摩訶不思議!? オーロラ伝搬

Aurora そのものは夜明けの女神の名前だそうです。一般に英語では northern lights、スウェーデン語では norrsken (同じく北の光の意味)と言います。アマチュア無線家は「CQ オーロラ」と言いますが、オーロラという呼び名を知っている人は、一般人では少数派のようです。スウェーデンで「オーロラを見てみたい」と言ったら、「何それ?」と聞かれたことがあります。



自然の神秘、オーロラ伝搬を体験する幸運に巡り会いました。
百読は一聞に如かず(?)。まずは、以下の録音ファイルをお聞き下さい。

(編註;録音ファイルはすべてMP3形式です.)

SSB


CW


無印:2002年4月17日録音 ★:2002年5月23日録音/
:2002年9月7日録音/■:2002年10月1日録音


音が歪んでいるのは、周波数がずれていたり、私の無線機が故障していたり、また、録音が悪いためではありません。実際にそう聞こえるのです。上手く表現できませんが、「どこにダイヤルを合わせても、ぴったりとゼロインできない感じ」と言えばよいのでしょうか。特にSSBで相手のコールサインをコピーするのは一苦労でした。 もちろん、最も聞き取りやすい周波数で録音しましたが、その周波数も時間とともに刻々と変化するため、録音しながらダイヤルを微調整しています。

周波数帯幅、音調

オーロラのカーテンを形成する荷電粒子は常に高速で動いているため、オーロラで電波が散乱される際にドップラー効果が生じて周波数帯幅が広がります(SSBで5-6kHz、CWで2-3kHz)。また、複数の伝搬経路で散乱された電波が受信点で互いに干渉するため音声が歪み、SSBでは「モガモガ」と、CWでは「ザーザー」と聞こえます。 ところが、荷電粒子の形成が進んでその密度がある程度以上に高くなると、オー ロラはまるでEスポのように電波を反射するようになります。これはオーロラE伝搬(Auroral E)と呼ばれ、通常のオーロラ散乱伝搬とは区別されています。オーロラ散乱からオーロラEへと変化するにつれて徐々にドップラー効果と音声の歪みが消え、最終的にはEスポのようにクリアーな音声となります。
(オーロラ散乱に関する記述はJE1BMJ日笠さんより、オーロラEに関する記述はSM7FJE Nilssonさんよりご教授頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。)

オーロラE伝搬(Auroral E)のAudio
いずれも2002年10月7日録音

QSB

オーロラ伝搬では、ごく弱いQSBしかなく、「フワッと浮いてきてQSOできた」とか、「谷に落ち込んでダメだった」という程の大きな変化は感じませんでした。

パスの地域差

オーロラ伝搬に関しても、地域による入感の差があり、OZにパスがあっても、SM7では何も聞こえない日もあり、また、LA-SM, LA-GWで QSOしていても、SM-GWにはパスがないこともありました。

パスの移動

私が初めてオーロラ伝搬に遭遇した2002.04.17には、時間とともに最も強く聞こ えてくる地域が少しずつ移動して行きました。東のOH, ESから始まり、SP, DLを経て、西のPA, ONへと最も強く入感する地域が移動しても、他の地域が全く聞こえなくなって しまうことはありませんでした。ところが、2002.09.07以降に経験したオーロラ伝搬では、時間とともに入感する範囲がめまぐるしく、かつ不規則に変化し、次にどこが 聞こえてくるのか全く予想がつきませんでした。

オーロラ伝搬の南限

私が聞いた範囲では、JO20が最も南(北緯50度)のロケーターで、それより南の局は一度も聞いたことがありません。しかし、Web Clusterによれば、2002.10.01の大オープンの際は、JN86(北緯46度)でもオーロラ伝搬によるシグナルが受信できたそうです。

QSO方法

録音を聞いて頂ければおわかりのように、SSBは非常に聞き取りにくく、どの局もコールサインとロケーターはゆっくりと数回繰り返し、 レポートは「55 Aurora」と送っています。CWの方が了解度が良いためか、SSBよりも多くの局がQRVしていました。CWのRSTのT(Tone)はどうなるのだろうと疑問に思いましたが、「55A」と送っています。 「A」は、オーロラ伝搬による歪みがあることを示しているようです。

144MHzMHz以上でのオーロラ伝搬

理論的には、周波数が高くなるほどオーロラ伝搬は困難となり、50 MHz -> 144 MHz -> 432 MHz -> 1200 MHzとバンドがひとつ上がるにつれ、そのシグナルは約10dB弱 くなります。ところが、実際には、50MHzでオーロラ伝搬が確認できない場合でも、 144MHzではオーロラ伝搬による交信が行われていることがあり、また、144MHzの方がシグナルが強いということも経験しました。これは、(1)144MHzにQRVする局の方が多く、限局したパスでもその存在に気付くチャンスが大きい、(2)免許制度上 144 MHzの方が高い送信電力が許可されており、かつ、より高利得のアンテナを使う ことができるため、結果として強いシグナルを得やすい、という理由によるものではないかと推察されます。
(この項目を記述するにあたり、OH5LK Liukkonenさんよ り貴重なご助言を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。)

(参考)2mでのオーロラ伝搬



 50MHzでの「オーロラ伝搬」が、実際の音声がWeb上で公開されるのは、JA初でないかと思います.(山崎先生、貴重な記録をありがとうございました.
 そういえばアマチュア無線が大きく鍵を握る映画「オーロラの彼方へ(FREQUENCY)」も、なかなかおもしろい映画でしたね.目の前のオーロラというのはさぞかし神秘的でしょうね.一度この目で見て、オーロラ伝搬を体験してみたいです.  
de JN1BPM 鈴木

2002年4月25日作成
同年9月7日/10月22日改訂

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Tomio YAMAZAKI, M.D.(SM7XQZ esJG2GSY) & Hideki SUZUKI, M.D.(JN1BPM) ,2002

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