「医療人のための群馬弁講座」特講





第1〜21節

生れ出づる悩み










■ 2013年3月3日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第1節

水戸ホーリーホック 1−1 ザスパクサツ群馬

ケーズテンキスタジアム水戸 5537人

若さが裏目に

 いよいよJ2の2013シーズンが開幕。今シーズンからチーム名も変更になり、首脳陣、選手も大幅に入れ替わって新たなスタートとなったザスパクサツ群馬。初戦はアウェイ水戸で水戸ホーリーホックと。気合の入る北関東ダービー、秋葉監督としては、いきなり昨年ヘッドコーチを努めた思い入れのある古巣との対戦となった。  ケーズデンキスタジアム水戸は曇天模様、15:30のキックオフということもあり、すでに肌寒くなり始めているが、開始30分前に入場したときには、すでに新シーズンのスタートを待ち望んだサポーターの熱気がスタジアム内に充満していた。
 ザスパのスターティングメンバーは、先日のPSM東京戦とほぼ同じ。GK内藤、3バック中村、増田、乾。ボランチに加藤と黄誠秀、右SHに夛田、左に小柳、そしてワントップにエース平繁・・・と思ったら、平繁の名前がベンチにすらない。代わりに青木がトップに入り、シャドーには小林と横山が入った。後に腰痛で出場を控えたことがわかったが、少々不安を感じる新生ザスパの船出となってしまった。
 水戸は神戸から近藤、横浜FCから難波などを補強し、前線には鈴木隆行も健在。ここ数年水戸との分が悪く、特にアウェイではまったく勝てていない状況。生まれ変わった今年こそ、との思いがある。数百人は詰め掛けたザスパサポーターのボルテージも一層上がり、キックオフとなった。
 序盤から今シーズンのザスパの特徴でもある前線からの積極的なプレスが効き、水戸にボールを回させない。連動してボールホルダーにチェックに行き、複数人で囲んで奪取する。そこからサイドに展開し、何度か相手ゴール近くまで攻め入ることができている。ファーストシュートはSHの小柳。昨年はSBでどちらかというとディフェンスの割合が多かった彼がシュートを打っていることからも、今年は厚みのある攻撃ができていることがわかる。戸惑った水戸がシステムをツートップに変更すると、ザスパもそれに呼応して4バックに。相手の柱谷監督や選手のことをよく知っている秋葉監督が、うまく長所を消していたことで、ザスパ優位のままで試合が進む結果となっていた。
 そんな中、20分過ぎに水戸の選手がDFラインから不用意に送ったパスを小林がカットし、素早く青木に渡す。左サイドからドリブルでPA内に切れ込んだ青木がDFと交錯しながらもシュートを放ち、逆サイドのポストギリギリにボールが吸い込まれ、GOOOOOAL!!! 今シーズン初ゴール、記念すべきザスパクサツ群馬としての初ゴールは、青木の左足から生まれた。
 しかし、そのプレーで青木が足を負傷し、早々に遠藤と交代。流れが変わってしまうのではないかと心配されたが、遠藤も持ち前の豊富な運動量でアクションサッカーを継続し、ザスパペースのまま前半を終了。今年は開幕から意思統一された戦術で戦うことができている。攻守の切り替えの早いサッカーは、選手が躍動し、観ている側にもそれが伝わってくる。
 後半開始、双方メンバー交代はなし。先制され、点を取らなければいけない水戸が前に出てくる。中盤での圧力と、ザスパDF裏へのロングボールを織り交ぜ、徐々にペースを掴んでいく。前半はコンパクトな陣形からのプレスで水戸にボールを回させなかったザスパだが、裏へのボールへのケアとスタミナの問題からか、選手間の距離が遠くなり、ボールも繋がりにくくなってくる。その流れから水戸難波が裏に抜け出し、決定機を迎えるが、内藤がきっちりセーブし、点は与えない。ザスパは守備のときはFWも含めて全員が自陣に戻り、なんとか水際で耐え、流れを取り戻そうとする。そうしている間にも時間は経過し、いよいよ残すはアディショナルタイムのみ。双方死力を尽くし戦う中、足が攣った水戸DFが拾えなかったルーズボールに小林が追いつき、左サイドを一気に駆け上がる。中央には後半途中から横山に替えて入ったルーキー野崎。Jデビュー戦で決定的なチャンスを迎えたが、小林の折り返しとのタイミングがほんの少しずれ、ベテランGK本間のセーブに遭い、惜しくも得点ならず。肝を冷やした水戸だが、開幕戦ホームに詰め掛けたサポーターの声援に応えるように、最後までザスパゴールに迫り、もう残り1分もないのではないかという中、セットプレーを獲得。ここを無事終わらせれば、ザスパにとっては、ケーズデンキスタジアムでの初勝利、開幕戦から勝ち点3獲得という理想の展開になったのだが・・・。
 サッカーは最後の1秒まで結果がわからない。水戸島田が入れたボールに橋本が難しい体勢からシュート、内藤が目いっぱい伸ばした右手のほんの少し上を通過したボールは、無情にもゴールに吸い込まれた。1-1のドロー。あとほんの少しのことろで勝ちを逃したザスパと、ギリギリのところで勝ち点を拾った水戸。同じ引き分けでも両チームの選手、サポーターはまったく逆の表情をしている。チームが成長段階の開幕戦、お互いの持ち味と意地のぶつかり合いとなった北関東ダービー緒戦は、両者痛み分けとなった。
 最後の最後で若さが裏目に出たザスパ。時間の使い方によっては、そのままリードした状態で試合を終わらせることができたかもしれない。しかし、今年の選手達には試合を経験することでの成長を感じる。勝ち点2という授業料が高かったのか、安かったのか。それは今後の戦い方で決まってくるだろう。【yosuie@中毛】




■ 2013年3月10日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第2節

ザスパクサツ群馬 0−0 ガイナーレ鳥取

正田醤油スタジアム群馬 3635人

グンマ過ぎる

 高崎の自宅を出た時点では暑いくらいの晴天でした(雨具も防寒具もイラナイイラナイ)。敷島に着いた11時でも、風は強いながらも晴れていました。それにしても、この強風・砂塵の中でも野球をする群馬の少年達よ、たくましいな。
 スタジアムに着いてまずしたことと言えば、1.オーセンティックユニの受け取り(おぉ、生地は薄くて夏向きだぃな。)、2.イヤーブック購入(年々小さくなちゃって…(´・ω・`))、3.新Lフラッグ購入(チームロゴでかっ!エンブレム…(´・ω・`))、4.鳥めし購入(相手が鳥取なのでね)、こんな感じです。
 バックスタンドに入って定位置へ着き、鳥めしをむぐむぐと掻き込みながらピッチを見渡します。あれ?なんか広く感じるな。ちょっと考えて気が付きました。アドボードが一個もありません。遂にスポンサーが…、ではなくて、強風を考慮して撤去されたとのことでした。僕の観戦歴でも前例のない事態です。メインポールを見れば、旗は掲揚されていますが物凄い勢いでしなっています(ちなみに、半旗にされた旗はその後撤去されました…)。視線をそのまま照明塔へ移すと、これもまた見たことのない振れ幅で揺れてますよ。アウェイ側のベンチボックスまでもが強風に煽られて転倒するなど、「試合できんの?」な状況です。選手ピッチアップ開始の辺りから灰色の雲が全天を覆い尽くし、北風はいよいよ勢いを増してきて、ついには雨まで降り出す有様(後には雪までチラチラしてきましたが…)。それでも、天候はどうあれ、待ちに待ったホーム開幕戦の高揚感はいつも通りでドキドキワクワク。「自分達の」と言えるチームがあるのは、いやはや幸せだいねぇ。
 それでは、敷島初登場となる新生ザスパクサツ群馬のオープニングメンバーを確認しましょう。GK:1・内藤圭佑選手、DF:5・中村英之選手、24・乾大知選手、29・夛田凌輔選手(NEW)、4・小柳達司選手、MF:18・加藤弘堅選手(NEW)、19・黄誠秀選手(NEW)、25・坂井洋平選手(NEW)、FW:7・青木孝太選手(NEW)、10・平繁龍一選手(NEW)、11・小林竜樹選手、リザーブメンバー・GK:22・北一真選手、DF:13・有薗真吾選手、17・星野悟選手、26・黄大俊選手(NEW)、30・増田繁人選手(NEW)、MF:14・横山翔平選手、FW:8・遠藤敬佑選手、率いるは、秋葉忠宏監督(NEW)。遂にベールを脱ぐ2013仕様のチーム群馬。リエゾン−ザスパと繋いできた物語はここから新章へ入ります。今季の基本戦術は、3バック2ボランチの3トップないし1トップ2シャドーのようです(形式的には3-4-2-1)。注目は、前節お休みした新キャプテンにしてゴール量産の期待が掛かる平繁選手です。うちもそうですが、鳥取にも新加入のブラジル人が居ます。が、双方共にベンチ入りすらしていません。この辺りの新戦力を早目にチームの血肉として活かせるようになるか。今後の趨勢を左右するポイントかも知れません。
 さて、荒れまくるお天気の下、ホーム開幕の時刻は迫ります。コイントスの結果、やはりと言うべきか、鳥取が風上を選択しました。う〜む、残念。相手より(ほんのちっとんべぇだけんど)強風事情を知る身としては、相手がボールの挙動を把握する前に風上からボールをねじ込んじまって、後半はガッチリ専守防衛を決め込みたい希望だったんだがなぁ。まあ、しゃあなしだな。群馬のキックオフでスタートした試合は、すぐに鳥取の攻勢へ移行します。分かり易い、とっても分かり易いよ鳥取さん。もうね、バンバン蹴り込んできます。ちょっと浮かせたハイボールが、風に乗って「なんちゃってロングシュート」に化けたりする勢いです。前半は完全に割り切って、完全防御&セーフティプレー、これで凌ぎましょう。GK・内藤選手のゴールキックは、ことごとく風に押し戻されて自陣方向へ落ちてきます。そもそもセットプレーのボールがじっとしていません。ゴールキックの度に主審が手を挙げて「時計止めてるよ〜」のアピールをする位時間が掛かります。ボールが止まらないのを逆手に取って、鳥取が意表を衝いたショートコーナーを蹴ってきたのには、思わず「上手い!」とうなりました。風下に立つ群馬は、それでもボールを相手陣内に持ち込むシーンを作り出します。ただ、ハイボールどころか、ドリブルさえも風の影響を受けてしまってコントロール困難な状態のようで、風下からシュートを打つのは至難の業です。前半終了間際に右タッチ沿いで得たFKのチャンスが、前半最大の山場です。坂井選手が左足でペナルティエリア内に蹴り込んだボールは、ニアサイドに殺到する敵味方のせめぎ合いで一端リフレクト。ボールがこぼれた先に居た小柳選手、弾むボールに右足を合わせてボレーシュートを発射します。対角線ファー側のゴールマウス目掛けて転がったボールは、ほんの少し逸れてゴールには入りませんでした。いや〜、惜しかった。
 後半は風上からの攻撃となりますが、前半の殺人的な烈風がやや勢いを弱めてきています(やっぱりそうなるか)。でも風上には違いないので、ここは一つ前半の意趣返しと行きましょう。後半4分、ショートカウンターからドリブルで攻め込む平繁選手、走る勢いと風に乗せてミドルシュートを放ちます。低く抑えた弾道の強いシュートでしたが、鳥取のGK・杉本選手が上手に抱え込んでキャッチしました。しかしながら、見せ場はこれ位で、その後はボールの奪い合いに終始し、そのまま試合終了となります。
 今日の試合は、スタッツが風の影響を如実に表していてなかなかに面白い。シュート数は群馬(前半1、後半2)鳥取(同5、0)、ゴールキックは群馬(12、2)鳥取(1、11)となっています。両チームとも風上からの攻撃では長いボールを蹴り込んでいるものの、コントロールしきれずにゴールラインを割る場面が多かったことが、このゴールキックの回数に表れています。ただ、風上からのシュート数において、鳥取の5本に対して群馬の2本は物足りませんね。まあ、今日の試合に関しては、サッカーにならない程の荒天だったので、戦術等についての評価はノーカンです。ただし、一つだけ厳しいことを言わせて頂くと、風上の後半には、アクシデントも考慮した縦ポン戦術やロングシュートをくどい位に繰り出しても良かったんじゃあないかと(まぐれゴールでも得点です)。
 新生の年、飛躍の足掛かりとしたかったホーム開幕戦ですが、風神様の御臨席を賜った結果、双方ほとんど何もできないままのドローとなりました。そりゃぁ勝ちたかったですよ?でも、まあ、今日の所はこんなもんでしょ。事故や怪我がなかっただけでも良しとしましょう。収穫、と言うか、今年のチームが何をしたいか、って事は朧気ながらも垣間見えました。ボールを繋ぐ意識を持ちつつ目まぐるしく人も動くムービングフットボール、これがAKB方程式の解と見ました。2枚のボランチの役割分担と守備負担、両ワイドに張る選手の攻守における大きな運動量と精緻なラストパス、シャドーの連携とゴール至近でのパフォーマンス、ワントップの決定力。これらが今年のキーワードであり、それを底支えする基礎体力が不可欠だと思われます(「乳酸祭り」はおふざけではないのだなぁ)。
 今日のMIPはと問われれば、まあ満場一致で「地元民である我々でさえ怯む程の暴風!」でしょう。いかにも群馬らしい?いえいえ、グンマ過ぎますって^^;。【ほーせん@高崎】



■ 2013年3月17日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第3節

FC岐阜 0-0 ザスパクサツ群馬

岐阜メモリアルセンター長良川競技場 2510人

後半はシュート0本

 ゴールまでが遠かった。先制点の欲しかったザスパだったが、前線からのプレスに手を焼き、逆に岐阜の分厚い攻撃を受けてしまう。前半、相手シュート7本に対し、ザスパは2本決め手を欠いた。
 後半は徐々にザスパが細かいパス交換からゴール前まで迫るも、シュートまでは行けず。結局後半はシュート0本でスコアレスドローに終わった。(3月18日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年3月20日(水・祝) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第4節

ザスパクサツ群馬 1−0 横浜FC

正田醤油スタジアム群馬 3190人

たくさんの初・勝利

 全国的に黄砂が降る曇天なお彼岸中日。ここ敷島も曇り空ですが、先日のそれとは打って変わって、暖かく風もごく微かなものです。園内で一番に咲くしだれ桜は八分咲きといったところで、ソメイヨシノはまだ蕾のままです。我がチームもひと花咲く前の蕾と言った状況で、低調なアウェイ戦から中二日、果たしてどこまで戦力を上げられたか。
 それでは、本日のスターティングメンバーを確認しましょう。GK:1・内藤選手、DF:4・小柳選手、5・中村選手、24・乾選手、29・夛田選手、MF:7・青木選手、11・小林選手、18・加藤選手、19・黄誠秀選手、FW:10・平繁選手、15・エデル選手、リザーブメンバー・GK:22・北選手、DF:17・星野選手、28・瀬川選手、30・増田選手、MF:14・横山選手、25・坂井選手、FW:20・野崎選手。スタメンには、遂にエデル選手が起用されました。シーズン早い時期のブラジル人選手は、生活環境に馴染むのに時間が掛かるせいもあってか、本来の実力がなかなか発揮できず、チームへのフィットにも時間が掛かりがちです。なので、今日先発するエデル選手がどこまでのパフォーマンスをしてくれるのかについては、大きな期待と言うよりも、タイプとポテンシャルについての収穫があれば上々だと思ってます(ついでに言うと、変態的なうねうねしたプレーで楽しませてくれても可ですが^^)。メンバーを見ると、どうやらシステムを弄ってくるようで、平繁選手のワントップないしエデル選手との2トップが予想されます(形式的には4-2-3-1ないし4-4-2)。対する横浜の陣容は重厚です。動きが良くて勘所の冴えている田原選手へタイミングの良いボールが配球されたら一大事です。そしてそのパスを出すのが松下選手となるでしょう。分かっているだけに、十分なケアをして頂きたい。
 前半は群馬のキックオフで試合開始です。前半4分、ファーストアタックは横浜・松下選手のミドルシュートです。隙間が見えたらぶっ放す姿勢は相変わらずですな。対する群馬は前半5分、ショートカウンターから小林選手のミドルショットで応戦です。序盤は双方譲らぬガップリ四つ組みな感じです。こうした展開で均衡が崩れるのは、往々にしてちょっとしたミスからというのが定番です。前半15分、群馬は自陣での守備においてDFがボールを持ち過ぎた上、相手に奪われるというピンチ。そのまま横浜・田原選手にシュートを打たれますが、ここは打ち損なったため助かりました。危ねぇなぁ…。と思った直後の前半16分、またもDFのミスからボールを奪われて田原選手のカウンター突破を許してしまいます。田原選手からのスルーパスを受けた野崎選手のシュートをGK・内藤選手が好セーブでしっかりキャッチして事なきを得ましたが、4バックの守備に一抹の不安を覚えます。嫌な流れになりそうな所でしたが、ここでキャプテンが奮起します。前半19分、横浜エリア中央付近から加藤選手が右サイドを駆け上がる夛田選手へパスを送る所から始まる攻撃です。ドリブルでペナルティエリアまで走り込んだ夛田選手、前方を横浜DFに塞がれた段階で素早くセンタリングを蹴り込みます。センタリングが上げられた時点で、ゴール前には4人の相手DFとその間に割って入った3人、ファー・エデル選手、中央・平繁選手、ニア・青木選手が居ます。このうち、中央の平繁選手がDFラインを抜け出してダイビング。頭でジャストミートしたボールはそのまま横浜ゴールへと突き刺さります。GOOOOOAL!!! このまま一気に流れを引き寄せてしまいたい所ですが、横浜の攻勢が強まります。先制直後の前半21分には、カウンターからピンチを迎えますが、突っ込んでくる田原選手のシュートコースを狭めるように飛び出したGK・内藤選手の好判断でシュートを外させました。前半29分には、GK・内藤選手が佐藤選手の強烈なミドルシュートを一端は弾きながらも押さえる好セーブを見せます。内藤選手、今日はなんか凄いスイッチ入ってる?前半は1点リードを保って終了。
 ハーフタイムに横浜・青木(翔)選手→高地選手、群馬・加藤選手→坂井選手の交代がありました。若い青木選手に替わって高地選手ですか。怖い選手ですねぇ。群馬サイドの交代は、負傷や不調などではなく、予定交代のように見えます。そして後半開始です。後半5分、エデル選手がカウンターからDFラインを突破、シュートを放ちますが、枠左へ外します。ペースを掴むためにはまず攻勢を掛けることです。外れシュートでもメンタルプレッシャーにはなります。バンバン打つべし。しかし、試合は後半開始早々に予期せぬ大きな転機を迎えます。後半13分、黄選手に本日2枚目のイエローカードが提示され、嗚呼、なんたることか合わせレッドで退場となってしまいました。残り32分+αを、10人で闘うことになりました。これはピ〜ンチ。数的優位を見て横浜の山口監督が即座に動きます。後半15分、前線に高さのある大久保選手を入れ、田原選手とのツインタワーを形成します。これを受けて群馬・秋葉監督も選手交代を行います(後半15分)。トップのエデル選手を外して、ディフェンスラインに高さのある増田選手を投入。黄選手の抜けたボランチの一角に中村選手を充てました。両軍の交代戦術は、結果として群馬側が勝りました。ロングボールやセンタリングを中央のターゲット目掛けて放り込んでくる横浜の作戦でしたが、時間の経過と共にその精度を欠き、これが通れば、と言う場面をたくさんフイにします。それでも数的不利から来る群馬側の劣勢は覆いようがなく、幾度となく危ない場面を迎えます。が、今日のGK・内藤選手は文字通り神憑っていました。後半33分、42分、ロスタイムと好セーブを連発し、チームの危機を救います。そしてホイッスル一声。…逃げ切った。か、勝った〜!凄く久しぶりの勝ち戦、素直に嬉しいです^^。
 ホーム戦で勝利!今季初勝利!ザスパクサツ群馬として初勝利!秋葉監督も初勝利!ついでにJ2ホーム通算50勝! 「ホームスタジアムの改修計画が発表された直後の試合で無残な姿を晒すことなく」、なんて言う後ろ向きな印象ではなく、「劣勢の中で勝利を掴み取った」ことにこそ意義があります。
 残念なことと言えば、退場者が出たためにエデル選手が後半早い時間に交代を余儀なくされたことです(もっと見たかった)。先に書きましたが、今日はエデル選手のプレースタイルを知ることが肝要でした。結果、@柔軟な体捌き、Aそれを十分に活かした丁寧で確実なトラップ、Bさらにボールキープ、これらについて秀でていることが分かりました。重要なのは、2トップの相棒となる選手(多くの場合は平繁選手となるでしょう)とタイプが被らないこと。特に平繁選手のような典型的なストライカーと組む場合、ゴール前へ二人して走り込んだりボールが来るのを待っていたりしては攻撃パターンが単調になる上チャンスそのものが作りにくくなってしまいます。その点において、エデル選手はアタッキングサードでのボールコントロールとキープ力が高そうなので、トップの平繁選手だけでなく、シャドーの青木選手や小林選手、ハーフやボランチの選手達がシュート出来る時間とスペースを生んでくれるかも知れません。こう書いていて、実は過去に居たある選手のことを脳裏に描いていました。廣山選手です。チーム史の中でも、前線でこうした「溜め」が作れる選手って、実はそう多くなかったんだと言うことに気づき、エデル選手のスペックは相当高いのでは、などと妄走を膨らませたりもします。まあ、楽しみが増えました。
 最後まで足を止めず、集中力を切らさずに闘ってくれた選手達。終始声を集め選手達を鼓舞し続けたサポーター。少しばかり、いや、なっから泥臭い勝利だけんど、それでいい。生まれたばかりのこのチームは、試行錯誤と反省と収穫を繰り返しながら、それでも成長してくれるでしょう。僕らは、その泥と汗にまみれた姿を見届けて行くんだ。【ほーせん@高崎】




■ 2013年3月24日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第5節

ヴィッセル神戸 4−1 ザスパクサツ群馬

ノエビアスタジアム 6594人

個の差が如実に

 ザスパは相手の個人技に苦しんだ。前半は9分にFW青木のミドルシュートで先制したが、直後の10分にCKからフリーでヘディングを許して失点。押し込まれる展開が続き、32分には追加点を許した。中盤でボールを握っても、敵陣深くまで攻め込む場面が少なかった。
 後半も守勢に回り、流れを変えようと投入された交代選手も機能せず。22分に右サイドのDF星野が突破されてリードを広げられると、40分にはGK内藤のパスミスからダメ押しの4点目を決められた。(3月25日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年3月31日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第6節

栃木SC 3−0 ザスパクサツ群馬

栃木県グリーンスタジアム 3030人

チームとしての完成度の違い

 2013シーズン開幕から6戦目にして、早くもアウェイ北関東ダービー2戦目。グリーンスタジアムに乗り込んでの栃木SC戦は、雨の予報にも関わらず、多くのザスパサポーターが詰め掛けた。ゴール裏の人数としては、ホームの栃木と遜色ないくらい。松田体制5年目でJ1昇格を強く意識した補強をしたが、ここまで本調子ではない栃木と、前節神戸に力負けを喫したザスパ。負けられないダービーは、どちらが先にペースを握るか、先にゴールをあげるかに注目が集まっていた。
ザスパは前節同様、3-4-2-1の布陣で、GK内藤、最終ラインに増田、中村、乾。両サイドに夛田と小柳、ボランチが坂井と加藤。2シャドーの位置に小林と青木、トップに平繁。秋葉監督はキャンプから取り組んできたフォーメーションにこだわりをもって、この日も3バックのワントップに。対する栃木は新加入の近藤やクリスティアーノがスタメンに名を連ね、注目の三都主はベンチスタート。肌寒く今にも雨が落ちてきそうな中、いよいよキックオフとなった。
 開始早々から栃木のプレスが強い。前線から近藤、廣瀬がザスパのボランチや最終ラインに圧力をかけ、拾ったセカンドボールを裏に入れるいつもの攻め方。しかし、これが今のザスパには一番嫌な攻められ方かもしれない。まだ落ち着かない時間帯に、クリスティアーノに裏に抜けられ、遠目から放った強烈なシュートは一度内藤がはじくが、こぼれたボールをしたたかに詰めていた近藤が押し込み、あっさりと先制点を献上。最悪の入りとなってしまった。その後もロングボール主体の攻めに対応が追いつかず、何度も決定機を作られる。押し込まれる時間帯が長く、自陣深くから攻撃を始めようとしても、うまく繋がる前にカットされてしまう。手詰まり感が大きい中、早くも前半から秋葉監督が動き、DF増田に代えて、黄誠秀を投入。ラインコントロールを中村にバトンタッチし、なんとか陣形をコンパクトに保とうとする。攻撃はままならないものの、徐々に落ち着きを取り戻し、できればこのまま後半にと思っていた44分、CKからノーマークの近藤に決められ、点差は2点に。取られる時間帯が悪く、勢いに乗れないまま、試合の半分が経過してしまった。
 前線からのプレスでショートカウンターというやりたいサッカーを栃木にやられ、いいところなく2失点だった前半。ボランチで溜めが作れず、前線の選手が孤立する一番悪い状況になってしまった。守備の面でも立て直したかったところでセットプレイからの失点。後半どうやって2点差を逆転するのか。エデルを入れて、布陣を変えるかとも思ったが、そのままのメンバーで後半に入る。
 後半開始早々は、ハーフタイムを挟んだことで状況が整理され、勇気を持ってDFラインを高く置くことでオフサイドを誘発し、内藤の果敢な飛び出しとも相まって均衡した状況に。攻撃でもいくつか良い形ができつつあったのだが、落とし穴はまたもセットプレイだった。57分、CKのこぼれ球を廣瀬がうまくつま先でコントロールし、栃木が3点目をゲット。結果的には、後半開始早々というまたも取られてはいけない時間帯での失点。出鼻をくじかれ、これで3点差。攻めの形が見えない中で、非常に厳しい状況に追い込まれてしまった。
 秋葉監督は乾に代え、ルーキー瀬川を投入。小柳を一列下げ、左サイドハーフに入った瀬川は、厳しいデビュー戦にも関わらず、積極的に前に仕掛けていた。その左サイドから作って得たCK。ゴール前の競り合いからこぼれたボールに後ろ向きで合わせた平繁のシュートは無情にもゴールポストを叩く。入っていればファインゴール、反撃の狼煙となったのだが、決めることができず、時間がどんどんと経過していく。65分にはエデルを投入し、前線の厚みを増してゴールを狙いに行くが、どうしても攻撃が噛み合わず、結局0-3という屈辱的なスコアのまま、試合終了。チームとしての完成度の違いが如実に現れた結果となってしまった。
 運動量、球際という秋葉サッカーのベース部分が相手を上回れないと、若いチームは難しい状況に陥ってしまう。安定した戦いという部分ではまだまだこれから経験を積み上げ、試合を通して成長していかなければならない。もちろん結果を残すことは非常に大事だが、それに固執してしまうよりは、個々のストロングポイントを伸ばし、自分たちのサッカーを突き詰めていくほうが、より得られるものが大きいはず。結果と成長の両方を求められる初采配の秋葉監督や選手達には厳しい試合となったが、この敗戦を無駄にせず、これからの成果に繋げてほしい。【yosuie@中毛】



■ 2013年4月7日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第7節

ザスパクサツ群馬 0−2 ジェフユナイテッド千葉

正田醤油スタジアム群馬 5579人

つくづく不運

 爆弾低気圧の襲来で開催が危惧された第7節、幸い群馬にはたいした被害もなく(とゆうか冬の空っ風のほうがはるかに強ぇよね)昼前には青空が覗く日和となったぃね。低気圧の被害とゆえば、残っていた桜の花が風で一気に散っちゃって葉桜になっちゃったぐれぇかね。敷島も桜吹雪が舞い、地面には花びらの絨毯ができてるで。今日の相手は前節北九州に6-1と大勝した千葉。昨日からの暴風雨に負けねぇで千葉からやってきたサポの方々をはじめ、サッカー少年たちの姿も多くって、メインスタンド側の屋台はなっから賑わってたぃね。
 前節ダービーで栃木に完敗し、2連敗でホームに戻ってきたザスパ。スタメンは今季初スタメンとなるGK北、DF中村、乾、小柳、MF黄、加藤、夛田、瀬川、FW平繁、青木、これも今季初スタメンの横山、サブはGK内藤、DF有薗、MF坂井、小林、U-23出身の枝本、FW遠藤、エデル。今日は選手の今年のキャッチコピーがお披露目され、もっともウケてたんは「神様・仏様・野崎様」の今季初先発の野崎。ぜひ神仏を上回る活躍をしてほしいもんだぃね。そして古巣との対戦に燃える青木にも期待大。前節4得点の千葉のFWケンペスを抑えて勝利を手にしてぇとこだぃ。・・・と思ってたら、南西から大きな雲がやってきて、青空から一転にわかにかき曇り、龍が舞うような黒雲が垂れ込め、上空からは大粒の雨が降り出した。突風が吹き荒れ、一気に広告ボードを吹き飛ばし、試合前から風雲急を告げる展開に(´Д` )。ホーム開幕戦に続き、サポの修行感MAX。幸いにも雨脚は徐々に弱まり、選手入場の頃にはほぼ止んだ。クレヨンしんちゃん(5)のキックオフセレモニーというなんともシュールな絵面。後半、風が強くなるとの思惑か、今日もエンドが替わったぃね。(ザスパが敷島でエンドを替えた試合で、勝ちをみたことねんはオレだけ?)
 試合開始。ザスパは今季のデフォの3-4-3みてぇだ。ともすると5バック化しちゃう危険性もあるんだけんど、ザスパはラインを果敢に高く取り、大胆なサイドチェンジ、機をみてCBの小柳や乾も前線まで積極的に攻め上がるなど、超攻撃的なスタイル!一方の好調の千葉のケンペスも足が速くって、しばしばディフェンスラインの裏に抜け出されちまうがCBが巧く対応してらぃね。前半22分、コーナーキックから夛田が浮き球を放り込み、中村のヘディングシュートが左ポストを叩き、跳ねっ返りに頭で合わせたんは平繁!ねじこんでゴール!一瞬沸き立つスタンド・・・と思いきや、まさかの平繁のオフサイドの判定orz なんだかなぁ。まぁ攻めの形はできてるんで、次に期待だ。千葉にシュートを撃たれても、今季初先発の北が好セーブを随所にみせる。足元のシュートにもバッチリ対応!まぁずノっているみてぇじゃねーきゃ。その後も何度か千葉ゴール近くまで攻め上がってチャンスがあったんだけんど、最後の最後で躊躇しちゃったり、シュートミスがあったりと決定力がなくて決めきれず。まぁ前半はザスパのペースで0−0で終了。点は奪えなかったけんど、千葉に互角以上の展開。この調子なら後半も期待でぎるんべ。
 ハーフタイム抽選会が終わると、天気が良くなってきたぃ。案の定、風は強くなるどころか、収まってきちゃったしorz 風の国群馬のチームなんに、つくづくこのチームは試合で風を活かせねぇんだぃな。
 後半開始。開始早々、横山がドリブルからパス、青木のシュートは左ポストに嫌われ、跳ね返ぇりを詰めて、これを流し込んだんは平繁!ゴール!・・・が、これも、平繁のオフサイドの判定。平繁、今日は2回も千葉のネットを揺らしたんに・・・せめてどっちかのシュートがポストに嫌われてなかったら、あるいはオフサイドでなかったら、流れはこっちのもんだったんだけんど・・・千葉は田中を投入。この交代が今日のキーポイントだったように思う。田中の鋭い切り込みに翻弄され、右サイドを度々崩されるザスパ。流れは徐々に千葉に傾く。そして後半8分、ミスからボールを奪われケンペスに渡り、中央を突破したケンペスに、乾がペナルティエリアで後ろからチャージしちまって、乾は決定機阻止で一発赤紙退場orz 千葉のPK、絶体絶命のピンチ。ケンペスが蹴って右隅に決められ、呆然となるも・・・なんとやり直しの判定!再度のPKは、これを大きくふかしてくれてピンチを切り抜ける!まだ運はあるじゃねーきゃ! 10人になって、初先発ながら積極的なプレーが見られた瀬川に替え、CBに有薗を投入。3バックを維持するんかと思いきや、小柳がCBから左SBになり4-4-1にして(中盤はフラット)、専守防衛でなく攻撃も意識した布陣にシフト。更に青木に替えて小林を投入し、なんとか流れを替えようと試みたんだが。勢いづいた千葉に押され、後半33分右サイドからの米倉のヘッドをニアにいたジャイールにヘッドに合わせられ、これが北が伸ばす長い手の上を放物線を描きゴールに吸い込まれ、ついに失点。 ここで横山に替え遠藤を投入し、2トップ気味にして反撃を試みるも、後半40分、要注意の田中の右サイドの突破から折り返しのクロスをケンペスにきれいに流し込まれ2失点。ロスタイムは5分。コーナーキックから中村がフリーでドンピシャのヘディングシュート!これがなんと平繁に当たっちゃう・・・今日の平繁は本当に運がねぇな。そのまんま一矢を報いることもできず、0-2で敗退。天気も含めて、今日はいろんな意味で運に恵まれねぇ日だったぃ。
 今日はいい形で攻めてた前半に点を奪えなかったことがすべてだと思うね。ゴール前まではボールを運べる流れはできてたし、実際ペースも握れて、攻撃的で内容もおもしろかったと思うし、あとは最後の決定力と決断力だと思うんだけんどなぁ。まぁ今日はつくづく運に恵まれてなかったし、後半は予期せぬ退場者が出ちまったんで、ゲームプランも崩れちまったんで致し方なしっつーところかな。これで3連敗で、気づけば順位は21位に後退。こないだ5位になったとき、今年はJ2プレーオフ行げんじゃねん?とか浮かれてたんに、気がつけばもう最下位もすぐそこorz こっからなお一層の奮起を期待するんべぇ。【すずき@東毛】



■ 2013年4月14日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第8節

愛媛FC 2−0 ザスパクサツ群馬

ニンジニアスタジアム 2124人

春の嵐で開始早々41分中断

  ザスパは前半、ボールを保持して主導権を握ったが、崩しの場面の精度を欠いた。11分にMF加藤がFKを直接狙ったが枠の外。ボールを大事にし過ぎてシュートチャンスを逃すことが多く、流れの中からは決定機を作れなかった。
 後半は自陣での簡単なミスで自滅した。2分、MF瀬川が相手のロングボールをクリアミスし、こぼれ球を拾われて先制点を献上。16分にはMF夛田のパスミスをきっかけに2失点目を喫した。最後までちぐはぐな攻撃を改善できず、ゴールが遠かった。(4月16日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年4月17日(水) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第9節

ザスパクサツ群馬 0−1 アビスパ福岡

正田醤油スタジアム群馬 1472人

優勢負け

 4月中旬のナイター開催というと、寒さの心配をしてしまうのがセオリーだが、すでにゴールデンウィークを過ぎたかのような日中の気温、18時過ぎでも上着を羽織らず、河川敷駐車場から正田醤油スタジアムへ国体道路を渡る。時期が良ければ桜並木になるこの道もすっかり若葉色となり、開幕ムードもすっかり消え、すでにJ2は第9節。中2日でホームにアビスパ福岡を迎えての対戦となった。
 開幕から4試合負けなしで一時は6位になったものの、その後の神戸戦から4連敗。ゴールマウスも遠く、得点も奪えず、複数失点が続いている。若いチームゆえ、きっかけを掴み勢いに乗れば・・・と思っているのだが、そのきっかけがなかなか掴めない。厳しい日程だが、結果を出さなければ、上のカテゴリより下のカテゴリの姿がはっきり見えてくるような順位になってしまった。
 この日はスタメンにエデルが復帰、平繁とのツートップは、初勝利の横浜FC戦以来。後ろも4バックになり、左サイドハーフには加藤が入る。青木がスタメンを外れ、出場停止明けのCB乾が戻ってきた。福岡は監督も変わり、メンバーには新顔も多い。前節は北九州との福岡ダービーを制し、連勝をかけて群馬に乗り込んできた。平日ナイターにも関わらず、サポーターも駆けつけている。
 久々の4-4-2のフォーメーションに期待と不安を感じながら、いよいよキックオフ。全体をコンパクトに保ちながら前線へのプレス、これまでと戦い方は変えずにチャンスをうかがう。奪ったボールはサイドに展開し、サイドバックとハーフの二人のコンビネーションでゴール前に運ぶ。ここまでの流れは、最近の試合でできつつある。それに加え、エデルというターゲットができたこの試合は、フィードで一度エデルに当ててから攻撃の形を作ることができる。選択肢が広がることで、攻撃の幅が広がっている印象。やはり今の状態、メンバーでは、こちらのほうが攻撃に比重が置けるような気がする。序盤は特に左サイド、小柳と加藤のコンビネーションから福岡陣内に侵入し、チャンスを作れていた。手応えを感じつつある状況だったが、ワンチャンスで相手に先制されてしまう。その左サイドの中盤でロストしたボールから裏のスペースを突かれ、折り返しのクロスを中で合わされて先制点を献上。あっさり決められて、悔しがる間もなく、スタンドからはため息が漏れる。
 しかし、その後もペースはザスパが握り、逆サイドでも小林と夛田が持ち前のスピードを生かし、チャンスを作る。セットプレイも良いボールが入り、今までよりは得点の匂いも感じられるように。後半に入ってエンドが変わってもその雰囲気は継続できていた。そして攻める姿勢がもたらしたのは、数的優位という結果。後半15分で相手の金久保選手がこの日2枚目のイエローカードをもらい、退場。1点ビハインドながら、残り30分を有利な状況で戦うという、絶好の展開になった。
 福岡は一人少なくなった時点で、明らかに守備的なサッカーに移行。全員が引いて守備を固めている。ザスパはこの機会に乗じ、瀬川、青木と攻撃的なカードを切っていく。センターサークル付近までは自由にボールを持てる中、CBとボランチでタメ作って、空いているサイドに展開、瀬川が思い切りよくゴールを狙い、中央からもエデルや平繁が突破を図る。しかし、なかなかゴールが割れない。さらに福岡を追い詰めるように、小林に替えて遠藤を投入、左サイドからの決定機もサイドネット。ゴール正面でエデルが平繁に出したパスも決めきれず。ほぼザスパが攻めているだけの状況にも関わらず、得点だけが入らない。時間は経過し、アディショナルタイムに突入しても、状況は変わらない。あと一歩のところで、どうしてもゴールが奪えない。
 そして、そのまま試合終了のホイッスル。福岡をあと一歩のところまで追い詰めながら、結局ゴールが奪えず、0-1での敗戦。とうとう5連敗となってしまった。しかし、同じ負けでも内容には向上が見られ、両サイドを使った攻撃、前線での収まりとシュートという、課題の解決も見られた。それは数的優位となった残り30分だけではなく、前半からも感じ取れたこと。自分たちのペースで戦う時間帯が、少しづつではあるが長くなっている。ゴールという結果が伴わず、自ずと負けが続いてしまっているが、かすかな光明を視界に捉えつつある。これをはっきりとした輝きに変えるには、諦めずに続けていく勇気と、結果による自信が必要。それが少しでも早く得られるよう、チームだけではなく、クラブ、サポーターなど周囲の力も結集したい。【yosuie@中毛】




 今季初のナイトゲーム。暖かかった日中そのままに、夜に入っても過ごしやすい気候で助かります。風もなく、ホームだというのにとかく天候に恵まれなかったこれまでに比べると、今日は格段に好条件で試合が出来そうです。しかし、場内に人が居ない。平日ナイターの集客力の低さもありますが、我がチームの現状を如実に反映しているのもまた事実。うわ〜、こりゃとうとう3桁かな…(最終的には1,472人の入場者でしたが、この数字もどうなのかと^^;)。状況を好転させるには、兎にも角にも勝つことです。そこんとこ、こだわって行きましょう。
 それでは、本日のスタメンです。GK:22・北選手、DF:4・小柳選手、30・増田選手、24・乾選手、29・夛田選手、MF:25・坂井選手、19・黄誠秀選手、18・加藤選手、11・小林選手、FW:10・平繁選手、15・エデル選手、リザーブメンバー・GK:1・内藤選手、DF:17・星野選手、28・瀬川選手、MF:27・枝本選手、FW:7・青木選手、8・遠藤選手、20・野崎選手。秋葉監督、今日はスタメン・フォーメーションを変更してきました。坂井選手と黄選手を2ボランチに置き、左右のハーフに加藤選手と小林選手を、そして2トップに平繁選手とエデル選手を並べた4-4-2の布陣で臨みます。ここまで孤立しがちだった1トップを改め、攻撃時に厚みが出る4バックを採用した戦術変更です。個人的には、2トップの組み合わせは現状でこれが最善ではないかと思ってます(理由は第4節の観戦記に書いた通りです)。一方、福岡の攻撃陣には気の抜けない選手が顔を揃えています。金久保選手、城後選手、石津選手、坂田選手、西田選手らが上げた得点は現在8点。巧者・城後選手やスーパーサブとなりそうな坂田選手などへのケアは怠りなくやる必要があります。
 メインスタンドに人が少ないせいか、いつもよりラスハルが反響して聞こえます。いやいや、隙間を見ちゃダメ。今日この日を反攻・再生の足掛かりとするんです。気合い入れていごー!前半は出だしから群馬のハイプレスが福岡の出鼻を挫き、群馬の優勢からスタートします。前半1分、幸先良く右CKを得ると、ここでキッカー・坂井選手はトリックプレーを使います。無人のファーサイドへボールを蹴り入れると、そこに自陣最終ラインから猛ダッシュで突っ込んできた乾選手が駆け込みシュートを撃ちに行きます。ここは結局シュートまで持っていけませんでしたが、面白い試みです。その後も2トップとハーフの選手達によるフォアチェックが良く機能して、中盤でのボール奪取・保持において優位に立ちます。しかしながら、ラストパスがなかなか繋がらず、シュートを撃つ場面には至りません。前半15分、左サイドから相手陣内にドリブルで駆け上がる加藤選手が相手DFのチェックを受けてボールを失う所から一連のプレーが始まります。奪ったボールは岡田選手から右サイドに張る石津選手へ渡り、石津選手がそのまま長駆ドリブルで群馬陣内深くまで持ち込みます。石津選手にペナルティラインに掛かる辺りまでフリーランニングさせたことがまず最初のポイントです(マーカーは併走していましたがチェックには行きませんでした)。そしてこの時点での福岡攻撃陣はゴール前にFW2人(城後選手と金森選手)、群馬守備陣はこの2選手を背にして3人のDFが並んで下がっていました。つまり、背後から来る2FWを見ずに、全員がボールを見ていたことになります。これが2つ目のポイント。石津選手が走りながらもノープレッシャーでセンタリングを上げられた時点で勝負は決していました。ボールポイントにいち早く到達した金森選手が難なく蹴り込んで、福岡が先制します。高卒ルーキー(19歳)に、またしてもJ初ゴールを献上いたしました。押していたのに。またワンチャンスで。…このままでは終われんだろう(怒)。前半20分、群馬のチャンスは左サイドの攻防から。左サイドを駆け上がる小柳選手、相手DFとの勝負に打って出てこれを突破すると、ゴール前へとセンタリングを撃ち込みます。ファーサイドに上がったハイボールに飛び込んだのは小林選手。残念ながらこのセンタリングは小柄な小林選手がミート出来る高さではなく、シュートは上空へ消えました。前半22分、今度は右サイド→左サイドへの大きな展開からの攻撃です。左サイドで起点になった小柳選手から素早く縦にボールが送られ、受けた加藤選手が守備陣形が整わない福岡のゴール前に切り込みます。右足からミドルシュートを放ちゴール右上隅を狙いましたが、枠を捉えられませんでした。一連の流れはスムースで良かったですよ。続けよう。前半41分、自陣でのパスミスから福岡にシュートまで持って行かせる場面がありましたが、頑張って創り出した優位な流れを自らの不注意で台無しにするような勿体ないプレーです。厳に慎むべし。得点は許しましたが、陣形変更の効果はしっかり表れています。エデル選手がポストプレイヤーをキチンとこなしてくれているおかげで、これまで孤立し放題だった平繁選手が前を向いてアタッキングサードに仕掛ける機会が明らかに増えました。エデル選手の良い所はもう一つあって、それはフォアチェックをサボらないことです。平繁選手や小林選手も前線からのボールチェイスをしっかりやってくれるので、結果として福岡のボランチから後に対する圧力が相当効いていて、ここを拠点とした大きな展開を完全にシャットアウトすることに成功しています。これはセカンドボールを相手よりも多く確保するという副次的な効果を生み出していて、結果、ポゼッションにおける優位を得るに至っています。ただ、サッカーという競技には優勢勝ちがないので、ボールを保持しているだけでは勝てません。より積極的な攻撃、端的に言うとシュートで終わる攻撃をもっと増やさないと。結局前半は、群馬優勢と見えるのにシュート数で負けている(群馬=4本、福岡=6本/1ゴール)というちぐはぐな状態で終わりました。やはりシュートが足りんな。後半はもっといっぺぇ撃っていぐんべぇや。
 ハーフタイムに福岡側は交代を行ったようで、快速FW・坂田選手が登場です(石津選手 out)。うわぁ、出てきましたよ。ユース年代の頃からずっと注目してきた坂田選手。目の前でそのプレーが見られるのは嬉しいんですが、敵に回すとおっかないですね。絶対にフリーにしちゃ駄目です。後半最初のチャンスは7分、群馬・左CKです。ゴール前に撃ち込まれたセンタリングを福岡DFが一端弾き返しますが、このこぼれ球を右サイドで乾選手が拾い、再びファーサイドへと蹴り入れます。ボールの落下点にはエデル選手が入り、ヘディングシュートを撃ちますが、打点が高すぎてミートせず枠外へと外します。後半に入っても群馬のハイプレスが継続され、序盤は前半からの流れそのままの展開です。このまま自陣での迂闊なミスを犯さなければ、得点に至るチャンスは必ず創り出せそうだ、そう思わせてくれる内容ではあります。そんな中訪れた転機は後半15分。金久保選手に本日2枚目となるイエローカードが掲示され、合わせレッドで退場となります。福岡はキーマンを欠いた状態で残り30分+αを戦うことになりました。これは群馬にとってはチャ〜ンス。群馬ベンチが動きます。後半16分に小柳選手→瀬川選手、続く後半19分に増田選手→青木選手の交代で3バック・3トップ気味の攻撃態勢で攻勢を掛けます。後半22分・左CKから最後は乾選手のシュート、後半23分・左からのクロスに合わせた平繁選手のシュート等、好機は訪れますがいずれもゴールを割れません。後半32分、小林選手→遠藤選手のリフレッシュ交代で3枚の手札を使い切り、後はピッチ上の選手達に全てが託されます。福岡側は専守防衛というミッションを全員が統一意識として強くイメージしていて、堅く守られたバイタルエリアには全く隙がありません。しかし、そこを突き崩さなければ同点も逆転もありません。やるしかないのです。その後も、後半34分・左サイドを崩してからの遠藤選手のシュート、後半36分・エデル選手のポストプレー・スルーパスを受けた平繁選手の決定的場面、後半ロスタイム・右サイド夛田選手→遠藤選手と繋いで遠藤選手がゴールライン際からマイナスに入れたセンタリングに飛び込んだ平繁選手のスライディングシュートなどの猛攻を見せますが、あと一歩届きません。主に左から、時に右、中央を交えつつ福岡ゴールへと肉迫する群馬攻撃陣。ここぞという所で躊躇やミスからチャンスを流し、僕らは歯噛みする思いでその光景を見つめます。そして、5分という長いアディショナルタイムも虚しく、優勢を活かせずに敗戦の終幕を迎えました。
 後半だけで12本ものシュートを放ちましたが、ゴールが遠かった。と言うか、現場で見ていた実感からすると、シュートを撃てる機会はもっとあったはず、の印象が拭えません。折角厚くした中盤の攻撃陣ですが、意思疎通に欠ける場面が多く、連携プレーに齟齬が生じることが多々ありました(飛び出す選手が被ったり、スルーパスに反応する選手がいなかったり)。ポジショニングにこだわる必要は全くありませんが、少なくとも個々の特性を理解し活用出来るだけの約束事みたいなものはしっかりと習熟しておかなくてはいけませんよね。数的優位が必ずしも試合を決定付けるものではないことは、これまでの経験から良く理解していますので、それについてはとやかく言いません。ただ、あれだけ堅く守られると、今季の得点力では如何ともし難いのか(嗚呼)、と言う実感を再確認させられたのが骨身に染みて切ないです(エ・ω・`)。
 今節を終えてシーズン消化率は20%を超えました。まだ2割。もう2割。全42節を終えた時点での成績が評価される最終目標となる訳で、その意味からすると、「現時点でのチーム完成度が20%なんですよ、まだ」と言うのならば、そうしておきましょう。でもですね、秒速8kmの初速を得られないロケットは、大気圏を突破できずに墜ちてくる、その事だけは忘れてはいけません。テイクオフで足りなかった速度は、到達点50%、80%、90%と進む毎に上乗せして加速して行かないと、目標点まで到達できません。目標点が何であって何処にあるのかさえ失念する衝撃の序盤5連敗(ついでに僅か3得点)。肌で感じるのは迫り来る墜落の恐怖と現実味。下を見ずに歩ける日が来ることを信じ、闘争の日々は続く。【ほーせん@高崎】



■ 2013年4月21日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第10節

ファジアーノ岡山 2−0 ザスパクサツ群馬

kankoスタジアム 6983人

また同じ過ち

   ザスパは前半、序盤からパスを回す得意のサッカーでペースを握った。12分にMF加藤、17分にFWエデルがミドルシュート。19分には連携プレーからDF夛田が攻め込み、攻勢を強めた。30分以降は落ち着いた試合運びで、スコアレスで折り返した。
 後半は立ち上がりから相手ペース。8分のピンチはGK北が左足一本で防いだが、直後の9分に右CKから先制点を許した。28分には自陣でMF黄誠秀がボールを失い、カウンターを受けて追加点を献上。守備を固めた相手を崩すことができず、最後までゴールをこじ開けられなかった。(4月22日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年4月28日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第11節

ザスパクサツ群馬 4−1 徳島ヴォルティス

正田醤油スタジアム群馬 2542人

風を掴め!

 また、風が吹いてます。かなり強く吹いてます。今季のホーム戦は、まぁず風べぇ吹かぃな。そして、チームにも色々な風が吹き荒れてます。前節までに重ねた黒星は6つ。昨季更新したチーム連敗記録まであと一つ。そうです、今日を落とすとタイ記録です。それだけは勘弁してくんなぃ。そんな連敗記録よりも心配なニュースが今週発表され(詳細は書きませんがライセンスに関するアレです)、メイン広場でも、バックスタンドでもそのことが人の口に上ります。試合前から思う存分ネガってますが、まずは今日の試合をしっかり闘って、願わくば勝利して、更に更に勝ち星を伸ばせたら良いなぁと思いつつ昼飯のロコモコを喰います。
 本日のスタメンを見てみましょう。GK:1・内藤選手、DF:4・小柳選手、30・増田選手、24・乾選手、29・夛田選手、MF:18・加藤選手、19・黄誠秀選手、14・横山選手、7・青木選手、FW:10・平繁選手、15・エデル選手、リザーブメンバー・GK:22・北選手、DF:5・中村選手、28・瀬川選手、MF:11・小林選手、25・坂井選手、FW:8・遠藤選手。前節からの変更点は、GKの交代及びサブに中村選手が入ったことだけです。ここから読み取れるのは、秋葉監督からの「チーム状態自体は現状に問題なしと判断した」というメッセージです。確かに、ここ数試合でぐうの音も出ないほど酷いやられ方をした印象はありませんが、そのことと負けが続いていることとの関係はないと言い切るだけの自信の程、今日はそれを確かめさせて頂きましょう。
 さて、今日の対戦相手は徳島。J2同期昇格のチームにして、これまでの対戦成績は完全互角(8勝8分8敗)です。ただ、我々から見るとJ2初年の2005年に初勝利を上げたのが徳島戦であり、徳島から見ると2011年の昇格戦線でブレーキを掛けた(札幌を倒してアシストもしましたが)のが我々だったりするなど、成績以外の印象は少しばかり異なっているかも知れません。両チームに在籍した選手も結構居ますし、何だかんだと縁のある相手同士なのです(2005年互助会なんて呼び方もあるみたいですし)。両チームに在籍した選手と言えば、今日のTV放送では、プレーヤー解説として島田氏が来ているようです。どんな思いで敷島を、今日の対戦を見ているのでしょうか。少なくとも、かつてのエースに恥ずかしい試合だけは見せたくないですね。頑張ろう。
 コイントスの結果、徳島側がコートチェンジをしてきました。まあ、当然だぃね。そうなると、試合展開は自ずと見えてきます。試合が開始されると、予想通り徳島はロングボール主体の「風上作戦」を多用してきます。流れるハイボールの対応のため、自陣に引き気味になる群馬に対し、長いボールで陣地を獲得してからセカンドボールを確保しつつサイドアタックで揺さぶりを掛けるクレバーな徳島、そんな構図で推移します。今日の群馬は、平繁選手の1トップで、エデル選手をトップ下に配した4-2-3-1を取っているようです。エデル選手と平繁選手の縦位置関係は上手く機能するんでしょうか。そう思っていた矢先の前半11分。エデル選手の突破からパスを受けた平繁選手がゴール前へ躍り出てシュートを放つ場面は決定的でしたが、ここはオフサイドの判定です。タメの効くエデル選手が引き付け役のデコイとなって、DFラインの裏へショートパスを流し込んで平繁選手が突破する、この一連の流れが綺麗に決まればゴールへの道も見えてきそうです。しかしながら、やはり風下があだになって、思うように相手陣内へ攻め込めません。一方の徳島も、風を利用して攻勢を掛けようと目論見はしますが、思惑通りには決定機を創り出せていません。そして迎えた前半30分。ペナルティエリア内で徳島・高崎選手を倒したとして乾選手にイエローカードが提示されます。PKです。僕らに出来ることと言えば外してくれることを願うのみですが、GK・内藤選手はやってくれました。キッカーの高崎選手、ゆっくりとしたステップから加速し、右足でゴール右隅を狙った低い弾道のボールを蹴り出します。ボールが蹴られた瞬間、内藤選手はゴール右側へと飛びます。伸ばす手の先でボールが弾かれ、こぼれ球に駆け寄った小柳選手が素早くクリア処理を行います。その瞬間、場内が大歓声に沸きます。おお、神降臨! 守護神は居ませり。内藤選手のビッグプレーと小柳選手の冷静な事後処理によって危機は回避されました。こうなったら勝ちたいよね。風を利した徳島は、しかし風を掴むことは出来ず、結局前半に8本のシュートを放ちましたが、群馬守備陣の堅守、GK・内藤選手の好セーブにより得点を挙げることは出来ませんでした。よくぞ守ったり。さあ今度はこっちの番だ。
 ハーフタイム空けに、群馬は2枚のカードを一気に使います(夛田選手→瀬川選手、エデル選手→遠藤選手)。交代の理由が不明です(試合後に確認した所、負傷交代だったようです)。トップ下に遠藤選手が入り、4-2-3-1の陣形は変更なしです。そしてそして、後半はお待ちかねの風上です。臆せずバンバン攻めていごー。が、前半同様徳島の方がボールを持つ時間が長いです。何故だ。前半からそうでしたが、前節までのような無茶苦茶なまでのハイプレスが今日は影を潜めています。風と言う不確定要素が絡む中で、遮二無二走り回って疲弊するのは得策ではないので、これはこれとして作戦のうちなのでしょう。相手にボールを持たせていても、守るべき所をしっかり締めておけばそれでOKと言うことです。しかしそれもミスをしないことが前提となります。ではその前提が崩れたら?答えは後半12分、徳島のカウンターアタックの場面です。徳島・アレックス選手が単騎ドリブルでペナルティエリアまで持ち込みます。ここは通さじと群馬DF陣が囲んでボールを奪ったまでは良かったんですが、増田選手がボールコントロールを誤り、これを見逃さずに突っ込んだ大崎選手にボールを奪われてしまいます。取られた位置が非常にまずく、大崎選手の強烈なシュートは内藤選手が反応する暇を与えずゴールへと刺さります。自陣でのミスから先制を許してしまいました。前半のビッグプレーが台無しだぞ…。嗚呼、なんかFの文字が見えたような…。しかし、今日の群馬戦士達はへこたれませんでした。失点直後の後半13分、徳島バイタルエリア右サイドからのスローインの場面です。小柳選手のスローインボールをしっかり足下に収めた遠藤選手、タッチライン沿いをドリブルで駆け上がりゴールライン際まで持ち込みます。遠藤選手、DFに体を寄せられながらという難しい体勢からゴール前へ低く速いクロスボールを蹴り入れます。この合わせ辛いボールにニアサイド側から突っ込んできたのは平繁選手。果敢なヘディングがピンポイントでボールを捉えると、ボールは左ポストに当たりながらも反射してゴールマウスへと飲み込まれます。GOOOOOAL!!! キャプテン渾身のゴールで同点とします。このゴールでスイッチが入ったか、群馬の攻勢は続きます。後半17分、敵陣に少し入った辺りから加藤選手が縦にボールを送ります。風に乗って伸びるボールを追い掛けて上がる遠藤選手と同じく下がる徳島DF・千代反田選手、さらにGK・松井選手が落下地点で交錯、ボールがこぼれます。こぼれ球に最初に反応したのは遠藤選手。ほとんど反射的に足を伸ばして球を蹴り、ボールをGKから遠い方へと掻き出します。このワンプレーで交錯地点へ急行した徳島DF・橋内選手がボールへ到達するのを遅らせ、かつ平繁選手がボールを足下に収める時間を作り出しました。これが効いた。平繁選手にはこれで十分でした。ペナルティアーク付近で、慌てて駆け寄る橋内選手・千代反田選手ら2人のDFに前を塞がれながらも、コースが閉塞するよりも速く左足を振り抜きシュート一閃。ボールは右対角へグラウンダーで走ると、GKの伸ばす手をかわしてそのままゴールネットへと突き刺さります。GOOOOOAL!!! ストライカーの本能が目覚めたようなゴールで逆転に成功。勢いはまだ収まりません。後半20分、今度は右CKから。キッカーの横山選手は、ファーサイドへ落とすボールを蹴り込みます。この落下点に居た青木選手がボールを前へ落とします。するとこぼれたボールの先に居た増田選手、一瞬の躊躇もなくボールを蹴り込んでGOOOOOAL!!! 突き放す3点目を獲得。ちなみに増田選手はこれがJ初ゴール(オメデトウ!)。先制されてから僅か8分の間に3点を取って逆転するとは。10戦して3得点しか出来なかったのが嘘のようです(嘘じゃないけど^^;)。選手交代を次々行って流れを変えたい徳島ですが、その効果はありません。風下からの攻撃にしては良く攻めているしシュートも撃ってきますが、時間・点差・風等々を気にしてか、やや拙速な感じがします。 慌てる徳島を尻目に、群馬サイドはボールも良く回るようになってきました。そして後半36分には、群馬のカウンターアタックが炸裂します。自陣内にほとんどの敵味方が残っている状態でした。前方にスペースがあることを看破した瀬川選手が、ボールホルダーに対して手を上げて「行くから出して!」と要求し、これを遠藤選手が良く見ていました。群馬サイドハーフエリア右タッチ沿いから、遠藤選手が長〜〜〜いサイドチェンジのロングボールを左サイドのスペースへ蹴り込みます。このロングパスに左サイドを駆け上がる瀬川選手が追い付きます。瀬川選手、トップスピードを維持したままワントラップでシュート体勢を整えると、ペナルティエリア左隅付近からミドルショット発射。豪快に振り抜かれた左足から放たれたシュートは、対角線ゴール右隅へ突き刺さりGOOOOOAL!!! 神様・仏様・瀬川様によるダメ押しの4点目となります。ルーキーの瀬川選手もこれが嬉しいJ初ゴールです。いやしかし、強烈なシュートを撃った瀬川選手も凄いけど、状況を見極めて的確なパスを出した遠藤選手も凄いですよ。後半38分に交代投入された小林選手(青木選手out)も、フレッシュな状態をこれでもかと発揮してのハイプレス・ボールチェイスを敢行し、後半39分には相手からボールを奪い取ってシュートまで持っていく場面を創り出します(ここはオフサイドとなりましたが)。終了間際、ロスタイムには徳島最後の大攻勢を受けますが、前線から最終ラインまでが集中してこれを跳ね返し、バックスタンドでフライング気味に詠唱が始まった草津節をBGMにしながら主審の笛が鳴り渡ります。勝利です。
 久方ぶりの勝利の草津節は滲みるねぇ♪勝つっていいねぇ、うんうん。しかも3点差4得点は出来すぎだぃね。あんまりあることじゃないから一杯褒めちゃう。1点目のヘディングは簡単なシュートじゃなかったし、そのアシストがまた難しかった。でも決めちゃう。出来るんだよ。2点目だって、縦に入るボールに対しての連動と個人の特性が活かされた、これまでにないゴールです。3点目は今季初のCKからの得点。ラッキーゴールに見えますが、ゴール前に入るレシーバーのポジショニングとキッカーとの連携のなせる業です。簡単じゃない。4点目がなにより素晴らしい。ここしばらく、あんな豪快なランニングボレーシュートにはお目に掛かっていなかったですね(かつての都倉選手を彷彿とさせますな)。エースが決めて、ニューカマーが決めて、ルーキーが決める。良い風が吹いてきたかな。若いチームには良い刺激となるだろうし、自信にもなると思います。でも課題もちゃんとあるし、6連敗の負債も残ってる。一つ勝てたことで、変に鬱屈せず、やれるんだという信念を持ってこの先の闘いに挑んで行ってもらいたいです。
 後半の群馬が放ったシュート数は、実は5本でした。それで4得点。うち3点が実質遠藤選手のアシストです。この数字が意味する所を解き明かせば、これまでの敗戦と今日の勝利の法則が見えてきそうです。ポゼッションで優位に立ちながらもゴールが生まれない最大の原因は、ゴール前で1人足りなかったこと。簡単に言えばラストパスをお膳立てする役目の人間がそこに居なかったこと、と解けます。かつての山口選手や島田選手、熊林選手のような役割の選手です(ちなみに去年はボランチが主にその役割を担っていました)。遠藤選手はシューターやドリブラーと言うよりは、トップ下のセットアッパーに向いているんじゃなかろうか?今日の試合を見てそんな印象を強くしましたよ。
 6連敗というトンネルを抜けたとは言え、まだまだ上位進出の道のりは険しく、戦績以外にも問題山積な現状では、J1昇格なんて今は雲を掴むような状態です。ですが、今日のような良い風を掴んで、少しずつでもその風を束ねて上向きの気流にして行けるならば、雲のしっぽくらいは掴めそうな気がします。【ほーせん@高崎】



■ 2013年5月3日(金・祝) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第12節

松本山雅FC 1−1 ザスパクサツ群馬

松本平広域公園総合球技場 11881人

攻勢耐え切れず



 ザスパは前半、得意のポゼッションサッカーでペースを握った。30分、カウンターで中央を攻め上がったMF青木が右サイドへパス。FW平繁が切り返しから左足を振り抜き、先制した。その後は相手の攻撃をしぶとくはね返した。
 後半は序盤から相手の猛攻を受けたが、素早い攻守の切り替えで何度か好機をつくった。しかし、追加点を奪えず。逆に21分、サイド攻撃から同点ゴールを許した。27分にはMF黄誠秀が2枚目の警告で退場。粘り強く守って迎えた終了間際、カウンターからの決定機を決めきれず、引き分けた。(5月4日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年5月6日(月・振替休日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第13節

ザスパクサツ群馬 0−1 東京ヴェルディ

正田醤油スタジアム群馬 3856人

交喙(いすか)の嘴(はし)

 GW最終日の昼下がり。一般のご家庭では旅行帰りの真っ最中でしょうか。僕らはと言えば、いつもと変わらず敷島へと集います。今日の対戦相手が近在の東京と言うこともあってか緑色の方々も多く見られ、メインスタンド前広場の賑わいが今季これまでよりも増している感じがします。賑わいと言えば、今日はカインズホームスペシャルマッチとなっているので、ベイシアグループのブースが多く出店していて、しかも大きな声で客寄せをしているので、いつも以上に活気があります(オフィシャルショップブースもこれくらい元気出しても良いのにねぇ)。元気な声に釣られた訳ではありませんが、ザスパアイス@¥50を購入。安くて旨めぇ。うちのチームもこうありたいね(安くても上手い)。場内に入ってみると、バックスタンド北側は結構人が入ってます。時間経過と共にメインスタンドにも人が入ってきました。まあ、満員御礼にはほど遠いですが、こうして観客が少しでも多い時に良い試合をしてリピーターを増やすようにしなければ駄目です。『隗(かい)より始めよ』の故事の通り、まず手近なことから始めるといった地道な努力が結局実になるものです。それにしてもアイスが旨めぇ。
 それでは、本日のスタメンを確認しましょう。GK:1・内藤選手、DF:4・小柳選手、30・増田選手、24・乾選手、29・夛田選手、MF:18・加藤選手、25・坂井選手、14・横山選手、11・小林選手、7・青木選手、FW:10・平繁選手、リザーブメンバー・GK:22・北選手、DF:2・保崎選手、5・中村選手、28・瀬川選手、MF:16・永田選手、FW:8・遠藤選手、9・後藤選手。故障調整中だった選手達が戻ってきました。まずは、オフェンシブなSBとしての実績から完全復活を期待された保崎選手。現在SBは若い人材が活躍中ですが、リーグ中盤へ向けて層を厚く出来るのは有難いです。2人目は永田選手。山形から完全移籍で加入したものの、これまで登場機会はありませんでした。今季主力2名の抜けたボランチを担ってくれるであろうとの大きな期待を寄せていただけに、やっと登場してくれたかという感想です。そしてトリは後藤選手。アグレッシブなプレースタイルや人懐こい人柄からサポーターの人気が高い彼ですが、FWとしては2トップを組む相手を選ばない器用さを持っているのが最大の特徴だと個人的には思っています。とりわけ今季は、平繁選手とのセットではゲッターとして勘定出来るので、決定機を多く創り出せればゴールも遠くないかも。何にしても、フルメンバーがバックアップ出来る態勢を維持することが、過酷なリーグを戦い抜く上では大切です。対戦相手の東京ですが、チームの中心である飯尾選手を始め、刀根選手、常盤選手、高原選手、西選手など気の抜けないメンバーが揃っています。分けても、高原選手は驚異です。前節・横浜戦の試合をTVで観ましたが、セットプレーなどのハイボールへの対応は群を抜いていました。空間把握能力といった天性は衰えないんだなあとしみじみ実感しました。兎にも角にも要注意です。
 選手入場と時を同じくして、雨が降り出します。榛名山は晴れているし、まあにわか雨でしょう。コイントスに勝った群馬はコートチェンジを選択します。最近はこれが目立つなぁ。前半、まず流れを掴んだのは東京。群馬側がいつもと違ってあまり厳しいチェックを掛けなかったせいもありますが、MF-DF間でのパス交換においてその出所と受け先にターゲットを絞ったピンポイントでのプレスを仕掛けられ、ボールを横へ後ろへと戻さざるを得なくなり、その上パスミスやトラップミスなどからボールを奪われて更に自陣へと押し込められる苦しい展開が続きます。開始10分を過ぎても、ボールは群馬側ハーフでやり取りされています。風もないのに前へ進めない…。それでも最後の一線で踏み止まって、東京にシュートを打たせていません。早く何とかしないと。そんな状況下で訪れたこの試合最初の見せ場は、前半13分、東京のFKです。位置はゴール正面やや左寄り30m弱。キッカーは石神選手。強いキックから直接ゴールを狙います。ボールは壁に当たってこぼれます。このルーズボールを森選手が拾い、マイナス方向・キッカーの石神選手へと蹴り戻します。仕切り直しとなった石神選手、今度は左サイドへ開いた飯尾選手へとパスします。群馬DF2人がすかさず囲みに行くと、飯尾選手はひとまずバックパスを鈴木選手へと返します。ここで鈴木選手は、縦方向・スペースへのスルーパスを流し込みます。このボールへ反応して走り込んだのは石神選手。きっちりボールを収めると、すかさずセンタリングを打ち込みます。この時点でペナルティエリア内には東京が5人群馬が5人で、それぞれにピッタリとマークが付いている格好です。この状況下でニアに落ちるボールに対して、GK・内藤選手が飛び出し、パンチングでクリアします。しかしクリアが弱く、ボールはゴール前でルーズになります。このボールにファーサイドから詰めて来ていた金選手が、直前までマークでへばり付いていた群馬DFの意識がボールへ向いた隙を逃さず飛び込み、頭を合わせてゴールへとねじ込みます。ファーストチャンスで先制を許してしまいました。金選手が飛び込む直前までの対応はちゃんと出来ていただけに、最後の瞬間にマークを緩めたのが残念でなりません(これぞまさに『鹿を逐う者は山を見ず』だぃね)。しかし、またしても早い時間に失点か。徳島戦のこともあるし、まだまだ逆転する時間はありますよ。前向きにいぐんべぇや。失点直後の前半15分、今度は群馬がFKを得ます。位置は左45°、25m。このFKですが、珍しく群馬攻撃陣はペナルティエリア内ではなく、エリア外にポジショニングしています。長くこのクラブを見ていますが、こうしたサインプレーは初めて見ました。面白いことをする。キッカーの加藤選手はファーサイドへと蹴り込みます(そりゃそうだ)。敵味方全員がゴール前へと移動しながらの攻防は、マークが外れてフリーになったり、スポット的に空間が空いたりと、なるほど使い方次第では色々な事が出来そうです。この場面では、横山選手がフリーな状態でヘディングシュートを枠ではなく右サイド方向へと打ち込みます(狙った?)。ここに飛び込んだ増田選手が左足を合わせてシュートを放ちますが、ミートせずクリアされます。いや、惜しい。この一連の攻防で東京DF・刀根選手が負傷し、交代となります(前半20分)。代わって登場したのは小池選手。うちに居た頃から比べると、なんだか随分逞しくなった感じがします。前半35分、今度は右45°、25mのFKのチャンスです。今回はスタンダードなFKのように見えますが、果たして。キッカーの加藤選手、グラウンダーのパスをペナルティエリア中央に位置取る平繁選手へと送ります。平繁選手、このパスに右足を合わせてゴール方向へ向かってシュートを打ち込みますが、ポストの左へと外れます。意表を衝いたサインプレーでしたが、キッカーとレシーバーの意思がちょっと合わなかったみたいです。チャンスを逃していると逆襲を食らうのが勝負事の不思議な定番。前半36分、自陣でのパスミスを奪われると、見る間に攻め込まれてゴールに迫られます。飯尾選手、右サイドを抉るとフリーな状態からセンタリングを上げます。そしてフリーな状態の高原選手がヘッドで落とし、待ち受けた常盤選手がシュートを放ちます。このシュートに勢いがなかったおかげでGKがキャッチして難を逃れましたが、いくら何でもフリーにさせすぎでしょ。高原選手が単身でボールに触った時には、心臓が止まるかと思いましたよ。ここで群馬は、小柳選手→瀬川選手の交代を行います(前半39分)。左サイドからいいようにやられてましたから、早めの処置と言う事でしょう。前半42分、東京陣内でプレスを掛け相手からボールを奪い取った坂井選手が、そのままショートカウンターへ打って出ます。左から横山選手−小林選手−青木選手−平繁選手と横一線に並んで攻め寄せます。坂井選手は、すぐ横の青木選手へとパスを出します。青木選手、前方が相手DFによって塞がれるのを見て、すかさず更に右の平繁選手へとパスを流します。平繁選手、パスを受けるとワントラップして右足でシュート。いいシュートでしたが、ここはGK・佐藤選手のパンチングが素晴らしく、またしてもゴールを割ることは出来ません。そして、前半はリードされたまま終了。結局、東京の時間が長かった割にはチャンスらしい場面をほとんど作らせなかったものの、それでもワンチャンスをものにするしたたかさの差が如実に出たな、と言う印象です。群馬のプレスがこれまでよりも緩いのが気になりますが、東京もあまり本調子ではないようです。後半、闘志をもって当たれば状況はあっさり好転する目は十分あると見ます。まずは闘志だ。
 後半開始時には風が強まってきました。これを狙ってのコートチェンジだったとしたら、群馬ベンチは相当な策士です。ただ、風向きが一定せず、完全な風上に立ったとは言えません。試合の方は、後半4分、群馬・右CKのチャンスからスタートです。キッカーの加藤選手がファーサイドへ蹴り込んだボールに対し、平繁選手が頭を合わせます。難しい体勢からのシュートだったので、枠を外してしまいました。あと少し、もうほんのちょっとの所までゴールが来ている感じはします。後半9分、東京は早い時間に選手を替えてきます。安田選手→前田選手の交代です。この前田選手は、ユース上がりの18才のルーキーです。こういった優秀な人材が下部組織から次々とトップ昇格してくるあたり、ヴェルディ伝統の組織力は流石であり、羨ましくもあります。試合はその後膠着状態に陥ります。何となく風上を笠に着てポゼッションで優位に立つ群馬に対し、実に綺麗な2ラインブロックを布いて突破を許さない東京。こう書くと、「引いて守る東京vs攻勢の群馬」に見えますが、ボールを自由に持たされてはいるもののアタッキングサードから先へは一歩も踏み込めない、と言うのが実情です。東京側の守備連携・意識統一がしっかりしていることもありますが、一番の原因は、守備防壁突破のためのアイデアと多少の冒険をする勇気、その決断力のいずれもが欠如していることです。個々の選手はそれぞれよく走ってはいます。ただ、「よく走っている」だけで、連携が取れていない。それならそれで、単騎突破を挑んだって良いのですがね。繋がらない横パスを出してはかっ掠われ、自らピンチを招くよりはよほどましだし、観ていて少しは気が晴れます。でもしないんだなぁ(はぁ…)。東京側は1点のリード、守備の要である刀根選手の交代、風の状態等々の要素を勘案し、リスクを避ける戦い方を選択しつつあります。ただでさえ堅い東京の守備陣に専守を決め込まれると、いよいよもって得点するのは難しくなります。分かっちゃいるがままならない焦りが、選手達から見て取れます。 そんな中、群馬ベンチが動きます。後半16分、横山選手→遠藤選手の交代を行い、平繁選手の1トップはそのままとして、小林選手を左SHへ、遠藤選手をトップ下へ入れます。リフレッシュした群馬の前線は動きが良くなりましたが、それでも東京要塞は揺らぎません。後半25分、東京は小池選手→西選手の交代です。途中出場の小池選手を交代ですか。怪我じゃなさそうなので、戦術的なことなのでしょう。群馬サイドも最後の一枚として、加藤選手→後藤選手の交代を行います(後半32分)。永田選手の出番がなくなったのは残念ですが、それは次のお楽しみとしましょう。さて、久々にピッチに戻って来た後藤選手、盛大な拍手と歓声に迎えられて元気に走り回っています。小林選手と後藤選手が揃うと、フォアチェックの勢いが増します。SBの瀬川選手などもチャンスがあれば前へ出たい口なので、全体的に前掛かった雰囲気は出てきました。ただねぇ、アタッキングサードまでは良い勢いで攻め込んで行くんだけど、東京の布く2列の防御網に掛かった途端急ブレーキを掛けて止まり、出し所に窮して横へ後ろへとボールが戻ってくるお決まりの沼地へ嵌まります。後半ロスタイム、右サイドの青木選手がボールを奪い、フリーになっている瀬川選手へとボールを送ります。瀬川選手はゴール前へとセンタリングを上げますが、精度を欠き敢えなくGKにキャッチされてしまいます。これにて群馬の攻撃は終了。程なくして試合終了の笛が鳴り、東京にとって今季アウェイ初勝利が与えられました。
 今日の試合、スタッツを見ると、シュート数;群馬11(前半=5、後半=6)、東京8(5、3)、GK数;群馬6(5,1)、東京16(8、8)、CK数;群馬7(1、6)、東京4(2、2)と、チャンス自体は群馬の方が多かったことが分かります。客席から観ていても、特に後半は優勢だなあという実感はありました。結局の所、勝負を分けるのは、ほんの些細にして重要な何かの違いと言う事なのでしょう。
 この試合に限らず、今季これまでの試合全てにおいて感じられるのが、パスの出し受けの齟齬や攻撃に掛かる時の連携の不一致、守備におけるマークのズレと言った「噛み合わない感じ」です。噛み合っていないのは試合だけではありません。今季は、クラブから聞こえる合わぬ歯車の立てる悲鳴にも似たノイズが消えません。イスカと言う鳥は、上下のクチバシが噛み合っていなくても問題なく生きていけますが、ザスパクサツ群馬は、こうした「噛み合わない」を繰り返していては先がありません。気が付けたのを幸い、しっかりと矯正して、カッチリ噛み合った歯車で力強いトルクを取り戻しましょう。
 もうなんだかすっかりどん底ズンドコな気分ですが、『禍福は糾える縄の如し』とも言います。今の境遇が、後に顧みて笑える出来事にならないとも限りません。それとても、これからの頑張り次第。『天は自ら助くる者を助く』です。努力あるのみ。こんな言葉もあります。『殷鑑(いんかん)遠からず』。戒めとすべき失敗の前例は手近なところにあるものだ、という訓戒です。まずは自らの良くない所を見つめて修正し、しかし『邯鄲(かんたん)の歩み』(自分の本分を忘れて無闇に他人を真似たりしていると、中途半端なことになり、真似しようとしたことだけでなく、本分の方まで駄目になってしまうということ)にならぬよう、突飛で慣れないことには不用意に取りかからないことも肝要です。
 『偃鼠(えんそ)河に飲めども腹を満たすに過ぎず』(人はそれぞれその分に応じて満足するのが良い)の故事もありますが、いえいえ、現状で満足していては進歩も未来もありません。野心を持って行こうではないか。【ほーせん@高崎】




■ 2013年5月12日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第14節

京都サンガF.C.2−1 ザスパクサツ群馬

京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 7078人

気迫は見せたが

 ザスパは前半、序盤から前線でプレスを仕掛け、押し気味に試合を進めた。しかし19分、自陣で一瞬相手をフリーにしミドルシュートを打たれて先制された。その後は反撃し、33分に夛田が惜しいシュート。ゴールまであと一歩に迫って折り返した。
 後半も立ち上がりから猛攻を仕掛けたが、ペースをつかんだ時間帯にゴールを奪えず。逆に25分、FKから追加点を許す苦しい展開。32分にMF永田のゴールで1点差に迫った後も惜しい場面をつくったが、追い付けなかった。(5月13日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年5月19日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第15節

ガンバ大阪 5−1 ザスパクサツ群馬

万博記念競技場 8045人

為す術なし

 ザスパは相手の素早いパス回しに苦しんだ。前半の2分、自陣で相手のワンタッチマスに付いていけず、先制を許した。18分にFW平繁が相手のミスから同点ゴールを奪うも、26分に再びパス回しで守備を崩され失点。39分にはサイド攻撃から3点目を献上した。
 後半に入っても流れは変わらず、15分、16分と立て続けに失点。何度か決定機をつくったが点差は縮められず。試合全体を通じて持ち味のプレスが影を潜め、攻守で迫力を欠いた。(5月20日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年5月26日(日) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第16節

ザスパクサツ群馬 0−0 ギラヴァンツ北九州

正田醤油スタジアム群馬 2259人

早くも裏天王山 ファースト・レグ

 5月最後のホームゲーム。晴れてはいるものの、榛名山が霞むように低くて薄い雲が広がっています。風は弱く、強まり行く日照に焼かれる肌には心地良く感じます。
 本日の対戦相手は北九州。現在の順位は同勝ち点で20位。そうです。いわゆる『裏天王山』です(この時期に…)。勝った方が降格危険地帯から脱出です。北九州的には引き分けもありですが、群馬的には勝利一択しかありません。
 それでは、本日のスタメンを確認しましょう。GK:22・北選手、DF:4・小柳選手、24・乾選手、5・中村選手、2・保崎選手、MF:16・永田選手、19・黄選手、8・遠藤選手、7・青木選手、FW:10・平繁選手、11・小林選手、リザーブメンバー・GK:1・内藤選手、DF:13・有薗選手、29・夛田選手、MF:14・横山選手、18・加藤選手、25・坂井選手、FW:9・後藤選手。今日のフォーメーションは、永田選手-黄選手を2ボランチに、平繁選手と小林選手をトップに据えた4-4-2です。注目は、ホーム戦では久々の先発となる保崎選手と、こちらはホーム戦初先発の永田選手です。オフェンスメンバーの後方から彼らがどれだけ支援出来るか、期待が高まります。対戦相手の北九州は、好調だった昨年の主力を監督ごとゴッソリ某チームに持って行かれてしまい、今季は低位で喘いでいます。新監督の下で一からチーム作りをしている点において群馬と同じですが、柱谷監督はベースとなる守備から着手していて、まあまだまだ結果に結び付いてはいませんが、組織だった守りの形は見えてきています。ブレずに浸透を図っていけば、いずれ「堅守」のスキルは手に入りそうな気配がします。兎も角、手探りな両チームと言う事です(^^;)。
 選手入場後、平繁選手のJ通算100試合出場のセレモニーが行われました。若き英俊、まだまだ通過点です。前半は群馬のキックオフでスタート。両軍共に前線からのハイプレスは行わず、様子見のような感じの入りとなりました。前半8分、最初の好機は北九州のFKです。ペナルティエリアの右角の外側からのFKは、冨士選手が蹴ります。ゴールを直接狙ったFKはゴール右ぎりぎりに飛んで行きましたが、GK・北選手が反応良くパンチングで掻き出してゴールを守ります。ターキー、今日は早くもスイッチが入ってる様子。群馬側最初の見せ場は前半16分。永田選手が左サイドから持ち込んでタメを作り、然る後にセンタリング。このボールに反応した小林選手がループ気味のシュートを放ちますが、GKにセーブされてしまいました。良い形でフィニッシュまで持って行けたので、北九州側の流れで推移していた場の雰囲気を断ち切る楔にしたかったんですが、そうはいきませんでした。ただ、どちらかと言えば群馬側の守勢ではあるものの、北九州側も嵩に懸かって、という感じにはなりません。この辺りが下位同士の対戦らしいと言う事なんでしょうね。そうこうするうち、時間だけがどんどん過ぎ去って行きます。第四審がロスタイムボードを掲げ、双方積極的な打開策が見出せない終盤、取りあえずこのまま何事もなく終わってくれれば、と思う所にアクシデントは起こるもの。自陣に戻りながらの守備の時に中村選手が負傷し(たぶん接触によるものと思われます)、そのまま退場となります。代わりに有薗選手がピッチに入ります。CBが次々と負傷してゆく…。程なくして前半は終了しました。守備の要がスクランブル交代となる事態は、ハーフタイムを挟むことで落ち着いて仕切り直せそうです。
 後半は2分、群馬のFKから攻防再開です。ハーフウェイライン付近右サイド45°からのFKは、短いパスとして繋がれます。一端左サイドの保崎選手がボールをキープし、右サイドの小柳選手へと大きくサイドチェンジパスが通ります。小柳選手はドリブルで上がりながら、途中青木選手とのワンツーを決めて縦に抜け、前方の平繁選手へとスルーパスを蹴り入れます。平繁選手、ペナルティエリア内でワントラップ後反転してシュート。ボールは枠の左へとわずかに外れました。どよめく場内。あとちょっとです。後半4分にもチャンスは訪れます。今度は左サイドの保崎選手から上がったセンタリングを中央で相手DFに競り勝った平繁選手がヘッドで落としてボールセットします。落とされたボールは走り込んだ遠藤選手のタイミングにどんぴしゃり。よし貰った!が、遠藤選手のシュートはダフってミートしませんでした(枠外)。Oh…。あとちょっとなんです。後半22分、北選手のゴールキックが存外長く跳び、相手陣内で大きく弾みます。この弾んだボールの処理を北九州DFがミスし、そして見逃さなかった平繁選手がかっ攫ってキープ、そのままカウンターで敵陣深く攻め入ります。平繁選手、ゴール前の空きスペースへスルーパスを送ります。併走していた小林選手へ宛てたパスでしたが、これに間に合わず、ボールはファーサイドへと流れます。これに追い付いたのは永田選手。敵味方の意表を衝く形になった分(笑)、フリーな状態でミドルシュートを放てました。今度こそ!。が、北九州GK・武田選手の正面に飛んでしまい、敢えなくキャッチされ、得点はなりません。あとちょっと…なのかな。 後半25分、両陣営が一斉に動きます。群馬は小林選手→後藤選手、対する北九州は小手川選手→渡選手の交代を行います。共に前線の選手のリフレッシュ交代です。この時間帯、交代は矢継ぎ早で、後半26分、群馬は遠藤選手→加藤選手の交代(加藤選手はそのままSHに入ります)、後半30分、北九州はアン ヨンギュ選手→鈴木選手の交代をそれぞれ行います。この交代の直後、群馬は右サイド深く持ち込んだ小柳選手がチャンスを作ります。小柳選手、DFの隙を衝いて左サイドへとクロスボールを蹴り出します。これを永田選手が受けて、中央でフリーになっていた保崎選手へセットパス。保崎選手、走り込みながら体勢を整えてミドルショット発射。残念ながらボールは枠の上方へと消えました。あとちょっと、何かが足りないのかな。後半33分の群馬の攻撃。今度は自陣からの速攻です。交代したばかりの加藤選手が放ったミドルシュートはまたしても枠の上ですが、打ち切る意識は大事です。それにしてもあとちょっとなんだがなぁ。後半37分、北九州は最後のカードとして、池元選手→ナム イルウ選手のFW同士の交代を行い、あくまで勝利を目指します。そして、後半40分、北九州は交代投入した2選手が絡む好機を演出します。左サイドでボールをキープした渡選手からボールを繋いで上げられたセンタリングをナム イルウ選手がヘディングシュートした場面です。センタリングが上がった時点で、ボールの落下地点付近には北九州側3名に対して群馬側は2名+GKという不利な状態が出来上がっていました。敵味方5人がハイボールを混戦で競った結果、ナム イルウ選手のヘディングは高く飛び、これが良い具合にゴールマウスの左上隅へと向かいます。長身の北選手がジャンプし、いっぱいに伸ばした右手一本で辛うじて弾き出す好セーブによりゴールを守りましたが、肝を冷やしました。試合はこのまま時間切れとなり、なんとも煮え切らない結末を迎えました。
 「降格厳禁」の横断幕が掲げられたこの試合、結果はしかし、なかなかに厳しいものとなりました。ボーダーラインを挟む当事者のうち、下位の群馬は勝利によってのみ危険域を脱出出来たのですが、それも儚い夢と散りました。結果として、裏天王山の初戦は群馬の負けと言えるでしょう。
 今日の試合については、守備の意識が高く、反面攻撃に切り替わった後のフィニッシュへ至る道程に課題が見えました。特に前半に多く見られたのが、パスを要求するオフェンスの選手にほとんどパスが送られないケースです。快速ドリブルで単騎突破するとか、委細構わず筋肉で押し切るとか、はたまたDFを翻弄するような華麗な体捌きでラインをかいくぐるとか、そんな特殊能力者はおそらくうちには居ません(昔は居ました)。一人では出来ないから人数をかけて同じ効果を得ようとする。人数をかけるって事は、意思疎通が不可欠って事です。ボールホルダーから遠いフリースペースで大きく手を挙げる、パスは出されず横・後ろへと戻される。奪われてカウンター。仕方が無いから守備のために反転ダッシュで自陣へと駆け戻る。運が悪ければファール→イエロー→退場もあり得る。結果、不満と疲労だけが蓄積する。何という負のスパイラル。もうね、挙げた手を憤懣やるかたなく「出せよ!」「何だよ!」って振り下ろす前線を見たくはないのです。猛将・保崎選手がガッツンガッツン上がって行った背景には、こうした煮え切らない状況に対する怒りが見えたりするんですがね。
 あまり得るものが多くなかった中で、永田選手や保崎選手のオフェンシブな意識が窺い知れたのは収穫でしたが、全体として以前からの課題であった連携の齟齬やフィニッシュの精度に関しての改善が見られなかったのが残念でもあり心配です。幸いにしてまだ16節。挽回のチャンスは多く残されているはずです。不名誉な「裏天王山」のセカンド・レグが訪れないよう心底願っていますし、頑張って頂きたいものです。【ほーせん@高崎】




■ 2013年6月1日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第17節

ザスパクサツ群馬 1−2 V・ファーレン長崎

正田醤油スタジアム群馬 6186人

J2の戦い方

 本日は、結構前からキャンペーンをしていた、FMラジオ・新聞・TVの地元3メディア合同のスペシャルマッチです。スタジアムメイン広場に設けられた各ブースやトークイベントも盛況で、いつも以上に多くの人で賑わっています。バックスタンドから見ると、メインスタンドは時々刻々と埋まり、久しぶりのほぼ満席状態になりました。ピッチアップ時にはメインスタンドにもコールリーダーとドラムを配置し、バック側と呼応した迫力の応援を行うなど、低迷するチームを支える我らサポーターの意思を大いに示します。
 今日の対戦相手である長崎は、周知の通り現在リーグ3位の強豪です。いや、嫌味でも何でも無く、戦績・内容を見るに納得の順位だと思いますし、その健闘には憧憬を禁じ得ません。そして長崎と言えば、GK・岩丸選手、DF・藤井選手、DF・杉山選手、MF・山田選手と、4名の現役選手が居るほか、昨年は監督に佐野氏、コーチに堺氏といったいずれも我々に馴染み深い顔ぶれが多く在籍しておりました。遠方の地ながら、結構親近感の湧く不思議なチームです。
 本日のスタメンは次の通り。GK:22・北選手、DF:4・小柳選手、24・乾選手、13・有薗選手、2・保崎選手、MF:16・永田選手、19・黄選手、8・遠藤選手、7・青木選手、FW:10・平繁選手、11・小林選手、リザーブメンバー・GK:1・内藤選手、DF:28・瀬川選手、29・夛田選手、MF:6・櫻田選手、14・横山選手、18・加藤選手、25・坂井選手。遂に櫻田選手が帰ってきました。松下・熊林両師匠の薫陶を最も受けたであろう「草津」の申し子、それが櫻田選手です。ピッチアップするその足には厳重にテーピングが巻かれていますが、無理のない範囲で出場してくれたら嬉しいです。なお、長崎のベンチには岩丸選手と藤井選手が居りますが、話題(笑)の山田選手と杉山選手は帯同していません(残念)。  上毛新聞社がマッチスポンサーと言う事で、ヘリコプターによるボールインセレモニーが行われます。センターサークル上空でホバリングするヘリの窓が開き、…、…、…なかなかボールが落ちてこない…^^;。…あ、落ちてきた!おー(パチパチ)。ボール投下にちょっと手こずった分、変な緊張感がありましたが、ここから切り替えて試合に集中しましょう。
 長崎のキックオフで試合開始。序盤は、双方リスクを冒さない慎重な立ち回りです。長崎はボールの奪い所を中盤〜前線にかけてのエリアにおけるショートパスに定めているようで、ここで奪ったボールを縦に素早く入れてはカウンターアタックを仕掛けてきます。対する群馬は、いつも通りに自陣からビルドアップし、中盤での細かいパス回しからギャップを突いてゴールに迫るやり方です。ここまで書いてお気付きかと思いますが、長崎と群馬の戦術はピタリと合致し、それも長崎側に主導権が行くように見えます。実際、今ピッチ上では、ハーフエリアでのパス交換に複数人数を掛けてボールを奪っては拙攻でチャンスを作り出せない長崎と、アタッキングサードまでボールを運ぶことが出来ない群馬のせめぎ合いが繰り広げられています。その様をボクシングに喩えるならば、「クリンチで互いのボディをコツコツ叩き合う」光景に似ています。「先にバテた方の負け」、そして、「離れ際にラッキーパンチが当たったら負け」、そんな感じです。前半20分、群馬はゴール正面でのFKを得ます。キッカー・平繁選手は強い球を蹴って直接ゴールを狙いましたが、壁に当たってリフレクト。この跳ね返りを保崎選手がワントラップボレーでシュート。ここはGK正面に飛びキャッチされます。これが群馬のファーストシュートです。前半28分には小柳選手がロングシュートを放ちますが、前半のうちで相手ゴールに迫ったのはこれが最後となりました。前半31分、長崎は高杉選手が負傷のため交代となり藤井選手がピッチに登場します。ご無沙汰、お手柔らかに。群馬側は、ボールを支配するものの長崎の布く守備ブロックを攻略できず、全くゴール前へと進めません。対する長崎も好機らしい場面は皆無で、なにやら消耗戦の様相を呈してきました。前半はこのまま終わるのかな、と思うと得てして試合は動きます。しかも決まって悪い方へ。前半41分、長崎に右タッチ沿い35mのFKを与えてしまいます。キッカーの金久保選手がペナルティエリア右側へ蹴り込むと、群馬側DF2名が山口選手とハイボールを競るが負け、ヘディングを打たれます。山口選手の打ち込んだボールの先には長崎の選手2人(藤井選手と佐藤選手)が詰めて来ていて、ドフリーの状態で佐藤選手に頭で押し込まれて先制を許します。セットプレーの守備でゴール至近に完全フリーマンが2人も居るって、守備のエラーだよねぇ。
 ハーフタイム明けに、群馬は青木選手→横山選手の交代を行います。後半開始直後の1分、保崎選手が敵陣深く抉ってクロスボールをゴール前へと入れますが、サポートがなくシュートまで持って行けません。どうも噛み合わないな。後半3分には小柳選手がロングシュートを放ちます。シュートは枠上へと外れましたが、攻撃のリズムを作るにはこうした事も効果的です。機会があるならバンバン狙って良し。後半15分には、右30°、40mのFKのチャンスを得ます。キッカーは小林選手。ニアサイドへ蹴り込まれたボールを競った乾選手が競り勝ち、ヘッドでゴール方向へとフィードすると、これが佐藤選手に当たってこぼれます。ここで、左サイド側からDFの壁を斜めに突き抜けて突破した小柳選手がこぼれ球の落下地点へ走り込みます。小柳選手、足下にボールを収めると、反転して右足を振り抜きシュート一閃。ボールは見事ゴールへと突き刺さり、GOOOOOAL!!! 同点!さあ勢い込んで逆転だ。しかし、長崎は同点にされても動転しません(いやギャグでなく)。試合開始時から変わることなく2ラインの守備ブロックと旺盛なチェックで群馬の攻勢を上手に削ぎます。と同時に体力と気力も削がれているように見えるのは穿った見方か気のせいか。後半33分、群馬は遠藤選手→櫻田選手の交代を行います。櫻田選手は本来のボランチではなく、遠藤選手の居たオフェンシブハーフに入ります。さすがにボールコントロールに長けた櫻田選手、前線でのタメが出来てボールの回る位置が少しだけ前進しました。が、相手の守備ブロックを突破することがどうしても出来ません。後半長崎には全く攻撃を許していないだけに、なんとしても追加点を奪いたいところです。後半42分、群馬久々のチャンスは左CKです。ちょっとゴール寄りに飛んだボールはGK・金山選手のパンチングに弾き飛ばされますが、こぼれ球に詰めた横山選手がダイレクトシュートを見舞います。良い波状攻撃でしたが、シュートがミートしなかったためGKにキャッチされたことから長崎に逆襲を許します。GK・金山選手、キャッチング後すかさずロングフィード。長崎怒濤のカウンターアタック発動です。フィードボールを神崎選手がキープして右サイドへ展開、受けた小笠原選手が間髪入れずにクロスを入れます。ここは群馬DFがゴールラインへ蹴り出して難を逃れるのが精一杯でした。しかし、長崎の戦術(ロングカウンター)の徹底ぶりは凄まじい。まさにナイフの切れ味です。ここから長崎が盛り返し、攻勢が始まります。相手の無尽蔵の体力と攻勢に加え、自身のミスが重なり、状況は悪くなる一方です。そして迎えた後半ロスタイム。長崎はラストチャンスとして右CKの場面です。嫌な予感しかしねえ…。キッカーは小笠原選手。中央に蹴り込まれたハイボールにGK・北選手が飛び出して右手を伸ばしますが、わずかに届かず、群馬DFの背後から飛びこんで来た水永選手のヘディングシュートがゴールネットに突き刺さります。終了間際の失点は、もはや様式美の域。試合はそのすぐ後に閉じました。
 この試合のスタッツを見ると、群馬のシュート数は7本(前半4本、後半3本)で、長崎は4本(前半3本、後半1本)。つまり、長崎の後半唯一のシュートが決勝点になった訳です。この辺りに現在の順位が語る背景などが垣間見えますね。また、長崎の前節までの総失点は14点で、これはリーグ3位です(群馬は25でブービー)。長崎の前節までの総得点は19点で、そのうち後半30分以降に上げたゴール数は7点、さらにこのうちの2点がアディショナルタイムの得点です。これらの(一介のファンに過ぎない僕ですら事前に知っていた)情報は、勿論首脳陣は知っていて、当然分析もしていたであろうと確信しています。これらの得失点傾向から見えてくるのは、堅守の意識の高さと最後まで走り負けない持久力です。今日対戦してみて良く分かりました。長崎の戦い方は至ってシンプルです。堅守してロングボールを入れてのカウンター。(自称)目の肥えたサッカーフリークが嫌うやり方です(笑)。その(自称)目の肥えたサッカーフリークが軽侮する戦術がリーグを席巻し、現在第3位。言いたいことは分かるよね?
 天皇杯などでJ1の強豪チームが「J2とはやりにくい」と語りますが、まあ話の半分くらいは負けた時の言い訳だとしても、残り半分は結構本質を突いていたりすると思います。全18チーム総当たり2回戦・計34節(カップ戦は除外)を行うJ1に対し、全22チーム総当たり2回戦・計42節を戦うJ2(過去最大季には50節以上もあった!)は、紛れもなく世界で最も過酷なリーグと言えます。各クラブで多少の差違はあれど、概ね潤沢とは言えない資金と設備でシーズンを乗り切らねばならぬ事情がそもそもあるので、戦い方(シーズンの乗り切り方)は自ずからJ1などとは違ったものになります。トップリーグたるJ1の試合が、各クラブの特色を前面に出したスピードとテクニックとタクティクスの彩る舞台であるのに比べると、J2の試合の多くがどうしても泥臭くなり勝ちなのは、こうした事情から致し方なしなのです。
 下位カテゴリであるJFLから新規参入してきたチームにとって、J2は高い壁でした。我がチームもうそうですが、実に多くの新入生がJ2の洗礼を受けて来た過去を見るに、カテゴリ間のやり方の違いは歴然たるものがある事を物語っています。そうした中で一際異質に映るのが今季の長崎の快進撃です。今日対戦してみてなるほどなぁ、と得心がいきました。長崎は「J2の戦い方」をしている。実にJ2らしいやり方を実直に遂行している。誓って述べておきますが、それは何ら恥じるものではなく、むしろ統制の取れた組織だからこそ成し得る勝利の方程式だと思います。誇って良い事です。そうなると問題があるのはやはり我々の方と言う事に…。アクションサッカー、ポゼッション、オフェンシブ、攻撃的布陣、見ていて楽しい、(あ、あと世界基準も)、これらはチームが今季目指すべく掲げたキーワードですが、果たしてその達成度は、と問うまでもありませんね。はっきり言うと、J2規格のチームが背伸びをしてJ1っぽいことをしようとしたけれどやっぱり駄目でした、と言うのが現在の状況に対する解でしょう。しっかりJ2な長崎とJ2らしさを否定した(けどあれもこれも中途半端な)群馬の対戦、その結末は、まあ妥当と言わざるを得ません。
 上位のチームに負けたのは仕方ない、では済まされません。新参者に負けたのが許せない、なんてのは現状認識が甘いニワカの寝言です。「しっかりしたJ2チーム」に「迷走するJ2っぽい何か」が普通に負けた、それが真相です。次節以降も「ブレずに」今までと同じ事を繰り返すのであれば、残念な結末が見えてくるのはそう遠くないかもしれません。危機感を持つべきです。言葉ではなく、行動を持って。事ここに至れば、かつての水戸のお家芸である「ミトナチオ」のような、ガッチリどん引きカウンター戦術(草ナチオだかお湯ナチオだか)でも良いですよ。綺麗事では勝てないのは身に染みました。残留さえしてくれたら取りあえず文句は言いませんから。これ以上ホームスタジアムをため息で満たさないで欲しいと切に願います。【ほーせん@高崎】




■ 2013年6月8日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第18節

カターレ富山 0−0 ザスパクサツ群馬

富山県総合運動公園陸上競技場 3879人

最低限の結果

 ザスパは中盤の運動量で相手を上回り、前半から優位に試合を進めた。8分にスローインからMF小林がシュート。44分にはMF黄誠秀のスルーパスからFW平繁が局面を打開しかけたが、いずれも相手のしぶとい守備に阻まれた。
 後半に積極的に攻撃。10分には平繁、13分にはMF永田が惜しいシュートを放つもゴールを割れない。守備では相手のサイド攻撃から危ないシーンもあったが、GK北を中心に粘り強く守りきった。(6月9日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年6月15日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第19節

ザスパクサツ群馬 2−2 モンテディオ山形

正田醤油スタジアム群馬 2086人

最下位転落



 ザスパは前半、序盤からリズムをつかんだ。19分にMF小林のFKから乾がヘディングシュートを放って先生。その後の好機では追加点を奪えず、1点リードで折り返した。
 後半は立ち上がりから守勢に回り、カウンターを中心に攻撃。8分、MF青木の右クロスをFWエデルが頭で合わせ、リードを広げた。しかし17分、右サイドの守備が甘くなって失点。守備的な選手を投入し逃げ切りを図ったが、ロスタイムに再び失点し、引き分けた。(6月15日『上毛新聞』より引用)



観戦された皆様、観戦記のご寄稿お待ちしております!



■ 2013年6月22日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第20節

ロアッソ熊本 2−3 ザスパクサツ群馬

うまかな・よかなスタジアム 5966人

逆転!最下位脱出!

 ザスパは前半、守備が乱れて失点を重ねた。9分にMF小林のFKをDF有薗が頭で合わせて先制するも、25分にFKから同点ゴールを献上。直後の28分にもミドルシュートを決められ、逆転された。その後はサイドを起点に攻撃したが一歩及ばず、1点ビハインドで折り返した。
 反撃に出た後半10分、FWエデルを起点にカウンター攻撃を仕掛け、最後はFW平繁が右足を振り抜いて同点。さらに攻勢を強めた32分、MF永田とのワンツーから再び平繁がゴールを奪って逆転した。(6月23日『上毛新聞』より引用)







■ 2013年6月29日(土) ■

J.LEAGUE DIVISION 2 第21節

ザスパクサツ群馬 2−0 コンサドーレ札幌

正田醤油スタジアム群馬 2723人

EVER ONWARD

 試合終了後、センターサークルで勝利の喜びを爆発させる選手の輪の中に、在りし日の彼の写真があった。ザスパ創成期から、Jリーグ昇格、そしてその後の苦境を社長として支えた、故大西忠生氏。がんを患いながらも、己の命を削るようにザスパのために尽力したその姿は、多くのサポーターの心の中に刻まれている。その彼が惜しまれつつこの世を去ってから、はや7年――。
 今日は彼の命日。直接面識のある選手も、北、櫻田、後藤の3人だけになってしまったが、ユニフォームの背中には彼の遺した、「EVER ONWARD」(限りなき前進)の言葉が刻まれている。サポーターが陣取るスタンドには、大西氏の姿をモチーフにした横断幕が掲げられている。ボールボーイは、彼が「ザスパ草津の財産」と言った子供たち、ザスパU-15,U-18の選手が務めている。
「苦しいこともあるだろう。 云い度いこともあるだろう。 不満なこともあるだろう。 腹の立つこともあるだろう。 泣き度いこともあるだろう。 これらをじつとこらえてゆくのが男の修行である。 」
 大西氏が愛した山本五十六の言葉は、まさに今季これまでのザスパの戦いそのものだった。多くの選手、スタッフが入れ替わり、内容に結果が伴わない苦しい試合が続き、6月中旬にはとうとう最下位に。降格という大きな危機が眼前にはっきりと映ったなか迎えた前節、一時は熊本に逆転されるも、後半エース平繁の2ゴールで再逆転。2ヶ月ぶりの勝利をもぎ取り、1週間で自動降格圏は脱した。しかし、まだまだ危機的な状況であることに変わりはない。今節のホーム札幌戦に勝利し、連勝で勢いをつけること。リーグ後半戦に向けて非常に大事な試合となった。
 夕立の気配ただようスタジアムはこの時期特有の蒸し暑さはなく、サッカーをやるには良いコンディション。対戦相手の札幌は、昨季J1から降格、2年ぶりに敷島にやってきた。サポーターも多く来場してバックスタンドを埋め、大音量で声援を送る。こちらも監督、選手が大幅に入れ替わったが、下部組織出身の若く才能のある選手達が序盤から結果を出し、現在10位。今季アウェイにめっぽう強く、上を目指すには下位に沈むザスパには負けられない。
 対するザスパのスタメンは、勝利した前節からCBの乾が外れ、小柳がずれてその位置に。空いた右SBには夛田が入った。好調平繁と顎のプロテクターとポストプレイで存在感の増すエデルのツートップに、今日も期待がかかる。
 試合は開始早々から、お互い持ち味を出そうと積極的に仕掛ける展開に。ザスパは最終ラインからの組み立てで右サイドに展開し、スピードのある夛田、青木が前に仕掛ける。札幌は高い位置を取るザスパの最終ライン裏にロングボールを入れ、突破を図る。タイミングの良い飛び出しで徐々に札幌ペースになっていくが、ザスパも粘り強い守備でゴールは割らせない。失ったボールにもきっちりと詰め、反撃の芽を絶つことで相手のペースに持ち込ませない戦いができている。
 徐々に相手のロングボールの処置にも慣れてきた30分過ぎ、右サイドを粘って突破した青木からペナルティエリア内で平繁に渡り、内側に持ち込んで放ったシュートは残念ながら枠外。また、カウンター気味にボールをもらった平繁が中央でドリブルを仕掛け、相手のファウルで得たFKで小林がゴールマウスを狙ったが、これも枠をとらえることができなかった。
 しかし、自分達の時間を作れて、攻撃力のある札幌相手に0-0で折り返したことは評価できる内容だった。あとは決定機でどちらのチームが決められるか。後半が楽しみな展開となった。
 エンド変わって後半開始早々、先制点はザスパに生まれた。この日何度も見られたボールへの執念。浮き球に青木が詰めて、粘って、ペナルティエリア付近で奪取、横に流したボールに平繁が左足一閃し、鋭いシュートがゴールに突き刺さった。GOOOOOAL!!! メイン側のコーナーフラッグに駆け寄り、お決まりのゴールパフォーマンス。敬愛する先輩、佐藤寿人に勝るとも劣らないゴールへの嗅覚で、エースが決定機をものにした。
 その後も先制の勢いを駆って攻めるザスパ、エデルがカウンター気味に抜け出し、決定機を迎えるが、シュートまでは至らず。この日獅子奮迅のボランチ黄誠秀が後ろ向きで胸トラップ、右足で浮かせつつ反転し、ループ気味のボレーシュートを放ち、相手GKの頭上を越えたが惜しくもポスト。追加点奪えず、1-0の厳しい展開のまま徐々に札幌が盛り返す。左サイドのアーリークロスをファーで合わせられ決定的なピンチを迎えたが、このシュートは北が右手一本ではじくファインセーブ。DF陣も体を張って、得点を許さない。
 秋葉監督も追加点を狙い、攻撃のカードを切っていく。青木に替えて加藤を投入、続いて小林に替えて横山を。残り10分を切り、次の1点が勝負を分けそうな雰囲気となってくる。そして、その1点はまたもボールへの執念から生まれた。右サイド札幌陣内に流れたボールを横山が追いかけ、ゴールラインギリギリのところで相手DFと絡み、倒れたところはペナルティエリア内。待望の追加点のチャンス、PKを獲得。横山に一声かけ、拾ったボールをセットしたのは平繁。ボルテージの上がるスタンドとは対照的に、冷静に右隅に蹴り込み、GOOOOOAL!!! これで2-0。アディショナルタイムに保崎がこの日2枚目のイエローカードで退場というハプニングがあったものの、上位の札幌相手に零封の快勝。順位も鳥取と勝ち点で並びながら、得失点差で20位に浮上した。
 サポーターに挨拶に回る北の手には、大西氏の写真。スタンドからは、大きな大西コール。結果が伴わずとも、我慢し、共に苦しんで得た今季初の連勝。紆余曲折ありながらも、10年の時を経て、限りなき前進を続けるザスパ。まだまだ厳しい状況に変わりはないが、次へのステップが見えてきた一戦となった。【yosuie@中毛】

 大西さんを知らねぇサポはぜひみてくんな。
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