「医療人のための群馬弁講座」特講





第1〜17節

期待に反して










■ 2010年3月6日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第1節

徳島ヴォルティス 1−0 ザスパ草津

鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム 4351人

開幕黒星スタート



  序盤は互いにロングボールをけり合う展開となり、ボールが落ち着かないまま時間が進んだ。新生ザスパは元日本代表の戸田和幸を中心に今季加入した選手らでディフェンス陣を組み対応したが、前半21分に右サイドからの相手クロスを頭で決められ先制を許した。前半のシュートはわずか1本と攻め手を欠いたザスパは後半途中からFWラフィーニャを投入。次第に相手陣内でのチャンスも増え後半35分にはPKのチャンスを得た。しかし、これを相手GKに阻まれ同点機を逃すとそのまま徳島に逃げ切られた。(3月8日『桐生タイムス』より引用)







■ 2010年3月13日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第2節

ザスパ草津 0−1 愛媛FC

正田醤油スタジアム群馬 4812人

悩ましい現状

 早春の3月。敷島の杜が目覚める春です。待望のザスパ草津、2010シーズンのホーム開幕戦です。正田スタジアム・メイン側は、広場と言うよりは通路のような形態となっているので、ずらりと並んだ物販屋台はさながら縁日の様相で、いつ行っても活気に溢れていて実に楽しく、ワクワクします。この屋台村はJリーグでも屈指ではないかと密かに思ってます^^。
 さてさて、いよいよここホーム正田スタで披露される2010年式ザスパ草津です。そのスターティングメンバーは前節と同じで、次の通りとなりました。GK:1・常澤聡選手、DF:16・佐藤将也選手、2・戸田和幸選手、20・柴田慎吾選手、7・佐田聡太郎選手、DMF:6・櫻田和樹選手、30・松下裕樹選手、OMF:10・廣山望選手、14・熊林親吾選手、FW:9・高田保則選手、19・後藤涼選手、リザーブメンバー・GK:22・北一真選手、DF:18・御厨貴文選手、24・梅井大輝選手、MF:23・菊池大介選手、25・山田晃平選手、FW:8・ラフィーニャ選手、27・杉本裕之選手。前年と同じ中盤〜前線に一新されたDFラインという構成で臨む4-4-2/2トップ2ボランチシステムです。注目は、まず守備陣では身長180pオーバーの大型DF・柴田、御厨、梅井の3選手。昨年の失点が身長差によるものだけとは思いませんが、相手にとって脅威となる武器は一つでも多く持っていたいので、この大きな防護壁は貴重です。攻撃陣で注目すべきはベンチ発進となりましたが、ラフィーニャ選手と菊池選手です。この2選手にはどれだけのものが秘められているのか、ワクワクが止まりませんぞ。あと、苦難の末にトップチームに復活した杉本選手には、温泉街メンバーとしての自負と誇りを胸に活躍してくれることを期待しています。ガンバレ・スギモン! 試合前にはバックスタンド前に副島監督がいらっしゃって、サポーターに挨拶をして下さいました。そのキリッとした容姿と相まって、実にジェントルな方だなあという印象を多くの人が持ったと思います。小さいことだけど、こういうのは大事だし、大切にしたいよね。あとはその采配で更なる信頼を得られれば、と思います。
 風が榛名方向(西)から強く吹き下ろします。花粉にやられて鼻はズビズバ〜だし、目なんかね、もう開けてられません(T_T)。それでも目ぇ瞑ってる間に「何か」が起きちまっちゃあいけねぇんで、必死に目かっぴらいて試合を観ますよ。今日は開幕戦ということもあって、バックスタンドではコレオグラフィとして黒地に白文字の大型バナーボードを掲示、客席ではそのボードの隙間を埋めるように黒い風船(ゴミ袋では決してありません、キリッ!)を掲げ揺らして選手入場を盛り上げます。
 主審の笛が鳴り、敷島の目覚め、2010年J2リーグホーム戦が開幕します。前半は序盤から愛媛の攻勢が続きます。その中心にあるのが、この試合出場が危ぶまれていたキャプテン・福田選手です。3トップの最前線を張る福田選手は、フィジカル・メンタル両面において秀逸で、敵ながら惚れ惚れするような素晴らしいプレイを披露します。今日の愛媛が手強いと感じられたのは、なにも福田選手一人が飛び抜けているからではなくて、福田選手を中心とした意思疎通がキッチリはかられているからです。選手間での約束事はどのチームにもありますが、それが試合でどれだけ実行されるかは、練習で培われた成果が大きくものを言います。その点で、愛媛の連携はよく練られていると言えるだけの正確さと速さを持っています。開始からほとんどの時間を草津ハーフでのプレイが占めている辺り、この試合の困難さを物語っています。草津が今年やろうとする形が垣間見えたのは、前半17分のFKの場面です。相手ゴールまではやや距離がある位置から緩く高いボールを蹴り込んで、長身の柴田選手をターゲットとしたセットプレイを披露しました。ここに氏原選手や尾本選手などが加われば、相手にとってはかなりやりづらくなるかも知れません。あとは精度ですね。草津の見せ場はこのくらいで、後はもう愛媛の蹂躙に押し込められる展開です。そして前半21分。左サイドへ大きくクロスチェンジした速攻から草津ゴールに迫る愛媛の攻撃に草津守備陣の対応が遅れ、愛媛・松下幸平選手がペナルティエリアに単騎突入したところを柴田選手が倒してしまいイエローカードが提示→PKとなります。PKのキッカーは、やはりこの人、キャプテン・福田選手。落ち着き払いフェイントまで織り交ぜた上手いシュートで問題なくゴールゲット。草津は前節に続いて前半から1点を追う展開となりました。しかも前節同様攻撃の糸口が見えません。まいったなあ。先制後も愛媛のリズムが良く、反対に草津は守備に忙殺されるに終始し、攻撃の形を作るどころではありません。で、結局1点ビハインドのまま前半終了。1点で済んで良かったぜ、というのが正直な感想です。こりゃ後半は相当の覚悟と対策を取らないと、勝利はおぼつかないな。監督の采配と選手のやる気に期待しましょう。
 副島監督、決断は早いようです。ハーフタイムに一気に二人の交代を断行(後藤選手→ラフィーニャ選手、廣山選手→山田選手)、態勢の立て直しを図ります。そして後半開始。後半が始まるとすぐに交代の成果が現れます。ラフィーニャ選手が前線で活発な動きをしてくれるお陰で、愛媛のDFラインが目に見えて下がり、その余波で攻撃の勢いが減衰しました。加えて山田選手が若さ溢れる運動量で中盤から前線で動き回ってくれるので、愛媛のプレスが分散しているようです。中盤の圧力が低下したので、草津本来の中盤での細かい繋ぎが復活、パスが繋がり始めました。ただ残念ながら、アタッキングサードに入ったところで侵攻速度が一気に遅くなり、決定的な場面は作り出せません。これは、一つには愛媛守備陣の踏ん張りよるところと、もう一つにして最大の要因として、草津側のプレイ精度の問題によるものです。まあ、愛媛が点取られたくないから頑張るのは当然なんで、これはいいです。問題は草津自身にあります。ボランチを経由して左右のサイド前線に展開し、そこからゴールを目指すのはセオリー通りで結構なんですが、如何せんスピード感がない。相手の虚を衝いた大きなクロスボールが前線に入った場面でも、次の行動へ移る際に躊躇が見られ、あっという間に守備陣形を整えられてしまってそれ以上攻め込めなくなるとか、ペナルティエリアの外側でパスを回している間にボールを失い好機を逃すとか。もっと悪いのは、意思の疎通を欠いたままスルーパスを出す、あるいは単騎切り込んではみたものの、誰も付いて来ていない、などなど。難しい事をしようとしているのかな?愛媛は結構シンプルなことを、でもキッチリやっているように見えるんだけどなぁ。シンプルじゃあ駄目なのかなあ?それでも良い形はあります。後半8分、中盤での組み立てから縦に早くパスを入れ、ここにラフィーニャ選手が切り込んで仕掛けるという攻撃を見せます。おうおう、これだよコレコレ。この場面は相手に封じられてしまいましたが、こういうのを続けていけば、そして練度が上がればいつかは大きな武器になるべぇ(いや、今日決めちゃってもイインダヨ?)。その3分後の後半12分、今度は山田選手がスピードを活かしてペナルティエリアにドリブルで突撃、相手DFともつれながらもクロスボールを蹴り込むところまで頑張りました。山田選手の前へ向かう強い意志とスピードは、この試合での収穫です。こういう魂の強い選手こそ草津のようなチームには必要だし相応しい、と常々思います。使い方によっては大化けする可能性・大ですぞ、と予言めいたことを言ってみます。その山田選手は後半38分にも左サイドでドリブル突破を敢行して場内を沸かせます。ただ、残念ながらシュートまで持って行けませんでしたが。後半は中盤のポゼッションを回復した草津が完全に主導権を握りましたが、愛媛然る者、決定的な場面だけは決して作られないようにキッチリ花道を塞いで穴を見せませんでした。結局試合はそのまま終了。
 振り返ると、前半はキャプテン・福田選手を中心にした愛媛のシンプルにして的確・スピーディーな展開を、受け止めるでなく、さりとていなすでなく、といった対応のまずさから一方的に押し込まれ、完全に自陣に縫い止められてしまい、攻撃に転じる糸口すら掴めませんでした。思えば前半は“FW”が居ませんでした。2トップを張っていたはずの後藤・高田両選手は、待っていてもボールが来ないので中盤へ位置取りを下げ、愛媛の攻勢によって守備に回る場面も多くなっていました。えっと、それMFの仕事…。少しラインを下げた感のある草津の守備陣形は、ボランチとの連携によって結構堅くなっているように見えましたが、愛媛の狙いはこの低くなったラインでやり取りされる組立のパス交換を掠め取ることにありました。DFとDMFとの間の緩いパスを出足鋭く奪いに行く場面が再三にわたって見られましたし、実際に何度かはそれでカウンターを食らいもしました。それから攻撃に関して。SB・DMFまでもが加わった低いDFラインから得点を奪いに行こうとするならば、SBとFWの相手DFを置き去りにするような神懸かった韋駄天走りか、正確無比なロングフィード&ポストプレイ、世界屈指のパワフル超ロングシュート、あるいはオウンゴール、これ位しか思い浮かびません。って、無理だよね、そんなの。どこのドリームチームだよ、それ、って話。それでも暗い話ばかりではなくて、今後に繋がる光明もいくつか見えました。柴田選手の高さを活かすセットプレイと守備、戸田選手の危機察知能力の高さと守備陣の統率、若い選手の躍動感あるプレイなど。とりわけラフィーニャ選手は必ず開花すると確信できる活躍を見せてくれました。ラフィーニャ選手、そんなに大きい選手じゃないんですが、体捌きがしなやかで動き出しもスピーディーです。前を向いた時の攻撃的な姿勢などは今後に大きな期待を抱かせてくれます。スーパーサブ的な使われ方よりも、むしろ彼を中心にした構成、例えば後藤・高田両FWと3人で1トップ2シャドウなんかは結構いけるんじゃないかと。おっ、そういえば対戦相手の愛媛がまさにこれだぃね。これまで培ったポゼッションサッカーによる中盤の構成力はなかなかのものがあるので(今日の試合でも後半は綺麗に繋がってたし)、前線のアクセントを少し強くしてやれば歯車は回り出すんじゃあないかなあ、ダメかなあ。そして山田選手については既述の通り、今後に大いなる期待が持てます。
 さて、開幕2連敗です。が、この際そんなことはいいんです。勝敗は兵家の常ですから。点を取らないと間違っても勝つことは出来ないスポーツなんだよサッカーは、ってことで、点を取る方策が見いだせない現状が悩ましいのです。「新チームなんで練度が…」なんて寝言は言わせませんよ?シーズンが始まったばかりとはいえ、今季は試合数が大幅に減ったので、気を付けないと立て直す暇もなく12月を迎えてしまった、なんてことにもなりかねません。1試合ごとにきっちり修正し、必要なスキルアップを図っていかないと、どんどん他チームに置いてかれちゃいます。どんどん。そういう意味で、今季は結果が大いに求められると言えます。結果とは、すなわち勝利です。たとえシュート1本で終わっても、それが決勝ゴールであるならばいいんです。副島監督も、練習は試合に勝利するためにある、と仰っています。過程が優れていて結果が素晴らしければ言うこと無しですが、どんなに綺麗な内容であっても、未勝利では全く評価されないのがプロスポーツなのは、残酷ながら現実です。
 下馬評が低いのは知ってます。僕らの回りから聞こえてくる声が決して温かいものでないのも事実です。そんな中で行われた試合、そして敗戦。多分週明けに学校や職場で聞かれるのは「残念だったね」と言う言葉と、その裏に隠された『やっぱりね』。そんなの雑音だよ、って笑い飛ばせるほど、僕らはみんな強くはないんです。悔しいんです。悲しいんです。やるせないんです。もっともっと、もっともっと強くならなきゃ。
 僕らは「声援を送ることしか出来ない」んじゃあない、「僕らにしか選手を励ますことは出来ない」んです。だからこうしてここに集まる。声を張り上げる。僕らは僕らのすべきことをしよう。だから、選手諸君、君達も、頑張れ!【ほーせん@高崎】



■ 2010年3月21日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第3節

ザスパ草津 0−3 横浜FC

正田醤油スタジアム群馬 3856人

砂塵の彼方

 高崎からは、山が一つも見えません。いえ、普段は北方の赤城から左へ巡らすと小野子・子持〜榛名〜浅間〜妙義と上州を縁取る山塊が見えるんですが、今日は霞の彼方です。それどころか、近くにあるはずの高層マンションや市庁舎すらベールに隠れて見えません(スタジアムへの道中、県庁舎も直近まで見えませんでした)。西寄りの強風に乗って遙か大陸内部の砂漠からもたらされた黄砂が原因のようです。花の粉に加えて黄色い砂とは…。春先はキツイです(笑)。
 先週注文しておいた今年のオーセンティックユニフォームを引き取り、いつもの如く縁日状態の屋台村でスタジアムグルメを物色、バックスタンドの定位置へ陣取ります。しかし、風が強いです。そして寒いです。まあ、雨が降らないだけましですが。今日の試合も風を計算しないとえらいことになりそうだぃね。
 今日の対戦相手は横浜。今季のチームは、大幅な陣容変更で昨季とは全く異なるチームに変貌しています。その端緒は赤いキャップでお馴染みの前鳥栖監督・岸野監督招聘に始まります。詳しい経緯は知りませんが、結果として横浜には鳥栖で活躍していた4選手とコーチが移籍しました。移籍強化はこれに止まらず、川崎から久木野選手、G大阪から寺田選手、仙台から関選手とサーレス選手、極め付けは東京Vから大黒選手を獲得しました。草津サポには都倉選手が得点ランキング2位となったことに目を奪われていて知らない人も多いと思いますが、その都倉選手の次点3位だったのが誰あろうこの大黒選手です。日本代表に選抜されての活躍は知らぬ者無しです。警戒するにこれほどの要注意人物はいないでしょう。名軍師に率いられた今年の横浜は侮りがたいとシーズン前から思っていましたが、はたして開幕2連勝。草津はここが踏ん張りどころです。
 その横浜と対峙する草津のスターティングメンバーは次の通りです。GK:21・常澤選手、DF:16・佐藤選手、2・戸田選手、18・御厨選手、7・佐田選手、DMF:6・櫻田選手、30・松下選手、OMF: 25・山田選手、27・杉本選手、FW:8・ラフィーニャ選手、9・高田選手、リザーブメンバー・GK:22・北選手、DF:13・有薗選手、20・柴田選手、MF:10・廣山選手、14・熊林選手、FW:11・氏原選手、19・後藤選手。ここ2戦の内容を見て、ベンチサイドは少々テコ入れを図ってきました。まず、途中交代ながら良い働きを示していた山田選手、ラフィーニャ選手、杉本選手を先発起用し、DFラインでは御厨選手を先発に登用しました。フロントラインが一新されたことによる効果がどれ程のものかに注目が集まりますが、変更のなかったDMF2名とSB2名の活躍こそが、実はこの戦の鍵と睨んでいます。草津の攻撃のキモがボランチにあることはもちろんですが、攻撃に厚みを持たせられるか否かは、SBがどれだけ攻撃参加できるかに懸かっていると言っても過言ではありません。前2戦のように引いたラインに張り付いて引き摺られているようでは、前線の構成を変えても効果はあまり期待できないですからね。
 選手がピッチに散り、センターサークルにボールがセットされ、アウェイ側タッチライン沿いに見慣れた赤帽子が、ホーム側ベンチ脇に黒いスーツがそれぞれ立ち、第3節開戦です。試合が始まって草津のフォーメーションが判明しました。FW登録のラフィーニャ選手がサイドハーフとして山田選手と中盤の攻撃起点を担当しています。MF登録の杉本選手は反対にFWとして高田選手と2トップを組んでいます。もっとも、この4選手に関してはポジションに拘ってプレイをする方ではないので、流れの中で位置取りが変わってくるでしょう。序盤の草津は上々の入り方と言って良いでしょう。キックオフ直後に高田選手が相手からボールを奪うと、積極的にミドルシュートを放ちます。ここ2戦では見られなかったゴールへ向かう気迫が感じられて実にGOODです。山田選手の運動量と前へ向かう姿勢は相手への圧力となり、中盤での陣取りでは草津が先手を取りました。ラフィーニャ選手も柔軟な体捌きで横浜陣内深くへと攻め込んでゆきます。杉本選手も前を向いてのプレイこそなかなかさせてもらえませんが、キッチリボールをキープして前線でのためを作ってくれています。あとはクロスボールとフィニッシュだけなんですが、ここから先がね、なかなか上手くゆきません。互角以上に渡り合っている流れを大事にして是非とも先制を、と願っていたんですが、情勢はワンプレイで大きく傾いてゆきます。前半7分、草津ハーフ深い所からの横浜・右タッチラインからのスローインでした。スローインボールを足下に収めた柳沢選手はドリブルで右コーナーまで駆け上がると、スピードのあるクロスボールをゴール前へ蹴り入れます。ここに飛び込んだのは大黒選手。駆け込む勢いのままボールを蹴り込み、横浜先制。今のクロスは狭い所を良く通したねぇ、いや凄い。それに反応した大黒選手、やはりただ者ではありません。相手が凄いのは、まあ、そうなんですが、しかし何故全ての場面で相手選手がフリーなん?まだ時間あるし、修正修正。しかしこれでリズムを悪くした草津はポゼッションこそ取るものの、攻撃の形が全く作れず、シュートをまともの放つことすら出来ません。横浜にも流れで良い形を作らせていないだけに、前半のうちに追いついておきたいと思いはするんですが、得てしてこういう状況と願望はセットプレイで打ち砕かれてしまうものです。前半27分、自陣でのファールによってFKを与えるというシチュエーションに未来映像が見えた気がしました。そしてそれは現実に…。フリーキックの名手・高地選手がゴール前へ入れてきたボールに合わせたのは、またしても大黒選手。ドンピシャリのヘッドが振り抜かれるとボールは草津ゴールを再び揺らします。そしてここでも大黒選手はフリーでした。ええっと、混乱してる?攻めがままならない状況で2点を追う展開。きっついなー。ここでも未来映像がチラチラ見えたりしてたんですが、口に出すと実現しそうなので黙っておきます。その後も横浜に何度か好機を作られるものの(サーレス選手とか寺田選手とか)、何とかかんとか凌いで前半終了。前半で良かった場面と言えば、終了間際に横浜ペナルティエリア近くからのFKをラフィーニャ選手が持ち込んでシュートした場面くらいかな。これは惜しかった。そう言えばすっかり頭から離れていましたが、この強風下、草津は風上ではなかったか?おいおい、後半どうするよ。陽が陰ってすっかり冷え切った体と心を温める術を考えているうちに後半が始まろうとしています。ちょっ、もう?まだ何も…。
 後半に入っても双方に変わったことはありません。この時点ではっきり分かりました。草津のポゼッションは自身で企図してそうなっているのではなく、横浜の術中で踊らされているに過ぎないのだと。それが証拠に、ハーフラインまでのプレッシャーはあまり掛けてこないのに、アタッキングサードに入るや、ゲームコントローラーであるボランチに対して打って変わったようなフィジカルチェックを敢行し、パスコースを制限させてくるし、最終ラインは草津攻撃陣がペナルティエリアに侵入することを決して許さないような鉄壁の防護網を張り巡らせています。それでいて2点のリードに寄りかかって攻撃の手を緩めることもしないとは、横浜手強すぎます。このままの状況では何も変わらないどころかジリ貧だと判断した草津ベンチは、後半17分に山田選手→氏原選手、後半24分に杉本選手→廣山選手と選手交代による打開を図ってきます。しかしながら、リズムを作り出せない要因は実は他にあることを知ってか知らずか。攻撃陣を厚くしたものの、可哀想に前線で奮闘するラフィーニャ選手や高田選手が補給線を絶たれた砦の孤立兵に見えてきて涙が出てきます。良い所無しの草津をよそ目に、横浜は淡々と自分達の成すべき事をこなしています。驕りもなく、怠惰もなく、ただ淡々と。草津が相手ゴールに迫れないなか、横浜は度々草津ゴールに向けてシュートを撃ってきます。何度かは辛くも食い止めましたが、撃たれるうちに軌道修正されたか、後半34分にとうとう3点目を奪われます。草津陣内中央でのボールの奪い合いに競り勝った寺田選手から、草津DFラインの隙間をくぐり抜けるように出されたスルーパスに反応してシュートしたのは、3たび大黒選手でした。もう、言葉もありません。大黒選手のハットトリック達成で感じたのは、「J2規格外だろ、この選手」と「それはともかく、なんでフリーなん?」ということ。これでお役ご免となった大黒選手がベンチに下がり、既定路線通り三浦(知)選手の登場です(後半35分)。出場するたびに自身の持つ最年長出場記録を更新する「生きる伝説」KING・カズ。最年長とか全く感じさせない切れの良い動きで観る者の目を奪うあたり、うーむさすがKINGは風格が違う。一方、まるで手も足も出ない草津の選手達よ、情けないぞ。こうなりゃ、1点でも返して今後の糧とするんべぇや。が、思い虚しく試合終了。
 もうどんな言葉を掛ければ良いのか分からず、居たたまれない心を抱えて逃げるようにスタジアムを離れます。背後からは大きなブーイングと怒声が聞こえてきます。「ねえ、ざすぱってだめなの?」とお父さんに問いかける小さなお子さんと、苦笑いに奥歯を噛み締めているお父さんを見ました。つられて奥歯を噛み締めて先日入れたばかりの差し歯が折れたのは余談です。スポーツ観戦で奥歯折ったのなんてこれが初めてだぞ、おい、草津よ。
 かくして、草津の真の姿(?)は、黄砂・砂塵の彼方に遠く煙って垣間見ることが叶いませんでした。自然現象なら時間が解決してくれますが、残念ながらこれはそうではありません。治療が必要なのです。それも早急にして抜本的な
 昨年は開幕ダッシュ3連勝によって大きな勘違いをして長いトンネルへ突入しました。今年は開幕ダッシュ3連敗からスタートです。果たしてこれが今季においてどのような意味を持つのか。今はまだ誰にも分かりません。と言うか、それは自身が方向付けをして導いてゆくべきものだと思います。謙虚に、真摯に、懸命に。カーリングで言うなら、ストーンはリリースされました。あとはスキップの判断とスイープ次第で結果が決まります。願わくば、ハウスの中央に近い場所まで温泉マークのストーンが導かれんことを。【ほーせん@高崎】



■ 2010年3月28日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第4節

ジェフユナイテッド千葉 2−1 ザスパ草津

フクダ電子アリーナ 10068人

奮戦及ばず



 序盤から優位にボールを支配する千葉に対しザスパは球際に激しく寄せる守備陣の奮闘で前半を無得点に抑えた。ザスパは後半18分、右サイドからのMF廣山のFKに戸田が頭で豪快に決めて先制した。
 しかし、同37分、相手ロングボールからの素早い攻撃にDF陣がすきをつかれて追いつかれると、試合終了間際にはFKを直接決められた。(3月29日『桐生タイムス』より引用)







■ 2010年4月3日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第5節

ザスパ草津 1−2 ロアッソ熊本

正田醤油スタジアム群馬 5372人

初心を詠う

 時間があったので、敷島公園内を散策してみました。満開には遠いものの、緑の園内の至る所に桃色に染められた空間が見られます。春の装いは、確かにすぐそこまで来ているようです。さて、本日の相手は熊本です。チーム状況が今ひとつな所で対戦するには、実にやりにくい相手だなあ、というのが率直な感想。昨年の『アレ』もトラウマですし。そういえば今日はやけに人が多いなあ、と思っていたら、少年サッカー大会の開会式が例年通り試合前にここで行われるからでした。色とりどりのユニフォームを纏った少年達は、式典の後にメインスタンドで観戦するのが通例となっています。この群馬のサッカー界の未来を背負って立つ子供達に、みっともないところを見せて夢を奪うような真似だけは出来ません。ええ、チームとしてもサポーターとしても。
 よしっ、と気合いを入れたところでスタメンを確認します。GK:21・常澤選手、DF:18・御厨選手、24・梅井選手、4・田中選手、7・佐田選手、DMF:2・戸田選手、30・松下選手、OMF:9・高田選手、10・廣山選手、FW:11・氏原選手、27・杉本選手、リザーブメンバー・GK:22・北選手、DF:13・有薗選手、MF:6・櫻田選手、14・熊林選手、25・山田選手、FW: 8・ラフィーニャ選手、19・後藤選手。氏原選手が先発で入ったことや風のことから、今日はある程度ロングボールを放り込んで勝負する場面が多くなるかも知れません。中盤の構成では、前節戸田選手をボランチで起用し、十分評価できる内容であったことから、今日も彼を中盤の底に置いてゲームコントロールを委ねます。
 ところで、諸事情により、本日のバックスタンドは空席が目立ちます。そしてコールリードも、愛するチームの危機に敢えて名乗り出てくれたサポーター有志が担当するということになりました。「慣れないコールリードなので簡単にいきます」という説明の後に、「でも気持ちだけはいつも通り、いつも以上に込めますので協力をお願いします」と続けられました。バックスタンドの住人達からは異論のあろうはずもなく、鼓舞と称賛のエールが飛び交います。そう、どんな状況であろうとも、何が起ころうとも、僕らのやるべき事は何一つ変わりはしないんです。多少拙くたって、空席が目立ったって、入魂のコールはいつも通り選手達の背中を押してくれる、そう信じて闘います。
 オープニングセレモニーとして、県出身のアーティスト・富澤栄子さんによる正調・草津節の独唱が場内に流れます。ワンコーラスの後、バクスタのドラムリードに変わって、コール・草津節が富澤さんの歌声に被せられてゆきます。富澤さんはそのまま退場してゆきますが、場内の草津節は止まりません。選手が入場し、転調、草津節は鬨の声へと変わり、第5節、熊本戦の火ぶたが切って落とされます。
 シンプルながら、しかしそれ故に乱れることのない力強いコールが選手達の背を押します。今日は風が強いこともあり、両チームともロングボールを多用する傾向が序盤から見られます。風上に立った草津はその勢いを利してサイドに長いボールを入れつつ拠点とし、クロスボールからの攻撃でゴールを目指します。一方の熊本も同様の戦術を指向しているようですが、草津の出足が良いことから少し受けて立つ場面が多くなっています。ここ数試合で一番と言えるほどの迫力ある攻勢で熊本陣内へ攻め掛かる草津。序盤の勢いははっきり我が方にあります。そして今日はその勢いのまま先手を取ることが出来ました。前半18分、左サイドハーフでボールを捌いていた高田選手、相手DFのラインを確認してスルーパスを蹴り上げます。これに反応してDFラインをかいくぐったのは氏原選手。高田選手のセンタリングに頭を合わせ、先制点を奪取!GOOOOOAL!!! よしっ、よしっ!ポゼッションで優位に立ち、先制も出来ました。流れはあります。気負わず、焦らず、この勢いを維持しつつ機を見て攻勢に移る、そんな展開が理想的です。そして概ねそれが出来ています。こうなると怖いのは自陣での不用意なミスとセットプレーです。好事魔多し。終了間際に熊本の攻勢に晒されて危ない場面続発の緊急事態です。なんとかかんとか凌いで前半をリードしたまま乗り切りたい草津でしたが、なんか色々と許されませんでした。前半43分、熊本・左CKの場面です。ゴール前へ高く蹴り込まれたボールに、草津DFの死角から体をねじ込ませて飛び込んだ矢野選手が飛び込んでヘディング。ゴールを決められて同点になります。守備の人数は足りていたのに、飛び込んでくる人間をフォローしきれていないために奪われた点です。終笛間際のこういうプレーは、往々にして戦況を大きく替えてしまう可能性が高いので、ハーフタイムでしっかり切り替えてもらいたいところです。
 ハーフタイムに入るあたりから雲が厚くなり、風も強まってきて、じっとしていると寒くて仕方ありません。そして、この天候変化が草津の死亡フラグとなっていたようです。後半開始6分で大勢は熊本へ、大きく、しかもあっさりと傾きます。福王選手が自陣ほぼハーフウェイから放ったロ〜〜〜ングシュート(えーとフィールドの長辺が大体100数mだから…、なんと50m以上!)が、エビ反るGK常澤選手の伸ばす手を越えてゴールイン。ナイスシュートではありますが、敢えて言わせて頂くなら不用意千万。風のことを考慮していれば少し違った対応が取れたのでは、と愚考します。ま、ちゃんと色々考えて蹴った福王選手がクレバーだったのは賞賛に値する事実ですが。これで、前半からの流れがパチッと切れました。目に見えて足色の落ちる草津に対し、熊本は落ち着きを取り戻し、余裕ある試合運びをしています。副島監督、いつもながら素早い判断で、後半11分には廣山選手を下げてラフィーニャ選手を投入します。ラフィーニャ選手は期待に応えて前線でボールに絡むプレーを披露しますが、如何せん連携が取れていない。これはラフィーニャ選手に限った話ではなくて、どうも草津は時間経過と共に選手間の連携や意思疎通が希薄になってゆく傾向が見て取れます。孤立無援に陥る場面が多いのは如何なる理由によるものなのか、関係者を集めて小一時間問いつめたい、そんな気分です。ま、小言を言っていても点は入らないので、一生懸命に選手達を励まします。後半31分にはDFの田中選手を下げてOMFの山田選手を投入します。ん?フォーメーションを見てみると、どうも戸田選手がDFラインに下がっているようです。ということは、DFラインには御厨−梅井−戸田の3選手が3バックで並び、DMFの松下選手が1ボランチというかアンカーとなり、左右のオフェンシブハーフに高田−佐田選手、トップ下として山田選手、トップに氏原−ラフィーニャ−杉本の3選手を配する攻撃的布陣のようです。3バック!ザスパ草津の歴史上あまり見ることのなかった、と言うか、J昇格後は各上相手の時の奇策堅守陣形として採られる以外見たことのない布陣です。実際現体制下でも、練習に取り入れていると言う話すら聞いたことがありません(※筆者注:後で知りましたが、ぶっつけ本番だったとのことです)。期待と不安が渦巻く中、存外選手達は攻撃姿勢を露わにしつつも守備意識を失うことなく戦っています。お、意外な収穫かも知れんぞ、これは。引くのか行くのかはっきりしない4バックよりは、キッチリそこに居て守りまっせ、という3バックの方が今の草津には適しているのかも知れませんよ。しかしそこは付け焼き刃感が否めません。守備は安定感を取り戻したものの、攻撃が単調なのは変わることなく、結局最後まで熊本の牙城を崩すことが出来ませんでした。
 かくして5連敗。結果だけを取り上げるならば、ダメです。全然ダメ。以上言うこと無し、です。でも、それだけじゃあこんな観戦記を書く意味がないので、もう少しだけ書かせて下さい。確かに、攻撃に関して言えば遅攻/速攻の切り替えの判断・動作が遅く、またバリエーションも少ないと言えます。「万全なら出来るんだよ?」は出来ないことの言い訳です。「いつやっても出来る」くらいの自信と確信がない中で、考え考えおっかなびっくりやってたんじゃあ、まあ、十中八九は成功しませんよ。出来ないことを本番中に試そうなんてのはプロのすることじゃあないでしょう?であるならば、少し目先を変えて(もっとはっきり言うと変なこだわりは捨てて)、少しでもしっかりと出来そうなことをしっかりバッチリ愚直に遂行するのが、結果としては良い結果への早道になるんじゃないのかな、と思います(前に進めない「こねくりポゼッション」にこだわるくらいなら、「引いて守ってカウンター」の方が素晴らしい戦術ですよ?)。とは言え、窮余の一策も時に良い結果を導き出すこともあります。その意味からすると、今日の試合での収穫は3バックを試したことでしょう。得点力上昇に関しては中盤の構成が重要になりますが、少なくとも守備面の強化という観点からは評価すべきものがあると感じました。素人目でも「結構いけるんじゃね?」と見えるくらいなので、首脳陣の方でもある種の手応えはあったんじゃあないでしょうか。今後の草津の戦術に多少の影響を及ぼすかも知れません。
 今日は草津節を詠いながら、初めて草津節をスタンドで詠唱した時のことを思い出していました。県リーグから草津の試合を観戦していましたが、その頃は一観客に過ぎませんでした。まあ、拍手や手拍子くらいはしましたが。初めて草津節を詠ったのはJFLホーム初戦、対HONDA戦でした。万人を超える場内で、気が付けば一緒になって詠っていました。以来、爆心地ではないものの、バクスタの住人として声を上げています。初めて声を上げたのはどんな理由からだったか。応援をしている自分に酔いたい訳でもなく、応援をしている姿を誰かに評価して欲しい訳でもなく、ただただ選手や彼らを応援しているサポーター達と一緒になって試合に加わりたい、そんなところだったと思います。そして、それは今も変わりはありません。だからこそ、今日もここにこうして立っている。詠っている。喜んで、苦しんで、それでももっと喜びたくて詠っている。今日はラスハル、草津節のほか2、3曲しか詠っていませんが、そんな些細なことはどうでも宜しい。だって、みんなが一つになって応援できたんだから。敗戦ではありますが、5連敗でどん底でズンドコではありますが、選手もサポも誰一人手を抜いてはいなかったでしょう?だからブーイングはなしです。いっぱい声援を贈ってあげます。力にして欲しいから。僕らの声を立ち上がる勇気にして欲しいから。期せずして初心を思い出す、そんな希有な体験をした、一日でした。たまには自分の原点を見つめ直すのも必要です。次の一歩を踏み出す前に、しっかりと足元を見定めよう。そして、明日からの道を踏みしめよう。【ほーせん@高崎】




■ 2010年4月11日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第6節

栃木SC 0−0 ザスパ草津

栃木県立グリーンスタジアム 4098人

プライドは何処へ

 北関東ダービー2010開幕。オフィシャルバスで行ぐんべぇかと思ったけんど、東毛は通り道なんに乗り場も設定されず、今年も見事にスルーされたぃな。仕方ねんでプチ宇都宮観光も兼ねて、電車で行ってみることにしたんさね。素直に両毛線で小山乗換えじゃなくって、栃木駅で乗り換え、東武宇都宮線で東武宇都宮駅へ。大谷石の美しい松が峰教会や由緒ある宇都宮二荒神社を見物し、名物餃子で腹を満たして、餃子像を拝んでからJR宇都宮駅東口へ。こっから栃木県グリーンスタジアムにシャトルバスで30分弱。しっかしこのシャトルバス、なんと無料!なんだぃね。なかなかやるじゃねぇか。どっかのチームとは大違い! 栃木の県都・宇都宮も、まっさか都会なんでびっくらこいたで。どっかの県都とは大違い!
 グリスタ到着。バックスタンドは改修中なんは知ってたけんど、ゴール裏も改修されてて昨年の傾斜のきっちぃ芝生じゃなくって階段状の段差ができてたぃね。こりゃ今日は足首が痛くなんなくって済まぃね。球技専用で見やしぃし、芝もキレイだし、駐車場は広ぇし高速からの道も整備されてるし、これで立派なバックスタンドができたらスタの環境としてはゆうことねぇだんべね。うらやましいやぃねぇ。オレ達がスタで未だ勝ってるんはスタジアムグルメの立派さぐれぇだぃな。
 良いところなく開幕5連敗中のザスパ。しかーし隣県の栃木には絶対に負けたくねぇで。オフィシャルサイトでもダービーの気運を高めまくってる栃木と、たった告知数行で終わらせてるザスパはいったい何だかなー。今日のスタメンはGK22北、DF7佐田、DF4田中、DF24梅井、DF18御厨、MF10廣山、MF30松下、MF2戸田、MF6 櫻田、FW9高田、FW11氏原、サブに初のベンチ入りとなるGK1伊藤、DF3尾本、DF5崔、MF14熊林、MF25山田、FW27杉本。久しぶりのスタメンの北には活躍してほしいところ。昨今の騒動もあってか、ゴール裏の人数はホームジャックした昨夏には及ばねぇ感じ。試合前のスタジアムDJでゲストのつぶやきシローさんが、結果の予想を求められて「せっかく皆さん群馬から来ていただいたんで・・・仲良く引き分けで」と殊勝な発言。彼はまっさかいーヤツなんかもしんねぇな(笑)いつの間にかスタの周りを旋回してたヘリコプターが、そのまんまスタに墜落するんじゃねぇかと思うようなアクロバット飛行は、まぁずびっくらこいたぃね。いやぁすげぇ演出を考えるもんだぃね。
 「草津節」と昨夏より一回り増えてる栃木サポの「栃木県民の歌」がピッチ上でぶつかり、双方の誇りをかけた北関東ダービー、いや両毛ダービー試合開始。鉛色の空からぽつぽつと雨が落ちてきたぃね。
 まず気づいたんは、プレスのカメラマン達が全員こちら側に陣取っていていたこと。これはすなわち栃木のゴースシーンべぇ狙ってるってことだぃね。ザスパがゴールするたぁ思ってねんだんべねorz なんだとー!じゃ、ぎゃふんとゆわせてやんべぇや!と意気込んでいたけんど・・・栃木の激しいプレスに、ザスパは翻弄され続けたぃな。前にボールをつないでいっても、パスをカットされ、ペナルティエリアまで進撃できねぇ。今日のザスパは櫻田がトップ下、高田を左サイドハーフに置いた4-2-3-1を取っているようだけんど、高けぇ位置にいるはずの高田が、まるでサイドバックみてぇに深けぇ位置まで下がって守備に忙殺されてたぐれぇだ。雨も上がったもんの、ザスパの攻撃はまぁず湿ったまんま。一方の栃木の攻めの時間は多く、最後のフィニッシュで毎回精度を欠いてくれたからなんとかなったものの、5回かそこいらは肝を冷やすピンチがあったで。片やこっちは飛び道具の松下のミドルが2回あったぐれぇで特記すべきことがねぇやぃ。まぁ前半は0点に抑えて・・・とゆう後半勝負の作戦なんか?そんなこんなで前半は全く良いところなく終了、0-0。
 後半開始。栃木の攻勢の続く中、後半10分、ペナルティエリアの右横でFKのチャンスを得た。FKのボールはゴール前をかすめ、左サイドまで転がり、そこにいた高田がフリーでシュート!しっかし無情にもクロスバーを叩いて得点ならず。思えばこれがこの試合唯一の得点に近づいたシーンだったぃな。後半23分、今日は栃木に完全に潰され、いーところがなかったトップ下の桜田に替わり、ラフィーニャを投入して4-4-2に移行。しばらくの間はちっとんべ攻撃が活性化したが、そのラフィーニャもゴール前に抜け出した好機に放ったシュートは、タイミングを逸したんか力なくキーパーの前に転がったorz この好機を最後にラフィーニャの姿もすっかり消えちまった。栃木の攻撃は衰えず、サイドチェンジやら中央やサイドからの突破、鋭いカウンター、度重なるCKと波状攻撃。キーパー北の体を張った度々のナイスセーブや、クロスバー君の活躍もあって、やっとこすっとこ無失点で凌いでいる有様。前半と何も変わってなく劣勢のまんまじゃねーきゃ!後半38分に氏原に替え杉本を投入してみても、球がFW陣まで届かねんだから攻撃にもなんねぇんだぃな。臨機応変にザスパの攻撃の芽を摘んで、更にぶ厚い攻撃を仕掛ける栃木。まさにわずか数カ月でその変貌は刮目すべきチームとなってたぃな。ザスパは防戦一方のまんま、得点の匂いは皆無。一体どちらがJの先輩なんか!?
 スコアレスのまんま、ロスタイムは3分。栃木の猛攻が続く。残り1分あるかねぇかの時、ザスパは3人目の交替を告げる。廣山に替えて、尾本。尾本!?監督からのミッションは『総員攻撃中止、専守防衛ニ徹シ、勝点1ヲ死守セヨ』のメッセージに他なんねぇ。確かに怒涛の攻撃は食らってる。この1戦はダービーじゃなかったんか!?ダービーって意地とプライドを賭けた戦い、勝利だけが意味のある戦いのはずじゃなかったんか!?ザスパにとって「ダービー」とは一体何なん?「もうやめべぇよ!審判早く笛吹け!」思わずオレは叫んじまった。・・・結局、そのまんまスコアレスドロー。ザスパはミッション通り今季初の勝点1を手に入れた。うれしくもなんともなかった。それはプライドと引き換えの代償だからだ。
 ドローとなり開幕6連敗は阻止する形になった。「いっそのこと玉砕覚悟で最後まで攻め続けりゃよかったんに」「勝ち点1を得たんで何はともあれこれで流れを変えて弾みをつけるんだ」等、この一戦を観た人には、いろんな考え方があると思う。オレは何より勝利だけが求められるダービーの舞台で、プライドをも捨てた、こんなヘタレな結末は見たくなかったぃな。もはやザスパにとって「ダービー」とは興業のための文言にしかすぎねぇのか。目の当たりにした栃木の進化とザスパの劣化。襟にも入れられた故大西社長の遺訓「Ever Onward」は何処へいったんか?宇都宮の空も、今にも泣き出しそうだった。【すずき@東毛】




■ 2010年4月17日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第7節

ザスパ草津 1−3 大分トリニータ

正田醤油スタジアム群馬 2703人

Keep Moving On !

 平野部にまで雪を降らせた春の嵐は朝までに去り、昼前にはポカポカと暖かい春の陽光が大気を揺らめかせます。風も緩やかに頬をなで、なんとも牧歌的です。メインゲート側の縁日的雑踏は相変わらずですが、バックスタンドに立って見渡す光景は、一転うら寂しい感じがします。天気は良いものの、土曜日の試合は客足が芳しくありません(それだけが理由ではないことは、こっそり秘密)。それでも大分から多数のサポーターがご来場下さいました。諸々状況が良くない中でも、こうしてチームを後押ししようという強い気持ちが伝わってきますし、翻って自身においてもそうできる状況があること、そうできる喜びを改めて感じます(いろんな階層のヒトタチが、「チームがあることの意味、意義」をまっと考えるべきなんだぃね)。
 さて、本日の対戦相手は大分。昨季のことなんて知りません。大事なのは、同じリーグで覇を競う相手である、そのことだけです。とはいえ、これまでに培ってきたチームの伝統と力は比ぶべくもない強敵です。ホームの利を力にして、今日こそは、と祈念新たにします。それでは、いつものようにスタメンの確認です。GK:22・北選手、DF:18・御厨選手、24・梅井選手、4・田中選手、7・佐田選手、DMF:2・戸田選手、30・松下選手、OMF:6・櫻田選手、10・廣山選手、FW:8・ラフィーニャ選手、9・高田選手、リザーブメンバー・GK:1・伊藤選手、DF:3・尾本選手、5・崔選手、MF:14・熊林選手、23・菊池選手、25・山田選手、FW:27・杉本選手。スタメンを見る限り、4-4-2のスタンダードフォーメーションに見えます。実際の構成は試合中に確認するとしましょう。櫻田選手がOMFですか。シューターというよりはセットアッパーを主に担うんでしょうが、位置取りが相当高くなるので、今日くらいは積極的にシュートを放つ姿勢を見せて欲しいですね。サブには久々登録となる崔選手の名前が見えます。出場機会は微妙ですが、出れば仕事をする御仁です。あと、若い菊池選手の名も見えます。戦況次第では出番もあるでしょう。溌剌とした働きを期待します。
 大分サポの奏でるアンセムが場内に響きます。負けじと我らも魂歌ラスハルを詠唱します。コイントスの結果、珍しくもコートチェンジが行われ、前半は双方のホーム側へ向かっての攻撃となります。キックオフ直後に草津のフォーメーションが判明しました。基本的にはラフィーニャ選手の1トップ、櫻田・高田・廣山3選手が次列に控えるといった前線構成(4-2-3-1)のようです。ただ、櫻田選手の位置が非常に高く、ほとんどFWと言っていいようなポジショニングで、高田選手と廣山選手が左右のハーフとして仕事をする時間が長くなっています。いつになく積極的にボールチェイスやボディチェックを敢行する草津。それに面食らったか、大分は序盤からラッシュを仕掛けることが出来ません。互角、いや、やや草津優勢で序盤を進行させる中、前半6分に個人技から試合は動きます。虎視眈々とチャンスを窺っていたラフィーニャ選手、大分DFがボール回しをしていた緩いパスを快足飛ばして奪取。そのまま無人の左サイドフィールドを爆走した後、ゴールマウスへ向き直って左足を一閃!ボールは見事に大分のゴールネットを揺さぶり、GOOOOOAL!!! 草津が先制!大分の機先を制するに実に意味深い1点です。これで動きが良くなった草津でしたが、動きが良かったのは中盤でのこと。最前線にボールが渡る場面は少なく、ましてやシュートとなるとゴール以外には1本だけという状況です。この原因の一端は大分の堅守にあります。大分の守備陣形は見事なまでに統率されていて、高く保たれた最終ラインとOMFまでの距離がコンパクトになっています。なるほど中央からの攻撃に対しては堅牢なはずです。ただ反面、左右のDF裏にはそれだけ大きなスペースがあるということなので、そこを有効に使って揺さぶりを掛けていければ、草津の優勢は決定的になってゆくんじゃあないかと。なので、現状は実に歯痒いと言わざるを得ませんし、試合の波がいつあちらに傾いてゆくかが気掛かりでなりません。こんな時に大局を見渡せるコントローラー・パサーである熊林選手などがフィールド上に居れば、と詮無いことも夢想します。そして前半は1-0で終了。先制しリードしているとはいえ、全く気が許せません。と言うのも、大分の選手達は細かいファールをしないのにも関わらず、草津の選手達は相変わらず不要なファールが多いからです。絶対数が多くなれば、そのうちの何割かは危険領域に踏み込んでくると言うもので、実際自陣深いところでのFKもいくつか与えてしまっています。過去に何度も書きましたが、FKやシュートは、数打っているうちにだんだんと照準が定まってきて、いずれは命中するという性質のものだと理解しています。なので、可能な限りそうしたプレーをさせないよう、もちろん不用意なカードを貰わないよう(もっと言うとシーズン後に制裁金を課されないよう)、自己防衛の意味からもつまらないファールをしないように心がけていただきたいなあ、と思います。
 ハーフタイム頃から空に雲がかかりだし、風も強まってきました。ちなみに草津は追い風となります。これを狙ってのコートチェンジだったとしたら大したものです。やっと地の利を得てくれたか、と(笑)。しかし、またしても天候変化は草津にとっての死亡フラグでした。後半は開始直後から大分の猛攻に晒されます。後半3分、大分の波状攻撃が続く中CKに逃れましたが、それこそが死へ至る道。大分・右コーナーからゴール前にやや低い弾道で蹴り込まれたボールに、刀根選手がフリーで飛び込みざまに頭を当て、振って軌道を変えてゴールマウスへと流し込みます。良い流れで前半を締めた草津の、張りつめた糸を断ち切るような同点弾です。ゴール前には8人も守備隊が居たのに、そのほとんどがニアに割かれて布陣していて、中央花道への警戒が疎かになっていました。起こるべくして起きた失点と言えます。そして、声高に言いたい、「何度目だ!」と。ここで草津ベンチに常ではない動きがあります。後半4分、田中選手→尾本選手への選手交代があるようです。どうも前半から動きに精彩を欠いていたんですが、この時間で交代とはいったい…(どうも負傷交代のようです)。さて、失点したとはいえまだ同点。のはず。なんですが、草津の選手達には何とも言えない切迫した雰囲気、もっと言えばまるで負けているかのような、追いつめられたウサギのような怯えにも似た波動が伝わってきます。おいおい、どうしちゃったんだよ?ここから頑張って逆転するんだろ?声出すからさ、頑張ろうよ。しかしこれが負け癖のなせる業か、草津のプレーは目に見えて質・量共に低下、いや激減。それなら一端引いて堅守を、とも思うのですが、大分のプレッシャーを前にして最早正常な心理状態は存在し得ないかのように、草津の守備陣は右に左にと翻弄されます。こうなると、もう時間の問題です。後半12分、2点目は大分・右サイドからの速攻でした。大分は、自陣でのスローインから素早くボールをタッチライン沿いに前方へフィードすると、チェ ジョンハン選手がキッチリためた後に(=草津がしっかり引き寄せられて中央がパックリ空いています)、中央で待ち受ける東選手へとお手本のようなスルーパスが通ります。この時点で勝負あり。慌てて寄せる草津DFを嘲笑うかのようにシュートコースを見定めて蹴られたシュートは、過たずにゴールネットを揺らします。またしても試合をひっくり返されてしまいました。こうもあっさりと。この失点を受けて草津ベンチは動きます。後半16分、櫻田選手→杉本選手へ交代。今日は最前線で動き回っていた櫻田選手ですが、逆転されたことを受けて本職のアタッカーへバトンタッチとなりました。ただ、同点にされただけで動揺し、あっさりと逆転を許したような状況下では、選手交代程度では如何ほどの効果も期待できません。そして余波は続きます。後半21分、トドメの3点目は大分・左タッチライン際からのFKによるものです。GKが飛び出すかどうか判断に迷うような絶妙な位置に蹴り込まれたハイボールでしたが、GK北選手は果敢に飛び出し、長身を伸ばしてパンチングに行きます。競るように飛び込む大分の選手は1名ですが、出足が遅かったのでファールを恐れて無理はしないような様子でした。しかし、ここで草津の守備に乱れがありました。GKに任せておけばパンチングクリアーでひとまず回避、ないしオフェンスファールでFK獲得となった場面ですが、草津DFが横合いから飛び込んでGKと交錯、あろうことかDFの弾いた球は自陣ゴールマウスへ至る軌道でゴールイン。DFの性としての「目の前のボールはクリアーする!」という脊髄反射であったと言えばそれまでですが、もう少し状況を見通すとか、声を掛け合うとか、何とか出来なかったのかと。なんとも余裕のないプレーでした。後半37分、疲労の色濃い廣山選手から若き才能・菊池選手へ交代です。しかし、何とも気の毒なタイミングでの投入です。彼に与えられたミッションは「得点」でしょうが、そこへ至るには場の雰囲気を一変させることがまず求められます。ベテラン選手が何人も居ながらにしてこの状況を作り出してしまったものを、若い彼に何をせよと。そして試合は一向に好転することなく終了。追加失点がなかったのが不思議なくらいの雰囲気でした。
 ご覧のように、逆転負けを喫し、開幕からの未勝利数が7になりました。問題とすべきは、積み上げられた数字そのものではなく、これらの数字を作るに至った原因です。一戦一戦、局面局面で、何をし、何が出来、何をしくじったのか、それを逐次、随時、きちんと、しっかりと省みているのか。結果だけからものを言わせていただく限り、答えは「NO」となるでしょう。じゃあ、なぜ「NO」になっちゃうのか、「YES」に出来ないのか、と言うことになります(まさか、「出来ない」んじゃあなくて、「しない」んじゃあないとは思いますし、この状況で「YES」だなんて言い張るつもりとは思いませんが…)。負のスパイラルにバッチリ嵌っちゃった感のある現状では、やることなすことに自信が持てなくなっちゃって、誰もが疑心暗鬼に囚われていると思います。この状態で最後に一つだけ信じられるのは、「自分自身」ではないでしょうか(ここまで疑っちゃったら、まあもうショウガナイネ)。ここは一つ大いに開き直って、自分の信念を正直にただ貫く、これくらいの覚悟で良いんじゃあないでしょうか?この期に及んで小手先の改変で一見おいしそうな小さな結果を得るくらいなら、膝付き拳打ち付けて転んでも、揺るがない一つの確固たるものを得ることの方がよほど大事だと思います。
 言葉遊びで恐縮ですが、「NO」を入れ替えると「ON」になります。たった一文字の入れ替えだけで意味が一変します。こと現実世界では、一つの物事を動かすことはそう容易なことではありませんが、ひとたび動かすことが出来れば、その後に連なる世界は文字通り「MOVING ON(前進)」となるのです。僕らが選ぶべきは怠惰なる停滞ではないはずです。臨むべきは苦痛と血河の果てにあるかも知れない、不確かで輝かしい未来です。未だ明けない夜は暗黒で、恐怖に充ち満ちています。しかしここで歩を止めるわけにはいきません。信じた先に光があると、恐れず足を進めてゆくんです。この状況で胸に刻む一つの言葉、それは

“Keep Moving On !”
 
【ほーせん@高崎】



■ 2010年4月25日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第8節

ファジアーノ岡山 0−1 ザスパ草津

Kankoスタジアム 6289人

8戦目の初白星



 両チームが攻め合う中、ザスパは前半24分、FWラフィーニャの中央突破が相手ゴール前でファウルを誘いPKを獲得、これをMF松下が冷静に決めた。これで大きく流れを引き寄せると、以降は短いパスワークで主導権を握り、追加点は奪えなかったものの、逃げ切って待望の初勝利をつかんだ。(4月26日『桐生タイムス』より引用)




■ 2010年4月29日(木・祝) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第9節

ザスパ草津 2−1 カターレ富山

正田醤油スタジアム群馬 2703人

柱石

 風が強い。北から吹き下ろす寒風が場内を蹂躙し、試合開始を待つ人達を震え上がらせています。この時期のナイターは、やっぱり寒ぃやぃね。今日もこの風を上手く使えるかどうかが鍵になりそうですね。せめて試合内容くらいは「寒く」ならないようにお願いします。
 飛ぶように売れているホットコーヒーを両手で包み込みながら、スタメンを確認します。GK:22・北選手、DF:16・佐藤選手、18・御厨選手、2・戸田選手、7・佐田選手、DMF:6・櫻田選手、30・松下選手、OMF:14・熊林選手、10・廣山選手、FW:9・高田選手、8・ラフィーニャ選手、リザーブメンバー・GK:1・伊藤選手、DF:5・崔選手、17・秋葉選手、24・梅井選手、MF:23・菊池選手、25・山田選手、FW:19・後藤選手。スタメン・サブを見ると、初勝利を上げた前節と変わったのは、控えFWが杉本選手から後藤選手へ変更されている点のみです。「良い時は変えない」の格言通りと言うところでしょう。「前節良かった」と言えば、中盤の4選手の連携が蘇ったことでしょう。昨年の遺産は費えていなかったということを、ここホームでも証明して頂きたいと思います。 さて本日の対戦相手は富山です。富山と言えば、今季草津の指揮を執る副島監督が昨季まで務めていた職場です。イメージとしては堅守・速攻型のチームでしたが、今年は少し事情が違うようです。今年の富山で何より怖いのは新加入した2トップの苔口選手と黒部選手です。昨年の守備力をベースにして破壊力ある大砲を擁したとなると大した脅威となりますが、ここまでの所、攻撃型のチームへ移行する過程でよく見られるような守備の大崩れを経験中のようです。付け込む隙は正にそこにある、と言いたいのですが、はたして草津の現状も決してよろしくはありません。そして、草津にとってはこの2選手以上に気を付けるべき人物が居ます。トップ下に控える朝日選手です。2トップばかりに気を取られていると、この選手にやられかねないので、これらの前線の選手に対するケアが必須となります。
 夕闇に浮かぶ榛名のシルエットを遠望しつつ、今日も勝てよと草津節を詠い上げます。強風吹き抜ける午後7時35分、富山戦の開幕です。
 前半4分、いきなり山場が訪れます。草津は富山陣内深い位置、ゴールまではおよそ30mの地点でFKを得ます。ボールの位置には熊林選手と松下選手が居ますが、この距離はいわゆる「松ゾーン」です。助走を取りボールに走り寄ったのは松下選手。右足を振り抜くと剛球がまっすぐゴールマウス目掛けて飛んで行きます。ただし、少し高いもののGKのほぼ正面です。取られるか?と思う刹那、ボールはキーパーの構える両手をかいくぐり、背後のネットを大きく揺らしていました。GOOOOOAL!!! 呆然とする富山GK・中川選手。バクスタからでは分かりませんでしたが、GKの様子を見る限り、どうも変化したようですね。う〜む、恐るべし松下選手の波動球(笑)。望外の先制点で気分も動きも良くなった草津は、中盤で持ち前の連携を披露しつつゲームを組み立てて行きます。セカンドボールも良く拾えています。対する富山は3-5-2の布陣で中盤を厚くしているものの、それほど強烈なプレスを掛けてくる訳ではなく、それ故に草津のパスネットワークが機能しているという側面もあります。前半35分まで富山の攻撃陣に全く仕事をさせず、シュート数は少ないものの優勢に試合を展開しています。このままの流れを維持しつつ、しかるべき時間帯に追加点を奪って勝利を引き寄せたいと思いますし、今のところそう出来そうな雰囲気があります。しかし、全てが上手くいくシナリオはそう無いみたいです。前半35分、アクシデントです。直前のプレーでなんだか様子がおかしかった熊林選手がベンチに下がり、山田選手がスクランブル発進となります。草津のポゼッションを担う中核選手の突然の離脱は、やはり影響が大きいようで、これ以降草津の攻撃パターンが単調になり、また攻めに向かう回数自体が減ってしまいました。時間の経過と共に、徐々にではありますが試合の主導が富山へ傾いてゆきます。それでも草津は大崩れすることなく前半を終えることが出来ました。このままでは追いつかれるのも時間の問題のような気がしますので、ハーフタイムでしっかり仕切り直して貰いたいですね。
 ところが、今年の草津は腰が弱い。せっかく苦心して先制しても、それをキッチリ守り抜くことが出来ません。かくしてこの試合もそのような展開と相成りました。後半8分、富山・左CKの場面です。キッカーの苔口選手がニアサイドに速いハイボールを蹴り込むと、これに堤選手が頭を合わせてゴールへ流し込み、敢えなく同点。またしても、ま・た・し・て・もCKからの失点です。しかもニアでフリー。そろそろ見飽きたねぇ、このパターンも。でも、まだ追いつかれただけの話です。しかし今季ここまでに被ってきた(というか自ら嵌っていった)負の経験からか、どこか追い詰められたような雰囲気があり、主に守備において細かいミスが目立ちます。慌てふためく必要は無いのに…。後半18分にはFKから中田選手にフリーシュートを打たれ、直後の20分にもカウンターから中田選手にシュートを打たれるなど、どうにも雲行きが怪しくなってきましたよ。まずいなあ。良くない流れを変えてくれたのは、草津期待の若武者でした。後半21分、廣山選手に代わって菊池選手が登場します。19歳の牛若丸は、実に若々しく溌剌とした動きをしているだけでなく、随所でセンスの良いプレーを魅せてくれます。そして、後半28分、菊池選手の強烈なミドルシュートで草津はようやく息を吹き返します。後半30分以降は互角の攻守です。後半35分、グラウンダーのセンタリングを処理する際に、GK北選手が右肩を伸ばしたようで、少し痛そうにしています。ベンチでは伊藤選手が交代準備をしています。どうやら交代はしないようですが、北選手、大丈夫でしょうか。両軍決め手を欠く中、時間だけが過ぎてゆきます。ドローか?はたまたいつものネガティブ展開か?妄想渦巻く後半39分、今日の主役である松下選手が魅せてくれます。富山陣内左タッチライン沿いからのFKを獲得した草津。キッカーはもちろん松下選手。ゴール前に蹴り込まれたハイボールは強い北風に伸び、また揺さぶられ、GKの直前でフィールドに落下、ゴール方向へ弾みます。キーパーは体勢を崩しながらもボールを掻き出そうとしますが触るに止まり、ボールは依然アクティブ。この時ファーサイドポスト際にラフィーニャ選手が詰めていたのが幸運でした。キーパーの取りこぼしたボールを体で押し込み、GOOOOOAL!!! 再び富山を突き放します。残り時間は6分+ロスタイム数分。みんな分かってるよね?変な事しないでよね?選手達の意思も統一されていて、この時間帯にうっかりプレーはしません。とにかくキープ。安全第一。ここに来て風も味方します。さすがにベンチもわきまえています。ロスタイムに高田選手→後藤選手の交代をして時計を進めます。必死に、懸命に守りきって、そして笛が鳴ります。か、勝った…。
 連勝はしましたが、喜んでばかりはいられません。まず、負傷者が多いです。主軸の熊林選手の状態が心配ですし、北選手の様子も気掛かりです。そして、熊林選手が抜けた途端に攻撃に陰りが生じことが最も気になります。熊林選手は紛れもなく草津の大黒柱であるということが、図らずも証明された試合ではありました。しかしながら、一人の選手にチームの浮沈を委ね切ってしまうのはいただけません(かつてそんなシーズンがありました)。中盤の構成を支える櫻田選手や、交代投入された菊池選手・山田選手などの若い選手達が、もっと広い視野で、より柔軟な思考でプレーすることが出来るようになれば、「誰が出ても大丈夫」な状態を作り出せるし、ひいてはそれこそが草津の拠るべき真の「柱石」となるのではないでしょうか。【ほーせん@高崎】



■ 2010年5月2日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第10節

FC岐阜 2−1 ザスパ草津

岐阜メモリアルセンター長良川球技メドウ 3543人

立て続けの失点に泣く



 ザスパは前半、中盤でのパスがうまく回らず、FW高田、MF広山のシュートも精度を欠いた。後半立ち上がりに2点を失うと、岐阜攻撃陣に流れを奪われた。後半ロスタイム1分、DF佐藤の左サイドからのクロスが一度相手DFにはじかれたところをFWラフィーニャが右足で押し込んで、1点を返したがそこまで。
 岐阜は後半4分にFW押谷、その2分後にMF田中と、相次いでゴールを奪って試合を決めた。 (4月30日『上毛新聞』より引用)







■ 2010年5月5日(水・祝) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第11節

ザスパ草津 1−1 ギラヴァンツ北九州

正田醤油スタジアム群馬 4696人

建国の英雄

 僅か数週間前まで雪が降っていたとは信じられないような暑い日となりました。五月晴れの子供の日、今日は選手バスの入り待ちをしました。草津のバスが入ると、盛大なコールと歓声が上がります。直後に対戦相手である北九州の選手バスも来ます。すると、草津サポーターからまたも大きな拍手と「お帰り」の歓声が上がります。北九州と草津。今日は二つのチームが敷島でまみえ、交差しようとしています。そして、その交点には一人の選手が居ます。宮川大輔選手です。北九州サポーターにとってのJ昇格の功労者は、我々にとっての建国の英雄でもあります。キックオフまでの束の間、このノーサイドの時間だけは、帰ってきた勇者を讃えたいと思う気持ちをみんなが持っているのです。でも、試合では容赦しないよ?
 さて、本日の対戦相手はJ昇格元年の北九州。何度も書いて恐縮ですが、元年だろうがJ1降格だろうが、そんなことは関係ありません。大事なのは、同じリーグで覇を競う相手である、そのことだけです。相手が何であれ、ちゃんと戦ってちゃんと勝つ、これだけです。ここまで10戦で3得点と、決定力に課題がありそうな北九州ですが、翻って我が身を見るに、人のことを言える立場ではありません。ではスタメンを見てみましょう。GK:1・伊藤選手、DF:16・佐藤選手、18・御厨選手、2・戸田選手、7・佐田選手、DMF:6・櫻田選手、30・松下選手、OMF:23・菊池選手、25・山田選手、FW:8・ラフィーニャ選手、11・氏原選手、リザーブメンバー・GK:21・常澤選手、DF:5・崔選手、24・梅井選手、MF:10・廣山選手、17・秋葉選手、FW:9・高田選手、19・後藤選手。GKは北選手が外れ、常澤選手も控えに回るなど、故障の影響で伊藤選手が前節に引き続いてスタメンを任されました。これをチャンスと励んでいただきたいです。菊池選手はこの試合で初めてのスタメン起用となります。前回のホーム戦では途中出場ながら良い動きをしていたので、長い時間に渡って良いパフォーマンスを見せられるか注目です。そして菊池選手とペアで攻撃的な中盤を任された山田選手。この若い2人の活躍は、今日の試合のみならず、今後の草津の躍進を占う意味でも欠かせないファクターとなるので、是非とも成果を上げていただきたいところです。
 30℃を超える猛暑の昼下がり。ユラメク大気を揺さぶる大音声のなか選手達がフィールドに展開。第11節北九州戦、開幕です。北九州も草津同様ポゼッションを基軸に掲げていますが、前半序盤は、ロングボールを前線へ放り込んでのランニングサッカーを展開しています。前半10分、北九州は自陣からのFK1本で草津ゴール前に迫ります。ここはGK伊藤選手が前に出てコースを消して防ぎましたが、こうした長いボール、早い展開への対応如何では試合の流れを崩しかねません。十分な注意が求められます。対する草津は、今日もポゼッション一本槍でゆくのかと思いきや、中盤の底で松下選手が軸となって、縦へ速い展開を織り交ぜながら相手DFの裏スペースを狙ってゆきます。うん、こういうコンビネーションは相手の対応を分散させる意味からも効果的です。じゃんじゃんやろう。そして先手は草津が取ります。 前半16分、菊池選手、右サイドを駆け上がりながら前方の視界が開けたのを見て取るや、迷わず右足を強振。放たれた矢は25mの空間を裂き、対角左隅のゴールネットに刺さります。GOOOOOAL!!! 先制は草津。この得点で動きが良くなった草津。とくにFWのラフィーニャ選手がフィールドを縦横に走り回っています。ただ、組み立てやポゼッション自体では優勢な草津ですが、細かい局面で連携が乱れたりして、なかなか決定的な場面には至りません。そうこうしているうちに北九州側も落ち着きを取り戻したか、草津のミスに付け込んだプレーをしてくれます。前半23分、ウェリントン選手に鋭いミドルシュートをフリーで打たせてしまいます。外れたから良かったものの、何故に簡単にフリーにさせるのか。全体的には草津優勢の流れできているので、不用意な隙を与えてはいけません(それで何度全てをおじゃんにしたことか…)。30分過ぎあたりから草津が受けに回る場面が増えてきます。というか、動きが良くありません。ん?バテてね?DFラインからボールをポンポン前線へ放り込んでくる北九州は、さすがに前線の選手達の運動量は多いものの、中盤の選手達はボールを動かすことで人の動き自体は少なくなっているようです。対する草津はというと、中盤でのパス構成を重視・実践していることにより、ボールの動きに合わせて人も同じく動いていて、北九州の選手達よりも運動量が多くなっているように見えます。加えてこの暑さです(開始前で29℃だったので、30℃は超えているでしょう)。保たねぇよ^^;。もうちっとんべぇ省エネでやらないと、後々やばいことになりそうです。前半39分、久々のチャンス到来です。左サイドをドリブルで駆け上がる山田選手、中央へ切り込みながらペナルティエリア内に侵入した氏原選手をターゲットにスルーパスを送ります。完全にフリーになっていた氏原選手ですが、このパスを足下に収めることが出来ませんでした。いや、惜しかったぞ。というか、ここは決めておかないと。前半41分、先ほどと同じ形で、山田選手から今度はマイナスのセットボールが蹴られます。ここに駆け込んだのは松下選手。そしてこの距離は「松ゾーン」。打ちましたね、迷わず。ボールはゴールの左へ外れましたが、その果敢な姿勢は高評価です。ちょっとした攻勢に気を良くし、意識が低下したのでしょうか、集中力の低下が思わぬピンチを招きます。前半44分、カウンターを食らいますが3人のDFが対応に当たり、何でもない守備場面なんですが、高速で戻りながらの対応で連携が途切れたのか、クリアボール(もしくはバックパス)は信じられない程の鋭さで自陣ゴールマウスへ飛んで行きます。おいおい、危うく入っちゃうところでしたよ?ちゃんとGKと相図取り合った?気を付けようね。なんとも締まらない形ではありましたが、ともかくリードを保ったままハーフタイムです。
 そして後半開始。後半は、氏原選手に替わって高田選手がピッチに立ちます。うーん、氏ちゃん前半ちょっと具合悪そうにしてたから、また怪我かぃなぁ。後半は、立ち上がりから自陣深い所での凡ミスがいよいよ多発します。まずいきなり後半1分。自陣バイタルエリア内でパスミス→ウェリントン選手のシュート→良く守ってくれたよGK伊藤選手、という顛末。前半の悪いイメージをそのまま後半も引っ張っちゃってます。北九州は後半に入ると中盤でのボール回しに切れが出てきました。これには草津の中盤がルーズになっているという背景もあります。後半16分、山田選手→後藤選手の交代です。うーん、山田選手ですか。確かに効果的な攻撃は出来ませんでしたが、そんなにパフォーマンスが悪い訳ではないと思いますが。ピッチサイドをトボトボ歩いて戻る山田選手の姿が寂しげです。「不本意」の気持ちがにじみ出ています。山ピー、その気持ちが大事ダヨ。ガンバレ。代わった後藤選手は山田選手と同じポジションに入りました。さて、状況はがっぷり組み合って両者譲らずといった展開が長く続いています。
 そして、北九州は勝負に出ます。後半20分にウェリントン選手→佐藤(真)選手、続く後半30分に、大島選手→長谷川選手そして日高選手→宮川選手と同時交代です。来たな、大輔。後半33分、草津久々の攻勢です。パスで繋ぎつつペナルティエリア直前まで侵攻した草津は、ラフィーニャ選手がキープしつつ前線に櫻田・高田2選手がそれぞれフリーで待ち受けるという理想的展開です。そしてラフィーニャ選手はファーサイドの高田選手へ緩いアーチのパスを送ります。この時点で高田選手の前にはGK1人だけ。よし、貰った!と思ったのも束の間、放ったボレーシュートはコントロールしきれずに大きく外れてしまいました。こういうビッグプレーを外すと後が怖いんだよねぇ…。後半36分、草津は最後のカードとして、菊池選手→廣山選手の交代を行い、試合構成力の向上を図ります。もう少し待って守備固めに走っても僕らは支持するんですが、ベンチサイドの考えは少し違うようです。そしてやはり、と言いましょうか、決めるべき所で決めていないと、往々にしてこういう展開になります。
 後半38分、失点はやはり失策からでした。直前のプレーは草津のCKでした。CKを弾き出した後のクリアボールを獲得した北九州は、佐野選手が単騎ドリブルであっという間に草津ハーフへと侵入します。ただ、この時点でカウンターに付いてきた味方選手は2名に対し、草津の守備は4名です。この後左サイドでパス交換をして、センタリングが上げられた時点でも人数自体は北九州3人に対して草津5人と、いずれの場面でも数的には優位なはずでした。ここで草津のDFは完全にボールに意識がいっていました。センタリングボールを受けた関選手には3人が寄せに行ったものの、そのボールをちょこんと蹴り戻した先にいた宮川選手にはただの一人もマークが付いていませんでした。草津時代に何度も見た、あの豪快に右足を振り抜くシュート。この距離で外すようなへっぽこではないことを、他ならぬ僕らこそがよく知っています。なんという「恩返し」!いいから、大輔君、それいらないから!と言ったところで後の祭りです。今年の草津の良くない所の筆頭は、失点直後に一気に意気消沈してしまうところです。まだ同点だよ?なにその負けちゃったみたいな表情は。取られたら取り返すんですよ!まだ10分近くあるんだから、頑張って攻めようよ。しかし、その思い虚しく、一向に攻勢に出られません。相手は交代投入されたFWが前線に張り付いたままで前掛かりな姿勢を崩しません。はっきり勝つ気です。最終盤はこの気迫の差から北九州のペースのまま推移し、そして終了。
 心折れそうな僕を立ち直らせてくれたのは、皮肉にも敵となり活躍する宮川選手の姿でした。大輔君頑張ってるじゃん。真の草津魂を知る漢に本家の僕らがそれを教えられることになろうとは。
 我が国を現在の場所まで導いてくれた建国の英雄が、目の前でこちらに剣を向けて立ち塞がっています。豪快にシュートを決める姿に、かつての勇姿をかいま見ましたが、今はっきりと理解しました。彼はです。そして、北九州の陣営にとっては、紛れもない英雄なのです。残念ながら、我らにとってのその座は未だ空位です。来たれ勇者よ!【ほーせん@高崎】




■ 2010年5月8日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第12節

東京ヴェルディ 2−0 ザスパ草津

味の素スタジアム 3337人

ワーストゲーム



 前半から東京Vの素早いパス回しに苦しめられ、ザスパはラフィーニャ、高田の両FWになかなかボールが届かなかった。後半になってようやく高田のシュートで反撃を始めたが、14分に相手DFのオーバーラップに守備陣が対応し切れずに失点。その8分後には相手FWを倒したDF佐田が一発退場、PKを献上して2点目を失った。
 東京Vは後半14分にDF富沢が先制。その8分後にFW河野がPKを決めて、ザスパを突き放した。 (5月9日『上毛新聞』より引用)







■ 2010年5月15日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第13節

ザスパ草津 1−4 ヴァンフォーレ甲府

正田醤油スタジアム群馬 4699人

ツキのない夜に

 チームが勝とうが負けようが負けようが負けようが、敷島・屋台村の縁日的雑踏と賑わい、そしてこの空気感だけは変わらず心地よいものです。今日は久しぶりに原点回帰を期して「とりめし」を購入、バックスタンドの定位置へ収まります。まだ少し時間が早いせいもありますが、メイン側はもとより、バクスタにも空席が見られるのはどうしたことか。一般入場が始まって見たアウェイ側の光景との乖離に、うら寒い思いがしたのは僕だけではなかったんじゃあないかな。そのアウェイ側ですが、甲府サポ大挙襲来。アウェイバックスタンドが埋まったぃね。しかも入りきれなくてゴール裏芝席まで開放するとか。他力本願で入場者数を稼ぐのはどうかとも思いますが、そんな綺麗事は言っていられません。毎度ご来場ありがとうございます^^。是非来年も仲良くしていただきたいんですが、ダメですかね?
 ピッチは夏芝が段々と生え揃ってきていて、やっとグリーンフィールドといった感じがしてきましたが、近くで見ると所々デコボコしているのが分かります(昼間に陸上の大会があったりするので、共用競技場の宿命ですね)。お天気の方はと言うと、よく晴れ渡っていますが、ちょっと風が強く吹いてくることがあります。メインポールの旗を見ると、バック側からホーム側へ、東から西へと吹き抜けています。陽射しはそれなりに強く、暖かなんですが、ここ数日の季節はずれ寒波の余韻を引きずっているせいで風が冷たいです。陽が沈んだら相当冷え込むんべぇことは想像に難くありません。せいぜい暖かくなるような熱い戦いをお願いします。いや、ほんと。
さて、現在のチーム状況ですが、戦績もそうですが、負傷者続出に加えて出場停止まであって、戦えるだけの陣容を整えることすら一大事です。スタメンが大幅に入れ替わらざるを得ないスクランブル状態です。もっとも、今季は開幕からずっと緊急事態フルアラートですが^^;。対する甲府は現在絶好調。首位を窺う位置にいて、その意味からもこの試合は是が非でも取ってステップアップの足掛かりとしたいところでしょう。でも、草津としては易々とさせちゃあダメですよ?「鉄板」だとか「確勝馬券」だとか「ボーナスゲーム」だとか言われて悔しいのなら(僕らははらわた煮えくりかえるくらい悔しいです)、ここは死に物狂いで戦って、勝って下さい。お願いします。
 盛り上がる満員の甲府席を見て一人興奮しつつ、スタメンを確認します。GK:1・伊藤選手、DF:16・佐藤選手、3・尾本選手、17・秋葉選手、5・崔選手、DMF:6・櫻田選手、30・松下選手、OMF:23・菊池選手、10・廣山選手、FW:9・高田選手、15・前田選手、リザーブメンバー・GK:21・常澤選手、DF:4・田中選手、20・柴田選手、MF:25・山田選手、FW: 8・ラフィーニャ選手、8・杉本選手(控え枠7人に対して6人登録です)。けが人続出で陣容が定まらない草津、今節は右SBに崔選手、CBとして尾本選手、FWに前田選手が初先発起用となりました。DFラインは公式戦では初のセットで臨むことになります。守備の安定化が急務な草津にしてみると、毎試合のようにメンバーが替わるのは不本意ですが、ある意味良い組み合わせを探る事になっているとも言えなくもないかと(そこっ!効率の悪い「神経衰弱」のようだとか言わない)。今節注目したいのは、長い療養からようやっと草津のピッチに登場適った、浪速のストライカー・前田選手です。ガンバ大阪在籍時のプレーを幾つか見た限りでの評価ですが、ストライカーとしての資質は十分にあると思っていますし、都倉選手の例もあるように、草津で花開く可能性だってあります。今後も継続的に起用されれば面白いことになりそうな、そんな予感を秘めた選手と言えます。対する甲府は要注意人物のオンパレードですが、敢えて挙げるなら3人のFWです。本来はマラニョン選手が3トップの一角を担うのですが、今節は欠場で、その代わりにパウリーニョ選手が起用されました。ええ、覚えてますよ、かつて京都在籍時にはお世話になりましたねぇ。単騎で突破されると厄介な選手です。2人目はFCホリコシから岐阜へ移籍し、岐阜で中心選手として活躍した後に(様々な事情により)甲府へと移った片桐選手。ゴール前で良い仕事をするだけでなく、ポスト、フォロワーと、裏方仕事もそつなくこなす選手です。目を離すと危険です。そして3人目はハーフナー選手。でかい!「なんでこの選手がJ2に居るの?」って選手が毎年居ますが、彼はまさにそれですね。目立つし仕事分担もはっきりしているので、草津としてはすべきことが初めから分かっている分、マークさえ怠らなければ良いだけの話なんですが、それでも不安が付きまとうのは、彼の選手のオーラか、はたまた…。
 月明かり絶えた上州の宵闇を震わせる甲州軍団の雄叫び。此処は我がホームぞと吼え返す草津軍団。大音声がぶつかり渦巻く場内、カクテル光線に照らされる決戦場に両軍の戦士が布陣、上甲会戦の幕が上がります。
 前半序盤、甲府はターゲットであるハーフナー選手目掛けて中距離の縦パスを素早く蹴り込んできます。これは素早い攻撃を企図したものですが、草津の出足を自陣に封じ込めるという副次効果によって、草津の攻撃的な姿勢を完全に封殺しています。序盤で彼我の立ち位置が決まってしまい、甲府側は、後はもう攻めるばかりです。早くも防戦一方となってしまった草津が三の丸を奪われるのに時間は掛かりませんでした。前半11分、センターサークル付近からロングボールを蹴り込む甲府。これをペナルティエリア内でクリアし損ねた草津DFは、リバウンドボールに詰めて再度のクリアを試みますが、寄せが甘く、同じくこのボールに詰めていた内山選手に先んじられてそのままゴールへと蹴り込まれてしまいます。いやあ、この形で点を取るべきはうちだぞ、おい。相手にやられてどうするよ。守備陣容が大きく変わった草津の今後の展開に大いなる不安を残す先制点となりました。先制後も全く隙を見せない甲府の守備陣に対して、単調なパターンと頻発するミスを織り交ぜながら自陣へ追い込まれる草津。およそ10分おきに訪れる決定的なピンチ。それでも30分過ぎまでは何とか耐えて忍んで追加点を奪われずにいます(全く攻められないどころか守るのに手一杯)。もうこうなると、後10分耐えて後半に捲土重来を期すべし、という気になっても責められないでしょう。でもね、そういう心の隙を見逃してはくれないんですよね。前半35分、甲府・右タッチラインからのスローインの場面。ボールを受けた選手がポストとなってスロワーの吉田選手へ蹴り戻すと、吉田選手がゴール前へピンポイントの綺麗なセンタリングを入れてきます。このハイボールにキッチリ頭を合わせたハーフナー選手を草津のDFはマークしていませんでした。役割のはっきりしている選手に対して、なんでこうもあっさりとやられるのか?そして、あと10分が耐えられないとは…。前半シュート0で終わった草津。全く得点の匂いがしませんでした。ただ、崔選手が攻撃的な姿勢を崩さない、捨ててないのが印象的です。闘将のこの思い、他の選手達も見習って欲しいです。とにかく、後半はやるしかないので、頑張ろう。
 草津はハーフタイムに前田選手からラフィーニャ選手へとFWを交代してきました。体調不良と噂されていたラフィーニャ選手、大丈夫でしょうか。この交代の効果かどうかは分かりませんが、後半に入るとやや攻撃にリズムが出てきて、甲府ゴールへあと一歩の所まで迫り、高田選手&ラフィーニャ選手のオーバーヘッド2連発など、期待の持てる展開が続きます。相変わらず危ない場面もありますが、前半に比べると相手陣内でプレーする時間が多くなっている草津は、後半18分に勝負に出ます。ディフェンシブハーフの櫻田選手を下げてオフェンシブハーフの山田選手を投入します。ボランチを減らしてオフェンシブな選手を3人並べる攻撃的な陣形に変更しました。ある意味諸刃の剣ですが、この交代がいきなり奏功します。後半19分、草津は山田選手が単騎突破。甲府DF3人が綺麗なラインで待ち構える中、タイミングの良い飛び出しでこの網をかいくぐった菊池選手へスルーパスが通ります。飛び出した菊池選手、待ち受けるGKを一瞥し左足一閃。ボールはGKの手をかわして対角線上ゴール右隅へと転がり込みます。GOOOOOAL!!! これで1-2。勝負はまだ分かりませんぞ!しかし、後半22分、要注意人物の個人技が炸裂し、草津は再び突き放されます。右サイドを駆け上がるパウリーニョ選手が養父選手とのワンツーパスを受けて加速し、そのままDF、GKを次々とかわして3点目のゴールを落とします。このゴールに関わった甲府選手は2人であったのに対して、草津DFは少なくとも4人が関与していました。パウリーニョ選手が上手いのは分かりますが、それにしても数的有利でありながら止めること敵わず、あまつさえ得点を許すとは…。後半23分、草津はSBの崔選手→CBの田中選手へと交代を敢行。田中選手は右サイド最後列に入りましたが、CBの秋葉選手が少し前目(ボランチの位置)に動いているようで、流動的ながら3バック2ボランチになっているようです。少しは守備が安定するか、とも思いましたが、どうにもバタついた感じが拭いきれません。後半36分、甲府・左CKの場面がトドメとなりました。ニアに蹴り込まれたセンタリングを一度は弾き返しましたが、リバウンドするセカンドボール(ファーサイドに流れていました)に詰め寄せた甲府3選手の一人、秋本選手にダメ押しの4点目を奪われて草津轟沈(この時ファー側の草津DFは2人でしたね)。草津城落城を報せる主審の笛が鳴り、上甲会戦は甲府の圧勝で幕引きとなりました。
 言いたいことは山ほどありますが、それは他の人に任せて、僕は語るを止めておきます。え〜と、では、今日の試合で良いところを…、良いところ…、良いところ…、っ!そっ、そうそう、今日はイエローカード貰いませんでしたよ(やっほーぃ)。以上おしまい(orz)。相変わらずファールは多いし、意味不明なプレーが続発ですが、少なくとも制裁金に直結するイエローカードを食らわなかった事だけは救いです(単に運が良いだけとも言えますが)。まぁ、さ、もうちっとんべぇさ、頑張んべぇや。
 昨夜は新月でした。今晩も月が見えません(月齢1.1です)。街灯のない敷島の樹林帯は呑み込まれるような暗闇です。自分の足下すら見えない暗黒です。甲府からの大量動員がなければ、今日の観客数(4,699人)は半分位だったかな、という事実が闇夜を更に怖いものにしてくれます。ホームでの敗戦は、確実に自分達の居場所を削り取っていっている。そのことに無自覚でいられるほど、僕らのクラブチームは強壮ではありません。闇夜でもじきに目が慣れてくると周囲が見えてくるものですが、何もしないでこの暗闇の中で膝を抱えて忍従して待っていろと、果たしてどれだけの人が待っていてくれるのか。目が慣れた頃には周りには誰もいなかった、何もなかった、なんてのは決して笑えない話です(昨今の内外の情勢からするとあながち無い話でもないし)。闇夜を歩くには灯が不可欠だと再認識しました。太陽ほど強烈でなくていい、三日月ほどのささやかなものでいいから、今は道を照らしてくれるものが欲しい。月にもツキにも見放された夜に思うのは、大きな満月を待ち望むウサギの気持ちでした。【ほーせん@高崎】




■ 第14節はお休みだぃね! ■



■ 2010年5月30日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第15節

柏レイソル 3−2 ザスパ草津

日立柏サッカー場 7436人

予想外の善戦

 第14節のお休み当番が過ぎ、一週間あいての第15節。今回の対戦相手は今季無敗でJ2首位を走る柏レイソル。片ややることなすこと上手く行がず、最下位に低迷する我らがザスパ。下馬評の多くは柏の圧勝を予想。まぁこないだの甲府戦を観た限りじゃ、それも宜なるかな・・・って感じだぃな。2006年以来の柏戦の舞台は、漫画『GIANT KILLING』の舞台「隅田川スタジアム」のモデルにもなったとゆう柏・日立台。『ジャイキリ』を愛読するオレは2006年には日立台に行きそびれたこともあり、今回は万難を排してアウェイ遠征を敢行したで。
 柏駅から「レイソルロード」を歩ってスタジアムへ。老若男女がサッカーの話題をしなスタへ歩いてぐ光景はおーかうらやましいじゃねぇきゃ。徒歩10分かそこいらで日立台に到着。アウェイゴール裏に着くと、立ち見エリアはまぁず狭いんだけんど、選手たちがまさに目の前にいる臨場感は噂通りのすんばらしいスタジアム!(スタ食の豪華さは敷島の圧勝だけんど・・・特に日立台アウェイ側のスタ食はなっから寂しいやぃね。)既に柏側はチームカラーの黄色で埋め尽くされてらぃね。有名な「柏バカ一代」を謳うその声量は早くもすげぇな。四面楚歌ならぬ三面柏歌な感じ(笑)日立台ゴール裏に集ったザスパサポ、その数ざっとニ百人余。圧倒的な数的不利にも関わらず、負けじと応援に熱気がこもらぃね。
 今日のスタメンはGK1伊藤、DF7佐田、DF4田中、DF13有薗、DF18御厨、MF30松下、MF10廣山、MF9高田、MF14熊林、FW8ラフィーニャ、FW23菊池、サブにGK21常澤、DF5崔、DF17秋葉、MF6櫻田、MF25山田、FW19後藤、FW11氏原。ケガから復帰した熊林がどう活躍すっか、田中・有薗の昨年後半のセンターバックが、猛攻が予想される柏の攻撃陣をどう抑えてぐか注目だぃね。実は「柏に一体何点取られちまうんだんべか?」・・・ってオレは心中思ってたんだけんど。熊林が入ぇった試合は今季まっさかいい形になることが多ぃいんで期待してぇところだぃね。
 今日は柏のマスコットのレイ君の誕生日ってことで、スタジアム全体で「ハッピーバースデー」を詠って、柏まで遠征した湯友がプレゼントを渡したりと何だかまったりムード。草津節詠唱で臨戦モードに入って試合開始!
 この試合驚いたのはいつもOMFを務める廣山を中盤の底に置き、熊林を左OMF、高田を右OMFに、そしてトップやや下目に菊池を置いた4-4-2or4-2-3-1的布陣。開始早々柏に押し込められる展開。特に柏のレアンドロは実に上手い。こりゃいつやられちまうんか・・・と思っていたら、前半5分相手の緩慢なパスをカットした高田が、中央のラフィーニャにパス。ラフィーニャはペナルティエリアのちょい外側で左足を振り抜くミドルシュート!放たれた弾道は少し左にカーブしながらゴール左隅に突き刺さった!GOOOOOAL!!! 先制点は(まさかの)ザスパ!先ほどまで大声量だった柏サポが一斉に水を打ったように沈黙。ザスパゴール裏は大騒ぎだぃね!予想外の展開!
 まさか?の展開を打開すんべぇと柏は更に攻勢を仕掛ける。ザスパは何とか耐え凌いていたけんど、前半18分ペナルティアちょっと手前でファールを犯し、これをレアンドロにフリーキックを直接決められて同点に追いつかれちまった。しかしまだ1-1、試合は振り出しに戻っただけだぃね。この後も柏優位に試合が進められたんさ。ピッチがすごく近けぇんで、その迫力・臨場感はまっさかすげぇやぃな。いやぁ日立台すんばらしい!攻め込まれてるんに感動しちゃうで。そんなこんなで前半35分、ザスパは右サイドで廣山からパスを受けた佐田がゴール目がけてミドルシュート!これが左サイドネットに決まっちゃった!GOOOOOAL!!! スーパーゴール!2点目! 失礼ながら、あそこにいた連中のほとんどが聡太郎はゴール前にクロスを上げると思ってて、まさかシュートとは!!と思っただんべ?味方をも欺く(笑)、まさにこれぞ奇襲の一撃だったぃね。ザスパサポはハチの巣突っついたような大騒ぎ、片や再び柏サポは一瞬しーーんと沈黙。一度ならず二度までも日立台を鎮めたザスパ!これで1-2と再びのリード。まさかの大金星を収めることがでぎるんか?(しかしチャンスらしいチャンスはこの点を取った2回ぐれぇしかなかったぃね。)
 期待の後半開始。前半以上に猛攻に晒されるザスパ。柏サポも前半を上回る大声量。後半6分、またもゴール前のフリーキックのこぼれ球をパクに決められ、2-2の同点。ここで熊林から山田に交代。山田の突破力に期待っつーことだんべ。しかしその後も柏の猛攻に晒されっぱなし。試合は敵陣ばっかで、こっちには全然きやしねぇ。レアンドロ、工藤の再三の流れるようなドリブル突破を、まるで見とれるように誰も止められず、自陣深くまで侵入を許して、コーナーキックを奪われたり、あるいは何とかファールで止めてのゴール近くのフリーキックにと何度もピンチに晒されちまう。ついには後半16分佐田が誰かを倒したとゆうことでPK。(ゴール裏からは良くわかんなかったぃね。)これをレアンドロにきっちり決められちまった。柏サポからは「大地を震わせ」とゆう表現がまさにぴったりの大歓声。いやぁあれはほんとにすんごかった。これで3-2と逆転を許す。残りは30分、まだまだチャンスはあるかと思ったけんど・・・攻撃のキーとなった熊林を下げちまったのも一因なんか、全く攻撃の形が作れず、柏の怒涛の攻めに防戦一方。菊池に代えて氏原を投入したんだけんど、完全に前線で孤立してるし。まさに柏はやりたい放題だったけんど、GK伊藤を先頭に、ポスト君まで加わってチーム全体で柏の攻撃をひたすら耐え凌ぐ。高田に代えて後藤を投入するも、後藤の豊富な運動量は、守備にしか発揮する場所がなかったぃね。試合は奮戦空しく、そのまんま3-2で終了。一度は垣間見えた金星を挙げるどころか、ドローにすることすら叶わなかったぃね。
 しっかし今日は負けたとはいぇ、これまでのヘタレた試合と違って、選手の闘う気持ちが随所に垣間見えた大善戦だったと思わぃね。あの大勢の柏サポを2度も沈黙させたしなー。オレは今季観たザスパの試合ん中で一番おもしろかったで。柏まで遠征したかいがあったっつーもんだぃな。この試合のような気迫を今後も続けることがでぎるんなら、最下位脱出もきっと近いんじゃねぇきゃ?
 新聞報道に寄れば伊勢崎で多田山に県立スタジアム建設構想があるそうだけんど、25000人収容との大風呂敷な構想とも聞かぃね。何もそんな豪勢にしなくっても、この日立台のような規模でもオレたちには必要十分じゃねぇん?選手の気迫が手に取るように伝わり、きっとオレ達の声もまっと彼らを後押しできると思うんだぃね。そんな理想のスタジアムがある柏の人たちがホントうらやましいやぃね。【すずき@東毛】




■ 2010年6月5日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第16節

ザスパ草津 1−1 コンサドーレ札幌

正田醤油スタジアム群馬 9382人

全てのチカラを結集せよ!

 梅雨入り前の晴天。昼の試合は、焼け付くようなお日様サンサンの暑っちぃ中での開催です。日本一の酷暑地帯・北関東亜熱帯に住まう僕らでさえ参るような暑さです。札幌からお出での皆様、いかがお過ごしでしょうか?
 今日は、随分前からチーム・サポーターが一体となって推進してきた観客動員プロジェクト、「9325!プロジェクト」の発動日です。過去に実施したプロジェクトはいずれも計画動員数に達することなく終わっています。ましてや、今年のチーム状態を見ると…。そして、アウェイ側チケットが完売したそうです。この前(甲府戦)みたいなこと(ホームジャック→完敗のおまけ付き)にはならんだろうな…。勝利から遠のいている状況では、全てのことに対して斜に構えてしまいがちです。良くないですね、改めたいと思います(大反省)。と言う訳で、僕も知人を勧誘し、家族を連れて僅かばかりですが助力をさせて頂きます。そしていざ乗り込んだ正田スタ正面広場で目の当たりにしたのは、人、人、人。こ、これは、なんのお祭りですか?JFL時代に2回ほど見たかも知れない光景ですが、記憶が古くて思い出せません(笑)。それくらい久しぶりな賑わいなのです。なんかね、こう、沸き上がるものがあるよね。人波はメイン側だけでなく、ぐるりオーバルを辿って、サカラグサイドからバックスタンド方向へ至っても続いています。バックスタンドに入場した時点(試合開始2時間前くらい)では、メインスタンド、バックスタンドとも空席が多く、「やっぱダメきゃ…」と思っていました。が、試合開始時間が近づくと共に場外から人が各スタンドに飲み込まれ、みるみるうちに空席が埋められてゆくではないですか。ついには両ゴール裏まで開放されて、気が付けば正田スタ始まって以来(改称後という意味で)、最多の動員疑いなしという活況になりました。こりゃあ、数字が楽しみだぃね♪
 などと浮かれまくっていて、スタメンを確認してませんでした。ドレドレ。GK:21・常澤選手、DF:18・御厨選手、4・田中選手、13・有薗選手、5・崔選手、DMF:10・廣山選手、30・松下選手、OMF:14・熊林選手、9・高田選手、FW:23・菊池選手、8・ラフィーニャ選手、リザーブメンバーGK:1・伊藤選手、DF:16・佐藤選手、17・秋葉選手、MF:6・櫻田選手、15・前田選手、FW:11・氏原選手、19・後藤選手。佐田選手の出場停止により、右SBには崔選手が先発起用されました。GKは常澤選手が久々にスタメン登場です。前節有効だった廣山選手のボランチ起用ですが、今日もそのような布陣となりそうです。高田選手がFWから一列下がってSH、反対に菊池選手がSHからFWへ上がりました。この辺りの陣容については、試合開始後に確かめるとしましょう。さて、対戦相手の札幌ですが、攻撃陣には曲者が揃っています。その中でも注意したいのは、FWのキリノ選手と近藤選手、控えの内村選手でしょうか。それぞれが、テクニック、突破力、パスセンスに光るものを持っているので、寸刻たりとも目を離してはいけません。草津守備隊の皆さん、マーク怠りなく。
 メインスタンドではブルーフラッグが満席から打ち振られ、バックスタンドでは濃紺と鮮黄のファンバナーによるコレオグラフィが展開される中、両軍のアンセムを纏って選手が入場、陽光に焼かれたピッチに散ります。梅雨入り前の炎天、札幌戦の開幕です。
試合開始後に早速フォーメーションの確認です。菊池選手がトップ下、左右のハーフに高田選手と熊林選手が入り、ラフィーニャ選手を1トップ気味に張り付かせてポストを担わせるようです(4-2-3-1)。トップ下を1人置いておくのは良いアイディアだと思います。ポストプレーが効果的に行えるし(1トップにボールが入った時に左右+中央と選択肢が広がるため)、相手DFにシャドーの危険性を匂わせつつ反転突破を試みても面白いですし、その反対も可能になります(中央突破を警戒させて引きつけておいて、1トップのポストからSHのシャドーを突入させるとか)。2トップの利点はそれとしてあるのですが、うちの場合はどうもFW間の役割分担が明確でないうえに、ちょくちょく被ってはシューターを譲り合う、といった光景が多く見られました。であるならば、いっそのこと1トップを確としたポストに据えるか、フリーランスの糸の切れたカイト(凧)にしてしまう方がやることがハッキリしていてかえってやり易いんではないかと、かねてより思ってはおりました。さて、試合の方は、序盤から草津が攻守に強いプレッシャーを与えてやや優勢に運んでいます。攻撃的な気持ちが良く表れていたのが、前半7分の右SB・崔選手のサイドアタックです。右サイドを駆け上がりながらの攻勢は全体が良く連動していて、これまでのような単発突破→孤立玉砕の構図には嵌らなそうです。ソンヨンいいよソンヨン♪。前半16分には速攻からフィニッシュまで持ってゆく理想的な攻撃の形が見られました。ラフィーニャ選手が前線でボールをホールドして相手選手を引きつけ、かつ時間を作り→シャドー的に飛びこんだ高田選手がシュートを撃つというものです。これまでやや強引な(と言うよりも無謀な)ドリブルや突破を仕掛けてはチャンスをフイにするきらいがあったラフィーニャ選手ですが、どうしてどうして、ポストプレーが上手いです。効いてる効いてる。ラフィいいよラフィ♪。そして、廣山選手がボランチの位置から主にドリブルとショートパスで中盤の中継役をし、松下選手が低い位置から札幌DFラインの裏スペース目掛けてロングボールを頻繁に蹴り込むなど、この2人のゲームメーカーが極端に異なる動きをすることによって、札幌に攻守の狙いを絞らせない効果が生じています(=結果として札幌を自陣に縫い止め、中盤の支配権を獲得することに繋がります)。それと、ハーフに下がった事で目前の視界が開けたのか、今日の高田選手はゴール前に詰める姿が目立ちます。眠れる王子の覚醒は近いかも(予言)。しかし、好事魔多し。決して緩んでいた訳ではないと思います。状況は正にエアポケット。前半21分、札幌は左サイドを速攻で持ち上がった西嶋選手から低く速いセンタリングがゴール前のスペースへ蹴り込まれます。この時点で草津のペナルティエリア内には札幌の選手4人が横一列に並んで駆け込んで来ていました。その内の一人、近藤選手が右足をボレーで合わせてゴール左隅へ流し込み先制。草津優勢な流れの中、札幌はファーストチャンスでゴールを奪いました。ボクシングに例えるなら、ラッシュを仕掛けているところで不意にもらったワンパンチがカウンターで入って思わずダウン、そんな感じです。あの突入速度で合わせてくる近藤選手は只者ではありません。押していた流れを断ち切られるような先制ゴール。従来ならば「もうダメぽ\(ToT)/」な空気が充ち満ちて本日終了〜閉店な流れになっちゃうんですが、今日はこれまでとは選手達の雰囲気が違います。何ていうか、そう、闘気が溢れているという感じです。失点にもめげず、覇気を失わず果敢なアタックを継続したことから、リズムは変わらず、前向きに闘えています。満場の草津サポーターもこれを後押しします。前半32分、自陣で松下選手がトラップした直後のボールを近藤選手に掠め取られて独走を許してしまいます。近藤選手はGKと1対1の状況からシュートを放ちますが、駆け戻った松下選手ら守備陣3名がコースを狭めたために、GK・常澤選手が防ぐことが出来ました。ボールを奪われたプレーは「めっ!」ですが、その後の火消しをしっかりやったことは「よしよし」です。ミスは付きものなので、要はどれだけそのフォローが出来るか、と言うことに尽きます。このプレーの直後、草津はお返しとばかりに攻め込みます。自陣から蹴り出された熊林選手のロングフィードが前線のラフィーニャ選手へ繋がります。ラフィーニャ選手、ここは迷わずシュートを撃ちますが、札幌GK・高原選手の好セーブに阻まれます。草津のしなやかな攻撃リズムを底支えしているのは、高く保たれながら果敢なプレスを怠らない守備陣です。ことに今日は、両SBが良い働きを随所に示しています。序盤は崔選手の上がりが目立ちましたが、前半も時間を追うにつれて左SBの御厨選手が目立ってきます。みくりや選手…(長いな、よし、ここはミックで^^→見た目もどことなくミックジャガーっぽいし(笑))、ミックはDFとしての本分を良く守り、非常に高い守備力を見せてくれます。それでいてボランチと呼応した攻め上がりも頻繁に敢行するなど、前に向かう姿勢を最後列から全体に浸透させるような範を示してもくれています。ミックいいよミック♪。前半終了間際頃にやや息切れした感じはありましたが、草津のリズムは悪くありません。行こう、やろう、勝とう!いざ後半へ。
 草津はハーフタイムに選手交代です(熊林選手→前田選手)。熊林選手、怪我明けから間がないこともあって、ここは無理せずベンチに下がります。熊ちゃん、乙!。仕切り直しでいざ行かん、と意気込んだばかりでしたが、後半は開始8分にいきなりミスからピンチを招きます。自陣でのパス交換を虎視眈々と狙っていたキリノ選手にボールを掻っ攫われ、あっという間の突破独走を許してしまいます。この場面はその後のフォローが良かったために大事には至りませんでしたが、こういったことからリズムを崩した、崩し続けた、崩しまくった過去を忘れてはなりませんよ。大事に行こう、大事に。ただ、この場面でもその後に慌てふためくことなく、冷静に戦局を見定めてくれるゲームメーカーが居てくれたことが追加失点を防ぎ、そして直後の同点ゴールへと繋がります。後半11分、起点はゲームメーカー・廣山選手でした。右サイドの相手陣内深い位置から廣山選手の蹴り込んだセンタリングは、前田選手の頭上へピンポイントで落ちてきます。前田選手、周りを相手DFに阻まれていたため、端からヘディングシュートは選択肢にありませんでした。落ち来るボールを見定めると、頭を振って左へ流します。流れた先には高田選手。前田選手、こりゃ、見えていたな。高田選手の走り込んだその足元へピタリとセットされたボール。繰り出される王子の左足は一振りの剣。次の瞬間、ボールは対角のネットを擦り上げていました。GOOOOOAL!!! 王子覚醒!。今日の高田選手は実に積極的で、いつになくシュートを多く撃ってくれますが、遂に決めてくれました。ヤスいいよヤス♪。後半16分、キリノ選手が速攻で攻め込んできました。突破されると大ピンチになりそうな場面ですが、有薗選手が良い判断でボールを奪取します。今日の(というか今日も)有薗選手は、地味ながら随所で攻守を魅せてくれます。ゾノいいよゾノ♪。後半18分、今度はGK・常澤選手が攻撃で魅せます。キャッチプレーの直後、前線の状況を見て駆け上がる崔選手へとナイスフィードします。崔選手、これを受けると前方の廣山選手へと手数をかけずにパスします。廣山選手も同様、前田選手へとパスを送り出します。ポンポンと小気味良くパスが繋がり、前田選手からのスルーパスが相手DFラインを抜け、飛び出したラフィーニャ選手へと繋がりました。ラフィーニャ選手のシュートはまたしてもGK・高原選手によって阻まれましたが、「草津の真骨頂これにあり」を魅せ付ける攻撃でした。「GKも1フィールドプレーヤーである」とは良く言われる言葉ですが、この常澤選手の好判断は正にそのお手本と言えるでしょう。トッキーいいよトッキー♪。草津は後半26分に、菊池選手から後藤選手へと交代です。後藤選手、今日も良く走ります。涼クン任せたぞ。後半33分、押せ押せムードの中、廣山選手がミドルシュートを放ちます。力強い良いシュートでしたが、コースが正面過ぎました。惜しかったよノンビ惜しかった♪。後半42分、攻勢ながら後一押しが足りないという少し停滞気味な空気の中、目の覚めるような松下選手のミドルシュートが炸裂します。ゴールまでおよそ20数メートルの、いわゆる「松ゾーン」から、力の乗った「波動球」がゴール目がけて唸りを上げます。よし、入った!、ドゴーン!豪球はしかし、ゴールポストを直撃。いやあ、惜しかったぃね。でもこれは良いプレーでした。マッつんいいよ。マッつん♪。後半44分、崔選手→佐藤選手に交代が行われ、そしてその直後に本日の観客数がメインスクリーンに映し出されると、場内から大歓声と拍手が沸き起こります。9325成る!(観客数9382人)。 あとは勝つのみ!後半44分、右サイドから御厨選手が上げたセンタリングのハイボールをエリア内で後藤選手がDFと競り、このこぼれ球に飛びこんだ前田選手が右足を振り抜き、GKの至近からシュートを放ちます。が、ここでもまたしても、GK・高原選手の好セーブに阻まれます。高原選手、降臨モードっぽいです^^;。前向きに攻め続ける草津の選手達。気迫がビンビン伝わってきます。しかし残された時間は多くはありませんでした。主審の笛と共にバタバタと地に臥せる両軍の選手達。
 いやぁ、撃ちも撃ったり草津のシュートは19本(札幌8本)。動員プロジェクトは成功し、めでたく累計50万人入場も果たし、大歓声で選手達を後押しできたし、選手達も大いに闘いました。ただ一つ、勝利のゴールだけが遠かった>_<。シビアな話をすれば、プロなんで、結果を求めて勝たねばなりません。が、先々のことを考えると、今日のドローは「内容的に」大いに評価して良いと思います。クラブ・サポーターが一丸となって取り組んできた「9325プロジェクト」が達成され、詰めかけた大観衆の前で敗戦という惨めな姿を晒すことなく、引き分けはしたものの、シュートを多く打つなどスリリングな試合展開でプロサッカーの醍醐味を味わうことが出来たと思います。こういう「姿」を魅せてゆくことが出来れば、初見のお客様をリピーターに変えてゆくことだって可能になるってもんです。僕らバクスタの住人にしてみても、闘志を露わにして戦う選手達を見ると、否応なく応援に拍車が掛かるというもので、つまり、「頑張れば良い方向に回り出す」、ってことです。もっと簡潔に言うと、「今日の試合は面白かった」。

 今日の試合を表す良い格言があります。上杉鷹山公の言葉です。

「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」

 「9325」は為し、成りました。次は全てのチカラを結集し、「草津GO!」の番ですよ!【ほーせん@高崎】



■ 2010年6月13日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第17節

水戸ホーリーホック 1−1 ザスパ草津

ケーズデンキスタジアム水戸 3138人

温度差

 4年に1度の祭りに、世界中が湧いています。遙か南半球では各国の代表が、誇りと威信を懸けて、情熱と野望を滾らせて熱い戦いを演じます。それはさておき、極東の島国の地方都市でも、誇りと威信を懸けた熱い戦いが幕を開けようとしています。今節は、今季前半戦の最終節にして、北関東ダービーの2ndレグ・対水戸戦(アウェイ)です。不本意極まりない戦績で16節までを終えた僕らにしてみれば、せめて前半最後の試合くらいはキッチリ勝って、かつダービーの覇権も引き寄せておきたいところです。勝利から遠退いてはいるものの、ここ2戦の戦いぶりには見るべきものがあり、復調の兆しを結果で支えることによって確固たるものにしたい、そんな大事な一戦でもあります。そして、そんなチームを後押しすべく、およそ150q(高崎〜水戸間)の距離を苦もなく駆けつける草津サポーターは300人前後。入場待機列は長く伸び、草津サポーターの熱い思いが伝わってきます。待機中に選手バスが到着すると、熱烈な歓声と拍手で出迎えます(このスタジアムはホーム・アウェイ双方のメイン側にバスゲートがあります)。引き締まった表情をした選手、にこやかにお辞儀をする選手など様々ですが、少なくともサポーターがいっぱい来ていて、その彼らがどんな思いでここに居るのかは伝わったはずです。
 個人的には初見参となるKsスタですが、改装直後のため非常に綺麗です(特にトイレが綺麗なのがGOOD)。メインスクリーンは大きくて動画像が綺麗に映し出されています(Ks提供なんですかね?)。難があるとすれば、両ゴール裏席(厳密には芝の緩斜面)。笠松の方が幅と段差があって見易かったかな。運営スタッフの方の対応はいずれも丁寧で、好感が持てました。あ、あとね、駐車場がたくさんあります、ここも(笑)。
 一通りスタジアムを眺めた後、スタグルの有名メニュー・ぐるぐるソーセージをむさぼりつつ、スタメンを確認します。GK:21・常澤選手、DF:18・御厨選手、4・田中選手、13・有薗選手、5・崔選手、DMF:10・廣山選手、30・松下選手、OMF:14・熊林選手、9・高田選手、FW:23・菊池選手、8・ラフィーニャ選手、リザーブメンバーGK:1・伊藤選手、DF:3・尾本選手、7・佐田選手、MF:6・櫻田選手、25・山田選手、FW:15・前田選手、19・後藤選手。スタメンは前節と同じです。最近の復調を底支えしているのは間違いなくSBの2人でしょう。特に御厨選手の攻守にわたる献身的な貢献は特筆すべきものがあります。中盤の構成で大きな役割を果たしてくれているのは、ボランチに位置を下げた廣山選手と、その相棒の松下選手です。ワントップで意外なほど上手に(失礼!)ポストプレーを披露してくれているラフィーニャ選手との間で上手いことギヤが噛み合えば、試合を優位に進められると思います。
 常陸国の梅雨曇天を払うようにラスハルが奏でられます。2010年J2リーグの前期最終戦、水戸戦の開幕です。前半6分、草津は右サイドからの速攻を仕掛けます。シュートは防がれましたが、これで流れ掴んで攻勢へ打って出ます。前半8分、ラフィーニャ選手のシュートはGK正面でした。前向きに攻め続ける草津に対して、水戸はやや受け身になっている様子。怖いのは隙を衝かれたカウンターのワンチャンスです。要注意。前半11分、御厨選手が今日もまず守備で良い働きをしてくれます。カウンターから大きなピンチになりそうなところでボール奪取に成功。相手の出鼻をくじきます。前半14分、ラフィーニャ選手の仕掛けた速攻カウンターからの攻撃が一転して、逆カウンター喰らいピンチへ。ここは水戸の拙攻に助けられましたが、こういうのが何回もあるようだと剣呑です。前半22分、前節同様、ラフィーニャ選手が前線でポストとなってためを作り、松下選手のシュートをお膳立てします。シュートは少し左へ外れましたが、この形は水戸の守備を引かせる意味でも重要です。前半26分、草津はCBのミスからボールを奪われ、単騎突破を許し、シュートを打たれます。ここは常澤選手のナイスセーブで凌ぎました。危ない危ない。気を付けようぜ。前半28分、カウンターから熊林選手のシュート気味のクロスは枠上へ。ここまでのところ、草津は攻守共に良好なリズムで試合をしているように見えます。ただ気は抜けません。前半30分、水戸は左サイドからのクロスからシュートまで持ってきます。またしても水戸側が外してくれましたが、あわや1点ものの場面でした。時々フリーにさせる場面が見えるんですが、マンマークなり、ゾーンなりの約束事があるんでしょうから、そこは集中切らさずにやって下さい。攻勢ながら時々抜けるのが気掛かりだなあ、ここらでガツンと楔を打てれば大勢を掴めるのになあ、などと思っていた前半34分、場面は草津の右CKです。キッカーの熊林選手はニアサイドにセンタリングを蹴り込みます。菊池選手が競り頭で中央へ流します。このボールの落着地点に居たのが御厨選手。慌てることなく眼前に口を開けているゴールマウスへ蹴り込み、草津先制。GOOOOOAL!!! この試合ファーストCKで効率良く1点を獲得しました。取るなら頭だと思っていたけど足でした、のミック、グッジョブ♪ これで完全に試合の主導権を握った草津は、その後も攻撃の手を緩めません。終了間際の前半44分には、崔選手から始まる右サイドの大展開から高田選手のミドルシュートを演出するなど、見せ場を作ります。いいねえ、今日は。選手とサポーターの間にも一体感があります。この感じを維持してゆこう。
 後半に入っても主導は草津です。後半1分、細かいパスを多数繋ぎシュートでフィニッシュ。あわやオウンゴールというビッグチャンスでした。雰囲気が良いときは守備でも良いプレーが飛び出してきます。後半3分、ゴール前に攻め込まれるも、GK・常澤選手が良く跳ね返し、すかさずラフィーニャ選手がカウンターへ打って出ます。惜しくも防がれましたが、機を見るに敏で大変宜しいです。ただやはり、万事上手くばかりはいきません。後半5分に自陣ペナルティエリア内でファールを取られて、水戸にPKを与えてしまいました。万事休すか。出来ることは信じることと祈ることだけ。トッキー頼む!祈り通じたか、なんと常澤選手、PKを防ぎます!常澤選手の良かったのはセービングだけではありません。直後のCKをキャッチすると、すかさずカウンターアタックへと繋ぎ、結果、相手陣内でFKを得ることができました。このFK(後半7分)、距離はおよそ20数m、キッカー松下選手の出番です。豪球は防がれるものの、キャッチはやはり出来ず、こぼれ球を狙っていた御厨選手が詰めて体ごと押し込みにかかります。しかしながら相手GKが防ぎきりました。いやあ、実に惜しかった。しかし、一連のプレーにおける各人の判断は良かったです。後半11分に菊池選手が見せたプレーは地味ですが素晴らしいものでした。菊池選手は相手DFと競りながらゴールライン沿いで粘りに粘り、結局CKを得ました。しつこく食い下がる姿勢は対戦相手にとってやりにくいだろうし、応援する僕らの心にも確かに響いてきます。草津の攻勢は続きます。後半12分、左タッチラインからのスローインボールをセットし、松下選手がミドルシュートを狙います。ちと枠から遠かったけんど、まぁ、前が空いたら撃つ、っつう姿勢は大事だぃね。一方的に押し込まれていた水戸の反攻は後半15分。水戸の右CKからの攻撃は実に苛烈でした。右へ左へ振られては何度もゴール前へ蹴り込まれるボール。もうダメか、もうダメかという息の詰まるような大混戦でしたが、草津は守った守った。この後水戸、草津共に選手交代を行い、水戸は事態の打開を、草津は現状の維持を図ります(後半17分、水戸:小池選手→遠藤選手、後半19分、草津:熊林選手→前田選手)。後半20分、水戸の右スローインの場面です。セカンドボールがニアに流れたところで水戸の選手がフリーシュートを放ちます。セットプレーで人間が敵味方多数密集する場面で、こうしてフリーマンを作り出し、見過ごすのが今季多過ぎです。そうして失った点、勝ち星のどれだけ多いことか。「この場面をしのげたので良かったね」、ではなく、こういう小さいけど重大な事こそもっと真剣に見つめて行かなくては、今後も厳しい立場から脱却することはかないませんよ。「良い仕事ほど細部に妥協しない」、これ、万国共通、全ての業種に共通の常識です。後半21分、草津は左ハーフエリアからのFKを得ました。このFKでは、松下選手のロングフィードによって右サイド深い地点に攻撃拠点を作ります。ただ中央へのセンタリングなりドリブル突破なりが出来ず、結局シュートまではもって行けませんでした。うん?攻撃へのタイミングが遅くなっているような…。見間違いではないですね。後半23分頃になると、草津の選手達に疲労の色が見えてきて、中盤が間延びして大きなスペースがたくさん出来てきます。この頃になると、水戸に大きな展開から振り回されて、ミドルながらフリーシュートを撃たせてしまったりします。精度を欠いたシュートに助けられましたが、何度も言うように、いつかは照準が合っちゃうかもしれないので、兎に角自由に撃たせちゃあダメです。って言ってるそばからまた撃たれたし(後半25分)。水戸は同点を目指して、やや性急とも思えるようなロングボールを多用した攻撃を繰り返してきます。それだけならば、やや引いて受け止めつついなせばいいと思うのですが、草津は、前線の選手達はあまり下がらず、ディフェンシブな選手達はそれに応じて引きこもることなく、さりとて守備意識の方がやや勝っているために若干後ろ向きな感じで対応しています。ここに中盤を飛ばしてDF裏へボールが蹴り込まれるために、守備陣の体勢はいよいよ「後半身」に拍車が掛かってしまっています。こうなるとお約束なのが「後追いファール」です。実際何個かやらかしましたが、それでもリードしているという心理的なアドバンテージが、辛うじて防壁構築の集中力を保たせてくれているようで、水戸に決定的な仕事をさせるまでには至りません。後半26分にリフレッシュを図るべく打たれた水戸の選手交代(中山選手→片山選手)が、後になってみると布石でしたね(→片山選手の名前は後でまた出てきます)。
 後半28分、今度は左から振られて中央に折り返されたセンタリングに守備が付ききれず、フリーでヘディングシュートを撃たれます。だ・か・ら、何度言えb(略。後半29分、草津は久々に中盤でボールが繋がり、綺麗な連携から水戸ゴールへ肉迫します。ただし、ペナルティエリアに踏み込む直前にガクッと進行速度が落ち、ボールをこねくり回し始めてしまいます。嗚呼、良くない時の悪癖が出てきましたよ。まあ、もっとも、前半から攻守にわたってよく走ってくれた前線の選手達なので、フォローが遅くなるのも致し方なしですが。ラフィーニャ選手なんか、腰に手を当ててゼーハー実に苦しそうです。監督、そろそろ手を打たないと穴が大きくなっちゃうよ。それでもラフィーニャ選手、健気にも攻撃の手を緩めません。後半30分、左サイドからの崩しが成功し、パスを受けたラフィーニャ選手はポストの姿勢から反転してシュートを撃ちました。GKの好セーブがなければ、という惜しい場面でした。ラフィの姿に涙が出ますよ。後半32分、草津の2枚目のカードは、しかし菊池選手→後藤選手の交代でした。攻撃姿勢が評価されたのはいいですが、ラフィ、哀れ。疲れてる、疲れてるよ…。後半36分、今度は右サイドからの構成です。ラストパスがラフィーニャ選手に通り、シュートを放ちます。軽くドライブが掛かったシュートは枠を捉えていましたが、GKにキャッチされました。ラフィーニャ選手に限らず、両軍とも相当の運動量でここまでの時間を走ってきましたので、その疲労度はかなりのものです。残りの時間は、気力で足を一歩出せるかどうかに懸かっていると言ってもいいでしょう。そう、これはダービーなんです。目の前に立ち塞がるのは、倒さなくてはいけない相手なんです。草津・水戸サポーターのボルテージは今や最高潮。もう一度言います。これはダービーです。そんな中迎えた後半41分、右CKの場面は、ある意味、今日の草津を象徴するシーンでした。草津の選択はショートコーナー→ホールドです。ええっと、時間はロスタイム入れると大体6〜8分くらいあると思うんですが…。僕の周りからも「早いよ!」の声多数。ですよね〜。いや、ベンチオーダーで、選手達の意識が統一されていれば別に構わないんですよ。なんですが、見ている限り、どうも前線と守備ラインの間の意識にズレが感じられるんです。攻守間に見え隠れする温度差ベンチの意図とダービーに対する思い入れの間の温度差。それらは、取りも直さずサポーターの思いとの温度差となって僕らの全身を包み込んできます。なんだよ、なんなんだよ、これは?僕は不参加でしたが、北関東ダービー1stレグ・栃木戦の様々なレポートや感想を、今ここで思い返す事態に遭遇しようとは!後半41分、草津は廣山選手→櫻田選手の交代で守備の意志を全面に押し出します。のはずです。ですがねぇ。なんか、「守ってる」というよりは「押し込められてる」感じしかしないんですよね。水戸はここぞとばかりにカサに掛かって火の出るような猛攻です。ダービーの意味を、重みを感じさせるのは、皮肉にも相手の形振り構わない勝利への執念からです。尖峰鋭く繰り出される槍衾に、見る間にはぎ取られる草津の甲冑。まあ、結果論ですが、予測できた結末でしたね。後半ロスタイム、水戸自陣からのロングボールを、前線に張っていた片山選手が、やはりパワープレーで残っていたCB・大和田選手へ向けて落とします。ここに走り込んだ大和田選手は、そりゃあラストチャンスなので迷わずシュートに打って出ます。ボールはGK・常澤選手の手をかいくぐり、左ゴールポストへ当たって反射し、そのまま反対側のゴールネットへと刺さりました。草津の勝利がするりと逃げていった瞬間でした。
 敵地にまで乗り込んで、もうほとんど勝ったと思っていたもんですから、そりゃあ、落胆もひとしおですよ。85分間は望中の展開でした。悔やまれるのは最終盤の戦い方(逃げ方の方が正しいかな)です。そして、またしても、試合のクロージングに課題を残しました。残しましたと書きましたが、いつから残ってるんだこの課題は。近くは広島戦、遠くは山形戦(いや、栃木戦@足利(2004)かな)が記憶にあります。いつまで残すんだこの課題。それよりももっと重大だと感じているのは、「ダービー」に対するチームの思い入れです。僕個人は、実はこの「なんとかダービー」って言うのはあまり好きではありません。大した歴史もないのに押し付けられるように冠されることに対して、どこかお役所的な、古くさいやり方を感じてしまうからです。ですが、興行的な意味合いからは大いに賛成です。で、賛成するからには乗せられて、乗っかって、大いに盛り上がっていこうとも思っています。こういった思いのサポーターは少なくないと思います。翻って、それを仕掛けた側のクラブチームはいかがか?先の栃木戦、今日の水戸戦。今一度問いましょうか。ダービーの戦い方はこれで良いのか?答えは残り2回のホーム戦で見させていただきます。
 ワールドカップの最中ですが、実はもう一つ大きな話題があります。7年前にこの星から飛び立った、わずか2m四方程度の大きさしかない小さな探査衛星が、延べ60億キロメートルを経て今日地球に還ってきます。名前を「はやぶさ」と言います。実績と報道の取り扱いとの間に大きな温度差を感じるトピックでもあります。死の淵から何度も蘇る姿から、いつしか「不死鳥」とも呼ばれるようになりました。この不死鳥を支えたのは、地球で管制を司るチームの、「あらめない努力」に他なりません。そりゃあもう、あきらめが悪いったらありゃしません(褒)。今日の水戸くらい(笑)。NASAの運用機なら最初のトラブルでギブアップものだったとも聞きます。このチームを率いるリーダーの川口教授はこう語っています。「当事者があきらめたら(他の誰も手が出せないので)、もうそこでお終いですから」。ダメだダメだと投げ出すことこそしはしないでしょうが、出来なかったことに対して執念深く対面し、追求し、克服しようとすることから目を逸らす、もっと手軽で良い方法があるかも知れないしと安易な妥協に走る、それらは全て、「あきらめた」ことと同じではありませんか?何が何でも勝つんだ!この思い一つで僕らは闘えるはずです。選手個々に技術差があったって、意識や意志は同じくすることが出来るはずです。試合最終盤で露呈した意思の不一致。このあとリーグは中断期間を迎えます。気にはなるでしょうが、今考えるのは、残り17試合が終わった後の順位や、周りから聞こえてくる雑音では決してないはずです。ここでまずすべきは、次の一戦を、みんなはどうしたいのか、ということだと思いますが、いかがでしょうか。
 まるで勝ち試合のように沸き返る水戸席と、対照的な温度差を見せる草津席を背にしてスタンドを去り、梅雨間の曇り空を仰ぎます。艱難辛苦を乗り越えて還り来る不死鳥を脳裏に描き、我と我がチームも斯様にありたいものだと思うのでした。【ほーせん@高崎】




前半戦終了
2勝4分10敗、勝点10、得失点差-14、19位、まさかの最下位・・・

・・・期待に反して、勝てぬ試合が続く

「こんなはずでは・・・」と募る焦燥、そして不信

ワールドカップで約一月の中断期間・・・

ザスパ再生なるか?



Special Thanks
ご寄稿、ご協力、画像のご提供あんがとね! (順不同)

ほーせん@高崎 様
あきべー@北毛 様
tsuchiy.com@桐生 様
さねやん@東京 様
ジルタ@月田 様
yosuie@中毛 様
「maison de kota」kota 様

製作協力:三束雨@藤岡


Copyright(c) 2004-2010
すずき@東毛

無断転載、複製公開はかたくお断りすらぃね!

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