- Chapter 2 - Ready to Launch!

低軌道衛星との邂逅

 春の6mDXの真っ盛りの時期に発売された2000年4月号のCQ誌に、7L1FPU中田さんの「SO-35」の記事が出ていました.そこには南アフリカの大学が打ち上げた「SO-35」なる「FMレピータ衛星」があり、ダウンリンクも超強力!と書いてありました.しかしこれまでの私のアマチュア衛星の先入観といえば、「信号が弱く、プリアンプと仰角ローテータが必要」ということ.しかし私はだまされたつもりで、3月下旬、アパートの駐車場でC501片手に、トランスポンダがONになる時間帯をJAMSATのHPで調べて145.825MHzを受信してみました.なんと!強い!これが衛星からの電波とは!びっくり仰天!私はわくわくしながら、交信を聴きました.しかしアップリンク用のまともな設備を持っていないので、アップリンクを試すことはできませんでした.「受信はできてもきっと衛星のアップリンクはそうは簡単にできないよな.しかも新居がまもなく完成するので、いたずらに無線道具も増やすと引越しの時面倒くさいしな・・・・」とあっけなくあきらめてしまいました.


衛星通信成功す!

 6月に念願の新居に引っ越ししましたが、タワーのお金は捻出できませんでした.衛星のことも忘れ秋になり再び6mDXを追いかけていると、今年は運が悪いのか私が聞く日に限って、まったくDXが聞こえず、聞けない日にはビッグオープンするというめぐり合わせでまったく6mDXCCなどできそうにない雰囲気.しかも無線のことがわからない妻には、幼児2名をほったらかしにして無線に熱中するに夫は、やはりちょっとむっとするようです(笑).私もあまりの6mのツキのなさに本当にあきれていました.そこにAO-40打ち上げ成功のニュースが報じられました.「そうか衛星ならあらかじめ「開く」時間がわかるし、家族とのマッチングもうまくいくな」と考えていたところ、タイムリーにまたまたCQ誌に中田さんの記事が載りました.「うーん、サイクルのボトムはサテライトをやってみよう!」と単純に感化された私は、中田さんの記事に紹介されていた7K4IIN中島さんのHPを見てみると、驚くほど簡単な設備で低軌道衛星にはアクセスできるらしいことがわかりました.こちらも「なんだ!これならできるかもしれないな!」と思いたち、中島さんにe-mailを出すと丁寧な返事をいただきました.いったんやる気になると、ハマリ症の性格ゆえ、退路を断つ意味でも(笑)中島さんと中田さんのHPの掲示板に「衛星に挑戦します!」と宣言しました.144MHzはハンディしかないので、挑戦するのは、430モービル機を送信に使え、ダウンリンクのドップラシフトも気にならないというモードBのSO-35に決めました!

▲SO-35による7L1FPUのQSLカード
1stサテライトQSO!
 12月2日(土曜日)桐生市某所に移動して待ち構えると、SO-35のダウンリンクは強力に各局の声が聴こえます.しかしアップリンクはなかなか通らない!あきらめかけた時、LOS直前に、7L1FPUを呼んでみると自分の声と「JN1BPM!59!」の声が、144から聴こえてきました!うーん、感動!JA4GVAからも呼ばれ交信.

 こうしてアマチュア無線衛星初体験は感動の連続でした.しかも初挑戦でいきなりの交信成功とは!無線と衛星という20世紀の人類の生んだ叡智による宇宙との邂逅.しかもこんな無線機でも「宇宙のやまびこ」が体験できるとは・・・・!大学院時代の、静止衛星との交信とはひと味違う、「誰と交信できるかわからない.」それがアマチュア無線の魅力です.安定した静止衛星回線も良いのですが、不安定な回線が私には向いているのかも・・・・

ドプラシフト初体験!

 中田さんや、中島さんの掲示板で「できました!」と書いたら、各局からお祝いの言葉をいただきました.「次はUO-14で挑戦されては?」と書かれていましたが.でもUO-14は、モードJだから送信機がハンディしかないし、アンテナもないなぁ.と思っていたところタイミングよく、12月9日近所の無線屋さんでダイヤモンドの2m5エレ八木が特売されていたので購入.JF6BCC今石さんは、ハンディでもUO-14に出られているとのことだったので、普段はパケットクラスタを受信していたTH-D7(4W)を使用して、アップリンクに挑戦してみることにしました.


▲昼間の運用風景
(夜もこんな感じです)
ローテータがないので運転席側でuplink用の2m5エレ八木を回転.
受信はモービルホイップ
あるいは8エレ八木

 さっそく自宅の庭に、5エレを水平偏波で設置.430の受信は、1m弱のモービルホイップで行ってみました.(ただ衛星が来る時間まで時間がなかったのと、外で作業をするのが寒くて横着したからという単純な理由でしたが.

 で、・・・聴いてみると、ダウンリンクは435.07のはずですが、ドプラシフトのためか435.075で聴こえてきます!おー!モービルホイップでも聴こえるし、なんと周波数が変わっていく!!これがドプラか!!と、感動.(これまで経験した静止衛星ではドプラシフトがない.)試しに、手回しでアンテナの向きを変えながら、TH-D7のPTTを押したら、あっけなくループテストに成功!あれれ?と思ってCQを出してみたら、JH0TOG,JF6BCCとあっけなく交信に成功.予想もしない「あっけなさ」が続く.わずか4Wしかでないのにうまくいくもんだなぁ.しかも時間との勝負でなかなかスリリング!星のきれいな寒い冬の空でしたが、宇宙からの熱いロマンの感じられる空でした.



海外交信にチャレンジ!

VR2XMT (exVS6XMT)のQSL
衛星&6mでとてもアクティブ

 調子に乗った私は、今度は海外局との交信を試み、以前から6mでの知り合いの香港のVR2XMT Charlieに、「衛星を始めたから、ぜひUO-14で交信して!」と12月11日の午前中にe-mailを出し、その日の夜にスケジュールを組みました.いつものごとく交信前に、設備を組み立てたのですが、この日は上州名物「空っ風」をあまく見て、ちょっと手を抜いたら、なんとかドプラと戦いながらCharlieとの交信は果たせたものの、交信直後に風で2m5エレが倒れて、エレメントが見事に曲がってしまいました.(笑)簡便なアンテナと4Wハンディで、あっけなく海外とも交信できました.空には20世紀最後の満月.この夜の出来事は、忘れられない思い出になることでしょう.Charlieは律儀にダイレクトでQSLを送ってくださいました.それが左です.

 12月16日にはSO-35で、中田さんの運用するKH0XXとも交信できました.QRMが多くて大変でしたが、簡単な設備でも、外国に飛んで行くのですね.

SO-35、昇天!

 21世紀最初の交信もUO-14のサテライトQSOでした.6mは冬で死んでおり、UO-14を中心に衛星を楽しんでおりました.1月になってSO-35のアマチュア無線の運用がなくなり心配していたところ、2月1日付けで管制局から「1月19日に制御不能になった」旨の悲しい知らせが全世界に伝わりました.私の宇宙への縁を取り持ってくれた衛星はわずか1月あまりのお付き合いで、地球を回る墓標になってしまったのです.ショックでした.FMレピータ衛星という新たなスタンダードを生んで世界の人々を宇宙へ魅了したこの衛星に大いに感謝したいと思います.現状のFMレピータ衛星はUO-14,AO-27になってしまいました.大切に使いたいものです.1月24日には、UO-14でハバロフスクのUA0CAと交信できました.アジアやオセアニア北部とならば、交信が可能のようです.

 FM衛星の交信可能時間は、時間にしてわずが10分間.誰が言ったか「濃密な10分間」という表現がぴったりです.それにしてもフィリピンや日本のトラッカーの混信はなんとかならないものでしょうか・・・・

第3章 新星 へ