日の練習でも大きな声を出して連携プレーのポジショニングをコーチングしていた両選手を起用します。決して派手な選手ではありませんが、チーム全体が攻撃を志向するときに全体のバランスを取りながら後方を支える、重要な役割を担います。この交代によりフォーメーションも3バックに変更です。三上・柳沢・富松で最終ラインを構成し、寺田選手をよりオフェンシブなLHに配置し、寺田・高向・櫻田 ・小林で中盤を組織。正美・樋口・大典の3トップで点を取りにいく、所謂リスクを取って前掛かりに攻めるという攻撃的布陣です。80分にはLHの位置から攻めあがる寺田選手があわや直接ゴールかというクロスを上げ、86分には正美選手が強烈なシュートを放ち、ロスタイムには相手バックパスに樋口・小林両選手が怒涛のプレスを掛けるなど、最後の最後まで決してあきらめることなく戦い抜きました。しかし時計は刻々と時を刻み、レフリーの長い笛が吹かれ、試合終了。0対3。
 スコアこそ完敗でしたが、個々のプレーでは鹿島を凌駕するプレーも多々あったことは自信を持ってよいでしょう。杉山選手は鹿島中後・石川両選手を振り切るプレーを数多く見せましたし、柳沢選手は鹿島の前線へのフィードを空中戦で跳ね返しました。富松選手は最終ラインを高く維持し、多くのオフサイドトラップを成功させましたし、ダブルボランチは鹿島選手に数的不利な状況で囲まれながらもボールキープに努めました。その他にも各選手がそれぞれの仕事を懸命にこなし、しかしそれでも少しずつ及ばず、今日は敗戦という結果となりました。ただし、ここで下を向くのではなく「通用したこと」「さらに改善すること」を認識し、より一層のレベルアップに励んでもらいたいとおもいます。チャレンジャーズチームの残り試合はたしかに少ないですが、しかしチャレンジの機会はまだ残されているのです。 最後に、鹿島サイドから見て明らかに格下相手であったにも関わらず、全力でぶつかってくれた鹿島アントラーズの選手に敬意を表したいとおもいます。接触プレーでは激しい妨害(ユニの引っ張り合い)が起こりましたし、時間稼ぎはトップチーム並みの露骨さでした。彼らとてアピールの舞台である以上、チームプレーよりも個人プレーに走りたかったことでしょう(点差もありましたから)。しかるに、勝利にこだわり、試合に集中してくれた鹿島アントラーズの選手にも拍手を送りたいとおもいます。そして、おそらく選手たちにこのような全力プレーを呼びかけてくれたのであろう、鹿島・奥野コーチにも感謝です。今日のアントラーズ選手のプレーは、奥野氏が撒いたザスパイズムを継承するチャレンジャー達への何よりの贈り物であったとおもいます。
 試合後、ふれあいサッカー前の抽選会でサポーターと触れ合う選手たちを嬉しそうに見つめる奥野さんの姿がありました。ザスパには現在フィールド内外を問わず様々な問題が吹き荒れています(2005/09/29記す)が、原点を見失わずに一歩ずつ着実に前進していけばサポーターは付いていきます。そしてその原点を今日のチャレンジャーズチームの戦い方、そしてファンとの接し方に見たようにおもいます。このチームがその根底に流れているザスパイズムを継承し続ける限り、ザスパは大丈夫。かつてその理念に共感した、愛すべきザスパの姿がこの日の嬬恋にはありました。【昴⊂上州】



■ 2005年10月10日(月・祝) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第23日

ザスパ草津 2−2 東京ヴェルディ1969

嬬恋村運動公園陸上競技場

幸せの種子

 前日の天皇杯での勝利を受け、今や慣れたものとなった道のりを嬬恋に向かいます。途中愛車の消耗品交換のために富士スバル新前橋店に立ち寄り、その足でサンワ前橋IC店(?)で燃えるエネルギーを給油し、さらにユニクロ前橋関根店で防寒着を購入しながら、トコトコと愛車を走らせること3時間半。恒例の駐車場入口渋滞で待つこと数分。聞くと今日は「まずはザスパサポか否か?ザスパサポならふれあいサッカーに参加するか否か?」で駐車場が異なるとのこと。実際の体験者ならこの分類の仕方が1つの完成されたフローチャートであることを理解していただけるとおもいます。オフィシャルの方も全5回のホーム開催を通じて経験を改善に繋げている、敷島開催の関係者にも見せてやりたいと感心しつつ、今日はスタンド最後列に陣取ります(この日は過去の経験を活かし折畳み椅子を持参しました)。
 試合前、恒例の選手挨拶に続き、佐野監督が登場します。この日は霧雨が断続的に降り続きサポもカッパやポンチョに身を固めていますが、佐野監督、ザスパのポンチョ姿でご登場。練習の閲兵は木村コーチに任せ、御大はサポーター席へ。笑顔で挨拶を交わしながら(ご丁寧に脱帽までされて)、サポーターの「天皇杯どうおもわれました?」「今日のヴェルディ、ワシントン出ますかね?」から「解説者として喋りやすいアナウンサーは?」まで、多彩な質問に実に気さくに答えていらっしゃいます。その中でスタメンに関する爆弾発言も飛び出しましたが、「この中で誰がトップに上がれるか(応援してあげてください)」と語りかける姿には愛弟子をおもう親心が溢れており、佐野監督のお人柄が滲み出ているようにおもえました。
 試合開始前の選手入場。エスコートキッズの手を引きながら登場するザスパイレブン。きっとあの子たちは地元に"借り物でない"プロサッカーチームがあることを当たり前に育っていくのだろうな、「親子代々のザスパサポ」としてサッカーのある風景を歴史の一部として焼き付けていくのだろうな、などと見つめていると、コイントスを終えた棗キャプテンがサイド(エンド?)チェンジを指示します。風か?霧か?などと想像しますが、理由はハーフタイム後に意外な形で明らかになります。
 佐野監督の予告とおりのメンバーで試合が始まります。GK棗正志(スーパーもくべえ)、DF三上純(Hヴィレッジ)、富松範臣(ナウリゾートH)、柳澤宏太、野口哲平(奈良屋旅館)。MFは豊原慎二(草津CC)、高向隼人(光泉幼稚園)、櫻田和樹(ベルツ)、小林卓也(ベルツ)、FWに佐藤大典(かんぽの宿)、樋口知行(ナウリゾートH)。チャレンジャーズチームメンバーのみの先発です。レフリーの笛が吹かれ、北毛の地に育んだ一年間の成果を表すホーム最後戦、いざkickOff。
 前節鹿島戦に引き続き、コンパクトなサッカーを展開するザスパ。4バックの右、野口選手が小林選手とともに右サイドを縦横無尽に駆け回ります。左サイドの三上選手は基本的に守備に専念し、野口選手オーバーラップ後の最終ラインを3バックで堅守します。対するヴェルディは4-4-2フォーメーションのようですが、実際は中盤を省略してFW+両ウィングで勝負する4-2-4のように見えました。ヴェルディはロングボールを多用してきますが、柳沢・富松選手らが最終ラインで制空権を渡さず水際で悉く跳ね返していきます。
 前半38分。右サイドを切り裂いた野口選手から低い弾道でのクロスが入ります。その時ニアサイドには佐藤選手、ファーサイドには樋口選手が走りこみマーカーを分散させていました。ボールはニアでヴェルディDFに競り勝った佐藤選手のダイビングヘッドから、矢のような弾道でゴールに突き刺さっていきました。GKからすれば目の前を横断していくボールが突然方向を変えて向かってくるという、厄介極まりないプレーです。もちろん野口選手の上がりを助けた小林選手、結果的に佐藤選手のダミーとなった樋口選手と得点の影には様々なプレーが展開されており、それらのプレーに支えられた素晴らしい得点だったとおもいます。
 ハーフタイム終了後、ピッチに戻ってきた選手の中に背番号21の姿が見えます。高卒ルーキーとして期待され所謂ハワイ組でありながら、チャレンジャーズチームでは棗選手にポジションを明け渡し、控えに甘んじていた近藤裕輔選手(草津温泉ホテルリゾート)です。このとき、前半のサイド(エンド)チェンジの理由がはっきりと理解できました。そう。チャレンジャーズチームとしてのホーム最終戦にして、近藤選手のデビュー戦。身内の方や職場関係者、その他近藤選手を支えてくれた人々へのお披露目でもあります。おそらくは予定されていた選手交代。であれば、近藤選手をザスパサポーターの近くで守らせ、その勇姿をよく見てもらおう。そのためには前半"あちら側"で守れば、後半はエンドが替わる。そんな粋な計らいがあったように想像し、勝手に胸を熱くさせながら後半が始まります。
 なお、棗選手に替わりキャプテンマークは富松選手が引き継ぎ、ディフェンスリーダーから名実ともにチームリーダーとして君臨しますが、そんな富松選手がやってくれます。後半5分。左サイドを突破した豊原選手、樋口選手へパスを供給。樋口選手がこれに合わせシュートを放つも、ゴールはならず。しかし、このプレーでペナルティを貰い、ペナルティエリア付近からのフリーキックを得ます。キッカーは櫻田選手。激しいポジション争奪戦が繰り広げられるゴール前へクロスを上げます。合わせたのは富松キャプテン。競り合いながらのヘディングシュートは見事ザスパの2点目としてゴールネットを揺らしました。
 2対0となりヴェルディが猛攻撃を仕掛けてきます。公式発表によるとユース選手が多かったようなのですが、そこはヴェルディユース。山口貴之選手を彷彿とさせるような切れのあるプレーでザスパ陣内へ攻め込んできます。これに対するザスパは、個人技では振り切られても次の選手がフォローに廻るなど、集団の力で攻撃の芽を摘み取っていきます。攻撃時にDFの野口選手が駆け上がったように、守備時にはFWの樋口選手がペナルティエリアまで戻るなど、文字通りの全員攻撃・全員守備で一丸となって戦います。結果的にはほんの僅かな隙を衝かれ森本選手に2点を献上してしまいますが、速く巧いヴェルディ選手に振り切られても、決して諦めることなくボールを追いかける姿にサポーターも最後まで声援を送りつづけます。
 試合終了。2対2のドロー。勝てる可能性という意味では佐野監督の仰るとおり「悔しい!」。しかしそれでも観客席からは温かい拍手が送られました。サポーターは知っています。彼らが年間わずか10戦という試合数の中でどれだけチャンスを渇望し、そして結果を出そうと必死に戦ってきたのかを。
 試合後は相変わらず降り続く霧雨にも関わらず、ふれあいサッカーが敢行されました。木村コーチが「靴さえ履いていれば誰でも参加できまーす」と呼びかけ、ゴールを決めれば皆でハイタッチ、選手を止めれば「●●選手を止めたぞー」と歓喜し、さらにはオレンジビブスを付けたチームが「チームえ●め」を名乗ります。サッカーを身近なものにし、サッカーという文化を広めようとするクラブの想いが伝わってきます。天皇杯を戦った敵将・友近選手は「このチームを応援できれば一生幸せに生きていける!!」そんなチームを作りたいと言っています。幸せなことに、私たちは今そんなチームを応援しています
 最後の棗キャプテンの挨拶には「サポーター・職場の人・地域の人に感謝したい」という言葉がありました。佐野監督は「ホーム最後のこの試合はチャレンジャーズチームのメンバーで戦うつもりだった」とコメントされました。北の大地に夢とチャンスを求めて集まった若人は、この地にサッカーのある楽しく豊かな生活の種子を蒔いてくれました。
 土曜日にトップチームを、日曜日にはチャレンジャーズチームを応援する。そんな週末を過ごせた今シーズンは大変に豊かで充実した時間を楽しませてもらえました。第1期チャレンジャーズチームとしての最終戦、対新潟戦は今週末に迫っています。若き挑戦者たちの卒業式であり、初代佐野軍団の解団式。未来に向けて羽ばたいていく仲間たちに熱きご声援を!【昴⊂上州】



■ 2005年10月16日(日) ■

2005Jサテライトリーグ Bグループ 第24日

アルビレックス新潟 0−3 ザスパ草津

新潟市陸上競技場 2241人

ありがとう

 会場へ向かう道すがら、昨年のちょうどこの時期に発生した新潟県中越地震の復旧工事現場を通りかかりました。おもえばザスパが聖地・本白根第3Gで草津の人々に感動を与えるプレーを披露したあの日、新潟は夢と希望が交錯するメッカ・ビッグスワンでのゲームを奪われました。しかしながら、そんな中でもアルビレックスの選手たちは地元に元気を与えようと死に物狂いの戦いを繰り広げました。「がんばろう新潟」。地域に根差したクラブの頑張りは、共に生きる人々の心の拠り所にもなりうるものです。愛すべきクラブと共に生きるということ。それはチームの勝敗に一喜一憂するのではなく、チームを応援し、戦うチームから明日への活力を貰う、そんな共生の関係を築くこと。今日も若いチャレンジャー達と共に戦い、感動を分けてもらうために、決戦の舞台となる新潟市陸上競技場へと向かいます。
 サテライトリーグ最終節、対アルビレックス新潟戦。チャレンジャーズチームのオーダーはGK棗、DF左から三上/富松/柳沢/野口、MFに櫻田/諸/高向/小林、FW佐藤/吉本です。前線での楔となる樋口選手を前節東京V戦での黄紙(累積3枚)による出場停止、左サイドハーフの豊原選手を負傷で欠き、さらに右サイドバックの杉山選手が万全のチャレンジャーズチーム仕様とはいえない中で、ほぼスクランブルといえるメンバーで臨みます。
 しかしながら今日のこのチーム、非常に興味深い攻撃を組み立てます。守備時には通常の4-4-2の陣形を敷くものの、ひとたび攻撃に入った暁にはボールを左サイドの櫻田選手に集め、逆サイドの小林・野口選手がオーバーラップを仕掛けます。この場合、三上選手は櫻田選手のフォローを心掛けつつ、3バックの一角として最終ラインを形成します。中盤は高向・諸選手が空いたスペースをケアします。攻撃陣も“シャドー系”FWの吉本・佐藤選手とドリブル突破力の高い小林選手、攻撃的サイドバック野口選手の4人が文字通り縦横無尽にポジションを入れ替え、相手DFを撹乱します。この4枚の攻撃陣に司令塔櫻田選手が左後方から高い精度のボールを供給し、またそれを受けた選手たちも積極的にシュートを放つ、極めてシステムだったメリハリのあるサッカーを展開していきます。
 試合開始早々の前半2分。左サイドからのFK。キッカーは櫻田選手。左足から送り込まれたボールはゴール前で待つ吉本選手へ。ドンピシャのタイミングで捕らえたヘディングシュートはGKのダイブをすり抜け、ゴールネットに吸い込まれました。決めるべき選手に、決めさせるパスを出せる選手が、完璧なパスを供給して奪ったゴール。チームという名の個の集合体が機能する美しさを見たようにおもいます。もちろん、このプレーの影ではゴール前の富松選手や三上選手らが相手DFと激しいポジション争いを繰り広げており、それらの動きに支えられて一瞬の閃きと才能が決定的な仕事を成し遂げられたことも忘れたくありません。
さらに前半12分。ゴール正面、ペナルティアークとセンターサークルのほぼ中間地点付近でペナルティを貰います。壁の位置が近い遠いでやり直し後の2度目のFK。キッカーは1本目に引き続いて野口選手。ホイッスルからワンテンポ遅れて右足から放たれた豪快なシュートは、ゴール右サイドでGKの差し出す左手に一度は弾かれながらも、ポストに当たってゴールラインの内側にバウンドしました。小雨Gでの全体練習後の個人練習でもミドルレンジからのシュート練習を繰り返してきた野口選手。正面からのFKをキッチリと枠に打ち込みました。仮にGKに弾かれたとしても、そのこぼれ球をゴール前の味方選手が押し込みに詰めるという基本に忠実なプレーです。一撃で仕留められずとも二次攻撃・三次攻撃を仕掛ける、泥臭いですが、しかし今のザスパに求められているプレーだとおもいます。しかし、そのためには“枠を外さない”ことが絶対条件となります。このために不断の努力を欠かさなかった野口選手。その努力はこの日、最高の舞台で身を結びました。
 その後は一進一退の攻防が続きます。ザスパは攻撃時には左サイド櫻田選手を軸にしたシステマティックな攻撃を組み立てるのですが、守備時には多くの場面で全員守備に追い込まれ、やはり“一人一殺”で守れるだけの個々人のレベルアップは必要だとおもわれました。しかしそれでも、現有のあらん限りのエネルギーで失点を防ぎます。前半ロスタイムには新潟の波状攻撃を受けますが、それでもペナルティエリアにほぼ全員が入りディフェンスにあたるなど懸命にゴールを死守します。また後半3分には柳沢選手がペナルティエリア内で反則を取られPKを与えてしまいます。ペナルティかも疑わしい判定にスタジアムの雰囲気が暗転する中で、しかしGK棗選手は相手キッカーにプレッシャーを掛け続けPK失敗(左サイドに外す)という結果を掴み取ります。
 後半12分。三上選手OUT、杉山選手IN。高向選手OUT、山ア選手IN。三上選手の左SBに野口選手、野口選手の右SBに杉山選手。高向選手のボランチに櫻田選手、櫻田選手の左SHに山崎選手が入ります。この鶴翼の陣形で攻め込むザスパ。左SBの野口選手と右SBの杉山選手が駆け上がり、両サイドから相手DFをえぐっていきます。もちろん、三上選手が常に残っていた実質3バックの陣形に比べるとカウンターを喰らったときのリスクは高まりますが、その分ボランチ諸選手が走り回ってケアします。またそもそも交代前の3バックの布陣でも押されていたことを考えると、両サイドをより高い位置でプレーさせることによる攻撃的な守備隊形による効果はあったものとおもわれます。
 後半18分。右サイドからチャンスが生まれます。小林選手がドリブルで持ち込み、その更にライン際を杉山選手が駆け上がります。相手DFが逡巡したところで、小林選手が右45度エリア手前からシュート。ボールがゴール前でこぼれたところに詰めたのは吉本選手。落ち着いてボールをゴールに送り込み、追加点。2-0。さらにその直後の後半20分。吉本選手、ノートラップでのループシュート。ボールは惜しくもサイドバーを越えてしまいますが、観客席からは「ハットリ君、復活」という声が上がり始めます。今日、この吉本淳という天才型のプレーヤーを、その厳しい要求に応えながら見事に支えた櫻田選手以下のサポートも実に素晴らしいものがありました。点を取れる選手に点を取らせる環境を全員で作る。その全員の思いを託したラストパスをゴールに結実させるべく、最後まで諦めずにボールを追うFW。全員攻撃の次の進化形を志向するときに、仲間の負託を受けたFWとしての義務を果たせる決定力のある選手は絶対不可欠なものとなります。そのようなFWとして今日吉本選手が復活し、続く佐藤・樋口選手という若い才能が生まれてきています。
 後半も途中からは選手交代によるフォーメーションの乱れもあり、決定的なピンチも多々ありました。棗選手が抜かれ、ゴールライン寸前で他の選手がクリアしたプレーも一度や二度ではありませんでした。しかしそれでも、全員で、必死に、集中して、ゴールマウスを堅守します。そしてホイッスル。3-0。全員で勝ち取った勝利です。
 試合後の選手たちがスタンド下で手を繋いで挨拶してくれている光景を見ながら、不思議と涙は出てきませんでした。リードしているロスタイムが短いとおもったのも初めてなら、チームよりも自分たちのために戦ってくれという気持ちを抑えきれなかったのも初めてでしたが、やはり選手たちには上を目指してほしい。今日は卒業ではなく、ひとつの区切り。そんな想いが強かったのだとおもいます。相次ぐ選手交代にも最後まで懸命にDFラインを統率した守備の要・富松選手。プレーに派手さはなくとも、櫻田選手のカバーリングをこなしながら最終ラインの一角を支えた三上選手。決して器用とは言えないながら、ボランチの仕事を丁寧にこなして完封に貢献した高向選手。その快足で右サイドを切り裂き、得点の予感にスタンドを熱狂させた小林選手。そしてこの日ピッチには立てなかったものの、ハーフタイム後にピッチに戻ってくる選手を握手で送り出した近藤選手。みんなで戦ってきた一年が終わります。
 早すぎる秋の訪れと共に、北の国からの思い出はここで一度幕を降ろします。しかし今年のリーグ全十戦で与えてくれた感動を私は忘れない。個人的にも大きな環境の変化があったこの1年。チャレンジすることの大切さを再確認させてくれた若き戦士たちに感謝です。「ザスパのおかげで頑張れました」と報告できるその日まで、私も自分の世界でチャレンジするつもり。愛するチームが心の中に在り続けるということ。私はこのチームを1年間応援できて幸せでした。【昴⊂上州】




 新潟は、晴れだった。やや雲は出ていたけれども、半袖でも十分なくらいに暑かった。思えばサテライト全10戦中ほとんどが雨だった。ポンチョを羽織らずに「泉質主義」シャツだけで観戦できる試合は本当に久しぶりだ。それだけでも気分が晴れやかになれる。
 競技場正面入口でザスパバスを丁寧に洗車している運転手さんと立ち話をする。今朝は8:00すぎに草津を出発したそうだ。長時間の移動は選手たちも同様である。バスの側面にはトップの選手数名の似顔絵が描かれているが、いつかここにチャレンジャーズチームから昇格した選手達の似顔絵も…と思いつつその場をあとにする。
 新潟はシーズンパスを持っているとサテライトは無料で観戦できるらしく、たくさんのサポーターたちが会場に集まってきている。また、運営もサポーターがボランティアで参加しているようだ。クラブの規模こそ違えど、将来のザスパの理想とする姿がアルビにはあるように思える。チケットもぎりの女性は「ようこそ遠くからおいでくださいました、行ってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれた。昨年J1の試合で新潟に行ったときも思ったのだが、アルビサポは対戦相手のサポを暖かく出迎えてくれる。
 スタンドに入ると、既に何人かの選手がアップを始めていた。ザスパサポも(遠いとはいえ)隣県での開催ということもあって、100名くらいは来ているようだ。思えば初戦の鹿島戦@ひたちなかはその半数以下だった。距離も関係しているとはいえ、この5ヶ月間でチャレンジャーズチームの虜になったザスパサポーターは多いはずだ。もちろん自分もその一人だ。皆、今日が最終戦だということは承知している。限られた時間を惜しむかのように、暖かい視線で選手を見つめるサポーターたち。
 今日は樋口の累積出場停止や豊原の負傷等で、前節とは若干スタメンが入れ替わる。GK棗、DF(右から)野口/柳澤/富松/三上、MF高向/諸/小林/櫻田、FW佐藤/吉本。中盤は高向と諸のWボランチで右に小林、左に櫻田が張り出す形となっていた。チャレンジャーズチームのみの構成でいけなかったのは残念だが、本日はいつの間にかサテ落ちしていた吉本の一発奮起にも期待したいところである。そんな吉本が開始早々魅せてくれた。前半2分に与えられたFK。キッカーは櫻田。放ったボールに合わせ吉本が頭で押し込み、先制。さらに前半12分。野口のFKが直接決まり、2-0。ちょっと距離はあったのだが、見事な追加点に喜びを爆発させる選手、そしてザスパサポ。
 しかし新潟もここで目が覚めたのか、このあとはチャンスを伺ってはどんどんザスパゴールを目がけて攻撃を仕掛ける。今日の新潟のメンバーはMF寺川・FW上野などのベテラン選手も混ざっており、前回(8/28)の対戦時より正直手強い。若手選手とベテラン選手の融合で、新潟の攻撃はこれでもかこれでもか、という位続いた。しかしザスパだって防戦一方になるわけがない。新潟に負けず劣らず機会を伺っては攻撃を仕掛ける。既に1得点を挙げた吉本、そしてそんな吉本に負けてたまるかと佐藤も追加点を目指しピッチ内を駆け回る。2トップに合わせて後ろからは絶妙なパスやクロスが供給されていく。ピンチになれば守備陣だけでなく中盤の選手も一気に戻って皆でゴールを守る。これが波に乗っているときのチャレンジャーズチームである!!新潟の選手は次第に焦りだし、ラフプレイが続出するようになる。審判がファウル時に笛を吹かずにプレイを続行させると「カード、カード、カード!!!」とライン際に詰め寄って大声で怒鳴る佐野監督。試合中にはしばしば審判から注意を受けるが(苦笑)、この熱い佐野魂がチャレンジャーズチームを強くしているのだ。一進一退の攻防が続く中、2-0でザスパがリードのまま前半終了。
 メンバーチェンジはなく、後半開始。開始早々、柳澤がエリア内で相手選手を倒してしまいPK献上。しかしキッカー上野、PK失敗。スタジアム内に響き渡る落胆の声に反して「よっしゃ!」と叫ぶザスパサポ。後半に入っても新潟は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。個人個人の技術では明らかに劣るザスパとしては、最後まで「強い気持ち」で戦いに挑むしかない。又この5ヶ月計10試合、ほぼ同じメンバーで戦ってきた「チームの結束力」も重要となってくる。先日、ラジオ番組で佐野監督は「組織的な決めごとはなく、個人個人がいかにアピールするかの戦いで今まで戦ってきた」とおっしゃっていたが、彼らには自然とチームとしてのまとまりも身についていた。決して恵まれた環境とはいえない、あの小雨グラウンドで培ってきた彼らならではの阿吽の呼吸。出せる限りの全てのものを出して、彼らは後半も戦い続けた。しかし今日は前回(10/10)のホーム最終戦のように、チャレンジャーズチームだけで90分間戦うことはできなかった。(これだけは個人的に不本意である…)後半12分に三上→杉山、高向→山崎と交代。杉山が右SBに入り、野口が左SBに移動。櫻田がボランチに、山崎が左SHに入る。このように若干交代・変更があって間もない後半18分、この日非常に機能していた右サイドからの攻撃で追加点を挙げることに成功。杉山→小林がシュート→こぼれ球を吉本が押し込んだ形だ。新潟は手強かったが、流れは徐々にザスパに傾いてきた。そんななか後半26分に野口→寺田、33分に吉本→御給と交代。野口は途中交代が悔しかったのであろうか、目に涙を浮かべながらピッチを後にしていった(確かに調子がよさそうだったので残念)。だがここまでトップの選手の投入が続くと、いよいよ別のチームになってきてしまう。チャレンジャーズチームの良さは徐々に薄れていき、再び新潟の攻撃が息を吹き返してくる。トップの選手達を責めるわけではないが、どうしても彼らが入るとこのチームに宿っている気迫が薄れてしまうのである。それでも守備の要である棗が大声で指示を繰り返し、富松・柳澤の両センターバックがしっかりラインを統率する。この日の棗は神懸かり的なファインセーブが続出し、どうにかして「無失点フル出場」をしたい気持ちが前面に出ていた。祈るような気持ちでロスタイムを過ごし、3-0のまま試合終了。2試合連続の無失点勝利。そして勝利で飾ることのできた最終戦。チーム一丸となって勝利である。
 試合後、選手達は観客席ギリギリのところまできて横一列に並び、皆で手を繋いで挨拶をしてくれた。私はこの挨拶が大好きである。私たちサポーターは一緒に手を繋いでいないが、この瞬間に見えないところで選手と繋がる、そんな気がするのだ。今日はこの日の為に作った「夢と感動をありがとう」というプレートを彼らに向けて高く掲げた。個人的な話だが、去年まではJ1クラブのサポーターをしていて、どうしても表面的にしか選手や監督と触れあうことができなかった。しかしこのチャレンジャーズチームを応援しはじめ、小雨グラウンドに足を運ぶようにもなり、草津という小さい町で選手や監督と触れあっていくうちにサッカーの楽しさを改めて感じることができた。今まで見てきたJ1の試合に比べると明らかにレベルも低かったし、選手の知名度だって低い。しかし「地元密着」を目指して成長していくクラブ(選手)の姿を、このチャレンジャーズチームを通して肌で感じることができたのは自分にとっても大きな収穫である。
 サテライトの試合は終了してしまったが、これからは新たな旅立ちに向けて1人1人がそれぞれの目標に向けて頑張ってほしい。いちサッカー人として幸せになってほしい。またいつまでも草津の地にこのチームがあり続けるよう、佐野監督にもますます奮起していただきたい。彼らの成長を追い続けることができたのは本当に幸せである、だから心から言いたい。チャレンジャーズチーム、夢と感動をありがとう!!!【きくり∈東毛】





2005Jサテライトリーグ Bグループ
4勝3分3敗;勝ち点15、得失点差±0、総得点17、堂々の2位

チャレンジャーズチーム、夢と感動をありがとう!!




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製作協力三束雨@藤岡


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