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AO-40への挑戦 :SM7XQZ長い間QRT状態にあった私が、突然無線を再開する気になった理由は、偶然に発見したJN1BPM鈴木先生のホームページでした。鈴木先生との運命の再会がなければ、SM7XQZは存在しなかったことでしょう。今年1月にSM7XQZとしてQRVし始めて以来、鈴木先生と交信することは私の夢であり、スウェーデン留学中の最高の思い出になると考えてきました。最初は50 MHzで春のDXシーズンを狙いましたが、残念ながらチャンスがありませんでした。サイクル23もピークを過ぎて久しく、今年(2002年)の秋のDXシーズンに50MHzで鈴木先生とQSOできる可能性は、限りなく低いと言わざるを得ません。「鈴木先生とQSOせずに日本へは帰れない!」私と鈴木先生は、どうしたらQSOできるか、様々な可能性を考えました。そして、たどり着いた結論がAO-40でした。ただ単に交信するだけならばHFという選択肢もありますが、できれば互いに興味のある分野でQSOしたいと考え、鈴木先生に遅れること数ヶ月、遂に私もAO-40への挑戦を決意したのです。 |
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SM7XQZとQSOしたい!;JN1BPM運命の再開から数ヶ月、日本に一時帰国されていた山崎先生(JG2GSY/2)とUO-14やRS-13で交信し、無線上での山崎先生との再会は果たせました.50MHzでは無理としても、なんとしても「SM7XQZ」の山崎先生と交信したいと思いました.しかし10mででも・・と考えたのですが、実家にしまっていた10mの2elHB9CVは既に腐食していて使い物にならず、先にAO-40デビューを果たした私は先生に「AO-40でいかがです?」とメールを書きました.山崎先生に更なる「Radioactivity」を照射してしまいました.(笑) 山崎先生はワールドカップ観戦で帰国した折に、ついにマキ電機のコンバータとアンテナを購入したこと、「留学中、日本に帰る前に、ぜひ交信したい!」とメールされてきました.それは私も同じ.何としてもSM7XQZと交信したい!CALSAT32を用いて「2点間のコモンビュー」の計算をしました.いずれも西南西の空、仰角10度以下が強いられます.私の家(新田郡)は、その方向は民家があり、ベランダもその方向にはなく、とても良い条件とはいえません.移動しても良いのですが、ヨーロッパのwindowは「朝」で、撤収時間を考慮すると通勤にも差し障ります.職場(桐生市)は、幸いにも南西方向のみほとんど何もなく、まさにヨーロッパ向けだけ好条件です.迷わず職場の屋上を拝借することにしました.私の当直勤務である水曜夜〜木曜朝で、SMとのWindowを調べてみると、日本時間7月11日朝が最も好条件であることがわかり、山崎先生に6月下旬、この旨打診しました.(これを逃すと、次に良いのはお盆過ぎ)山崎先生もその日にQRVするので準備に全力を傾注すると連絡がありました.もうこうなれば交信はもらったも同然か?(一応当直勤務中なので、突然違う奈落の底への「コール」が来ることがあるのですが.(笑))私は妙にウキウキしてきました. |
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2002.07.07 (Sun) :SM7XQZ明け方にAO-40がちょうど良い位置に来る。鈴木先生とのQSOの予行演習には最高の条件だ。既に無線病の末期状態にある私は、深夜にもかかわらず研究室の屋上に上がり、AO-40用の設備一式をセットアップした。uplinkはIC-706MKIIG (435 MHz 20 W) + 5ele 八木アンテナ(マルドル製)、downlinkはFT-817 + 2.4 GHz -> 145MHzコンバーター(マキ電機製)+ 57ele ループアンテナ(マキ電機製)である。鈴木先生がホームページで紹介していっらしゃるように、私もマイクスタンドにアンテナを固定する計画である(少々取り付け方法が違うが)。ところが、downlink用の57 ele ループアンテナを取り付けるにあたって、2つの問題が発生した。ひとつは、専用の取り付け金具に対して、マイクスタンドのアームが細すぎることであった。別のアンテナ用のU字金具を用いて何とか固定することができたが、さらに新たな問題が生じた。やはり専用の金具でないと重心のバランスが悪く、アンテナは自分の重さに耐えかねて、少しずつ頭を下げてしまう。仕方なく、57 eleの後ろ半分、31ele部分だけを用いることにした。早速AO-40の方向へアンテナを向け、受信機のダイヤルを回す。すると、一発で特徴あるMBの音をキャッチすることに成功した。31 eleでも何とかなりそうな雰囲気だ。今度はuplink用のアンテナを用意し、ループテストに挑戦する。鈴木先生から教えて頂いた周波数早見表を用いて、downlinkが下りてくるはずの周波数をワッチしながら、CWで短点の連続を送信する。受信機のダイヤルを微調整すると、宇宙のはるか彼方で送り返された自分のシグナルが聞こえるではないか!しかも、少し遅れて返ってくる。1989年にAO-10でループテストに成功して以来、13年ぶりの感動だ。バンドをスキャンしてみると、PY, I, SM, PA各局が聞こえているが、すべてSSBでQSOしている。「この設備ではSSBは無理だろう」と考えていた私は、CWでCQを出してみた。数回目のCQに誰かがSSBで応答してきた。「QRZ? DE SM7XQZ K.」と返したが、その局はどこかへ行ってしまったようだ。クロスモードQSOは成らなかったが、これで私のCWが聞こえているという証明になった。鈴木先生とはCWでQSOする予定なので、何とかなりそうだ。少し自信を持った私は、調子に乗ってSSBにも挑戦することにした。ループテストを試みると、弱いながらも自分の声が返ってくる。「ひょっとしてSSBでも使い物になるのでは?」誰かをコールすることも考えたが、私のシグナルが弱すぎて迷惑をかけるかもしれない。そこで、自分からCQを出すことにした。私の弱いシグナルでも構わないと言う人はコールしてくれるだろう。CQを繰り返すこと数回。遂にSM3JGGからコールバックがあり、AO-40での1st QSOとなった。これで自信を持った私は、今度は自分から誰かをコールしてみようと考えた。すぐにIT9UJYのCQを発見。何と、1回でコールサインをフルコピーしてもらえた。きっと良い受信アンテナを使っているのだろう。ここまでできれば、本番の予行演習としては上出来だ。私は、自分の夢があと一歩で現実のものになることを確信した 。 |
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2002.7.08(Sun):JN1BPM山崎先生からAO-40で交信成功のメールが届く.「おめでとう!でも、AO-40での1stQSOになりたかったですよ.」と返事を出す.これでよほどのことがない限り、QSOできるだろう.私は夕方に天気予報を見るべくテレビのスイッチを入れた・・・・「あれ?台風6号がこちらに向かっている.しかも水曜日頃、本州を直撃だ!」無線は「天・地・人」の配分がうまく行かないと、絶対にうまくいかないと常日頃思ってたが・・・まさか・・・なんという不運・・・・6mのみならず、衛星でも運がないのか、オレ?? |
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2002.7.10(Wed):JN1BPM
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【ここから先は、2元ドキュメントです】2002.07.10 (Wed) -07.11(Thu)スウェーデンは日本時間 -7時間ですSM7XQZの画像は後日、当日の様子を日中に再現したものです |
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SM7XQZ (JO25mo) |
JN1BPM (PM96pj) |
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15:00 仕事(日勤業務)も終わりに近づいた.今日は当直なので帰れない.何よりも、台風6号がどうなるか不安である.外の風雨は強い.昼間は時間数十ミリの豪雨だった.職場の裏を流れる渡良瀬川は水位が増し、すでに濁流となり、普段は聞こえない轟音を発していた.予報でははやり台風の速度は上がっている.これなら朝には台風一過なはずだ.心配なのは風だが、春先の群馬の空っ風の方が絶対強いだろう.風に対しては上州人は免疫が高い.仮に多少の風雨なら絶対にやってやる!山崎先生に「OKかも!」とメールする. |
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| 09:00 (日本時間16時) いよいよ決行の日がやってきた。日本の台風6号の状況が気にかかる。朝一番に鈴木先生から受け取ったメールのタイトルは、「OKかも!」。どうやらAO-40にQRVする時間には、台風6号は関東地方を通り抜けているという予想らしい。「本当に大丈夫か?」、「風でアンテナを破損したりしないのか?」私の不安は消えなかったが、あとは鈴木先生の判断に任せるしかない。私は自分のできることをやるだけだ。 |
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| 20:00 依然、雨風強い.夜回診を終え医局へ.(病棟とは別棟、この屋上にアンテナを建てる予定.)幸いにもみな容態は落ち着いている.まさかこんな暴風雨の中やってくる外来患者さんもいないだろう.逆にこんな中来る人はよほど切羽詰った状況だろう.誰も来ませんように・・・・ 天気予報サイトで、台風情報を確認.これなら朝には晴れるはずだ!室内で2.4Gのループアンテナをマイクスタンドに取り付け、BPMスペシャル完成.これで準備万端! 台風の通り過ぎるのを祈って、02:00ごろ仮眠とする. |
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| 22:30 (日本時間11日5:30) 今日は50MHzのコンディションが良く、夕方からずっと50 MHzにQRVしていたが、そろそろコンディションも下がり始めたようだ。50MHzはQRTとし、50MHz用のアンテナや同軸ケーブルを片付けて、屋上にAO-40用のアンテナを立てるスペースを作り始める。 |
5:30 目が覚める.屋上へ出てみると、台風一過特有の、蒸し暑さが残る.しかし、風はほとんどない.台風は我々の気を察してくれたのか、足早に去ってくれたらしい. |
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22:40 6階からAO-40用の機材一式を7階へ運ぶ。 22:50 アンテナを組み上げるため屋上へ出ると、先ほどまでは心地良かった夜風が、少し強くなっている。マイクスタンド単独では心配だ。実験に使うポリタンクに水を入れ、マイクスタンド根本に縛り付けることにする。そうすれば重心の位置も下がって安定するだろう。 |
5:45 屋上にBPMスペシャルを持って行き、ケーブルを接続し、深呼吸.南西方向の視界はやはり抜群だ!(というか、この方向しか開けていない.)風もほとんどなく、ステーも張らなくて済みそう.さぁ!いよいよ勝負だ! ループテスト.すぐに返り信号を確認.CQをCWで出してみたが誰からも応答がないので、ワッチに切り替える. |
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| 06:00 4X1ASの、SSBのCQを受信.4X(イスラエル)は衛星で初めてだ!SSBでループテストをするが、良くわからない.仕方がないので、CWでコールすると、すぐにピックアップされる.CWでは非礼を詫びるのも一苦労だ.クロスモード交信成功! もう少しで、ヨーロッパだ! |
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| 23:10 鈴木先生からメールが届く。もうQRVを開始したとのこと。どうやら台風は大丈夫らしい。 23:15 鈴木先生にメールの返事を書く。こちらは現在準備中で、あと30分ほどでQRVの予定と伝える。 23:20 アンテナ作業を続けようと屋上へ出た瞬間、予期せぬ強い風にあおられて足下がフラついた。目にホコリが入る。数秒後、やっとの思いで目を開けた私が見たものは、闇夜を切り裂く稲妻であった。少し前から急に風が強くなった理由がわかった。SM7で雷雲が発生していたのである。せっかくJA1では台風が過ぎ去ったと言うのに、今度はSM7で問題が発生した。屋上に置いたアンテナは、雷の格好の餌食となりかねない。「雷でアンテナや無線機をダメにしてはQSOどころではない」、「しかし、鈴木先生は私のQRVを待っている」、「どうする、、、?」冷静な判断を迫られた私は、雷雲の様子を注意深く観察した。稲妻は見えるが、まだ雷鳴は聞こえない。「この雷は近くない!」そう判断して、アンテナ作業を続ける決心をした。しかし、「雷鳴が聞こえたら潔く撤退する」と自分自身に約束した。風は一段と強さを増し、とてもマイクスタンドが自立するとは思えない。「ステーを張ろう」私は直径5ミリほどのロープを取り出し、マイクスタンドを4方向から固定した。「何かの役に立つのでは」と考え、予備の同軸ケーブルとともに備えておいたロープが、こんなところで活躍するとは夢にも思わなかった。 |
06:05 山崎先生に「QRV開始と4XとQSO」のメールを書く.「あと30分ほどでQRVの予定」との返事が来る.むこうも準備万端らしい. がぜん張り切ってCQを出す! |
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6:25 ビーコン状態を不憫に思ってくれたのか、JA2AUXに呼ばれる.AO-40での3回目のQSOである. NHKニュースを横目にCQビーコンと化す. コモンビューの7時までもう少しだ! |
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| 00:00 (日本時間7:00) 風のせいで大幅に遅れたアンテナ作業も何とか終了した。マイクスタンドはガッチリと固定され、もうアンテナが倒れる心配はない。屋上へ出て、コンパスで方角を確かめる。現在AO-40は106度の方向、仰角はマイナス2.7度にあるはずだ。アンテナの方向を調整し、早速MBの受信を試みる。「あれ、、、!?」MBが聞こえない、、、。おかしい、先日はバッチリ受信できたではないか。アンテナを確かめるため屋上へ出たその瞬間、先ほどとは比べものにならない大きな稲妻が眼前に広がった。正直言って、私はかなりビビった。雷雲が近付いてきたようだ。しかし、まだ雷鳴は聞こえない。「来るなら来い!俺は逃げないぞ(雷鳴が聞こえるまでは)!」私は心の中でそう叫んだ。 |
07:00 SM7マルメで、AO-40がAOSする時間だ.山崎先生は研究室の屋上だから、きっと水平線すれすれでも聞くことができるだろう.こちらは仰角20度を切り、返り信号が弱くなってきた.私がCQを出して、山崎先生がコールする約束になっている.(山崎先生がCQを出すと、1stJAの栄誉を誰かにさらわれてしまう可能性があるから) いつ呼ばれるかわからないのでひたすらCQを出し、ときおりバンドをワッチする. |
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| 00:10 おかしい。どうしてもMBが聞こえない。リグ、同軸ケーブル、コンバーター、そしてアンテナ、どこにも問題は見あたらない。「なぜだ、、、?」私は屋上へ出て、もう一度アンテナの方向を確かめることにした。すると、「何!?」コンパスの指す北の方向が先ほどと違う。「、、、?」どうやら雷雲の影響で、コンパスが狂っているらしい。こうなったら、普段50MHzのアンテナを立てている経験を頼りにするしかない。 「106度、東から少し南寄り」私は勘でアンテナの方向を合わせた。落ち着いて見てみれば、最初にアンテナを向けた方向はかなり南に近かった。突然の雷雲と強風、そして暗闇でのアンテナ作業のため、私は盲目的にコンパスを信じてしまったのである。
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07:05 ワッチをするとI8CVSのSSBのCQを受信.ヨーロッパも可視範囲のようだ.ヨーロッパに届くかどうか、これもCWで呼ぶ.衛星でI(イタリア)は初めてだ.クロスモードで交信成立.グリッドロケータは、JN70だ.SM7マルメまでもう少し! テレビのニュースを横目にしながらなので、途中、CWの符号を間違える.メモリーキーは衛星に必需品なんだろうが、持っていないのでひたすら「修行」のごとくCWを打つ. |
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| 00:15 私の勘は正しかった。今度は見事にMBを捕らえることに成功した。さらにアンテナの方向を微調整した後、MB + 25 kHzで出ているはずの鈴木先生を探す。「これだ!」CWを発見した私は、コールサインを聞かずして、既に確信を持った。「CQ CQ DE JN1BPM JN1BPM ...」間違いない!519で入感するそのシグナルは、決して強くはないが、QSOするには十分である。「よっしゃ!!」すぐにでもコールしたいが、ここで焦ってはならない。まずは自分のdownlinkを確認することが先決だ。鈴木先生の出ている周波数を離れ、周波数早見表でuplinkとdownlinkを確認しながらCWで短点を連続して送信する。しかし、そこにあるべき自分のdownlinkが何度やっても見つからない。「おかしい!」先日はループテストに成功しただけでなく、問題なくQSOもしている。「よし、もう一度MBを確認してから、、、あれ、、、?」つい数分前までクリアーに聞こえていたMBが聞こえなくなっていた。当然、鈴木先生のシグナルも見あたらない。「、、、?」再度、リグ、同軸ケーブル、コンバーターとチェックを進め、そして、アンテナを見た。「何だ、そういうことか!」強風のためアンテナの方向が少し北にずれていた。方向を固定した瞬間は大丈夫でも、しばらくすると、強風に押されたアンテナはジリジリと動き始めた(マイクスタンドが回転する)。 |
PCでメールを確認すると、山崎先生から「CWのCQを確認!」との、眠気を一気に覚ますメールがきていた!夢の実現はすぐそこだ!おっしゃー!と気合を入れて、CQを打つ!気合が空回りしてまた符号を間違える(笑) まもなく7:30. オレの電波は、マルメに届いているのだろうか? |
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| 00:30 (日本時間7:30) 私はもうひとつロープを取り出して、アンテナ(マイクスタンド)が回転しないように固定した。これで問題は解決だ。私のアンテナは2度と変な方向を向くこともなく、確実にMBを捕らえ続けた。「よし、今度こそループテストだ!」最初の予定では、00:30には鈴木先生をコールすることになっていた。しかし、やっとこれからループテストである。だんだん残り時間が気になってきた。「ここまで来ればあと一歩だ!」、「落ち着け、まだ時間は十分にある!」自分自身にそう言い聞かせながら、CWの短点を打つ。しかし、またしても、私は宇宙のこだまを聞くことができなかった。「どうして!?」マジで大声を出してしまった。私は、もう一度リグからアンテナまでチェックしたが、当然のことながら不具合は何も見つからない。「落ち着け、落ち着け!」と言いながらも、その言葉とは裏腹に、どんどんパニック状態へ陥っていく自分を自覚した。 |
7:30 双方にとって8:04までが勝負の時間だ.8:04には、MA=124となって、ModeV/Sが始まって、無情にも430のupができなくなる.あと30分余り.CQを出す.しかし応答はない. メールをチェック.山崎先生からの連絡はない.むこうはアクシデントなのかもしれない.日本だったらケータイで確認だが、彼の地と私を結ぶのは、internetのメールと、そしてAO-40だけだ. でも呼んでこない.どうしたんだ?MB+25KHzって書いたつもりだが、もしかしたらMB-25KHzって書いたのかも?と思い、MBの下を探しにいく.これか!と思ったら、V63ZFをよぶDLの局のCWだった.V63もDLもまだ衛星では未交信だ!でもここで浮気をしている暇はない! |
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| 00:40 MBは確実に受信できているにもかかわらず、自分のdownlinkが聞こえない。uplinkがAO-40に届いていないことは明らかだ。先日とは衛星の位置と角度が違うとは言え、全く同じ設備を使っているのだから、uplinkが弱すぎるということはあるまい。「誰だ俺のuplinkを邪魔しているのは!?」私は半ばヤケクソになりかけていた。「見つけたらブン殴ってやる!」と過激なことを考えた次の瞬間、私にはふと思い当たる奴がいた。急いで屋上へ出て、アンテナ越しにAO-40のいる方角を眺めた。「見つけたぞ!」、「犯人はお前だ!」私は、複雑な事件を解決した名探偵の気分であった。 アンテナとAO-40を結ぶ直線上に、白い給水タンク(のようなもの、詳細不明)があったのである。(画像のマイクスタンドの支柱に重なっている)一番最初に方角を間違えていたこと、そして、その後の数々のトラブルのせいで、私は給水タンクの存在をすっかり忘れていた。downlink用のアンテナは、ギリギリで邪魔されていないが、uplink用のアンテナは、見事にその障害物にブロックされている。こうなったらアンテナの位置を変えるしか方法がない。しかし、マイクスタンドごと移動していたのでは、完全にタイムアップだ。私はuplink用のアンテナだけを別の場所に移すことにした。 |
7:40 メールをチェック.山崎先生からの連絡はない.向こうで何が起こっているんだ!?確認のすべがない私は、ひたすら勤行のように、CWのCQを出し続ける. |
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| 00:45 どんどん時間が過ぎていく。鈴木先生も心配しているだろうと考え、短いメールを送ることにした。uplink用のアンテナを移動することを伝え、「そのままCQを出し続けるように」とお願いした。 |
【左の山崎先生の07:45発のメールは結局存在を知らぬまま.】 | |||||
0:50 (日本時間7:50) 普段50MHz用のアンテナを取り付けているマストを持ち出し、その先端にuplink用のアンテナをセットする。同軸ケーブルが必要以上に長くなってしまったため、ロスが少々気になるが、他に選択肢はない。アンテナをAO-40の方向へ向け、ループテストを試みる。今度こそ、期待した周波数に、期待通りのdownlinkが返ってきた。鈴木先生のシグナルと、ほぼ同じ強さだ。「これでやっと鈴木先生をコールできる!」私はMB
+25 kHzへ向かって、ダイヤルを回し始めた。
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07:50 あと15分を切ってしまった. 脳裏に「これはできないかも?」と「できる!できる!」という二つの思いが交錯する.焦る! CWのキーイングのスピードを上げてみる.山崎先生の応答時間が少しでも長くなるように・・・・(私はいつもは、受信しながらCWを打つと、遅延してくるCWで打っている符号がめちゃくちゃになるのでCQ中はボリュームを落としている.このため山崎先生のゼロインの短点には気づいていなかった.) |
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| 00:55 改めて鈴木先生のCQを確認。私からのコールを待って、延々と人間ビーコンを演じてくれている。「ごめんなさい、何とか間に合いました」、「今すぐコールします」私は自らが送信する短点の連続を、鈴木先生のシグナルに重ね合わせた。CQが終わると同時にコール。「DE SM7XQZ SM7XQZ K」そして緊張のスタンバイ。しかし、一瞬の沈黙の後、私が耳にしたものは、「CQ CQ DE JN1BPM JN1BPM ...」私は言葉を失った。「鈴木先生には届いていないのか、、、?」さらに2回コールしたが、結果は同じであった。「どうして!?」私は一旦その周波数を離れ、もう一度ループテストを行った。問題なく自分のdownlinkが受信できる。もう何が何だかわからない。とにかく、今の私にできることは、時間のある限りコールするこことだけだ。私は完全に開き直って、もう一度、鈴木先生のCQに自分のdownlinkを重ね合わせた。いつの間にかCWのスピードが若干速くなった気がする。鈴木先生も時間を気にして焦っているのだろう。 |
8:00になった. あと5分もない・・・もう今日はだめかもしれない.まぁ今回は運がなかったのかもしれないな・・・ と何気なく、受信ダイアルをほんのわずか上にずらしてみる・・・08:02ごろだった. |
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CQが終ると同時にコール。「DE SM7XQZ SM7XQZ K」すると、少し時間をおいてから、「SM7XQZ DE JN1BPM, UR 519 519 5AN 5AN BK.」と返ってきた。「やった!!」遂にコールバックあり!パドルを持つ手が震える。「JN1BPM DE SM7XQZ, R, R, UR 519 519 5AN 5AN BK.」、「SM7XQZ DE JN1BPM, QSL ...」私の興奮は極限に達していた。 |
「・7・・Q・・・・」「ん!?今、Qって打たなかったか??」 全神経を集中する.「・・・SM7XQZ K」 聞こえた!!!! 間違いない!山崎先生だ! 符号を打つ指先に力が入る!打ち間違えるとその訂正しているうちにModeV/Sになってしまうかも!?落ち着け!!「SM7XQZ DE JN1BPM, UR 519 519 5AN 5AN BK」 耳を澄ます・・・そこには遠く宇宙を旅してきた「JN1BPM DE SM7XQZ, R, R, UR 519 519 5AN 5AN BK.」が、私の脳の聴覚野に深く刻み込まれた. |
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| その後で鈴木先生が何を打ってきたのか、私自身が何を打ち返したのか、今となってはよく覚えていない。しかし、とにかくQSOは成立した。私の夢が現実のものとなった瞬間であった。気が付けば時計の針は01:03を指している。タイムアップまであと1分であった。
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興奮した.交信時間は、どれくらいの時間だったろうか?良く覚えていない.ひょっとしたら、最後はMode-V/Sに変わって、山崎先生に聞こえてないかもしれない.時間を確認した.8:03!!ギリギリセーフなはずだ.ロスタイムの勝ち越しゴールのようだ.どっと疲れがでる. |
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| 01:04 AO-40のモードが切り替わったはずだ、試しにそのまま435 MHzでuplinkしてみたが、もう自分のdownlinkは聞こえない。本当にギリギリの危ないところであった。 |
8:04 Mode-V/Sに変わったようだ.自分のダウンリンクはもう聞こえない. |
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| 01:10 鈴木先生からQSO成功を確認するメールが届いた。どうやら私がしっかりとゼロインしていなかったため、気付いてもらえなかったようだ。申し訳ないことをした。こちらからも同様に確認のメールを送る。 01:30 QSO成功の余韻をしばらく楽しんだ後は、アンテナの撤去作業が私を待っていた。アンテナを下ろして分解し、同軸ケーブルを束ねる作業が、こんなにも楽しいものだとは知らなかった。「そう言えば雷雲は?」一連のゴタゴタですっかり忘れていたが、空を見上げると、稲妻は既に遙か彼方に遠ざかっていた。どうやら、雷鳴が聞こえるほど近くには来なかったらしい。JA1の台風6号と言い、SM7の雷雲と言い、最後の土壇場では我々に協力してくれたようだ。 |
8:06 山崎先生に急ぎ、「交信の成功確認と、受信能力不足のお詫び」のメールを書いた.すぐに山崎先生からメールがあり、マルメの雷の件を知らせてくれた.なんと雷とは!私は、6mWACAの残り2,3市の新宮市と、舞鶴市を、赤城山の雷の中、恐怖に怯え迎撃したことを思い出した. まさに無線通信の出会いは「「天地人」の幸運の結実」であることを実感した.と、私は論語の一節をふと思い出した.「有朋自遠方来、不亦楽乎 」遠方から同好の志がやって来るのはなんと楽しいことではないかというあの一節だ.孔子の言葉は21世紀の今でもまさに「至言」だ.孔子もまさか衛星を使って友がやってくる時代が来るとは、予想していなかっただろうけど(笑) |
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02:30 全ての片付けを終えて6階に戻ると、鈴木先生から改めてQSO成功を祝うメールが届いていた。私は自販機でスプライトを買い、予め用意しておいたポテトチップスの袋を開けた。ささやかな祝宴だ。鈴木先生に今日最後のメールを送る。「地球の表と裏で乾杯と行きましょう!」 |
09:45 山崎先生から、「地球の表と裏で乾杯と行きましょう!」 とメールがきた.祝杯を上げたいのはやまやまだったが、悲しいことにそのまま日勤突入であった.(笑)眠いけど、もう脳内には麻薬的物質があふれていて、ずっとハイテンションだ.夕方まで勤務だが、今晩はおいしい酒が呑めそうだ. |
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| 03:00 (日本時間10:00) 長いような、短いような、4時間半の戦いが終わった。この季節、北の空は既に明るい。雄大な夜明けの景色を眺めながら、私は満ち足りた気持ちで研究室を後にした。 |
10:00 台風一過の群馬は灼熱の太陽があった.私は西南西の青空を見上げて、そこにはもういなくなった宇宙を飛ぶ「友情のかけはし、AO-40」に心から感謝した. |
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